2023/04/09 - 2023/04/09
5位(同エリア167件中)
旅猫さん
新府桃源郷の桃が見頃だと言うので、久しぶりに訪れることにした。そこは、果物の桃を栽培している農地が広がり、春の花の時期には、一面の桃の花で覆われる。16年前に訪れ、その美しさに感動したのだが、ようやくまた訪れることとなった。
(2023.04.14 投稿)
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JR特急 JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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久しぶりに新宿駅からの旅である。乗り込んだのは、8時発の特急『あずさ5号』。春の週末と言うこともあり、車内は混み合っていた。高尾駅を出ると、車窓は萌黄色の山が続く。この季節の車窓は、とても美しい。
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甲府駅で降り、9時32分発の普通列車に乗り換える。甲府盆地の向こうには、富士山も顔を出していた。20分足らずで、新府駅に到着したが、思ったよりも多くの人が降りたようだ。
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駅から歩いて行くと、すぐに長閑な景色となった。遠くには、八ヶ岳の山並みも見えている。しかし、肝心の桃の花は、かなり散ってしまっているようだ。ここ二日ほどの悪天候のせいだろう。
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少し振り返ると、満開の菜の花の向こうに茅ヶ岳も望めた。その姿から、『ニセ八つ』とも呼ばれ山である。
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とりあえず、新府城跡を目指したが、途中で通行止めとなっていた。新しい道を作っているそうだが、この長閑な風景を壊さないで欲しいものだ。仕方が無いので迂回すると、その先に電信柱のようなものに、半鐘らしきものが下がっていた。
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しばらく歩くと、新府城跡の入口に出た。ここを訪れるのは、16年ぶりであるが、ほとんど変わっていないようである。その入口は石段となっていて、少し登ると鳥居がある。その石段は、新府城跡の本丸跡に鎮座する藤武稲荷神社の参道なのである。
新府城跡 名所・史跡
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鳥居を潜ると、さらに石段が続いている。これがなかなか手強く、一気に登るのはつらい。結局、二度ほど途中で足を止めてしまった。登り切った場所に建つその神社は、ちょうど地元の方による修繕の最中であった。
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本丸跡の一角には、『小塚 長篠役陣没将士之墓』と刻まれた石碑が建っている。織田徳川連合軍と武田軍が激突した長篠の戦で討ち死にした1武田の部将16名の墓である。建ち並ぶ部将の名が書かれた柱の中央には、江戸時代に建立されたと云う武田勝頼を祀る石祠もある。『お新府さん』と呼ばれ、親しまれているそうである。
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小塚の裏手からは、眼下に広がる新府桃源郷と八ヶ岳が望める。前に訪れた時は、一面桃の花に覆われ、まさに桃源郷であったが、今回は、盛りを過ぎてしまい、やや寂しい感じであった。
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西側の木立の隙間からは、鳳凰三山の姿も見える。
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城跡を後にし、桃源郷へと向かう。以前は無かった駐車場があり、多くの人が訪れているようだ。16年前に訪れた時は、ほとんど人に出会わなかったのが嘘のようである。駐車場の近くからは、新府城跡だけに見られる出構の向こうに、雪が残る鳳凰三山が望めた。
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桃源郷に入ると、まず、鮮やかな赤紫の花が出迎えてくれた。青い空に映え、とても美しかった。
新府桃源郷 花見
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桃はと言えば、やはりかなり摘花が進んでいるようである。前に訪れた時は、まだ満開には少し早かった。花の盛りに巡り合うのは、まさに時の運である。素晴らしい青空であったので、尚更残念である。
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桃の花は、梅とも桜とも違う。花桃とも違う。繊細なようで、野性味も感じる。しかし、その花から桃の実を感じることはなかなか難しい。
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歩いていて気になるのは、桃源郷を横切る電線である。多くの桃畑が広がる東側から鳳凰三山を望むと、ちょうど電線が掛かってしまうのである。
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それでも、少し離れれば気にならない。駐車場や広い道からも離れるので、観光客の姿もほとんど無く、以前のような静かな桃源郷が楽しめる。
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かなり花の数が少なくなっているが、それでも綺麗である。
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ふらふらと歩いていると、白い花を付けた樹があった。スモモかと思ったが、どうも違うようである。姫リンゴかもしれない。
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しばらくすると、三脚を構えた人たちが急に現れた。その先に線路が見えるので、撮り鉄と呼ばれる人たちであろう。畑の中や線路のすぐ脇に入り込んでいる人が多く、困ったものである。
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新府桃源郷は農地であるため、畑内への立ち入りは禁止なのであるが、スマホを持って入り込み、間近で花の写真を撮る人もいる。道はほとんどが農道であるため狭く、路上駐車は農家の方の迷惑となるのが、車で回り、狭い道に車を置いて写真を撮る人もいる。訪れるのであれば、お邪魔するという気持ちで、地元の方の迷惑とならないようにしなければならないと思う。
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桃畑の向こうに富士山が見える場所に出た。春霞でくっきりとは見えなかったが、なかなか綺麗である。
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南には富士山、西には鳳凰三山、北には八ヶ岳、そして東側には茅ヶ岳が望め、山に囲まれた甲斐の国らしい風景である。
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前に訪れた時は、富士山は見えなかったので嬉しい。
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さらに歩くと、鳳凰三山が綺麗に見える場所に出た。桃の花も良い感じで見え、なかなか綺麗である。この日は、甲斐駒ヶ岳も綺麗に見えていた。
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それにしても、良い天気である。心地良い風も吹き、爽やかである。
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そして、桃源郷を見下ろすことが出来る場所に着いた。広がる桃畑の向こうには、茅ヶ岳の優美な姿が見え、素晴らしい景色である。
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桃の樹を上から観ることが出来るので、また違った風情がある。
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そこに、天丼の屋台が出ていた。お昼は、甲府でと思ってたのだが、美味しそうなのでここで食べてしまうことにした。注文すると、その場で揚げてくれる。その揚げたての天婦羅が載った天丼を、桃の花を観ながら食べる。これが思いの外美味しく、とても満足であった。
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駅へ戻り、列車を待つ。新府駅のホームからは、富士山、鳳凰三山、八ヶ岳、茅ヶ岳のすべてを観ることが出来る。
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しばらくすると、12時28分発の普通列車がやって来た。この列車で甲府駅へ向かうのだが、お昼を食べてしまったので、時間をどうにか潰す必要がある。何かないかと考えていると、ふと、駅近くにワイナリーがあることを思い出し、久しぶりに立ち寄ることにした。
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甲府駅で降り、そのワイナリーへと向かう。途中、復元された甲府城の山手御門が見えた。その奥には、富士山も僅かに見えていた。
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5分ほどで、ワイナリーに到着。大正6年(1917)創業の老舗のワイナリー『サドヤ』である。訪れるのは、20年以上ぶりである。
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南仏を感じさせる佇まいは変わらぬようだが、かなり綺麗になったような気がする。とは言え、地下の貯蔵庫とシャトーブリヤンしか記憶が無い。三代目の今井裕久氏に案内していただき、シャトーブリヤンのビンテージ物を試飲させていただいたことが懐かしい。
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以前からあったと思われる建物に入ると、中は綺麗に改装されいた。ずらりとワインが並び、壮観である。
サドヤ ワインブティック グルメ・レストラン
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テイスティングルームも、洒落た装いである。
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試飲はすべて有料であったが、せっかくなので、飲んでいくことにする。まずは、甲州シュール・リーをいただく。やや辛口の味わいであった。続いてシャルドネを試したが、これは好みでは無かった。
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その後、所謂オレンジワインを飲む。甲州種を醸したワインで、これは今回一番美味しかった。
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さすがに、シャトーブリヤンは試飲させてもらえないので、セカンドラベルの『ミュール シャトーブリヤン』の赤をいただく。自家農場産のカベルネ・ソーヴィニヨンを使ったものだが、以前とあまり変わらず、いまひとつであった。結局、ここで時間を潰し、駅へと戻った。そして、14時16分発の特急『あずさ30号』に乗り、家路についた。満開の桃の花には出会えなかったが、天気は素晴らしく、景色も良かった。またいつか、訪れたいものである。
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この旅行記へのコメント (8)
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- ねもさん 2023/05/02 10:18:01
- 春爛漫(^^*)
- 旅猫さん
いつもながら旅情あふれる旅路です。最後にお酒が飲めるのも旅猫さんらしくて(待ってました!、笑)
もちろん桃の花はきれいですが、私には残雪の八ヶ岳や鳳凰三山が特にうれしい(^^)v
- 旅猫さん からの返信 2023/05/03 07:25:33
- RE: 春爛漫(^^*)
- ねもさん、こんにちは。
書き込みありがとうございます。
どうしても、旅先ではその土地のお酒を呑んでしまいます(笑)
桃の花は、残念ながら盛りを過ぎていて、摘花も進んでいました。
それでも、綺麗でしたが。
ねもさんは、やはり山に目が行きますね!
鳳凰三山は、とても綺麗でした。
南アルプスも、頭がちらりと見えていましたし、甲斐駒も綺麗でした。
旅猫
-
- hot chocolateさん 2023/04/17 15:30:56
- 新府桃源郷
- 旅猫さま
昨日は雹が降り、庭のプランターに植えたレタスときゅうりの葉が
少し破れてしまいました。
凄い豪雨に雹、異常気象ですね。
さて、「新府」という地名は初めて聞きました。
甲府という名に似ているので、調べてみたら、武田勝頼が、「新しい府中」として、「新府城」を築いたとか。
でも、織田・徳川軍に攻められ、入城からわずか68日という短さで勝頼自ら火を放つこととなった城なんですね。
甲州は桃の産地でもあるので、桃の花が咲く季節は見事でしょうね。
でも、旅人にとって、
>花の盛りに巡り合うのは、まさに時の運である。
まさにその通り。
去年の5月に、阿智村の花桃の里を訪れた時、花はもうすっかり散って
跡形もない状態でした。
ですが、去年の4月の京都では、春爛漫の桜の美を楽しめました。
花の盛りに巡り合うのは難しい・・・
桃畑の前の屋台の天丼、美味しそうですね。
何と云っても、天ぷらは揚げたてが一番。
以前、雪の大谷に行った時、立山室堂のホテル立山で白エビの天丼を注文したら、冷え切った白エビの天ぷらで、硬くてしかも丼たれもかかってなかった。
白エビは富山の名物なので頼んだのに、それ以降、白エビはまずいものと
刷り込まれてしまいました。
いくら観光客が多くても、こんな雑な扱いをされたら、再訪したくないですね。
hot choco
- 旅猫さん からの返信 2023/04/20 13:42:27
- RE: 新府桃源郷
- hot chocoさ、こんにちは。
いつもありがとうございます。
雹が降りましたか!
このところ、天気が不安定ですね。
『新府城』はあまり知られていませんが、当時最新の技術で造られた城です。
智将真田昌幸渾身の城でしたが、あっけなく廃城。。。
今も、綺麗に郭などが残っています。
山梨と言えば葡萄も有名ですが、桃畑もたくさんあります。
春には、桃色の花がそこら中に咲き、とても綺麗です。
阿智村の花桃の里も行ってみたいとは思っていますが、あそこも不便で。。。
今回は、天丼屋が屋台を出していたので、桃を見ながら食事が出来ました。
しかも、揚げたてサクサクで、とても美味しかった。
ホテル立山の食事で冷たいものが出て来るのはショックですね。
しかも、富山県の名物白エビとなると、かなり悲しいですね。
やはり、食べ物の恨みは怖い(笑)
旅猫
-
- ポテのお散歩さん 2023/04/17 14:09:56
- 桃源郷
- 旅猫さん こんにちは。
この時期、桜だけでなく『山桃の里』や『桃源郷』といった
旅行記を拝見する機会が多く、憧れています。
素敵だなと思うのは花だけでなく、背景の山々が冠雪していて
見渡す限りの里山の景色が広がって、まさに『桃源郷』♪
そしてそれが簡単に行けない所なので、増々憧れます(^^)
その上、富士山を見ることが出来るので、最高ですね(*^-^*)
ポテ
- 旅猫さん からの返信 2023/04/20 13:33:14
- RE: 桃源郷
- ポテさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。
ポテさんは、桃の花がたくさん咲く風景はあまり見たことが無いのですか?
関東には、花桃の有名な場所がいくつかあります。
新府の桃源郷は、すべて桃を栽培するための畑なので、花桃とは違いますが、
広大な面積に畑が広がっているので、とても綺麗です。
しかも、周囲は山だらけで、日本らしい風景が観られます。
関西からだと、山梨は行きづらい場所ですが、おすすめします。
旅猫
-
- あるき虫さん 2023/04/15 06:15:46
- 新府。。
- 旅猫さん、こんにちは。
新府というと、日頃は中央本線の通過点に過ぎない場所…という認識ですが、この時期はまさしく桃源郷と化して、華やかな視界が広がりますね。
澄んだ青空に、桃色の木花の数々。空気感も爽快で、ぜひ来春以降に訪ねてみたいと思いました。お弁当屋さんが、ちゃっかりスタンバイしてくれているのも、なんとも微笑ましく。。
あるき虫
- 旅猫さん からの返信 2023/04/16 21:04:41
- RE: 新府。。
- あるき虫さん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
新府と言えば、普通は通過する駅ですよね。
甲府からは近いのですが、最近まで、結構静かな場所でした。
春の一時期だけ、桃源郷となるので、最近は結構な人出があります。
今回は、天気が物凄く良かったのですが、残念ながら桃は盛りを過ぎていました。
実を獲る畑なので、ある程度日が経つと、摘花してしまうのです。
天丼屋さんが店を出していたのは驚きました。
あの界隈は店が一軒も無いので、ありがたかったです。
揚げたてサクサクで、桃の花を愛でながら食べられましたし。
是非、来春に訪れてみてください!
旅猫
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