シニアの偏愛クラシックホテル（３）　蒲郡クラシックホテル

2018/07/10 - 2018/07/11

退職後旅行の機会が増え、それに応じて、いわゆる高級ホテルと言われるものにも宿泊することも少しだけですが増えました。宿泊してみると、施設・設備はこれでもかと言うほどに豪華でピカピカで新しいのですが、何か宿泊後の印象はどのホテルも同じで、長く記憶に残らないことが多いような気がします。ヨーロッパのホテルに宿泊すると、規模の大小を問わずこのホテルのことは一生忘れないだろうなと言う独特の雰囲気を持ったホテルによく出くわします。
そんな折2017年11月に「日本クラシックホテルの会」が設立されたことを知りました。それまでから加盟ホテルの内の何軒かには宿泊し気持ちの良い滞在ができていたので、これを機会にすべてのホテルに泊まろうと思いたちました。現在はツアーで連日クラシックホテルをまわる企画がありますが、やっぱり個人旅行で一つ一つ丁寧に宿泊するに限ります。
　僕自身は昔からクラシックホテルに惹かれる気持ちが強かったようで、原点を考えてみると、恥ずかしながら新婚旅行で何故だかわざわざ予定を変更して二連泊することにした「万平ホテル」の印象が強く残っているからなのかもしれません。
　これらの加盟ホテルも高級ホテルに変わりはありませんが、今先を争って開業ラッシュである外資系の名を冠したホテルなどとは違い、宿泊をしてみてやっぱり日本のホテルの良さを再認識するとともに、何物にも代えがたい、じわっと染み出すような、あとに残る独自の雰囲気を持っているような気がします。
第三回は蒲郡クラシックホテルです。

シニアの偏愛クラシックホテルシリーズ一覧

シニアの偏愛クラシックホテル（１）　箱根富士屋ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11727290
シニアの偏愛クラシックホテル（２）　日光金谷ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11727899
シニアの偏愛クラシックホテル（４）　ホテルニューグランド
https://4travel.jp/travelogue/11728251
シニアの偏愛クラシックホテル（５）　雲仙観光ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11728962
シニアの偏愛クラシックホテル（６）　奈良ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11729464
シニアの偏愛クラシックホテル（７）　万平ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11728594
シニアの偏愛クラシックホテル（８）　東京ステーションホテル
https://4travel.jp/travelogue/11729126
シニアの偏愛クラシックホテル（９）　川奈ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11729609

エリア 蒲郡(愛知)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 自家用車
• 旅行の手配内容: 個別手配

明治45年に創業した「料理旅館 常磐館」を前身として、昭和9年に蒲郡ホテルが「国際観光ホテル」第一号として開業します。9つのクラシックホテルの中では一番小規模なホテルです。高台に立ち、まさしくお城のような外観を持ち（帝冠スタイルと言うそうです）、三河湾に浮かぶ国の天然記念物の竹島をすぐそばに臨むロケーションは素晴らしいものです。

一度蒲郡市に売却され、その後プリンスホテルグループが購入経営をしていましたが、現在は「呉竹荘」が事業を継承しています。
蒲郡クラシックホテル、雲仙観光ホテル、川奈ホテルの三軒だけが戦前の建物を使い続けて営業しており貴重です。

綾野剛主演のテレビドラマ「ハゲタカ」で、沢尻エリカさん演じる松平貴子の経営するホテルの舞台として撮影に使用されました。やっぱりどんな風に映像になっているのか興味があって興味津々で視聴しました。

特徴のある楼の部分ですが、残念ながらこの天守閣のような一番上の部分は立ち入ることができませんでした。

ホテル前面には大きな庭が整備されています。ホテル敷地内には本館のほかに六角堂や日本家屋が設けられています。

蒲郡を川端康成は「驢馬に乗る妻」で、谷崎潤一郎も「細雪」で三女雪子の旅行シーンで描いています。またかっては関東圏の人々の新婚旅行先の一つだったようで、三島由紀夫も「宴のあと」で主人公の新婚旅行先として八百富神社とホテルを登場させています。
ホテル正面入り口です。

いかにもクラシックホテルへのいざないと言う感じがする、ロゴマークの入ったドアーでワクワクします。

入って直ぐのロビーエントランス部分で、二階まで吹き抜けになっています。アールデコ調の装飾が見られるこの場所が一番昔の面影を残しているようです。

フロント前の応接セット。

フロントの方に話を伺いましたが、できるだけ往年の姿を残すようにはしているが、なかなか問題も多いそうです。

ホテル廊下を通り、アサインされたのは突き当りの部屋でした。

アサインされたコーナーツインの部屋で、海の眺望がすばらしいです。部屋自体はクローゼットを含め全体としてはクラシカルな感じですが、特にこれと言って特徴はありません。

ただクラシックホテルの特徴として、部屋の家具、調度も新しいものではなく、派手派手しくなく、全体に大変落ち着きますね。

リニューアルされている、ごくシンプルな水回りです。

部屋の前は開放的な広い芝生になっています。

この芝生天気が良いととても気持ちがいいです。

ラウンジ・バー「アゼリア」前にあるアウトサイドテラスで、三河湾を望む絶好のヴィユーポイントです。

メインダイニングルームです。

メインダイニングルームのベランダに設けられた三席だけの特等席。三河湾を一望しながらの食事ができます。夕食は刻々と変化しながら暮れていく三河湾の眺望を楽しみながら、この席でとることができました。

配られたメニュー表紙。

昔のメニューを参考にと言うことではないようです。

ホテル特製のお皿の絵がとても素敵でした。

ホテルの絵が描かれています。

アミューズブーシュ

車海老とホタテ貝のバジル風味、メカジキの生ハムラタトュイュ添

本日のスープ

白身魚（海老？）のタブナード風味のグラチネ　新人参と緑のソース

氷果

国産牛フィレ肉のカツレツ　マッシュルームソース。池波正太郎さんの著書から刺激を受け考案された料理だそうです。

シャンパーニュのムース　シャーベットとフルーツ添

夕闇が迫る竹島。

次の日も快晴でした。

イングリッシュブレックファーストです。

朝食後、竹島まで散歩しました。対岸から約400mしか離れていないのに、本土とは異なる独自の植物体系を持ち、その特異性から島全体が国の天然記念物に指定されています。島は小さくぐるっと一周できます。

竹島にわたる橋です。

島には、日本七弁天に数えられる、「八百富神社」が祀られています。

竹島から望むホテル、堂々としたものです。

旅館「常磐館」の趣を再現した竹島近くの文学歴史記念館内部展示。

ホテル入り口ドアーのロゴマーク。

ロビーエントランスの吹き抜け二階部分。

ロビーの暖炉。

蒲郡クラシックホテルでも時間を忘れるゆっくりとした滞在を楽しむことができました。