1976/08/01 - 1976/08/07
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おくさん
自転車の旅 飛騨路は今日も雨だった(4)
8月6日、サイクリング6日目、民宿の朝。
6時45分に起きる。今日も一日雨になるような空模様だ。なーんだ今日も雨か、さて出発の準備でもしよう。こんだけ連日雨に降られていると、こっちの方が普通のように感じてしまい雨も気にならなくなってきた。これは嘘のようだが本当の感覚で自分でも不思議です。人間よくしたもんだ。
朝飯を食べて8時に出発。宿代は3700円(1976年)。宿の人に機械油を借りてチェーンに差しておく。さすがにこんだけ雨の中ばっかり走り続けているとチェーンも油が切れてギシギシ言い出してきたのだ。これからはロングランの場合は油差しも携行しないとだなー。覚えておこう。
道路に出て珍しく準備体操なぞしていると、単独のサイクリストが通りかかりに声を掛けてくる。昨晩は例の平湯バスターミナルに泊まったらしい。一応、宿を探したが、どこもいっぱいで見つからなかったそうだ。私の民宿なら空きがあったのにーと言ってみても後の祭り。そういうこともあるわいな。
この後、この兄ちゃんとは抜きつ抜かれつを繰り返すことになる。と言っても、互いにスピードを出して追い越すのじゃなく、坂を上るのは時々休憩をいれなくてはならないので、そのときに追い越されるだけなんだが。初めの内はすれ違うときに「頑張って」なんて言葉を互いに掛けてたが、何度もそれが続くと間が持たなくなってしまい気まずくなってきた。んー、今度は何て言おうかなぁなんてね。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
-
9時20分、安房峠頂上に到着。やっぱりこっち側からだと安房峠も軽いもんだ。反対側から来たときにもお世話になった頂上の茶店でヤクルト2本を飲む。峠の頂上に店があるのはとってもありがたい。多少品物の値段が高いとしても是非あってほしいと願う。
茶店から向こうは、来るときに散々苦労した下りに入る。ここの急坂だけは一気に下ることは出来ない相談だ。急坂急カーブの狭い道幅に加え、路面がろくなものじゃないのでスリップして転けたら大変だ。なのでブレーキを掛けっぱなしで慎重に下っていく。ガードレールなんかないので、下手するとこの前のサイクリストみたいに崖下に落っこちてしまうぞ。せめてもの救いは、まだ朝早いので交通量が少ないことだ。これで渋滞するほど車がいたら神経がすり減ってしまうだろう。でもさすがに下りは早い、あんだけ上るときは苦労した坂を25分で下り終えてしまった。
坂が急にストンと平らになった所は上高地への分岐で、帰りには上高地見物の予定なのだ。知る人ぞ知る上高地の釜トンネル。車1台しか通る幅がないため、出入り口の信号で一方通行が切り替わる仕組みになっていた。どのくらいの長さなのかなー?何だかこっから見ても凄いトンネルらしいので自転車で簡単には通過できないようだ。向こう側に着く前に反対側から車が大量に入ってこられたら嫌だなー。でも行くっきゃないので、信号が切り替わったら最後尾の車の後について急いでトンネル内に入っていく。
案の定トンネルの中は素堀りで壁も路面も岩がゴツゴツのむき出しのままだ。天井から時折ピチョーンと水滴が落ちてきて首筋に掛かる。ヒェ~。おまけに明かりもないので奥に入ると真っ暗け。未舗装の登りでもあるし自転車を漕いでいくことは危険のようなのでずっと押していく。と、少し行くと真っ暗闇の中に小さな赤い尾灯が見える。おっ、あれは自転車の尾灯じゃないか。あの明かりの側にいれば少なくとも自分の位置くらいは車から発見されやすい。急いで先行の自転車を追いかける。彼は関西の学生で、色んな所を回りながら最終的には仙台からフェリーで北海道に渡りたいらしい。大阪と言う所は自転車が大変盛んなんだそうで自慢していた。そう言えば、彼の点けている小さな赤色灯も乾電池でつくので、私のダイナモランプのようにペダルを漕がなくても明かりが点けられる。大阪にしか無いってことはないだろけど、色々便利なサイクリンググッズがあるもんだ。前橋に帰ったら探してみよう。 -
やっと釜トンネルを脱出。出れば普通に走ることができる。小雨の中、もやの掛かっている上高地は中々幻想的だった。すぐに大正池が現れて、おー、写真で見るのとおんなじだよー。でもチョット小振りだね、もっと大きな湖を想像してたよ。
少し走ると有名なカッパ橋にでる。この辺りは車やバスがいっぱいで、あのおどろおどろしい釜トンネルのこっち側に別世界があるようだった。桃の木でもあれば桃源郷と言っても信じられるか知れない。 -
カッパ橋を背にいつものように、カメラを適当なところに置いてセルフタイマーで自分入りの写真を撮っていると、例の大阪人が「みんな同じことしてるんやなー」と言ってくる。やっぱ自転車に限ったことではないだろうが、単独の旅人ってのは写真を撮るときはみんな同じような工夫をしてるんだなー。自転車の旅だと重量を抑えるために三脚なんか持ってこないから、自撮りの時はどこかの上にちょこんと置いてセルフタイマーなのだ。
知らない二人連れのサイクリストが私の本格的とは言えない自転車を見て「よくこれで登って来たなー」と余計なことを言っているのが聞こえる。なに言ってやがんでぃ、サイクリングは心意気でやるもんだと知らないのか。 -
甘~いピーチネクターなる物を飲んで、11時半、上高地を後にする。来たときと同じように、山また山の中をもくもくと自転車を漕いでいく。来たときも雨で帰りも同じ雨の中ってのが憎い。でも松本へ向かうこの道は圧倒的に下りが多いので雨でも快適だ。
松本市内からは来たときの道とは違う、諏訪湖経由で帰る予定。群馬から高山へはどうしても安房峠を越えなくてはならないが、松本なら二つ三つの選択肢がある。と言ってもそんなに大回りはごめんなので、実質的には二本あるだけかな。帰りの難所には和田峠というものがあるのだが、どんなかなー。
松本市内すぎた国道19号で岡谷に向かっていると、朝の平湯温泉から後になり先になりして走ってきた自転車の大学生とまた一緒になる。私は上高地に回ったため途絶えてしまったのだが、彼は松本城を見物してたのでお互いの時間がまた重なったようだ。嬉しそうに後ろから声を掛けてきた。
油差しを持っているというので借りてまたチェーンに差す。彼も諏訪方面に行くそうなので、しばらく一緒に走ることにする。山の上りではそれぞれ体力も休憩サイクルも違うので一緒には走れないが、平地ではへいち。なんちゃって、失礼しました。
岡谷市に入り、夕飯を一緒に食べることにして、市内に向かって坂を下っていく途中、後ろを走っていた彼が突然転倒した。パンクで前輪が取られたため転んだらしい。尻を打って腕に擦り傷を負ってしまったのでカットバンを2枚貼ってやる。パンク箇所はすぐには分からないので、近所の家で洗面器を借りてパンク直しをする。この学生は、ゴム糊を携帯用のチューブタイプじゃなく、自転車屋が使うような缶で持ち歩いていた。随分でっかいのを持ってるねーと聞いたら、チューブのが手に入らなかったそうな。自転車も、購入後3日目で今回の旅に出発したそうだ。これまた随分あたふたと出てきたんだねー。その後、町の大衆食堂に入って夕飯にする。私はカツ丼、大学生はオムライスに月見うどん。大体2食を毎回食べるそうだ。
彼は出発してから5日目で、合計半月掛かりで北海道までいくそうだ。仙台からフェリーを利用するらしい。そういえば昨年あった関西の高校生も仙台まで走ってフェリーで北海道に渡ると言ってたな。関西ではそれが王道なのか?
私は明日には帰れるので資金に余裕があるからと食事代はおごってやる。彼は今夜の宿はユースホステルを予約しているそうなのでここで別れる。何だ、結構リッチな旅してんじゃん、そう言えばシュラフを持ってないようだったなと気づく。じゃぁ昨晩のバスターミナルではどうやって寝たんだろう。
宿無しの私としては寝るとこ探しを始めなくてはならない。まず、諏訪湖まで行ってみる。特にこれと言った野宿ポイントは見あたらないが、取りあえず明日の朝食用にパンと野菜ジュースに缶詰を買っておく。ついでに缶ビールも一本飲んでおく。ごくごくごく。
8時半、雨が降ってきて無宿者の身の上に更に追い打ちをかけられる。9時半、湖岸にあるでっかい岡谷市民体育館の軒下で寝ることにする。ここなら雨でも大丈夫だろう。
8月7日、出発から7日目。
昨日から飽きもせずまだ雨が降り続いている。いい加減に飽きれば>空。これで今回のツーリング日程7日間の内、雨の日が4日てことになってしまった。ま、今日帰れるんだからどうでもいいけど。
6時半に寝袋からはい出て歯磨きをする。こういう公共の建物はトイレも水道も大体あるのでとても便利だ。自転車の上に掛けるための大きなビニールと新聞紙が風に吹っ飛ばされてビチョビチョになっていた。ビニールはまだ必要なので拾ったが、新聞紙は使い物にならないのでゴミ箱へ。ま、今日帰るんだから新聞紙はもういらないや。帰る日は何でも気楽。2日目に親切なおばさんから貰った新聞紙さん、長らく何度もお世話になりました。 -
神社の横を通って下諏訪を8時に出発。道路にあったコインスナックで天ぷらうどんとハンバーガーを食べる。ホントに腹に何か入れときゃいいや程度の朝飯だ。諏訪湖を出発すると、すぐに登り坂になる。山の中の湖だからどうしても出入りするときは坂があるんだろう、群馬の湖でもおんなじだ。エッチラオッチラと和田峠を目指す。
その和田峠には10時半に到着。2時間半なら御の字だ。この峠には食堂があった。まだ時間は早いが食べられる所で喰っとけと親子丼の昼飯にして、牛乳とサンキストレモンも飲んでおく。山の中ではいつ腹が空いて、こないだの安房峠のようになるやも知れないから教訓を生かさなくては。
この辺りの道路は車も少なくて薄暗く寂しい道だ。特に雨降りなので一層そう感じる。こんなところで自転車のアクシデントでもあって立ち往生するのを考えるとゾッとする。
中軽井沢のアントニオ山荘に3時過ぎに着く。管理人をしている大司さんにシャワーを借りてさっぱりしてから、ビールとコーラを飲む。まだ前橋までの残りが60Kmあるのだからこんなにくつろいじゃ走るのが嫌になってまずいんだろけど、難所の碓氷峠も軽井沢側からなら下りばっかりなので気楽だ。こんなところに知り合いがいると言うのも便利で有りがたい。
碓氷峠を自転車で下るのも2回目だ。相変わらず下りは快適。もうずっと下っていたい気分になる。前橋には夕闇が近づき始めた7時少し前に入る。利根川に掛かる群馬大橋を渡ると、帰ってきたーて気がしてくる。
「自転車の旅 飛騨路は今日も雨だった」おしまいです。
次年はいよいよサイクリスト憧れの地、北海道を目指します。
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