アイラブ仏像めぐり　十一面観音を求めて白山｢しらやまさん｣へ　林西寺　白山比咩神社

2022/11/05 - 2022/11/07

東近江市観光協会の歴史ツアーにまたまた参加。
以下ツアー資料より抜粋。
白洲正子は｢かくれ里｣、｢十一面観音巡礼｣の中で、十一面観音は越前の僧、泰澄が白山に宿る水の女神､白山ひめに十一面観音の姿を与えて降臨させた、としています。そして十一面観音となった白山ひめは、近江に向かってその歩みを始めました。

十一面ファンとして、これは行かねば。ワクワク度数最高で出掛けました。

エリア 石川

早朝に家を出て、新幹線、在来線と乗り継ぎツアー集合場所のJR大津駅へ。今回の歴史ツアーは白洲正子の｢かくれ里｣、｢十一面観音巡礼｣をもとに白山などをめぐるというもので、滋賀県から飛び出し、石川県、福井県へと足を伸ばす。
最初に訪れたのは、石川県白山市白峰の林西寺りんさいじ。

まずは昼食。林西寺本堂のご本尊阿弥陀様にチョイと頭を下げ、堂内にていただいたのは、白峰山名物｢固豆腐｣と｢油揚げ｣入りのお弁当。

白山は富山県、福井県、石川県、岐阜県の県境の山嶺で白山信仰の中心となる山。初夏まで雪が残る白山は遠くからもよく見え、霊山として広く信仰されてきたのだ。

普通は｢はくさん｣と読むが、地元の方は｢しらやまさん｣と呼ぶそうだ。アクセントとか気になる。生しらやまさんを聴いてみたい。

泰澄によって開かれたとされる白山は、水の神と仏が一体となった宗教空間。
水の流れに沿って参詣の道が拓かれ、水の化身である白山ひめが十一面観音に変化し、水源の守り仏としてまつられてきたのだ。

林西寺にはそんな白山のほとけさまが集まる。

明治政府下、神仏分離令が公布され廃仏毀釈が吹き荒れたとき、神仏混淆でまつられてきた白山のほとけさまは、山を追われ行き場を失なう。
それを見た林西寺住職が私財を投じて仏像を購入し寺に迎え入れたものが、｢白山下山仏｣として今も守り伝えられている。

林西寺は浄土真宗であるため阿弥陀如来以外の仏像を本堂に置けない。そこで、下山仏のためのお堂を作って安置したというのだ。

そんなほとけさまが、堂内に横一列に並び私たちを迎えてくれる。
人々はほとけさまが潰されるとは思わず山から丁寧に下ろしたため、像には傷が付いていないそう。
そんな白山下山仏には、銅造が多い。
白山の厳しい環境下においては、木造ではすぐに傷んでしまうからだとか。

印象に残ったのは、
重要文化財で平安後期の十一面観音菩薩立像。小柄で化仏の多くが欠落し、頂上と右に１面残るのみだが、まぎれもなく十一面さま。
スリムでウエストのくびれは無理がない。脚は細く長く真っ直ぐなモデル型。卵形の綺麗なお顔は、上品で優しい表情。指先は細く繊細で、雪のように真っ白なはず。小指と人差し指はため息のでる美しさ。

白山頂上に安置されていたという銅像十一面観音座像は、大型ゆえに運搬時に５分割できるという像。エキゾチックなお顔が印象的。

紅葉真っ盛りの山あいの集落で、美しいほとけさまに囲まれる。こんなに気分のよいことはない。

次に訪れたのは、白山比咩神社しらやまひめじんじゃ。石川県白山市三宮

駐車場側の参道は七五三の家族連れなどで混雑していたが、こちらの参道は静か。

白山比咩神社は、白山に至る｢加賀禅定道ぜんじょうどう｣の起点。元は白山寺という寺院であったが、明治の神仏分離令により、白山山頂を奥宮とする白山比咩神社となった。(ツアーパンフより)

白山奥宮の遥拝所。

白山比咩神社から徒歩で手取川へ。
加賀から白山に至る加賀禅定道は、手取川に沿って拓かれた。

白山比咩神社は、元は手取川の畔にあったが、火災によって先ほど参拝した場所に遷座。元宮は｢水戸明神｣として祀られている。

元宮のすぐ近くの手取川七カ用水の古い給水口。今も現役だそう。

白山が生み出した水が、平地の暮らしを涵養するために分水される場所。元宮に隣接し、白山信仰が水に対する信仰であることが実感される。(ツアーパンフより)

ツアーバスに乗車するために、道の駅へ。
ここで、道の駅の名称に感動してしまった。
｢はくさん｣ではない。｢しらやまさん｣なのだ。それも小文字で｢さん｣が付いているのだ。

宿泊はホテルグランディア小松。
大陸から先進の文物が入ってきた玄関口で宿泊。地酒などいただき、爆睡。