2016/12/11 - 2016/12/13
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TMBSさん
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5年前の2016年暮れ。
独身時代のうちに、近場の海外で出来ることをやっておきたいと思案している中、まず最初に思いついたことが、当時まだ1日1往復が残っていた「台湾最後の普快車(客車鈍行)」に乗車することでした。
かくして、12月半ばの職場が落ち着いている時期に、日月の公休日に火曜日の有休を足し、2泊3日の弾丸行程で台湾へ飛ぶことに。
普快車が走っているのは台湾南部の屏東県・枋寮と東部の台東の間。
台北からのアクセスがやや不便な地域ですが、高雄の馴染みのゲストハウスに宿泊し、効率よく旅程を組むことができました。
前置きが長くなりましたが、今回は私にとって結果的に最初で最後の乗車となった台湾の普快車乗車記をお届けします。好天にも恵まれ、鉄道グルメも楽しめたあの日の汽車旅をもう一度!
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 徒歩
- 航空会社
- チャイナエアライン
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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イチオシ
2016年12月12日(月)
前日夕方桃園国際空港着のチャイナエアライン便で台湾に入国。
独身時代に定宿にしていた高雄のゲストハウス「あひる家」のドミトリーで一夜を明かしました。日本人のオーナーさんが経営するゲストハウスです。 by TMBSさんアヒルヤ ゲスト ハウス イン 高雄 - ホステル (鴨家青年旅館) ホテル
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枋寮への列車までまだ時間があったので、朝食をどうしようか考えていたところ、長年親しくさせていただいている「あひる家」のオーナーさんの誘いで、美味しい朝食店に案内していただくことに。
オーナーさんにはご馳走までしていただき、感謝。 -
オーナーさんの原付でまだ地上駅舎だった頃の高雄駅に送っていただき、丁重にお礼を告げて足早に改札に向かいました。
あれからもう5年近くなりますが、その後「あひる家」への再訪を果たせぬまま、日台間の行き来が事実上不可能になってしまうとはまさか思いもしませんでした。高雄駅 駅
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取るものも取り敢えず、高雄9時35分発の自強371次台東行きに乗車。
当時はまだ南廻線の電化工事が完成していなかったので、気動車による運行でした。自強号 鉄道系(地下鉄・モノレールなど)
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高雄から枋寮までは、自強号で約1時間の行程です。
ちなみに運賃は135台湾ドル。日本円に換算すると約500円という安さでした。自強号 鉄道系(地下鉄・モノレールなど)
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イチオシ
台湾の汽車旅のお供といえば、この黒松沙士でしょう。
黒松沙士は薬草風味の効いた炭酸飲料で、人によって好みは分かれますが、日本人旅行者で病み付きになっている人も多い一品です。 -
高雄の次の停車駅が、鳳山駅。
この駅も高雄駅とともに、2018年に新しい地下駅に生まれ変わりました。鳳山駅 駅
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高屏渓を鉄橋で渡ると、自強号は屏東県に入ります。
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2011年の訪問時は地上を走っていた屏東付近の台湾鉄路管理局屏東線ですが、久しぶりに乗車してみると真新しい高架線に切り替えられていました。
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屏東市郊外の車窓風景。
辺り一面に、名物の田ウナギの養殖池が広がっています。 -
10時34分、枋寮駅に到着。
ここから、本日のメインイベントである普快車(客車鈍行)に乗り換えます。枋寮駅 駅
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台東に向け出発する自強371次。
自強号で一気に台東を目指す旅も楽しいですが、今回はせっかくの機会ですし、いつ廃止になってもおかしくない普快車でのんびり台東に向かう腹積もりです。枋寮駅 駅
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向かいの2番Bホームでは、これから乗り換える11時発の普快3671次台東行きが発車を待っていました。
R100型ディーゼル機関車が3両の客車を牽引する、古き良き鈍行列車です。枋寮駅 駅
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枋寮駅の駅名標。
屏東寄りの隣駅・東海駅は日本の常磐線にも同名の駅があったり。枋寮駅 駅
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枋寮駅の駅舎内部。
特産の果物・蓮霧を象ったベンチが目を引きます。枋寮駅 駅
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枋寮駅の自動券売機。
デビュー当時の塗装に復刻されたR100型ディーゼル機関車R123号機の写真があしらわれていました。
R123号機は時折、普快車や莒光号を牽引してこの枋寮駅にも現れていたようです。枋寮駅 駅
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改札口の脇には、鉄道員をイメージしたマスコット「台鉄先生」の人形も鎮座していました。
枋寮駅 駅
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枋寮駅でもICカード「悠遊卡」が利用できるようです。
枋寮駅 駅
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駅舎内に掲出されていた、枋寮郷の地図。
枋寮は漁港を擁する小さな町で、シラスの水揚げが多いことで有名です。枋寮駅 駅
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枋寮駅前の町並み。
本当は漁港まで足を伸ばして、自慢のシラスオムレツやシラススープを堪能したかったのですが、今回は普快車への乗車を優先したため、またの機会ということに。枋寮駅 駅
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近年リニューアルされた枋寮駅の駅舎。
枋寮駅 駅
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屏東線の區間車(普通列車)として活躍する、自強号用DR3000型ディーゼルカー。
枋寮駅 駅
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普快3671次台東行きは、定刻通り発車するとのこと。
発車5分前に改札をくぐり、2番(2B)ホームに向かいます。枋寮駅 駅
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今回乗車する普快3671次列車の客車。
35SPK32700形という形式名で、1970年頃に日本で製造された車輌だそうです。
側面窓のデザインも、車体塗装も、言われてみれば日本の旧国鉄の客車に生き写しでした。枋寮駅 駅
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イチオシ
牽引機はR100型ディーゼル機関車R131号。
製造初年は1969年、アメリカンスタイルの堂々とした面構えの機関車です。枋寮駅 駅
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ここから、台東まで客車鈍行列車2時間半の旅が始まります。
枋寮駅 駅
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デッキに掲出された華語の注意書き。
古い客車、それも鈍行列車用の客車とあり、出入口部分には段差がありました。
また、乗降扉も手動となっていました。 -
イチオシ
普快車用客車の内部。
温暖な台湾を走る列車ですが、冷房装置といった文明の利器は設置されておらず、汗ばむ季節は扇風機や窓から吹き込む涼しい風に頼ることになります。 -
天井に設置された古めかしい扇風機。
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ここでも黒松沙士がお供です。
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枋寮を発車した普快車は、しばらくは蓮霧畑のなかを走ります。
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枋寮から1駅目の加祿駅に到着。
加祿駅 駅
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僅かな停車時間で加祿駅を出発。
窓を全開にできる旧型客車というわけで、対向列車がない時はこのような写真だって普通に撮れました。加祿駅 駅
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イチオシ
屏東県と台東県の県境は、台湾山脈の一部を成す山岳地帯。
この山岳地帯を、南廻線はトンネルの連続で越えています。 -
トンネルとトンネルの間で、美しい南シナ海のオーシャンビューを楽しむことができるも、南廻線の楽しみの一つです。
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この日の天気は気持ち良い晴天。
コロナ禍が治まれば、台湾南部のビーチでのんびりしてみたいものです。 -
緑生い茂る山々と紺碧の海のコントラスト。
ついつい見とれてしまう自然の風景美です -
台湾最南端の駅として知られる、枋山駅に到着。
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かつては行き違いが可能な駅だったようですが、何らかの理由により行き違い設備が撤去されたようです。
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列車は屏東県と台東県の境に位置する山越え区間に差し掛かりました。
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普快車の車内。
休日には鉄道ファンで賑わうものと思われますが、平日ということもあり車内の乗客は疎らでした。 -
車内の座席は固定クロスシートでした。
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普通列車用の客車ですが、鉄パイプ製のフットレストが装備されており、長時間の乗車でも快適に過ごせるような工夫が凝らされていました。
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壁際には、カップホルダーも据え付けられていました。
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南廻線は大半の区間が単線。
それゆえ、列車行き違いのための信号場が数ヶ所に設けられています。 -
このあたりでしばし車内の探索へ。
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3両編成の客車の最後尾からは、ご覧の通りの後方展望を楽しむことができます。
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吹き曝しの連結面やデッキに立つと、なかなかスリリングな体験ができました。
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3両目の客車の最後尾に設置されたハンドブレーキ。
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消火器。
台湾語では、「滅火器」と呼ばれているようです。 -
古めかしいお手洗いも設けられていました。
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こじんまりとした洗面台。
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一時代前の列車ですが、さすがに車内は禁煙です。
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複線になっているトンネルを通過しました。
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心地良い日差しが差し込む昼下がりの車内。
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客車内には博愛座(優先座席)も設けられていました。
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博愛座のプレートは2種類ほどあり、ピクトグラムを用いたものもありました。
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台東県に入って最初の駅が古荘駅。
この1年後の2017年に、信号場に格下げされたとのこと。古荘駅 駅
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台鉄の駅ホームには、コンクリート造の立派な屋根が設けられているのが一般的です。
古荘駅 駅
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古荘駅の立派な駅舎。
信号場に格下げされて以降、この駅舎の扱いはどのようになっているのでしょうか。古荘駅 駅
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古荘駅の先のトンネルは、単線規格でした。
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車内の扉は、内側に開く引き戸となっていました。
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客車同士の連結部分。
ご覧のとおり線路敷が丸見えの状態となっており、走行中に通る際は注意が必要です。 -
台湾では車掌のことを「車長」と呼称します。
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1両目の客車からは、牽引機R100型ディーゼル機関車R131号の最後部を覗くことができました。
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R100型ディーゼル機関車と客車を繋ぐ連結器。
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1両目の客車の窓に設置された日除けのカーテン。
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実際に使われているのかは分かりませんが、乗客からの意見を募るための意見箱が設けられていました。
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大武駅で、高雄方面に向かう自強号と行き違い。
大武駅 駅
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ホームの屋根にも、堂々とした毛筆体の駅名看板が埋め込まれていました。
大武駅 駅
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ゆっくりとした空気の流れる台東県南部の海岸を横目に、普快車は台東目指して走ります。
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このあたりで、高雄駅で買い込んでおいた台湾啤酒(台湾ビール)と台鉄便當を取り出し、昼食とします。
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イチオシ
台鉄便當のパッケージには、花蓮県・台東県の海岸沿いを走る列車の写真があしらわれていました。
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南廻線は台湾でも人口の少ない地域を走っており、自強号・莒光号といった優等列車の利用者こそ多いものの、開業以来普通列車の利用は伸び悩んでいる様子です。
そのため、これまでに途中駅のうち特に利用の少ない数駅が廃駅となっており、今もホームの跡が寂しく残されています。
写真は、2006年に廃止された旧多良駅のホーム跡。 -
青い東シナ海をバックに、台湾ビールで乾杯!
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イチオシ
台鉄便當のトッピングは、骨付きの豚肉に青菜の漬物、煮玉子。
台湾ではありふれた組み合わせのお弁当ですが、台湾好きの日本人鉄道ファンにとってはこれがまた定期的に食べたくなる味だったり。 -
絶景とともに味わう美味しい駅弁とお酒は格別です。
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金崙駅で、自強号との行き違いだったか、自強号を待避するためだったかで長時間停車することに。
金崙駅 駅
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ここでは、普快車を撮影するためにしばしホームへ。
金崙駅 駅
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先ほど私が訪れた3両目の客車の最後部ですが、外から見るとこのような感じです。
昔の日本の客車普通列車をリアルタイムで知らない身としては、何から何まで新鮮な存在に見えました。金崙駅 駅
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ようやく、ホームの反対側に自強号がやってきました。
金崙駅 駅
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金崙を出ると、南廻線の線路はしばし海岸から離れます。
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展望台や鉄道撮影、初日の出で有名な太麻里駅に到着。
太麻里駅 駅
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太麻里駅の次駅が、台湾有数の温泉地・知本温泉の玄関口である知本駅。
当時すでに、南廻線のうち台東駅からこの知本駅までの区間が電化されており、台北から「太魯閣(タロコ)自強号」、「普悠瑪(プユマ)自強号」が乗り入れていました。知本駅 駅
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普快3671次は、自強号の遅延の影響を受けた影響で、4分遅れで知本駅に到着したようです。
知本駅 駅
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知本駅でも莒光号との行き違いのため長時間の運転停車が有り、しばしの撮影タイム。
知本駅 駅
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R100型ディーゼル機関車のアップ。
知本駅 駅
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台東までの残り2駅も、よろしく頼みます。
知本駅 駅
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台東方面から莒光号がやってきました。
知本駅 駅
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康楽を出ると、次はもう終点の台東です。
康楽駅 駅
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13時27分頃、普快3671次列車は枋寮から2時間半の道中を終え、終点台東駅に到着。
ホームの向かい側には、はるばる台北からやってきたE1000型自強号が。台東駅 駅
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こちらはTEMU2000形「普悠瑪(プユマ)自強号」。
台東駅 駅
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日本製の最新型特急電車と、これまた日本製のレトロな客車普通列車が並ぶのは、台東駅ならではの風景でした。
台東駅 駅
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心ゆくまで普快車の写真撮影を楽しんでから、改修工事中の台東駅舎を出ます。
台東駅 駅
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台東駅前の広場。
もともと1982年の南廻線第一期開業の際に、台東市の旧市街地から離れた場所に建設されたという経緯もあり、周辺にはあまり大きな建物が見受けられない様子でした。台東駅 駅
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この頃(2016年当時)は、ちょうど台鉄と日本の東武鉄道の友好提携が始まった時期でした。
台東駅の構内にも、ご覧のような広告が掲出されていました。台東駅 駅
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台東からは「普悠瑪自強号」で運行される14時発の自強425次に乗車、今夜の宿泊地である台北方面に向かいました。
その存在こそ学生時代から存じていたものの、台北からのアクセスの悪さもあり、なかなか乗車する機会に恵まれなかった台鉄南廻線の普快車。
この旅行の4年後、2020年12月23日の南廻線知本~枋寮間電化に伴い、その前日限りで惜しまれつつ運行を終了。結局、私が普快車に乗車したのはこの2016年12月の一回きりということになりました。
再度の乗車は叶いませんでしたが、普快車の営業運行最終日には台湾中から多くの鉄道ファンが集まり、温かい拍手で見送ったと聞き、思わず心がほっこりしたものです。
最後になりましたが、いつかまた台湾を訪れ、乗り鉄の旅を楽しめる日が来る事を願って結びとさせていただきます。台東駅 駅
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