2011年2月・九州新幹線鹿児島ルート全通直前の熊本旅行（その3　外輪山ドライブと復路のANA便）

2011/02/19 - 2011/02/20

ステイホームで府外への旅行はおろかお出かけすらままならないなか、今回は10年前の熊本旅行記をお届けします。

今から10年前の初春、つまり東日本大震災が発生する直前、九州の福岡・佐賀・熊本・鹿児島４県は3月12日に予定されていた九州新幹線鹿児島ルートの全線開業を控え、祝賀ムードに包まれていました。
その一方で、これまで鹿児島本線を走っていた特急「リレーつばめ」は廃止、特急「有明」も大幅減便されることが決まっており、2月にお名残乗車を兼ねた熊本旅行を決行することに。

最終回となる今回は、熊本在住の友人の案内で九州新幹線の車両基地、阿蘇外輪山の麓に位置する西原村、熊本空港の外周道路を巡った後、まだB767-300が運用されていたANAの熊本～大阪線での帰途の模様をお届けします。

その１（特急「リレーつばめ」乗り納め）はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11687933

その２（熊本地震前の熊本城）はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11700155

エリア 山都・熊本空港(熊本)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 友人
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: ANAグループ 新幹線 JR特急 JRローカル 私鉄 自家用車 徒歩

今回宿泊したビジネスホテル「JR九州ホテル熊本」。
割合新しく快適なホテルでしたが、その後九州新幹線開業後の駅前再開発で取り壊され、現在は「ザ　ブラッサム熊本」なる最先端のホテルに生まれ変わりました。

ＪＲ九州ホテル熊本 宿・ホテル

右のビルが「JR九州ホテル熊本」です。

ＪＲ九州ホテル熊本 宿・ホテル

朝食後、昨日会った友人氏と熊本駅で合流。
友人氏の案内であちこち連れて行っていただくことに。
この日は九州新幹線博多～新八代間の開業に先立ち試乗会が実施されることになっており、熊本駅構内には受付会場が設営されていました。

熊本駅 駅

駅構内のテレビモニターでも、九州新幹線のCM映像がエンドレスで流されていました。

熊本駅 駅

あと１ヶ月もすれば九州新幹線が全線開業するため、特急「有明」・「リレーつばめ」といった列車が熊本駅に発着することもなくなります。

熊本駅 駅

駅舎越しに撮影した新八代（鹿児島中央）行きの特急「リレーつばめ」。

熊本駅 駅

熊本駅の鹿児島本線大牟田・鳥栖・博多方面時刻表。
特急列車を示す赤い文字がずらりと並んでいますが、3月12日の九州新幹線博多～新八代間開業以降は大きく様相が一変しそうです。

熊本駅 駅

機会があれば、豊肥本線や三角線にも再訪してみたいものです。
なお、熊本駅の在来線ホームは九州新幹線の開業後に高架化されました。

熊本駅 駅

熊本駅構内の旅行代理店に掲示されていた、九州新幹線全線開業記念のツアー商品の広告。
当時はまだ大阪～札幌間の寝台特急「トワイライトエクスプレス」が健在で、九州新幹線の「みずほ」・「さくら」と「トワイライトエクスプレス」を組み合わせたツアーが成立し得たのです。

熊本駅 駅

この年春の選抜高校野球選手権の九州代表校の一つは、地元・九州学院でした。

熊本駅 駅

「巨大なしゃもじ」と評されることもある熊本市電熊本駅前停留場の大屋根。

熊本駅前停留場 駅

熊本駅前を走る熊本市電のベテラン車輌。

熊本市電 KCT 乗り物

まず最初に案内していただいたのは、熊本市南部に建設された九州新幹線の熊本総合車両所。

3月12日のデビューを前に、山陽新幹線・九州新幹線直通用の新鋭車輌N700系7000番台・8000番台が準備万端とばかりに出番を待っていました。

左から2番目の車輌は2004年以来新八代～鹿児島中央間の「つばめ」として活躍していた800系で、残りの車輌はN700系7000番台・8000番台です。

JR西日本所属のN700系7000番台の先頭車。

N700系7000番台の側面には「KYUSYU/WEST JAPAN」の文字のロゴが入っており、シンプルではありますが、九州と関西を直結する自らの使命を主張していました。

熊本総合車両所の正門。

表札も撮っておきました。

お気に入りのアルバムをBGMに、熊本市街地を抜けて今度は西原村へ。

馬頭観音 揺ケ池公園 公園・植物園

続いて案内していただいたのが、阿蘇山の外輪山の麓に位置する西原村の揺ケ池公園。
パワースポットとして知られる「揺ケ池」の近くにあり、眺めも良いので地元の人には人気のスポットといいます。

馬頭観音 揺ケ池公園 公園・植物園

2月とは言え比較的穏やかな天気の日、思い切り美味しい空気を吸い込みながら、雄大な外輪山の眺めを楽しみました。

馬頭観音 揺ケ池公園 公園・植物園

昼食は揺ケ池公園に隣接する「俵山交流館　萌の里」で、名物の「だご汁定食」をごちそうしていただきました。

俵山交流館 萌の里 名所・史跡

そろそろ帰りのフライトの時間ですが、その前に熊本空港の外周道路に案内していただきました。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

1970年の開港時に竣工した、当時の熊本空港国内線ターミナルビル。
現在は新しいターミナルへの建て替え工事が進められています。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

2021年現在はお目にかかる機会が少なくなったANAのB767-300。
今回の復路に搭乗予定のフライトも、このB767-300で運航される予定です。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

警察のヘリコプターでしょうか。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

当時はまだ関西の空港ではお目にかかれなかったFDA（フジドリームエアラインズ）のERJ170。
その後、2019年より神戸空港にも乗り入れを開始しており、コロナ禍が落ち着いたら高知か信州に行く際に利用を計画しています。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

熊本空港には、地元の崇城大学の航空関係の学部が格納庫を置いています。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

外周道路で少し撮影した後、先ほど眺めていた熊本空港の国内線ターミナルビルまで送っていただきました。
帰りは熊本空港16時15分発の全日空NH526便大阪国際（伊丹）空港行きを利用します。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

熊本空港発着のリムジンバス路線図。
熊本市内の他、離島の天草市や隣県の宮崎県延岡市・大分県大分市・同別府市へのバスの便もあるそうです。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

熊本出身で、クイズ番組「ヘキサゴン」で一躍大ブレイクしたスザンヌさんが観光PRの広告に起用されていました。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

国内線ターミナルの一角では、熊本空港で撮影した旅客機の写真コンテストが開催されていました。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

こちらは熊本空港のゆるキャラ「あそらくん」
阿蘇山と飛行機をデフォルメした可愛らしいキャラクターです。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

保安検査場の通過締切り時刻が近づいていますが、展望デッキで時間の許す限り旅客機の撮影を続けます。
スカイマークのB737-800。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

本日搭乗予定のANA・B767-300（機体番号JA8271）。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

トーイングトラクターが接続され、出発準備は万端です。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

2日間案内してくださった友人氏に丁重に礼を告げてから、保安検査場に向かいます。
九州新幹線開業前の熊本で、楽しい思い出をありがとうございました。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

搭乗機のB767-300。
九州新幹線の全通後、大阪～熊本間では航空機利用者の多くが新幹線利用にシフトするとみられており、B767のような大型機が大阪～熊本線に投入されることはなくなりそうです。
ちなみに、山陽新幹線のスピードアップが実現する以前の大阪～熊本線では、B767-300どころか一回り大きいB747シリーズやL-1011トライスターといった機体が日常的に就航していたとのこと。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

搭乗開始の案内があったので、大阪国際空港行きNH526便の機内へ。
大阪の気温は13度、2月にしてはまあまあ暖かいようです。

熊本空港 (阿蘇くまもと空港) 空港

水平飛行に入ってすぐに見えた、阿蘇や九重の山々。

熊本空港を離陸したNH526便は、大分県上空から豊予海峡に抜けて、一路大阪を目指します。
私の座席は左窓側、主翼のすぐ前でした。

機内誌「翼の王国」2011年2月号と、期間限定の柑橘系ドリンク。

B767-300の安全のしおり。

機内販売カタログ「ANA SKY SHOP」2011年1・2月号。

曇り気味の四国上空。

東行きのフライトは追い風の影響もあり、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
NH526便は熊本空港を離陸後1時間少々で、淡路島の南部にさしかかりました。

友ヶ島水道を抜け、和歌山市加太の上空から大阪国際空港を目指します。

左前方に、関西国際空港が見えてきました。

泉州地域の上空まで来ると、もうあと15分程度で大阪国際（伊丹）空港へのランディングです。

大阪国際（伊丹）空港からは伊丹市営バスでJRの伊丹駅へ。
伊丹駅には、今回の旅行で利用した「ひかりレールスター」・「リレーつばめ」、ANAのB767-300の後釜となる九州新幹線のN700系7000・8000番台の風船が飾られており、九州新幹線の全通に向けて雰囲気を盛り上げていました。

それから1ヶ月も経たない2011年3月12日、沿線の人々の長年の悲願が叶い、九州新幹線の博多～新八代間が開業。私も初日に乗車しました。
ただ、ご存知の方も多いように、前日に発生した東日本大震災の影響で、沿線地域の人々も、私のように他地域から新幹線の初乗りに出向いた人間も、とても手放しで喜べる状況ではありませんでした。
https://4travel.jp/travelogue/10650817

さらに、この旅行で訪れた熊本市や西原村も、5年後の熊本地震で大きな被害を受け、尊い人命が失われたほか、今なおかなりの地域で復興に向けた作業の途上にあると聞きます。

これも皆災害大国日本に生まれた宿命なのかもしれませんが、これらの自然災害やその後の流行病でお亡くなりになられた方々のご冥福を今一度お祈りするとともに、もう一度平和な日々や暮らしが戻り、気兼ねなく旅行を楽しめるようになることを願い結びとさせていただきます。

伊丹駅 (JR) 駅