2020/09/15 - 2020/09/15
683位(同エリア1422件中)
ちふゆさん
2020年9月15日(火)の2時前、興聖寺観光を終えて、遅めのお昼ご飯。朝霧橋東詰の少し上流側にある福寿茶寮へ。お茶の福寿園が、宇治茶の伝統を守り育てより親しんでもらえるよう、お茶作りからお茶の楽しみ方までを教え、さらに隣接する由緒ある名陶遠州七窯の一つである朝日窯元の手ほどきで茶器も造れる工房として作った福寿園宇治工房に併設するレストラン。
福寿園は、ここ宇治市ではなく、京都府の南端の木津川市山城町に本社を置く製茶会社。元々は材木問屋として材木を舟で運搬していたのが、徐々に茶の運搬が増え、製茶業へ移行した。現在はお茶だけでなく茶器や茶道具、紅茶や菓子類なども取り扱い、日本各地だけでなくロシアや東南アジアにも出店している。初代当主の名にちなんだ伊右衛門ブランドは、提携先のサントリーのペットボトル入り緑茶飲料として販売され、全国的に知られている。
風光明媚な宇治川の清流のほとりにあり、対岸に平等院を拝し(下の写真1)、後背に朝日山がある古くは七茗茶園の一つであった朝日園ゆかりの地。おいしいお茶だけでなく、お茶を使った甘味やお茶料理などを堪能できる。我々は茶そばの暖かいのと冷たいのをそれぞれの趣味で戴く。
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2時半過ぎ、食事を終えて再び歩き出す。朝霧橋のたもとに宇治神社があるが、5年前の鵜飼いの時に行ったことがあるので、今回はパス。ちなみにこの神社の創建は不明だが、奈良時代成立の神名帳に記載がある宇治神社二座 鍬靫(くわうつぼ)の1座で、もう1座が宇治上神社と云われる。明治以前には宇治神社が下社もしくは若宮、宇治上神社が上社もしくは本宮と呼ばれ、両社を合わせて宇治離宮明神(八幡宮)と総称されていた。本殿は鎌倉時代後期の造営とされ、国の重文。
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川沿いに続く朝霧通りを下流方向に行くと、南東側に枝分かれして伸びる道があるが、さわらびの道と呼ばれ、宇治神社の手前で北東に方向を変え、さらに宇治上神社前から北に進み、源氏物語ミュージアムまでの約600mを繋いでいる。道の名前は源氏物語宇治十帖の第4帖である第48帖早蕨(さわらび)から付けられている。
世界遺産「古都京都の文化財」の1つである宇治上神社は、2人別々の時だがそれぞれ行ったことがあるので、今回はパス。私は4年前の12月に友人と来た。この神社も宇治神社同様に創建は不明。本殿は平安時代後期の造営で、神社建築としては現存最古とされる。本殿前の拝殿は鎌倉時代前期の造営で、寝殿造の遺構といわれる。共に国宝。また境内にある「桐原水」と称される湧き水は、「宇治七名水」のうちでは唯一現存するもの。
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朝霧通りからさわらびの道の道に入り、宇治神社の裏側を過ぎて方向を変えて少し行くと宇治上神社の鳥居を抜ける。宇治上神社の前でまた方向を変えて進むとあるのが与謝野晶子真筆の歌碑。1992年に与謝野晶子の没後50年と宇治市制40周年を記念して、みだれ髪の会が寄贈したもの。1924年(大正13年)に発表された、彼女の源氏物語の各帖の情景を詠み込んだ54首で構成される「源氏物語礼讃」の中から、宇治十帖の10首が碑の両面に5首ずつ彼女の真筆で刻まれている。1924年には実際に夫鉄幹と共に氏を訪れている。
そのすぐ先には万葉歌碑が建つ(下の写真2)。万葉集の13巻3236の歌で、作者は不明。1992年に建てられたもの。「そらみつ倭の國あおによし奈良山越えて 山代の管木の原 ちはやぶる宇治の渡 瀧つ屋の阿後尼の原を 千歳に闕くる事無く 萬歳にあり通はむと 山科の石田の杜の すめ神に幣帛取り向けて われは越え行く相坂山を 悠雲書」。奈良の都から南山城を経て宇治川を渡り、ずっと通いたいと山科で祈り、逢坂山を越えて行くと云う意味の歌。
さらに進むと総角之古蹟の石碑。1970年に建てられたもので、程近い宇治上神社の桐原水が総角(あげまき)の水とも云われていたことから、この辺りが総角の古蹟とされた。総角は源氏物語の第47帖、宇治十帖の第3帖のタイトルで、伸びた髪を左右2つに分け、耳の上で両方の髻を小さく角のように結ぶ髪型のこと。この巻の舞台になる八の宮の山荘がこの辺りにあったとされる。
この石碑の横から大吉山登山道が伸びている。東海自然歩道の一部で、さわらびの道から標高131mの大吉山(仏徳山)まで登ることが出来る。石がゴロゴロして少し歩きにくい道を15分ちょっと登ると大吉山展望台。「響け!ユーフォニアム2」で、縣祭りの夜に主人公の久美子が高坂麗奈と一緒に上った展望台。近くに宇治川に平等院鳳凰堂、その先に宇治市街地、さらに生駒山地から石清水八幡宮のある男山(表紙の写真)、淀川の西の天王山、ポンポン山、さらにその遠くに六甲山も眺めることが出来る。いや、なかなか素晴らしい。ここがこの日来たかったピントの2つ目。天気も良かったし、満足!
この展望台の横にも万葉歌碑が(下の写真3)。「妹らがり今木の嶺に茂り立つ 嬬松の木は古人見けむ」。万葉集の9巻1795の歌で作者は不明だが、宇治上神社・宇治神社の辺りだったと云われる第15代応神天皇の皇子、菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の宮所で詠まれたと云う。今木の嶺は大吉山の奥に続く朝日山の古名で、今にも来るかと夫の訪れを待つ妻のような朝日山の松を昔の人も見ただろうと云うような意味。
この展望台の少し先に分かれ道があり、まっすぐ階段を登ると大吉山山頂に(下の写真4)、右に進むとお昼前に行った興聖寺に降りる道と東海自然歩道の朝日山に続く道になるらしい(下の写真5)。
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山を下りて、さわらびの道に戻るが続く
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