2021/03/11 - 2021/03/12
15位(同エリア122件中)
かっちんさん
今回の旅行は、日高本線で廃止される鵡川~様似間の25駅を4日間かけてお別れに訪れます。
2日目の午後は東静内から代行バスに乗り、春立(はるたち)、日高東別(ひだかとうべつ)、蓬栄(ほうえい)、本桐(ほんきり)、荻伏(おぎふし)等、計5駅を訪れます。
訪れた順番を数字記号で表すと、②春立 ①日高東別---徒歩 ⑤蓬栄 ④本桐(半年前に訪問)③荻伏。全て無人駅です。
駅は昭和初期に開業または昭和30年代に新設されたものです。
内陸部を通る日高東別・蓬栄付近では、線路脇の電信柱上部に「ハエたたき」という珍しい鉄道通信設備が残されています。
鉄道電話やタブレット閉塞器の通信線として利用されたものです。
そして周囲は馬の牧場が点在しています。
荻伏駅は2011年まで簡易委託駅だったところで、駅舎は「車掌車」よりやや広めの「有蓋緩急車ワフ29500形」を改造したものです。
今晩の宿は浦河インです。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・JR北海道車内誌、2021年3月
・JR北海道資料「2021.3.13ダイヤ改正」
・北海道森林管理局「日高山脈森林生態系保護地域」の位置図:山の名前
・浦河町、移住体験日記「うらかわ暮らし」、うらかわ町かんたんマップ:山の名前
・在りし日ブログ「線路脇の電信柱」
・通票よんかく「これがタブレット閉塞器だ!」
・鉄道解析ごっこ「AT/BT饋電=誘導障害軽減饋電法」
・永楽電気「端子箱」
・和光技研「布辻川」
・イエコマ「ギャンブレル屋根」
・荻伏町石碑「開拓記念木の弁」
・北海道地質百選「三石蓬莱山の角閃岩」
・北海道ひだか観光ナビ「蓬莱山公園」
・「蓬莱山」現地説明板
・浦河インのHP
・かっちん旅行記
『車窓風景が楽しめる日高本線の旅(北海道)』、2014年5月8日
『馬が見ている日高本線と新冠お花畑の旅(北海道)』、2014年5月30日
『日高本線列車代行バスの旅(苫小牧-本桐)2020~海沿いを走るローカル線と牧場~(北海道)』、2020年9月9日
『日高みついし昆布温泉と日高本線の風景2020~日高本線廃止6ヶ月前~(北海道)』、2020年9月9日
・ウィキペディア「日高本線」「日高東別駅」「春立駅」「荻伏駅」「蓬栄駅」「国鉄ワフ29500形貨車」「貨車」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
日高本線の訪れる駅(JR北海道車内誌の路線図より)
苫小牧と様似を結ぶ146.5kmの「日高本線」。
午後に訪れる日高東別~荻伏間の駅と今晩の宿浦河を赤枠で表示します。 -
様似行き代行バス(東静内)
「東静内駅」より様似行きのバスに乗ります。
ここは日高郡新ひだか町です。 -
イチオシ
日高山脈の山景色(春立~日高東別)
次の駅「春立駅」を過ぎると海岸線を離れ、内陸部にある「日高東別駅」へ向かいます。
雪山は左側が最も登頂が困難な「ペテガリ岳(1736m)」、右側が神が住む伝説の「神威岳(1600m)」だと思います。 -
「日高東別駅」の乗降場で降ります
代行バスは駅の先にある転回場でUターンした後、「日高東別駅」に停車します。 -
里山に佇む「日高東別駅」
乗降場から50mほどのところにある、ホームと待合所・トイレの建物。
枕木を使った3本の柱は、車が誤ってホームに入らないように立ててあります。
地名の「東別」は、アイヌ語の「トイペッ」(土(食用土)・川)に由来するとされています。
ここも新ひだか町です。 -
駅名標(日高東別駅)
国鉄日高本線は昭和8年(1933)静内から日高三石まで延伸。
「日高東別」は、昭和33年(1958)日高三石の手前に新設されました。
地名の「とうべつ」は道内に同音の駅が多いため、駅名は旧国名「日高」を冠して「日高東別」となりました。
同音の駅は札沼線「石狩当別」、道南いさりび鉄道「渡島当別」等です。 -
イチオシ
独特なデザインの待合所とトイレ(日高東別駅)
コンクリートブロック造りの待合所は、お洒落なアーチ状の出入口が2ヶ所あります。
窓と出入口が大きく、厳冬期は風が吹きぬけて寒そう。
隣のトイレは屋根と壁が一体化したデザインです。
どちらの建物も個性が溢れています。 -
青空に白い雲が浮かび、まもなく春を迎える「日高東別駅」
-
白い待合所が佇む「日高東別駅」
砂利敷きのホームに佇む白い待合所がアクセントになります。
では、隣の春立駅まで2.5kmを歩いて移動します。 -
イチオシ
今も残る鉄道通信設備「ハエたたき」(日高東別駅)
線路脇の電信柱の上部に白い碍子の付いた腕木の桁を左右に張り出して取付け、裸銅線の通信電線を張っていました。(現在、電線は撤去)
2本で1回線分の通信電線は、必要な回線量に応じて腕木の数とともに増えます。
白い碍子に何本もある腕木の姿が「ハエたたき」に似ていたので、鉄道関係者は「ハエたたき」と呼んでいました。
昔の家で使われていた「ハエたたき」を見たことが無い方はこちらから
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A0%85%E5%8F%A9%E3%81%8D
通信電線の主な用途は、駅間を結び、タブレット閉塞器の検電や鉄道電話などに利用されていました。
自駅と相手駅に設置しているタブレット閉塞器は、鉄道電話と閉塞器の操作でお互いに連絡を取り合い、検電器に流れる電流の向きによりタブレット(通票)を取り出せるようになっています。
閉塞とは線路を一定区間(閉塞区間)毎に区切り、1閉塞区間には1列車しか入れないようにすることで、タブレットを持っている列車が閉塞区間に進入できます。 -
倒れかかっている「踏切注意柵」
駅を離れ、1つ目の踏切です。 -
枯草に囲まれた「日高東別駅」(踏切付近から)
-
静内行きの代行バス(踏切)
鉄道が不通になってから6年間走り続けた代行バスはまもなく終了します。 -
端子箱(線路脇)
銘板には「携帯電話機用の端子箱、1995年永楽電気製造」。
携帯電話機は現在のような無線方式ではなく、保線作業員が携帯する電話機をこの端子箱の端子に接続し、通信線を利用して会話します。 -
1本飛ばされた「ハエたたき」(線路脇)
飛ばされた腕木の白い碍子が、現在の通信線2本にうまい具合に引っかかっています。 -
別の「ハエたたき」(線路脇)
長い間、風雨に耐え2本だけ残っています。 -
「ハエたたき」の連なる風景(線路脇)
昭和に見られた鉄道風景です。 -
線路脇には「ハエたたき」と「牧場の厩舎」
このあたりは馬の産地です。 -
布辻川に架かる日高本線橋梁(日高東別~春立)
布辻川は「ぶしがわ」と読み、旧三石町と旧静内町の境界を流れる川です。
日高本線は日高東別から春立付近までこの川に沿っています。
川の由来は「三石町史」によると、アイヌ語「プシ・ナイ」。三石地方では一番初めに氷が張る川で、その氷の張る時の音からついています。 -
2つ目の「鎌田踏切」(日高東別~春立)
この道のまわりは馬の牧場です。 -
X字状にずれた「ハエたたき」(踏切付近)
2本が対になった腕木が上下に3組あります。
つまり6本の腕木に24個の碍子が取付けてあり、他の電信柱より通信線を着実に張ることができます。 -
馬のご挨拶「何しに来たの」(踏切付近)
馬が近寄って来ます。 -
馬の散歩(踏切付近)
競走馬を飼育しているので、立派な体格。 -
春の訪れを告げる「ネコヤナギの花穂」(踏切付近)
-
北海道でよく見かける「ギャンブレル屋根」の厩舎(牧場)
外側に向かって2段階に勾配が急になっている「ギャンブレル屋根」。
屋根裏の空間が広く、屋根の傾斜角を2段階にすることで屋根に雪が積もるのを抑える効果が期待できます。 -
馬の親子とサイロの風景(牧場)
子馬は人間に興味津々でこちらを見ています。
大人の馬はお隣さんとお喋りの真っ最中。 -
イチオシ
広い牧場を駆けまわる馬(牧場)
楽しそう。 -
全力疾走・・・(牧場)
2頭が自由気ままに走っています。
もしかして自主トレ・・・ -
住宅のような駅舎「春立駅」に到着
馬を見てたりしたので、日高東別駅から1時間ほどかかりました。
開業当初の駅舎から、JR北海道継承時に待合所タイプの車掌車となり、平成12年(2000)現在の駅舎に改築されました。 -
大きな待合室(春立駅)
木製ベンチが壁際につくられています。 -
駅名標(春立駅)
昭和8年(1933)国鉄「春立駅」が開業。
駅名は地名に由来し、アイヌ語「ハル・タ・ウシ・ナイ」(食料となる草の根掘りをいつもする沢)から。
この付近はアイヌ民族が食用としていた山菜の宝庫でした。 -
木製電柱の立つホーム(春立駅)
昔は線路の左側にもホームがあり、列車交換できる駅でした。
今は枯草が茂り、当時の面影がありません。 -
二重の三角屋根のバス待合所(春立駅前)
道南バスの待合所です。 -
様似行き代行バス(春立駅前)
15:19発のバスで5つ先の荻伏まで乗ります。 -
途中の本桐駅(2020年9月10日に訪問)
半年前に訪れたので今回はパス。
旅行を書いているので参考にしてください。
『日高みついし昆布温泉と日高本線の風景2020~日高本線廃止6ヶ月前~(北海道)』
https://4travel.jp/travelogue/11655777 -
雪山の日高山脈(本桐~昆布温泉)
広大な牧場と日高山脈が眺められます。 -
「荻伏駅」の乗降場に到着
代行バスは「荻伏駅」には行かずに、JRバス日勝線(浦河~荻伏~上野深)の「荻伏」バス停に停車。
200mほど歩くと「荻伏駅」です。
ここは浦河郡浦河町荻伏町。 -
イチオシ
簡易委託駅舎とトイレ(荻伏駅)
「有蓋緩急車ワフ29500形」を改造した簡易委託駅舎は、貨物の荷役用扉がアルミサッシの引き戸に改造され、正面に浦河高校美術部によるカラフルな気球のイラストが描かれ明るいイメージになっています。
かつて簡易委託駅として乗車券を発売していたのですが、現在は終了し待合室だけになっています。
「有蓋緩急車」とは貨車に緩急車設備(車掌車)を追加したもので、貨物取扱い量の比較的少ないローカル線でかつ小型SL(C11など)による牽引には最適な貨車でした。
隣にレトロな木造トイレがあります。 -
駅名標(荻伏駅)
昭和10年(1935)国鉄「荻伏駅」が開業。
荻伏地区は明治15年(1882)赤心社開拓団が入植し開拓してきた歴史があります。 -
駅舎のホーム側(荻伏駅)
イラストは青い海から昇る朝日ですね。
左からワフ当時のデッキ、2つ窓の待合室、引き戸を挟み乗車券を発売していた管理人室です。 -
ホームと駅舎(荻伏駅の苫小牧方面)
線路はホームの右側にあります。
昔は交換駅だったので、ホームと駅舎の間に線路があったと思われます。 -
駅舎の内部(荻伏駅)
車掌室部分が待合室になっていて、デッキ側にも出入口があります。 -
駅舎の内部(荻伏駅)
貨物室部分の奥側に簡易委託駅として乗車券を発売する窓口が設けられています。
係員は近隣にお住いの元国鉄職員で、昭和15年(1940)から当駅で勤務し、退職後も簡易委託駅の業務を夫婦で平成23年(2011)まで請け負っていました。 -
荻伏付近の牧場風景(2014年5月30日の日高本線車窓)
7年前、様似から乗った日高本線 絵笛~荻伏間の車窓です。
緑の牧場が続き、馬が草を食む風景に感動しました。 -
蓬栄駅
荻伏から静内行きの代行バスで、2つ手前の「蓬栄駅」に戻ります。
昭和33年(1958)新設された駅です。
駅名の由来は地名。地名は付近にある奇岩「蓬莱岩」の「蓬」に繁栄を願う「栄」をあわせています。
時刻は16:56。だんだんと暗くなってきます。
ここは新ひだか町です。 -
待合所の内部(蓬栄駅)
こじんまりした建物で、隣にトイレがあります。 -
ホームと待合所(蓬栄駅の本桐方面)
砂利敷きホームに、転落防止用柵として工事現場の足場が利用されています。 -
正面に蓬莱山(蓬栄駅から日高三石方面)
山水画のように木々をのせた小さな岩山が「蓬莱山(ほうらいさん)」。
数多くの伝説を残す奇岩怪石の山です。
駅から蓬莱山まで1.1kmなので見学に行きます。 -
「ハエたたき」(蓬栄)
日高本線の線路脇に「ハエたたき」が続いています。
日高東別でも見た3本の腕木に碍子をつけたもので、6回線あります。 -
残雪の線路の脇に連なる「ハエたたき」(蓬栄)
-
イチオシ
アートのような「ハエたたき」(蓬栄)
下2本の腕木に、2個対になった碍子が合計16個がのっています。
腕木1本にU字型金具を利用して対にしています。 -
「蓬莱山」に到着
北海道文化財百選に選ばれた「蓬莱山の岩」。
この山はカムイの鎮座する処として古くから先住の方々によって諸祭事がとり行われてきた聖地でした。
この聖地を求める先人の方々の御霊を鎮魂させて戴くための供養塔が建立されています。 -
パークゴルフ場から見た「蓬莱山」(行きのバスからの車窓)
「蓬莱山」は周囲のなだらかな里山の中に突出した岩山で、岩石の硬さが周囲とは大きく異なっています。 -
線路沿いの「ハエたたき」(蓬栄)
では、蓬栄駅に戻ります。 -
暗くなってきた「蓬栄駅」
1時間ほどして様似行きのバスで浦河へ向かいます。 -
今晩の宿「浦河イン」(翌朝の写真)
浦河郡浦河町にあるビジネスホテルです。
浦河駅から徒歩5分、コインランドリーのあるホテルです。 -
夕食(浦河イン)
夕食アラカルトメニュー7種類から選ぶプラン。
しょうが焼き定食にします。 -
翌日の朝食(浦河イン)
日替わりの和食セットメニューです。
今日も日高本線のお別れ旅が続きます。
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