シニアの偏愛クラシックホテル（８）　奈良ホテル

2021/03/15 - 2021/03/16

退職後旅行の機会が増え、それに応じて、いわゆる高級ホテルと言われるものにも宿泊することも少しだけですが増えました。宿泊してみると、施設・設備はこれでもかと言うほどに豪華でピカピカで新しいのですが、何か宿泊後の印象はどのホテルも同じで、長く記憶に残らないことが多いような気がします。ヨーロッパのホテルに宿泊すると、規模の大小を問わずこのホテルのことは一生忘れないだろうなと言う独特の雰囲気を持ったホテルによく出くわします。
そんな折2017年11月に「日本クラシックホテルの会」が設立されたことを知りました。それまでから加盟ホテルの内の何軒かには宿泊し気持ちの良い滞在ができていたので、これを機会にすべてのホテルに泊まろうと思いたちました。現在はツアーで連日クラシックホテルをまわる企画がありますが、やっぱり個人旅行で一つ一つ丁寧に宿泊するに限ります。
　僕自身は昔からクラシックホテルに惹かれる気持ちが強かったようで、原点を考えてみると、恥ずかしながら新婚旅行で何故だかわざわざ予定を変更して二連泊することにした「万平ホテル」の印象が強く残っているからなのかもしれません。
　これらの加盟ホテルも高級ホテルに変わりはありませんが、今先を争って開業ラッシュである外資系の名を冠したホテルなどとは違い、宿泊をしてみてやっぱり日本のホテルの良さを再認識するとともに、何物にも代えがたい、じわっと染み出すような、あとに残る独自の雰囲気を持っているような気がします。
第八回は奈良ホテルです。　ただここでの項目は2018年と2021年宿泊の両方の写真を利用しています。

シニアの偏愛クラシックホテルシリーズ一覧

シニアの偏愛クラシックホテル（１）　箱根富士屋ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11727290
シニアの偏愛クラシックホテル（２）　日光金谷ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11727899
シニアの偏愛クラシックホテル（３）　蒲郡クラシックホテル
https://4travel.jp/travelogue/11728023
シニアの偏愛クラシックホテル（４）　ホテルニューグランド
https://4travel.jp/travelogue/11728251
シニアの偏愛クラシックホテル（５）　雲仙観光ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11728962
シニアの偏愛クラシックホテル（７）　万平ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11728594
シニアの偏愛クラシックホテル（８）　東京ステーションホテル
https://4travel.jp/travelogue/11729126
シニアの偏愛クラシックホテル（９）　川奈ホテル
https://4travel.jp/travelogue/11729609

エリア 奈良市(奈良)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 自家用車
• 旅行の手配内容: 個別手配

2018年10月、奈良ホテルに宿泊しました。正面玄関、建物の外観は堂々とした現代では大変に珍しい、桃山御殿風檜造り日本建築です。設計は東京駅の煉瓦造りで有名な辰野金吾博士です。本当に色々な建物を作っておられますね。

宿泊時、丁度興福寺南円堂「不空羂索観音菩薩坐像」の特別開扉見学が実施されていたので見学しました。日帰りでも奈良に来た時はいつもこのホテルが公園内で、しかも駐車料金が無料と言うことでここを利用することにしています。

館内を見てみましょう。二階よりフロントを望みます。

フロント前にある鳥居の形をした暖炉。この暖炉が日独和洋折衷の象徴だそうで、本館ではすべての部屋に備えられています。
少し見えにくいですが左上に掛けられているのが上村松園画伯の「花嫁」です。なんとこの絵、数億円の価値があるとのこと。そんな高価なものが、これ以外にもごく普通にこのホテルには展示されています。

フロントに置かれた春日大社の灯篭の形でしょうか？郵便ポストです。

フロント奥の階段です。戦時中の金属類の供出によって元々の金属製の擬宝珠は取り払われ、赤膚焼きの陶器製擬宝珠に変えられました。こんな所にも歴史が顔を出すんですね。

1階ロビー「桜の間」で、一つの部屋のようになったロビーです。結構皆さん素通りするので、ここはいつも人が少なく静かです。でも一杯見ておきたいものがあります。左側奥の席は天皇、皇后両陛下が座られた席だそうです。柱時計は「平成の大時計」と呼ばれ今上天皇が即位したときに記念に設置されました。

このピアノは物理学者アインシュタイン博士が演奏したものだそうです。その時の写真が飾ってあります。

「桜の間」横にあるメインバーです。

「桜の間」とバーに挟まれるような奥にあるティーラウンジです。

かなり席数が少なく、最近は常に大混雑しており、少々興ざめします。

カップがいいですね。

二階へ上がってみます。

吊り灯篭を模した和風のシャンデリアです。

このシャンデリアを背景にオードリー・ヘップバーンが家族写真を撮ったそうです。

吹き抜けの天井の周りを通路が取り囲みます。そこには水野深章「奈良風景」不二木阿古「鷺娘」等が掛けられています。

2021年3月二度目に宿泊したときアサインされた部屋です、前回の部屋は一番狭い部屋でしたが、少しグレードアップしました。奈良ホテルは新しく凄い経費をかけた緑の豊かな新館がありますが、やっぱり泊まるならこちらです。

あの暖炉がちゃんとついています。

夕食まで時間があったので奈良公園をぶらぶらと散策しました。

荒池からホテルを望みます。

数十年ぶりに東大寺に入ってみました。小さいときは時々学校の遠足などで連れてこられたものです。使われた瓦の数は11万枚、やっぱり立派ですねー。

久しぶりの対面です。大仏様の鼻の穴と同じ大きさの穴があけられた柱をくぐる「柱くぐり」はコロナの影響で中止されていました。小さいころの記憶がよみがえります。

夕食の時間です。前回の宿泊では耐震補強工事のためメインダイニング「三笠」は閉鎖されており食事はできませんでした。その代わりに探し当てた「ラフォルムドエテルニテ」と言う店が大正解でした。
暖炉の上の仏像は新しくなっても引き継がれています。

「ラフォルムドエテルニテ」店内（参考までに）。

工事前と工事後で比較してみてください。赤いテーブルクロスをかけてあるのが工事前のダイニングです。

耐震補強工事後のダイニングです。緑のテーブルクロスに代わっています。
このメインダイニングの「三笠」、富士屋ホテルや日光金谷ホテルなどに比べて部屋のしつらえは全体としては随分とシンプルな感じがします。

ここは窓際のベランダ風の席が風情がありますよ。

またまた食事メニュー、どこにしまったかわかりません。すみません。

仏像もちゃんと前の所に置かれています。

翌朝の朝食です。いろいろと種類があり、美味しくいただきました。

連れ合いはフレンチトーストです。

僕は定番オムレツです。

現在は都ホテルグループからJRグループに移りましたが、やはり伝統の重みを感じたホテルでした。最近の大混雑がもう少し緩和されるといいんですが。