2018/05/03 - 2018/05/03
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sweetshibakenさん
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2017年7月15日に初めて訪れたbethlehemで体験した「分離壁アート」。作品の大小に拘わらず、想像以上に心を動かされて大満足な旅でした。
その5か月後の2017年12月6日に米トランプ大統領がこれまでの慣例に従わず、米の在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転する事を延期しない=米の大使館をエルサレムに移転する=米はイスラエルの首都を「エルサレム」と認める、という決定を下しました。
当然、パレスチナ側は猛反発し、至る所でイスラエルとパレスチナ間の衝突が起こりました。中でもベツレヘムの分離壁前での衝突は、世界各国の報道機関が扱い、日本でも連日テレビでその様子が報道されていました。
そこは正に私が訪れた場所であったけど、5か月前とは分離壁に描かれている画が大きく変わっていました。
「観に行って違いを感じて来なきゃ!」
ワケの分からない使命感?を抱き、翌年2018年5月3日に同じ場所を訪れました。因みに私が訪れる前日には、安倍元首相&その御一行様も同じ場所を訪れていたらしいです。
最初の訪問からたった10か月しか経っていないのに、分離壁に描かれている画は随分変わっていました。その違いを確認し、しっかり噛み締める様に、前回よりも念入りに歩いて観て回りました。
そして2020年コロナ渦の今、海外へ行けない事で気分が落ちている中、なんとか気晴らしができないか考えていると、ふと「バンクシー・アートを見直そう」と思い立ちました。PCを立ち上げ、写真を眺めたりWeb検索したりする中で、バンクシーだけではなく、他のアーティストの作品でも、これまで気づかなかった発見が色々ありました。
この旅行記では、分離壁アートに拘って、細かく細かく注目した点をまとめて行きます。
表紙の写真は、Walled off hotel前の分離壁にある、お馴染みの「Helicopter」。
ここは2017年も2018年も変わりなかったけど、最近ある事に気付きました。
ヘリから投下されている爆弾、これ、スプレー缶だったんです。写真を拡大して初めて気づきました。
ちょっとテンション上がっています。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
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-
2018年5月3日の写真。
2017年12月、トランプ大統領が大使館移転を決定した事により起こった衝突の後。
Manger St.から分離壁を望む。
この壁は、2017年もここにあった気がする。
この景色、覚えているもん。
でも、写真を探してみたら残ってはいなかった。
こんな何でもない壁を、どうして覚えていたのかが不思議です。 -
これは、Hebron Rd.とManger St.の合流部の、パレスチナ民衆側から見た分離壁(イスラエル監視塔)。
日本で報道されるソース元は米・英からが多いので、イスラエル軍and/or警察側からのviewばかりだった。こちらからのviewの報道は、私は見なかった。 -
こちらは、2017年7月の状態。
上の写真とほぼ同じ視線からです。 -
分離壁側から見たHebron Rd。
衝突時は、この合流部にバリケードが設置され、手前の分離壁側には武装したイスラエル軍 and/or イスラエル警察が集まり、写真奥に見えるon Hebron Rd.に集結したパレスチナ民衆を相手にした物々しい雰囲気を伝える報道がなされていた。
撮影時の2018年5月3日、ここは写真の通りとても穏やか。
しかし、たった10日後の2018年5月14日、アメリカは在イスラエル米大使館をエルサレムへ移設した。
旅行中は穏やかに過ごせたから良かったけど、よくよく考えると、若干危ないタイミングだったのでは?
旅行前は、滞在地の状況を調べて危険度の認識と対策を準備して出発しているつもりだけど、この時は大使館移動の期日が迫っていたなんて、全く気付いていなかった。
まだまだ抜け目だらけの旅行前調査しかできていない。反省。 -
この画を報道で視て、「たった5か月でこんなに大きく変わったなんて...凄い!きっと大使館移動が決定したからなんや」と勝手に想像していたのだけど、、調べてみると違いました。
この画は、Australian graffiti artistの Lushsuxの作品で、2017年8月に描かれたらしい。
前回私がここを訪れたのは、2017年7月15日。ほんの数週間後だったのです。
今思い返せば、アメリカとイスラエルの蜜月は前年の2016年からずっとニュースになっていたもんね。 -
これは、2017年7月時の状態。
トランプの画が描かれる前は、がら~んとしていました。
当時、ここがそんなに注目される場所になるとは思っていなかったので、写真はこれだけしか残っていなかった。 -
Lushsuxは、完璧な場所に、これ以上ない見事なgraffitiを仕上げています。
Banksyにばかり注目してしまうけど、この人のセンスも光っています。 -
分離壁入口前に置かれていた、兵士が少年に銃を向ける画の壁。
これは2017年の写真。 -
2017年7月の写真。
銃を向けられた少年の壁は、写真左下に置かれています。 -
こちらは、2018年5月の写真。
さっきの壁は、同じ所に置かれています。
しかし、写真右下をよく見ると、2017年7月当時と変わっている所があります。 -
これらの壁が、道にせり出す様に置かれています。
-
反対側から見ると、こんな感じ。
これは、衝突当時、バリケードの一部として利用されていたのでしょう。 -
これは、2017年7月の様子。
壁は数枚あるけど、邪魔にならない様、通りの端に整然と置かれています。 -
トランプの後ろにいる、このワケの分からない画は、まだ残っていました。
しかも、Lushsuxはこの画を触らない様に気を遣っているのがよく分かります。 -
これは、2017年7月の写真。
2018年5月の画と比べても、ほとんど触られた(上塗りされた)形跡がありません。
大きな画だし、この異質さからも、きっと名のあるartistの作品だろう、とは思っていましたが...やはりそうでした。
調べてみると、How and Nasm (Raoul and Davide Perre)というNYを活動拠点にしているスペイン人双子のartistによる2013年9月の作品。
彼らは、「ここに来たというタグ付けの様に画を描くのは、不適切で自分勝手だ。」と思い、(お詫びの気持ちを込めて) west bankの女性に向けて、arts workshopを開催したそうです。
個人的には、この画は何度見ても意味が分からないし、好きになれず、どうして分離壁の入口、こんな注目される場所にずっと残っているのか不思議でしたが、理由の一部が判明しました。
しかし、この旅行記を作成している2020年9月現在、webでこの場所を検索すると、ついにこの画も半分上書きされていました。
好きではなかった画なのに、ちょっと寂しい気分になったのが、不思議です。 -
ほとんど触られていないけど、動物ピラミッドの部分はとても残念な上書きがされていました。
既存のartを上塗りするなら、それなりの作品で行って欲しいな~。 -
これは2017年時のもの。
既にごちゃごちゃ書き加えられていたけど、下地を消す様な事はされていません。
動物ピラミッド、結構好きだったのにな~。
あと、Peace symbol(ピースマーク)、この頃から当たり前に使われていた、という事に、今気付きました。
一つはお約束の「メルセデスのエンブレム」になっていますが…。
日本人で日本で生活している私はPeace symbolの意味もこのシンボルの成り立ちも、今回調べる事で初めて知りました。
「Peace symbol」2020年6月以降の分離壁に、センセーショナルなインパクトをもたらしています。
詳細は、次の旅行記で。 -
2017年の写真から。
少し分離壁沿いを歩いて行きます。
続いて見えてくる画は、こちら。
American artist Kyle Holbrook(2015年)の作品。
パレスチナの旗を掲げたムスリム女性に向けて左側からイスラエル兵が銃を構え、右側からはパレスチナ兵が投石で応戦するという画。 -
この写真撮影時は、作品完成後約2年経過しているけど、足元のごちゃごちゃはやや気になるものの、兵士の詳細もはっきり分かる程度に残っています。
-
兵士側も同じ程度、足元はごちゃついているけど、詳細が分かる位に残っています。
私の好きな画の一つです。 -
それが、2018年5月ではこんな事になっていました。
えぇっ!!イスラエル兵が上塗りされている。 (>_<) -
しかも、このmural painting 一体何だ?!
ワケが分からない。 -
パレスチナ兵は辛うじて残っているけど、周りのごちゃごちゃが更に増えた上にカラフルで、埋もれてしまいつつあります。
残念...。
Holbrookさん、どこかで復活して欲しいです。 -
続いて見えてくる画はこちら。
2017年の写真です。
鍵を握った力強いパレスチナ人を象徴する握りこぶしが、壁を破壊している画。 -
こちらは同じviewの2018年version。
やや退色しているし、周りもごちゃついているけど、ちゃんと残っていました。 -
2018年の写真。
続いて見えてくる画は、写実的な握りあっている手。
そして、報道時に「もうえぇって!」と思う程、毎度毎度映像に出てきた「MAKE HUMMUS NOT WALLS」。
そしてその上には、Banksyの有名な「a girl with balloons」
もちろん、これはイミテーション。 -
2017年の写真では、同じ場所はこれしか残っていませんでした。
きっと、ここは心に残る画が無かったのでしょう。 -
このパレスチナ旗、2017年にはありませんでした。
見た時は、そんなに気を引くレベルの高い画でもなかったのだけど…。 -
拡大してみると、黒のストライプ内のバブルは、スマイルになっていた。
こういう小さな発見に、ニヤッとしてしまいます。 -
今度は分離壁と反対側に目を向けます。
分離壁前のガソリンスタンドと土産物屋の間のスペースです。
これは、2018年5月の写真です。
2017年にはこんな画はなかったのですが、バンクシーの「flower thrower」と「a soldier checking a donkey's ID」のイミテーション。
「flower thrower」のオリジナルは、ここからかなり離れた所(Shepards’ Field/Beit Sahour)のガソリンスタンド内にある洗車棟の壁に描かれている、というのは有名です。
それに合わせてガソリンスタンド近くの壁に描く(観光客を欺く)なんて、ちょっと悪質では?と思っていました。
しかし、今回web上で調べていると、興味深い投稿を見つけました。
・これらのgraffitiはBanksyの崇拝者が好意(Banksy好きの観光客がここにgraffiti目当てで来るので、彼の有名な画もここで観れた方が便利でしょ。)で描いた。
ふ~ん、そういう事なのですか。
更に、こんな投稿も見つけました。
・Banksyがwalled off hotelを訪れた際、ホテルの近くに作品を残した。
Banksyは2017年にwalled off hotelを開業させてから何度かベツレヘムを訪れ、その度に何らかの作品を残しています。その中で ホテルの近く=分離壁 にいつ残したのか詳細な時期を失念したけど、私の二度目の滞在より後の話であるのは、確かです。
Webで2019年以降に撮影されたここの写真を見ると、この写真にあるflower thrownは残っているけど、donkeyは上塗りされ、別の画になっていました。
そして、ここの真正面の分離壁に、「a soldier checking a donkey's ID」のステンシルが現れているんです。
私が行った時には、絶対そんなの無かった。
という事は…?
そう言えばこのmuralは、昔壁ごと切り出され、カナダ人画廊がNYのオークションに出展したという曰く付きだし…。
2019年以降の写真にある、ここの真正面の分離壁にあるdonkeyは、Banksyによるステンシルじゃない?
この話、何だか信憑性を帯びてない?!
な~んて、勝手に想像しています。 -
分離壁に戻り、更に進みます。
2017年の写真 -
2018年5月の写真では、こんな事になっていました。
これも Lushsuxによる作品。
分離壁入口の監視塔を抱くトランプと同じartist。
と~っても写実的な作品です。
これが描かれたのは、2017年8月。私の一度目の訪問のたった数週間後。
そして描かれてたった9ヶ月後の2018年5月の写真で、既に上書きされています。
その理由は…。
この作品、オリジナルはネタニヤフとトランプがキスしている画でした。
しかし、この作風はムスリム文化のパレスチナでは相応しくなく、このartistはパレスチナのactivistに訴えられてしまいます。
確かに、ムスリム文化圏では異論が出るでしょう。Lushsuxさん、その辺りのコト考えなかったのでしょうか…。 -
よく見ると、トランプの顔が消されているだけでなく、ネタニヤフの顔も修正されています。
この修正というか上書きは、訴えられた結果Lushsux本人が自ら行ったのか、行う様に強制されたのか、別の人が行ったのかは調べきれませんでした。
以下、後日追記。
今更ですがこのgraffiti、写真をじっくり見ると解釈が全く間違っていたという事に気付きました。
さっきまで、トランプの顔が完全に消され、ネタニヤフの顔は修正を加えられただけで、baseはオリジナルのままと思っていました。
しかし、Lushsuxのオリジナルは、髪の一部を除いてすべて上塗りされ、消されています。オリジナルは、今残っているネタニヤフよりもう一回り大きな顔で、トランプの顔を塗られた同じピンクのペンキでネタニヤフの耳に当たる部分が上塗りされているのが分かります。
オリジナルと意図が違うというのは、吹き出しの「NICE...」とその下に記されている署名で分かります。「SUBSCRIBE TO BAPTIST EOZNNE」
この写真で残っているネタニヤフは、全く別人によって別の意図の作品に変えられていました。
こういう、細々した所に気付くのって、楽しいです。 -
ちなみに、この作品(奥)もLushsuxの署名入りの作品です。
-
これは、分離壁と反対側の壁。
このRick & MortyもLushsuxの作品で、これも物議のネタとなってるそうです。 -
2017年7月
再び分離壁へ目を向けます。
ここは、分離壁突き当りのカーブの部分。ここを右折して更に分離壁沿いを歩くとwalled off hotelの駐車場に続きます。
ここはもはや、落書き状態。 -
これは、同じ場所の2018年5月。
同じく落書き状態ではあるのだけど、よくよく見ると、秀逸なのもあるんです。 -
2018年5月
前の写真、監視塔の手前にあります。
OOPS YOUR CITY HAS BEEN ENCRYPTED
To Release your city, please send $300 USD to
ランサムウェアのパロディーですね。
私、こういうちょっと捻ったの、大好物です! -
同じ場所にもう一つ。
とても小さなpaintingだけど、とっても目を引きます。 -
こちらは、監視塔を超えてすぐの足元。
THEY CAN TAKE YOUR FREEDOM BUT THEY CANT BREAK YOUR SPIRIT -
これは、2017年7月時の上の写真と同じ場所。
この様に落書き状態ですさんだ雰囲気でも、誰かが変えてくれると、2018年5月の写真の様に雰囲気も変わってくる。
なんだか、人間社会を観ている気がする。
写真が多くなったので、このカーブから先は次の旅行記で。
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