2022/10/16 - 2022/10/17
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ゆうこママさん
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東近江市観光協会主催のツアーにはまっている。歴史講師がバスに同乗し、個人ではなかなか行きにくい寺を解説付きでめぐってくれる。さらに、今回は一泊二日で秘仏がテーマ。ワクワクして出掛けた。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 3.0
- グルメ
- 5.0
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JR東海道本線能登川駅に午前10時に集合し、東近江市観光協会の秘仏ツアーが始まった。
最初の訪問先は、当初の計画にはなかった東近江市の伊庭いば薬師堂。 -
琵琶湖畔は水路の張り巡らされた水郷集落が発達し、人や物の移動や暮らしに利用されてきたそうだが、今ではほとんどが蓋をされ道路に変わっているそう。
そんな中、伊庭は水路が今も保全される貴重な地域で、お堂の横の水路を覗くと、青い水草がさやさやと揺れ、小さな魚が群れて泳ぐ。住宅地の中なのに流れる水が透明で驚かされる。 -
その伊庭の薬師堂において、秘仏本尊薬師如来座像の開帳が、聖徳太子御忌1400年の記念として急遽2日間だけ行われることになったという。
そこに私たちもおじゃました。
伊庭集落の寺世話人さんが総出で迎えて下さり、恐縮しながら拝観。
大切な薬師様を代々守り伝えてこられた人々に感謝。 -
本尊薬師如来座像の左右に日光、月光菩薩、十二神将が勢揃い。室町時代頃のものらしい。
撫で肩の優しい雰囲気の薬師如来さまは、小ぶりで可愛らしいといっては失礼かしら。
寺の縁起によると、聖徳太子が繖山きぬがさやまで光り輝く薬師如来に出会ったため、その姿を仏像に彫ったところ、あーら不思議、泉が湧いてきた。そこで太子はお寺を建立し薬師様をお祀りした。
お堂の解説によると、多くの近江の寺同様、この寺も信長焼き討ちにあい焼けてしまう。が、薬師様は無傷であったため、村人が伊庭に薬師堂を建て、以来ここで御守りしているそうだ。
信長などに負けぬパワーを持つということか。 -
次に訪れたのは、東近江市旧湖東町横溝の善明寺。
途中、バスは有名な「金堂」という集落を通った。講師によると、昔その辺りに聖徳太子建立の大伽藍があったことに由来するそうだ。寺の本堂を金堂と呼ぶのは奈良時代以前のことで、その後は本堂などとなる。
また、近江で金堂と名乗る本堂は三井寺のみとのこと。 -
善明寺は、金堂地区ではなくこのような田園の中に建つ。
小さなお寺だが、丈六と半丈六の二人の阿弥陀如来がおられ、いずれも重要文化財。一年に一度2時間だけ開扉される。 -
重文の丈六阿弥陀様はこのコンクリート造の仏殿に安置されている。平安時代のもので、阿弥陀如来像が形式化する前のものとのこと。
正面からみると10代の少年。斜め左からみるとイケメン度がアップしほれぼれする。
美しく弧を描く眉、鼻筋が通って口を小さく結ぶ。頬は豊か、肩から腕にかけてガッチリしているが、肥満ではなく鍛えられたすっきりした体躯。
カッコいい。 -
イケメンアスリートの左側には小ぶりの阿弥陀クン。住職によると、元は釈迦如来であったが阿弥陀如来に作り替えられたのではとのこと。
タレ目の可愛い坊やで、照れくさそうに笑っている。
スター選手の横で小さくなっているが、がんばれー。 -
檀家無しの寺の兼務住職は寺の維持に苦労されているよう。境内の整備やら古くて雨漏りする本堂や屋根の修理やらあれこれすべて自らされ、資金がないため割れた瓦を接着補修して使う有り様とか。
なんとかできないものか。 -
バスに乗り込み、白壁とベンガラ塗りのコントラストの美しい民家が並ぶ集落を通り、昼食会場の東近江市小倉に。
さすが飛び出しぼうや発祥の地、元祖ぼうやが出迎えてくれ、うれしい。 -
昼食は、あいとうふるさと工房の聖徳太子近江韓流膳。古民家のほんなら屋さんでいただいた。
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聖徳太子と近江、高麗との関係をイメージしたというお料理がお皿に並ぶ。
が、まさかのメインプレート写真撮影忘れ。 -
メインプレートのほかにも色々。これは太子チヂミと太子芋の餡掛け。
東近江市清水地区で栽培される里芋で、清水芋しゅうずいもとも、タイモとも呼ばれるが、聖徳太子が好んだことから名付けて太子芋。
琵琶湖の東南部は、聖徳太子愛が深い。 -
惣祈祷そぎと料理。百済寺の鎮守の正月神事に供される。叩牛蒡、酢牛蒡、アラメ煮、二味唐辛子。
これをあてにお酒を呑むのだそう。 -
ということで、惣祈祷をつまみながら、近江文化体験のため、地酒の百済寺樽をいただく。美味。
写真は、百済寺にて販売中のものを撮影。 -
昼食後は百済寺から。
この日は秘仏本尊十一面観音開帳の最終日。まずは庭園から拝観。
紅葉の名所として知られるが、うっすら色づく程度。これもまたよい。 -
順路に沿って池の周りをたどり、飛び石を渡って、山側に入る急な石段を登ると
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琵琶湖と比叡山を臨む高台へ。
百済寺は、近江最古級の寺で、聖徳太子建立のいわれを持ち、比叡山に並ぶ壮大な伽藍の寺であったそうだ。
鈴鹿山系の水を集める谷の出口に位置し水源をつかさどる寺であったとのこと。高度な治水技術を持つ渡来人により田が拓かれ、米の収穫高を増やし、寺は力を増大してきたのだ。
水利権を握るものが強いのは、今も昔も同じなのね。
しかし、 -
その強大な力が災いし、信長焼き討ちにより壊滅するのだ。講師によると、寺側の裏切りが原因だとか。
信長もやみくもに焼き討ちしたわけではないだろうが、少し手加減してくれたら、もっと美仏が残っていたかもしれないのに。 -
石段の左右には坊跡と思われる平らな敷地が多く見られ、古い石垣が往時の繁栄を偲ばせる。
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百済寺の歴史にも聖徳太子が登場する。
聖徳太子が太郎坊宮にいると、光を発する山が見えたので鈴鹿の山に分け入った。すると、梢がもぎ取られたスギの古木のもとに猿たちが御供えをし礼拝している。僧の慧慈から古木にまつわる百済との奇跡の物語を聞いた聖徳太子が、古木を礼拝すると、十一面観音が現れたので、その姿を立木に彫ったのが本尊十一面観音菩薩立像とのこと。
その観音を祀るために建立したのが百済寺。 -
植木観音ともいわれる秘仏本尊は、250センチの巨体を一木から彫り出している。
住職によるとスギではなくカヤ。信長焼き討ちの際に助け出すため根っこから切り取られ、立木ではなくなったとの伝承があるそうな。 -
以前は平安時代の仏像といわれていたが、重文指定され調査が進み、奈良時代、さらには白鳳期という学者もいるそうだ。
百済寺という寺の名前からして、想像をかきたてられる。 -
秘仏本尊十一面観音について講師いわく、
お顔は小さく目鼻口が集中し、肩は大きく腕は窮屈そうで、いかにも一本の樹から彫り出したという姿。ねっとりした衣紋は金銅仏のよう。
なるほどその通りの像で、整えられた美しさはないが、巨樹から生まれた神々しさや、力強さ、生命力を感じた。 -
この日最後に訪れたのは、大沢地蔵院。
本尊は、石の地蔵菩薩座像。
堂内には他に室町時代の三宝荒神像など。荒神さんは、三井寺から仁和寺を経て大沢地蔵院に移ってきたというすごい経歴の持ち主。 -
この寺も聖徳太子の縁起あり。
暑い日のこと、聖徳太子が百済寺に向かう途中、柳の木陰に清らかな泉を発見する。泉が瑠璃色に輝くため水中を探ると地蔵菩薩が引き上げられた。その地蔵を泉の横にまつったのが始まり。 -
秘仏で60年に一度、百済寺本尊の開帳のときだけ開帳する。数年前の百済寺特別開帳の際にも開けなかったため、地元の80歳くらいの人も今回初めてお目にかかるという貴重な機会だ。
お堂は、自治会で管理されており、この日も自治会の方が扉を開け解説にきて下さった。 -
山門から集落へまっすぐのびる道の両側には灯籠が並ぶ。集落沿いの道は太子が百済寺に通った道なので、太子街道というそうだ。
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お堂の前の池には地蔵出現の石碑が建つ。
残念ながら、お堂と池は道路で分断されてしまっているが、飛び出し坊やが人々を見守っている。 -
写真は池の畔の地蔵。
堂内の本尊地蔵菩薩座像は、立派な厨子に覆われた大きな石に彫り出してあり、お顔はほのぼの癒し系。鎌倉期くらいのものらしい。
度重なる火災で傷み、江戸時代に漆喰で補修され文化財的な価値は残念なものらしいが、人々が太子伝説と共に守り伝えてきたという事実は胸を打つ。 -
この日の最後のプログラムは、講師による講座。なぜ秘仏というまつり方をするのかというお話し。
講義中は、そうかそうかと納得の連続だったのに、帰宅するなり記憶は彼方へ。けれど自分勝手な解釈を、記録しておこうと思う。
古来、日本人が信仰してきたカミとは気配のような存在。だが、やはり確かな対象が欲しい。そこで、イワクラや巨木、湧水をカミとしてまつってきた。
そこへ、仏教というライバル登場し、キラキラ金銅仏ビックリ作戦などで信仰を集めてきた。その後、仏教は、巨木などの「カミ」アイテムと合体して日本人の心にしっくり入りこむ。
さらに、気配として決して姿を見せないカミのように、仏像も秘仏というまつり方をして、姿を見せないという戦略をとり、カミのようなパワーを帯びさせた。 -
夕食は納屋孫さんで。歴史ある老舗料理屋さん。
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近江の歴史と食文化をテーマにした特別メニュー。なのにまたしても、写真をほとんど撮り忘れた。
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コイのあらい、コイの筒煮、鮒ずしなど近江ならではのお料理の数々。
ビールがおいしい。近江の地酒、百済寺樽が旨い。 -
今年初の松茸も。ウーンいい香り。
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こうして素晴らしい1日が終わり、アズイン能登川駅前に宿泊。部屋の窓から駅がよく見え、鉄道ファンは特に楽しいかも。
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