2021/03/27 - 2021/03/27
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はなまりんさん
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おどろおどろしい絵金(えきん)さんの芝居絵。いつどこで絵金さんの絵に出会ったのか、今では記憶がおぼろなのですが、それ以来、どうしても一度は本物を見たいという思いがずっと胸にくすぶっていました。
高知県香南市赤岡町に行かなくっちゃ!!
怖いもの見たさの一心で、ついに赤岡町の「絵金蔵」を訪ねました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JALグループ JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
絵金蔵は、町内に散らばって保存されていた絵金さんの屏風絵を一か所に集めて収蔵し、レプリカを常時展示している蔵です。
百聞は一見に如かず、とはよく言ったものです。
間近に見ると、絵の大きさと強烈な色彩に度肝を抜かれます。
ほの暗い灯りの下では、一層おどろおどろしい!
レプリカとは言え、本物そっくりだし、照明はろうそくの灯同然だし。
絵金蔵で最初に入ったこの展示室は、唯一撮影が許可されている場所です。
目に飛び込んできた屏風絵は、とにかく圧巻でした!
絵金の芝居絵は、1.8メートル四方二枚折りの屏風に描かれています。
一枚ずつスマホで写しましたので、じっくり見てください。絵金蔵 美術館・博物館
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「蝶花形名歌島台 小坂部館」
ちょうはながためいかのしまだい こさかべやかた
つかみあって争う、小坂部音近の娘二人。じっと見ている音近。後方に描かれているのは、姉妹それぞれの息子たちです。
実は小坂部音近とは、長曾我部元親を模した人物。山内一豊が入る前の土佐の権力者です。この芝居は、土佐の地芝居として、欠かせぬレパートリーだったとか。
山内氏と長曾我部一族の確執は、上士と下士の関係としても幕末まで続き、明治維新の大きな力の源ともなったと言われています。意味深な一枚ですね。 -
同上
決着は息子たちの真剣勝負にゆだねられることとなります。
が…しかし… 訳ありの結末が… -
「浮世柄比翼の稲妻 二幕目返し 鈴ヶ森」
うきよづかひよくのいなづま ふたまくめかえし すずがもり
あの有名なセリフが浮かびますね。
幡随院長兵衛「お若えの、お待ちなせえ。」
白井権八「待てとおとめどなされしは、拙者がことでござるかな。」 -
「源平布引滝 松波検校琵琶の段 (小桜責め)」
げんぺいぬのびきのたき まつなみけんぎょうびわのだん
(こざくらぜめ)
後白河法皇の離宮の庭で責められている小桜は、実は源氏方のスパイ。琵琶法師はその父多田行綱の仮の姿。父娘の悲劇の場面です。 -
「八百屋お七 吉祥寺」
やおやおしち きっしょうじ
ご存じ、吉三郎恋しさに江戸の町に火を付けたお七や哀れ。
絵金の絵には、一枚の絵の中に物語の前後の流れや背景が同時に表現されています。そこも見どころの一つ。この絵には、窓枠の中に江戸の大火の様子が描き込まれています。 -
「菅原伝授手習鑑 寺子屋」
すがわらでんじゅてならいかがみ てらこや
菅原道真公への忠義のため、我が子の首を差し出す松王丸。
現代の私たちから見ると、ぎょっとする主題ですね。 -
「鎌倉三代記 絹川村閑居 (三浦之助内の段)
かまくらさんだいき きぬかわむらかんきょ
(みうらのすけのだん)
大阪夏の陣の悲劇を鎌倉時代に置き換えた浄瑠璃。この物語の時姫は、実は千姫を表しているのだそうです。
時姫は三姫の一人、赤姫。
姫の着物の赤の色が強烈!! -
写真撮影可の7枚の屏風絵をご覧いただきました。
いかがでしたか?
それにしても、歌舞伎の一場面とは言いながら、なぜこうも血みどろの凄惨な絵ばかりが多いのでしょう。
う~ん 何というか、おどろおどろしい… 女も子どもも例外なく血まみれで死んでいく… 強烈ですね…
絵金蔵のガイドさんのお話によると、これが当時の民衆が求めたものなのだそうです。絵師金蔵は顧客である豪商たちの注文に応えることの出来る、腕の立つ絵師だったということです。なるほど…
身の丈六尺と言いますから、180㎝を超えています。当時としてはかなりの大男だった絵金。繰り出す筆の勢いも半端ないですね!!
こちらは絵金蔵のパンフレットです。
赤の色が印象的! やっぱり絵金さんは”赤”なんですね。 -
切手も売られていました。
ここでしか買えない逸品です。迷わず 買い! -
入館券。やっぱり赤。
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ところで、絵金蔵のある赤岡町は、高知駅からJR土讃線と土佐くろしお鉄道ごめんなはり線を乗り継いで、東へ約40分行った所にある町です。
JRとくろしお鉄道は相互乗り入れをしているので、乗り換えなしの直通でも行くことが出来ます。
しかし、この車輛、ちょっとびっくり!! なんで阪神タイガースなの!?土佐くろしお鉄道 ごめんなはり線 (阿佐線) 乗り物
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で、あかおか駅で降ります。この階段の上の部分がホームなんですが、切符は車内で車掌さんに渡して降りるので、改札はありません。どころか、1階にトイレがあるだけであとはなんにもないんです。ひとっ子一人いません。駅からはバスかタクシーで町へ行くつもりだった私はしばし茫然。
仕方なく地図を頼りにテクテク歩きました。距離が分からないので不安いっぱい。
ところが、案ずるほどもなく、ほんの10分もかからずに絵金蔵に着いてしまいました。 な~んだ、やれやれ。あかおか駅 駅
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こちらが、絵金蔵のスタッフさんが送って下さった地図です。分かりやすくてとても助かりました。
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赤岡の町。
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細い路地を抜けた先に、絵金蔵(上)と弁天座(下)が向かい合って建っています。
弁天座では、お祭りの日に地元の方たちが絵金の屏風絵に描かれた歌舞伎を上演するのですって! 見てみたいですね!絵金蔵 美術館・博物館
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こちらは、毎年7月第3週の土日に開かれる絵金祭りのパンフレットです。本当はこれを見に行きたかったんです。でも、コロナ禍で2020年度は中止。今年もどうなるか見通しは立っていないのだとか。なので、下見もかねてせめて絵金蔵だけでも見ておきたいと、赤岡行きを思い立ったのです。
年に一度だけ、祭りの宵に、二十数枚の本物の芝居屏風絵が町内氏子の家の軒下に飾られます。幕末に始まって以来百数十年の間変わらず続けられている風習だそうです。
暑い夏の宵、町屋の軒先のろうそくの灯でみる絵は、さぞかし凄みがあることでしょう。 -
そもそも、絵金こと絵師金蔵とはどんな人なのでしょう。
香南市発行の「絵金読本」によれば、1812年高知城下の髪結いの子として生まれ、幼いころから絵の才能に優れていた、とあります。18歳の時江戸に上り、狩野派に入門して画才をみがき、土佐に帰ってからは家老家の御用絵師に取り立てられました。しかし、ある贋作事件に巻き込まれたことから高知城下を追われます。
その後、金蔵はおばの住む赤岡に現れ、ここで町絵師として活躍を始めます。金蔵には裕福な商家の旦那衆がパトロンとなり、須留田神社への奉納のための芝居絵大屏風を次々に発注します。金蔵の芝居絵は大評判となり、彼は町の絵師金蔵、即ち絵金さんとして、一時代を画すまでになったようです。
赤岡は宿場町であり、木材と樟脳の生産・交易によって富み栄え、豪商たちを生み出した町。絵金の画風は、そんな時代と土地柄によって磨かれたものと言えそうです。
徳島の阿波浄瑠璃もそうですが、優れた文化が生まれる土地には、必ずそれを支える豊かな富と理解者(パトロン)がなければなりません。赤岡がどんなに裕福な土地柄だったか、推し量られますね。
今年2021年7月、このお祭りが再開されますように(祈)!!!
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この旅行記へのコメント (2)
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- ねんきん老人さん 2022/12/13 11:49:47
- いやはや! いやはや!
- はなまりんさん、こんにちは。
いやはや、驚きました。 恥を忍んで白状しますが、私は絵金蔵という言葉も知らず、絵師の金蔵という名前もまったく知りませんでした。 その絵も無論見たことがありません。
世の中にはいろいろな世界があるものですね。現代の画家を含めて芸術家にはそれぞれ得意のジャンルがあって、私たちも何かを見たときに「まるで〇〇の絵のようだ」などと知ったようなセリフを吐くものですが、これからはそこに「まるで絵金の世界だな」というセリフが加わると思います。
とはいえ、実物はもちろんレプリカさえも見たことがないのではセリフに力も入りませんし、こうなったらやっぱり赤岡町に行ってみなければなりませんね。
思えば香南市は過去に何回も行っていますし、観光もしています。道の駅で車中泊もしています。 さっき絵金蔵のHPを見たら、場所も国道 55 号線のすぐそばで、何も知らずに通り過ぎていた自分が悔やまれます。
79年間も知らずにいた世界に驚き、それを教えてくださったはなまりんさんに感謝しています。
終活に忙しい身ですが、ちょっとそれをサボってでも、金蔵の絵を少し勉強してみようと思います。 ありがとうございました。
ねんきん老人
- はなまりんさん からの返信 2022/12/13 12:38:50
- 嬉しいですぅ♪
- 年金老人さん お久しぶりです!
絵金さんを気に入って下さったんですよね?!嬉しいです!
香南市赤岡町自体、全国区と言えるかどうか微妙なのに、何度もあの辺りに足をお運びとは!! さすが年金老人さん!
私も実は、いつ絵金さんのことを知ったのか定かではないのです。子供の頃に福岡市の筥崎宮の近くに住んでいたことがあるんですが、筥崎宮の放生会というお祭りの時に来る見世物小屋の看板が、こういうおどろおどろしい芝居絵風だったような記憶があります。たぶんそのあたりが関心を持った原点なのでしょうね。
赤岡町の絵金祭りには、行ってみたいと思いつつも、何しろ猛暑のさかりの時期なので、今年再開されたらしいと聞きながらも、日和って出かけず仕舞いでした。でも、やっぱり本物を見たいですよね!それも町家の軒下に飾られている姿をろうそくの灯りの下で!来年こそは行かなくっちゃ!
年金老人さんもぜひお出かけ下さいな。なんでも、事前の申し込みが必要だという話も聞いています。コロナ禍で敷居が高くなったんでしょうかね?
はなまりん
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