2022年、夏を彷徨う　前編：群馬を流浪する

2022/08/11 - 2022/08/12

2022年の夏休み、ちょっぴり長めの流浪の旅に出てきました。

世間では「行動制限の無い夏休みは3年ぶり」と騒いでいますが、僕は、コロナ禍に入ってから、2020年は鹿児島、2021年は静岡＆山梨と、感染の波の合間を縫って旅ジャンキーの自由人として行動してきたため、夏休みの流浪は当り前、今年も、旅の候補リストから、「これかな～？」と選び、計画を練りました。
インバウンドが少しずつ復活してきているようですが、本格的な復活の前に、本来の姿の日本を、楽しめるだけ楽しんでおきたい！そんな思いで、マスク着用、うがいや手指の手洗いの励行を心がけ、楽しんできました。
見てやってください。

前編：群馬編、高崎から入り、霧積温泉や横川を彷徨ってきました。

エリア 安中・妙義(群馬)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 新幹線 JRローカル 徒歩

【2022年8月11日】
飛行機を利用しない旅のスタート地点は、新横浜。
ここから東京駅まで新幹線でプチ旅です。
楽なんです、ここから東京駅まで、20分もしないで行けてしまうので。
新幹線の威力はデカい。

東京駅に到着。
山の日とお盆初日が重なり、人が多いです。

ホームが変わって、北へ向かう新幹線のホームも、この通り。
ＴＶ取材のクルーもいたので、「声をかけられたら何て答えよう？」と考えていましたが、一切、声はかかりませんでした（笑）

新幹線は、3人掛けの真ん中まで全て埋まってしまうほどのド満席でした。

1時間弱で、高崎に到着。
人がまばらなホームに降り立ち、やっと自分だけの旅を始めている気持ちになれました。

高崎駅 駅

高崎のダルマさん、こんにちは～。

高崎駅 駅

まず、忘れないうちに、セブンに立ち寄り、小さな買い物をして、セブンイレブンアプリで、群馬に来た足跡付けを。

高崎駅から歩いて数分のこちらで、ランチ、いただきます。
「デルムンド」と言う個人経営のイタ飯屋さんです。

デルムンド グルメ・レストラン

群馬県は日本有数の小麦の産地で、「粉もの」が充実した場所です。
うどんや饅頭の他に、パスタが根付いていて、高崎周辺には、イタ飯屋さんがたくさんあるとのこと。
「シャンゴ」と言うお店が有名な老舗で、高崎市内や前橋市内に何店舗かありますが、どこも駅近ではなく、時間に余裕がないときの訪問が難しかったので、高崎駅近くのシャンゴの系譜を継ぐと言うこちらのお店にお邪魔しました。

デルムンド グルメ・レストラン

カウンター5～6席、壁側4席の小さなお店、11時半の開店に合わせていきましたが、すでにカウンターは満席、僕は壁側の窓際の席に通されました。
この後もすぐに2組が来店し、あっと言う間に満席です。

デルムンド グルメ・レストラン

お目当ての「ハンブルジョア」、サイズはMに、それと「ミニコーンサラダ」も一緒に注文しました。

デルムンド グルメ・レストラン

こちらが、「ハンブルジョア」。
巨大ハンバーグのインパクトが絶大です。
300グラムのハンバーグです。

デルムンド グルメ・レストラン

「ミニコーンサラダ」
全然、ミニちゃうやん（笑）

デルムンド グルメ・レストラン

こんなに食べられないよ～（涙）

と、ビビりましたが、1週間かけて作りこんだミートソースと手作りハンバーグが絶品！結局、完食しました。

デルムンド グルメ・レストラン

非常に良心的なお店との出会いで、旅の幕は開けたのでした。

デルムンド グルメ・レストラン

この後、高崎駅に戻り、電車の時間が来るまでPRONTOで休憩。
この時の僕のお腹は、このダルマさんとほぼ一緒と言うことを察してください。

…苦しい…

高崎駅 駅

高崎駅から信越線で30分ほど、電車の旅です。
途中、安中駅で出会ったこの風景、夜になると、「ファイナルファンタジー」の世界観を彷彿とさせる夜景に変わります。
気になる方は、「群馬のミッドガル」で検索してみてください。

終点の横川に到着。
夏休みと言うこともあり、子供を連れた家族連れや…

鉄道ファンがいっぱい。
でも、それだけでなく…

美女とも出会えました。
美女しか、目に入りません。
磯部煎餅？知らん！（←失礼だぞ）

横川駅で、温泉宿の送迎の車を探しますが、いない。
宿に電話をすると、僕が美女と出会ってチンタラしている間に、置いてけぼりを食らったみたい。戻ってきて、拾ってくれました。
すみませ～ん。

横川駅 (群馬県) 駅

送迎の車は、横川駅を出発すると、碓氷峠を越える旧道である中山道をしばらく走り、「霧積温泉」の看板が見えると、その脇の細い道、県道56号線に入ります。
県道56号線は、狭くてクネクネ蛇行した山道、人造湖である霧積湖の横を通ったりしながら、その山道を、少しずつ少しずつ、登っていきます。
県道に入ってしばらくしてから、車が受信していた高校野球の中継が、たびたび、途切れるようになりました。
テレビの電波さえ入らない山奥に入ったことを、実感します。

やがて、踏切のような遮断機に出くわします。
遮断機から先、宿の私有地かと思っていたら、調べてみると、「国有林の専用林道」とのことでした。
運転手のお兄さんが、遮断機を手動で上げ、車を専用林道に通し、再び手動で下げ、車は再び走り出します。

遮断機を通過し、もうすぐ宿に…と言うわけには、いきません。

この写真は、遮断機を通過した直後の専用林道です。
専用林道に入った後も、車は、これよりさらに険しくなった山道を、慎重に進んでいきます。
途中、バンプがある場所で何度も車を徐行させること数回、数キロ走ったところで…

やっと、宿に到着しました。
この宿、国有林の中にある宿になるのでしょうか？
車を降り、キャリーケースを片手に、急な階段を降りていきます。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

ここが、本日の目的地です。
霧積温泉の一軒宿、金湯館です。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

Wikipediaで調べてみたら、「1883年（明治16年）には現金湯館旧館が建てられた」と記載あり、これがそうだとすると、築140年近い歴史ある建物と言うことになります。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

ここは「知る人ぞ知る」宿で、ここを訪れた際に霧積を詠った詩に触れた作家の森村誠一氏が、ここを舞台にした「人間の証明」を書き上げ、故・松田優作氏が出演する映画にもなりました。

また、更に遡ると、勝海舟や与謝野晶子も訪れ、初代内閣総理大臣を歴任した伊藤博文らは、ここで、明治憲法の草案を練り上げたそうです。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

入口で手続きをして、この廊下を通り、部屋に通されます。
廊下の横を通る川のせせらぎに、風情を感じ、そして、癒されます。

築100年を越える建物にも関わらず、この写真のように、よく手入れが行き届いています。滞在中、宿の人たちが、一生懸命に作業をしている様子を至る所で見かけ、この宿をとても大事にしていることが伝わってきました。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

寝泊まりする部屋。
「ザ・昭和」って感じ。
襖や布団だけでなく、畳から足の裏に伝わる独特の感触にも、時代を感じます。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

ブラウン管のテレビ…本当に久々に見ました。
キンチョールも、この雰囲気を増幅してくれますが、虫が出るので、本当に必需品です。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

お風呂に向かう廊下。
霧積の歴史や、この宿が好きな人たちが寄贈してくれた霧積や宿の絵や写真が多数飾られていて、「愛されているんだな」って、しみじみ感じました。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

お風呂は、ほのかに硫黄の匂いがしました。
湯温は39度とぬるめで、湯あたりすることなく、長い間浸かれます。
夏休みと言うことで、宿の中で何組ものお客さんを見かけましたが、入口のスリッパの有無で一人で入浴できるタイミングを見計らい、ひとりでゆったり浸かる至福の時間を、何回も楽しみました。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

夕食です。
山菜の天ぷらやアユの塩焼きなど、山奥の宿でしか味わえない食事、本当に良かったです。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

寝る前にも、ひとっ風呂。
寝るまでに、3回、入ってきました。
本当に極楽。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

この宿は、標高1000メートルを越える場所にあり、周囲は大自然のみで人工の造成物がほとんどないため、日本全国が8月の猛暑日に喘ぐ中、こうして部屋を閉め切っても、エアコンなしで快適に過ごせます。
布団に入り、川のせせらぎを聞きながら、眠りについたのでした。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

【2022年8月12日】
エアコンの風に当たらずに一晩を過ごしたからか、普段起床時に感じるダルさが全然ありませんでした。
爽快な朝です。
建物の周囲を朝の散歩です。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

川から一部、木の水路で水を通して、洗濯や掃除に使っています。
手を入れると、とても冷たい！
顔を洗うと、気持ちいい！

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

水は本当にキレイ。
キレイ過ぎて、写真にすると、川底ばかり見えて、水の流れが分かりにくくなってしまう。

動画撮影もし、水の流れをきちんと捉えられたので、こちらでお見せしたかったのですが、サイズ制限で引っかかり、実現に至らず。何卒、ご容赦ください。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

お風呂につながる廊下の横をすり抜けると…

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

現役の風車が。
いつまで見ていても、飽きません。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

早朝の散歩後に朝風呂（4度目の入浴）に浸かった後、朝食です。

宿の朝食は、僕の経験則からすると、味噌汁に、食事への取り組み具合が現れるような気がします。味噌汁をインスタントに頼ったり片手間で作ったりせず、きちんと作っている食事は、すべてがきちんと作った食事。そう思っています。
こちらの朝食は、温泉旅館あるあるの手抜き感は全くなく、心のこもったものでした。

霧積温泉　金湯館 宿・ホテル

ここが、前日の山道で触れた、県道と国有林の専用林道を仕切る遮断機のある場所です。

一晩、大変良い思いをした宿とお別れをし、「俗世間」に戻ります。
この遮断機を通過し、来た道を逆に戻りますが、進むごとに、窓越しに暑さが戻り、人間の生活の匂いも戻ってくるようになります。

横川駅に戻るまでの道中、このお兄さんに、これから寄る予定の軽井沢についてどれくらい涼しいか聞いてみると、「『軽井沢は東京よりマイナス6度』って昔から言いますが、今は、建物が増えてきたので、それほどではないと思います。昔は、旅館よりも軽井沢の方が涼しかったらしいですが、最近は、旅館で過ごした方が、涼しいです」
地球全体が、どこかおかしくなっているんですね、人間のせいで。

横川駅で落としてもらい、宿のお兄さんに礼を言って、別れました。

横川駅には、僕の好物の、レールの廃線跡があります。

レールの廃線跡は、この写真の向こうまで続いています。
廃線跡の先にあるのは、碓氷峠鉄道文化むらです。
軽井沢に向かうバスの時間まで、ここで遊んでいきます。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

横川と軽井沢の間の距離は10数キロ、この間で500メートルの高低差を形成する碓氷峠は、日本一の鉄道の難所でした。
この難所を乗り切るために、古くは、写真のように中央の歯車のガイドに車両に付けた歯車を噛み合わせながら登り切る「アプト式」と呼ばれる方式を採用したり、電気機関車の2両の重連で峠の上り下りを補助してきました。

1997年に北陸新幹線が高崎から長野まで開通し、在来線での峠越えは廃止されました。
役割を終えた横川駅周辺の鉄道関連施設の多くを、取り壊したりせず、峠越えと対峙してきた往時の様子を伝える施設に転用することとし、生まれ変わったのが、この「碓氷峠鉄道文化むら」です。

※碓氷峠がどれだけ急峻かは、こちら↓をご覧いただくと、分かりやすいと思います。
https://e-footprints.info/nakasendoo/05yokokawa-karuizawa/yokokawa-karuizawa.html

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

碓氷峠は最大で最大で66.7 ‰（パーミル）、1000メートル進むと66.7メートル高くなる「キツい」勾配とは、言葉では理解していても、ピンときていなかったため、それを体感したくて、ここに来ました。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

中々写真では伝わりにくいかもしれませんが、目の当たりにすると、「中々これは…」と言うものを感じます。

「今はできて当り前」と思うようなことは、全て、先人たちが、弛まぬ努力を通じて可能にしてきた…そんな先人たちの努力の結晶を、我々は日々、当り前に享受しながら、その上に乗っかって生きているんだ…ふと、そんなことを考えてしまいました。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

それと、ここに来たもう一つの目当ては、この写真の彼に出会うこと。
昔、鹿児島にある親父の実家に向かう際に利用してきた寝台特急「はやぶさ」を、関門トンネルをくぐるときに牽引したのが、この塩害に強いステンレスの電気機関車でした。
朝早い下関で、東京から牽引してきた機関車がこれにバトンタッチするのを眺めていた思い出と、ステンレス製の特異な風貌がとても好きだったため、ずっと、じっくり会いたいと思っていたのです。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

「碓氷峠と関係ないやん」はい、その通り。
でも、こうして、役目を終えた後も、どこかで大事にしてもらえれば、僕はOKです。
しばらく、車体に触れたり、ずっと眺めたり…相手が人間の女性だったら明らかに「ヤバい」と思われることを、ずっとしていました（笑）

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

展示車両の中で、数少ない、内部に入れる車両。
こちらは…

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

お座敷車両でした。
「赤城」と言う札がついていたので、北関東辺りを走っていたのでしょうか？
車体に、グリーン車の表示がついていました。
利用すると、高かったのかな？（笑）

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

お座敷車両の横の赤い機関車、昔は中に入れたようですが…

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

不逞な輩のために、今はNG。
こう言うことをするヤツがいるから、今まで楽しめたことができなくなります。

犯人、早く戻しに来い。
正しいことをしろよ。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

屋外展示なので、空気の良い場所だったり、海から遠い場所に置いても、痛みが出ます。維持するのが、中々大変そうですね。そう思うと、前出の部品を盗んだヤツ、人の心を踏みにじっているような気がして、本当に腹が立ってきます。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

山をバックにすると、車両に迫力が出て、どこか凛々しく映りますね。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

どこか凛々しい写真を、もう1枚。
「全国各地に見られたこの車両も現在は数両を残すのみ」…って、まだ現役なんですか～、スゴい！
どこを走っているのか、知識がないのですが、どこかで頑張っている姿に出会ってみたいですね。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

と言うことで、碓氷峠鉄道文化むら、休みの日に開放的な空の下で楽しむには、とても良いと思います。
今回は時間が無かったので以上となりますが、園内のトロッコ列車を利用すると、周辺にも足を延ばして、さらに色々と楽しめるようなので、また来てみたいです。

碓氷峠鉄道文化むら テーマパーク

横川を後にし、次の場所を目指します。

（中編に続く）

この旅行記へのコメント （2）

• イメ・トラさん 2022/10/07 11:36:26

  出身地　群馬にこんな素敵な旅館が…と見たら

  何と霧積温泉
  60年近く前、（年がばれるので内緒にしたいけど）
  森村誠一のTVCMで流れていたのに憧れて友人と行きました
  水車発電、川の水量が少ないとろうそく、浴室の窓の内側にアマガエルが張り付いていたのも衝撃でした。鼻曲山から軽井沢に下山してひたすら歩きました
  懐かしい、大好きな山の湯でしたが、今は立派になったことが衝撃です
  時代は変わる・・・・・・

  yeppoon_loverさん からの返信 2022/10/07 12:56:35

  Re: いい思い出なんです

  イメ・トラさん
  こんにちは。
  
  群馬のご出身でしたか。
  群馬で羨ましいと思ったのは、すき焼きの食材（牛肉、ねぎ、しらたき）が全て県内で生産されてるので、「地産地消」で美味しく食べられるって聞いたことです。
  それと、群馬には、この霧積温泉や、法師温泉など、とても良い温泉がたくさんありますよね。
  いつか、尻焼温泉にも行ってみたいな～って思っています。
  
  霧積温泉、いい思い出になりました。
  宿に、昔の写真もありましたが、確かに、大分、変わったみたいですね。
  猛暑日にエアコン無しで快適に眠れたり、顔を洗った水が冷たくてとても気持ちが良かったり、山の温泉ならではの食事が出て来たり…変わらず良いところもたくさん残っている宿ではないかと思いますので、いつかまた…ですね。
  機会があったら、もみじの季節に行ってみたいです。
  
  yeppoon_lover