緊急事態宣言が解除された関西へ　京都旅行を堪能しよう これぞ世界に誇る日本工芸の粋　京都迎賓館　後編

2021/03/12 - 2021/03/12

かつてNHKで見た京都迎賓館の特集番組、これぞ世界に誇る日本工芸の粋という内容で、こういった番組が大好きな私は今度京都に行ったら絶対に見に行こうと思っていました。
でも長期休暇を旅行に使っていたら、中々行く暇もなく機会は来ませんでした。

緊急事態宣言下で見学も儘ならなかったけれど、毎日HPを見ていたら解除後の次の週からガイドツアーのみ予約可でした。
これを見逃す手はなし、日本の迎賓館は赤坂の洋館とここ京都迎賓館のみで、和風建築は世界でここだけです。
さりげなく、それでいて一切の妥協を許さぬ日本の職人の技を結集させた芸術作品を是非、見に行きましょう。

エリア 今出川・北大路・北野(京都)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: 家族旅行
• 交通手段: JALグループ 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

京都迎賓館、11時50分の回で予約、定員は30名ですがまだまだ余裕がありそうでした。
京都御苑までバスで15分、チェックアウト後荷物を預けて向かいました。
コロナ禍で良くなったのは、観光客が減ったことで京都のバスの混み具合が、以前に戻ったという事です。

京都バス 乗り物

タクシーで行ったところで京都御苑には入れないので、京都府立医大前で降りる。
分かりやすい地図もあって助かりました。

御所に９つある門の１つで、京都迎賓館に行くには最寄りの門。
通るのは初めてです。

京都御苑 公園・植物園

手前には梨木神社、鳥居の向こうにマンションがあるけれど、後で寄っていきましょう。
萩の名所として知られ、境内には名水『染井』の井戸があり、ここの水を使って茶会が開かれる。

梨木神社 寺・神社・教会

清和院御門を通ったけれど、ほらね御所ってこんなに広いんです。
夏は地獄ですよね、京都府民は散歩などに使っているけれど、砂利だからイマイチ歩きにくいのです。

京都御苑 公園・植物園

京都迎賓館の観光は西門からです、誰もいない。
多分、知られていないのでしょう。

京都迎賓館 名所・史跡

中のエントランスも各国のVIPが車付け出来るように広くとってある。
ガイドツアーは2000円もするし、若い観光客は来ないだろうね。
でもここを見ないのは損してますよ。

京都迎賓館 名所・史跡

靴を脱いでスリッパに履き替え入ります。
掃き清められた廊下は能舞台のようです。
海外のVIPは靴のまま入りますが、特殊な加工で傷がつきにくくなっています。
シンプルで何もない、これこそ究極の贅沢です。

京都迎賓館 名所・史跡

何と我々のグループは4人だけ、貸し切りですね。
最初の部屋『夕映えの間』は、お茶のもてなしや晩餐会の待合室になっています。
東西の壁面には京都から見える比叡山と愛宕山が描かれています。
これは比叡山。

京都迎賓館 名所・史跡

こちらが愛宕山に沈む夕日、赤坂の迎賓館は写真撮影禁止ですが、京都迎賓館は自由です。
そう来なくっちゃ！！

庭園は深山幽谷から流れ出る水が注ぎこむ広大な池が、まわりの建物に融け合うように配置されています。
外国人VIPに合わせて鴨居が高いのですが、その分ひさしを長くして庭の風景のバランスを保っています。

日本人の住まいに貫かれた伝統『庭屋一如ていおくいちにょ』の思想です。
京都検定の問題そのものですね、

次は京都迎賓館でいちばん大きく、晩餐会などに使用される『藤の間』
壁面装飾には日本古来のつづれ織りの技法を用いた、縦3，1メートル、横16，6メートル織物が配されています。

藤、牡丹、菊、39種類の日本の花々が迎えます。
藤の花言葉は『歓迎』で、部屋の名前になっています。

天井のライトは可動式でランダムに下ろしてくることもできます。
さすが日本の技術力、この細かな美しさ外国人に理解できるのだろうか？

この細工も、物凄く手が込んでいるのにさりげない。
気づくか気付かないかの配置、これぞ日本人の美意識です。

藤の間の舞台の扉に広がるこの載金(きりかね)という細工、金箔とプラチナ箔を手作業で貼っているのです。
物凄く細かな作業で、一切の妥協を許さない技術、人間国宝の江里佐代子さんが３年かけて作り上げました。
くしくも彼女の遺作となりました。

それほどまでに繊細な作業とも思えない、気づかれなくともそれでいい。
部屋の隅々にそんな日本の良さを感じます。
離れたくない…そんな気持ちにかられる部屋です。

日本料理を楽しめる『桐の間』、黒い漆塗りの座卓は12メートルで、なんと一枚物です。24名が座れます。

ここも載金、うまく撮れてなくて残念ですが、鴨居の上のこの模様に誰が気づくというのでしょう？
それでも力を尽くすのが、日本の職人の信念ですね。

背もたれにある蒔絵の桐の紋章、何と１つ１つ微妙に色が違います。
VIPが自分の席を間違えないように、区別をつけているそうですが、VIPはこの心配りに気付くのだろうか？

畳の真ん中に1本の筋目があります。
これは中継ぎ表という技法で穂先を中央で繋いでいるのです。
そのためにイグサの栽培から気を使ったとか…それが何？ですね。
この部屋にはいくつもの気遣いがありますが、お客様はいくつ気づいて下さるのでしょう。

5メートルほどの座卓を造るのは容易ですが、12メートルともなると大変です。
まっすぐ伸びた北山杉を探し、1年かけて熟成しそこから切り分けた逸品です。
ベテランの漆塗り職人によって塗られた表面、磨き粉をつけて素手で磨き表面は鏡のように傷も曇りもありません。
職人の手は漆でかぶれて腫れあがりますが、美しい傑作です。

庭の中央に架けられた廊橋、ここを境に水深が変わっていて、北側の池には錦鯉が放たれています。

鯉が遠くまで行かないように、水深を保つため石が積まれています。
この石も、久下屋敷から出土されたがれきから取りました。

廊橋の四隅にある浮彫の蝶々、さりげなく見つけるとほっこりした気持ちになります。

ここはトンボ。
人は喜んで欲しくてサプライズを仕掛けるけれど、京都迎賓館のおもてなしはそれと少し違う。
物凄く贅沢に時間もお金も掛けているけれど、とてもさりげなくて気づかれなくてもいい、でも貴方のためにしつらえました。
それが本当の日本のおもてなし、この精神を大事にすればいいのです。

鈴虫、春夏秋冬の虫たちが見守ってくれます。

京都迎賓館の桜は1本だけです。
1週間遅かったら、桜が咲いていたかな…残念です。

池の舟遊びが出来る小舟があります。
ヒノキから職人の手で造られた丸子舟、いい匂いがするでしょうね。

扉の引手は有線七宝が施されています。
京都の組紐をモチーフにした図柄は賓客との絆を表しています。
この完成度、途方もなく手間が掛かっています。

正面玄関の天井は欅の一枚板。
どれほどの巨木だったのでしょうね。

『聚楽の間』玄関に近いロビーの位置づけで、待合室に使われます。
豊臣秀吉が京都に造営した聚楽第に因んだ名ですが、まさにお客様にくつろいでいただくようしつらえたものです。

京指物の技能と有職織物を用いた安楽椅子、他の部屋のように自然光が入らないため、鮮やかな赤色の布地を用い華やかさを演出しました。

飾られている美術品は京都市立美術館から借りてきたもの。
訪問されるお客様に合わせた作品が展示されます。

京都迎賓館のスタッフの方に『梨木神社って何のご利益があるのでしょうか？』と聞いたら、観光している間に調べてくれました。
それほど見学者が少ないってものあるけれど、誠意あるご対応痛み入ります。
境内には愛の木があって、縁結びにいいらしい。

梨木神社 寺・神社・教会

どこもかしこも縁結びだらけだが、御所は若者は来ないだけあってすいていました。
能舞台まであって、境内も広く立派な神社です。
萩祭りの頃はもっと混んでいるのでしょうか？

梨木神社 寺・神社・教会

梨木神社の向かいにあるこの蘆山寺、誰のお住まいかご存じでしょうか？
何とかの紫式部の邸宅跡と言われています。

廬山寺 寺・神社・教会

う～ここまで来たら見ていきたいけれど、母がもう疲れてきていたので断念します。
今回は自分の趣味ではなく、あくまで母をもてなす旅だから…
歴史好きの京都旅行は1人で来るに限るな。

廬山寺 寺・神社・教会

ここであの源氏物語を執筆したのだと思うと、ロマンが止まりませんな。
節分には『鬼の法楽』という会名で、狂言が催されます。

バスも直ぐ来たので河原町に戻り、食事をして実家に戻りました。
早春で天候が不順なのか、午後からぽつりぽつりと雨が降り出し、夜には大雨になった。
基本的に晴れ女ですが、母と旅行すると帰路には必ず雨になる。
でも観光にはほとんど影響ないのがありがたいです。

あっという間に週末が来て、伊丹から飛び立ちます。
空港には様々なショップがありますが、初めてよしもとエンタメショップに来ました。

よしもとエンタメショップ 大阪空港店 グルメ・レストラン

この忖度まんじゅう、受け狙いでお土産にします。

よしもとエンタメショップ 大阪空港店 グルメ・レストラン

雲の上はいつも快晴、この風景は旅好きにはいつ見ても気持ちが上がります。
ずっとずっと見ていたい風景、これが海外につながるのはいつになるだろう。

羽田上空で着陸態勢に入ったものの、いつまでたっても下降しない。
やがてアナウンスが『羽田上空に大きな雷雲があり、着陸の見込みが立たないことから大阪国際空港へ戻ります』
えええ～何度も飛行機に乗ったけれど、引き返すのは初めてです。

大阪国際空港に戻ってきました、東京は土砂降りだったようですが、たった2人で燃料補給をわずか10分で終えました。
いい仕事してるねえ～グッジョブ！
このまま飛べずに新幹線で帰る事にでもなれば…と心配しましたが、何とか羽田に向けてリトライしました。

大阪国際空港 (伊丹空港) 空港

羽田に到着しましたが、13時半の便で到着したのが17時半。
東京は土砂降りの雨。この日は10便が行先変更になったようです。
わずか1時間の帰路に4時間も掛かってしまいました。
でもまあ東京～大阪間を往復なんて、海外に行くことを考えたら短いものです。

今期の長期休暇は実家と京都旅行に消えました。
でも子供がスポンサーで親を何度も旅行に連れて行くのも、滅多にないことで人並みに親孝行している気になります。
親は準備も儘ならず、私は自分の注意力と体力をフルに使って付き添うので、旅行を楽しむだけとは言えません。
今は私が母の親のようなものです、守ろうと思う相手がいるうちは人は生かされているのでしょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

羽田空港(東京国際空港) 空港

この旅行記へのコメント （4）

• Marinさん 2022/05/17 03:51:43

  機会があれば

  迎賓館のステキな写真をありがとうございました。私も行ってみたくなりました。

  オカンカンさん からの返信 2022/05/18 13:22:49

  Re: 機会があれば

  　　　Marinさま　オカンカンです。
  
  メッセージありがとうございます。
  コロナで中々旅も儘なりませんが、来年くらいに海外に行けないかなあと夢見てます。
  今後ともよろしくお願いいたします。
  
  

• りぽちゃんさん 2021/03/31 11:32:06

  垂涎の京都旅♪

  オカンカンさま、こんにちは(*´∇｀*)
  
  京都旅、中編と後編を一気に拝見しました。
  なんて素敵な旅なのでしょうか～o(*≧ω≦*)o
  お母さまのことも考えてメイン観光は１日１箇所。
  それ故にゆっくりじっくり見られるのが良いですね♪
  しかもチョイスがとってもステキ～☆
  オトナは建仁寺ですよね！（笑）
  
  AKAGANEリゾートのランチも美味しそうだし、建仁寺の襖絵も圧巻！
  そして京都迎賓館☆
  貸切のガイドツアーも満足度高そうです。
  写真撮影OKなのも良いですね。
  以前、赤坂迎賓館にも行かれてたと思いますが、あちらは写真撮影不可ですもんね…
  今東京にいますが、オカンカンさまの旅行記拝見するまで赤坂のこと忘れてました(^◇^;)
  今日は別のところを観光してきまーす♪
  旅行記が全然追いついてないですが、また頑張って作成します！
  
  りぽちゃん

  オカンカンさん からの返信 2021/04/02 15:21:40

  RE: 垂涎の京都旅♪

  りぽちゃんさま　　　　ご無沙汰しております。
  
  コロナ禍で籠り癖が付いてしまい、すっかり体力がなくなりました。
  りぽちゃんさま、アクティブに東京にもいらっしゃってるのは、だいもんの公演でしょうか？
  
  久々に京都に行ってきましたが、一時期の大混雑が嘘のように空いていて驚きました。
  まあ本来の京都の良さが観光できるのは嬉しいのですが、東京の観光地もいかがでしたか？
  
  何となく繁華街は東京も大阪も混んできていますが、観光地はまだまだ落ち着いていますね。
  でも蔓延防止措置も出ているので、海外旅行はいつになるのやら…
  今年の9月にウィーン便を取っていたのですが、運休で中止です。
  でも中々払い戻し出来ない自分がいるのですよねぇ…
  
  ではまた、楽しい旅行記楽しみにしております。
  
  　　　　　　　　　　　　オカンカン