大坂夏の陣に散った後藤又兵衛基次の墓に意外な事実が 黒田官兵衛の実子か 又は九州へ落ちたか　改訂増補版（２０２０年）

2020/05/22 - 2020/05/23

　２０１４年は大坂の陣から数えて四百回忌でした、縁の大阪柏原市の玉手山安福寺では、東西の兵士や犠牲になった庶民の供養が行われています。中でも、道明寺・片山の戦で散った後藤又兵衛基次は勇猛な戦いぶりで、いまだに語り継がれています。

　最後の戦国武将と言われる後藤又兵衛基次は、黒田官兵衛に仕え数々の武功故大隈城一万六千石城主となったが、後に領主黒田長政（官兵衛の長男）とのそりが合わず出奔し約十年間浪々の身となっていた。その又兵衛に声をかけたのが豊臣秀頼。同じ時期に徳川家康からも声をかけられていたと言うから、彼の武士としての素質と才能は両軍にとって必要なものだったのでしょう。

　本稿は２０１３年に「大坂夏の陣に散った後藤又兵衛基次の墓に意外な事実が 黒田官兵衛の実子か」と投稿したものですが、愚作としては比較的よく読みつがれている所から、本年追加取材のうえ加筆増補版として再編集したものです。
　ただし、又兵衛の英雄伝説としての内容が大きく変わることはありません。加えて「大坂の陣４００年」に掛かる諸行事も記録として書き加えました。

エリア 大阪城・京橋(大阪)

• 旅行の満足度: 5.0

• 交通手段: 自家用車

大坂の陣四百回忌法要（２０１４年５月玉手山供養塔にて）

　慶長19年（1614年）後藤又兵衛は大坂城に真田幸村らと共に入城、大坂冬の陣の幕が切って下ろされます。難攻不落を誇る大坂城も、徳川家康の策に落ち、和議するも結果としては内堀までもが埋められた。内堀が埋められた城は単なる目標程度に過ぎず、十年間は持ちこたえられると言われた大坂城は、裸城となってしまいました。
　難攻不落の大坂城といわれていた

　秀頼公を盛り立て豊臣の栄光を。
　玉造稲荷神社内

　真田丸跡と今に伝わる三光神社。幸村勇ましく鼓舞しています。大坂城へと続くという謎の地下トンネル入口もあります。
　三光神社

　翌年、大坂夏の陣となりますが、後藤軍や真田軍は城に拠点を築くこと無く、主に河内平野に戦場を求めて奮戦しました。
　長吉神社の幸村休息所跡（平野区喜連）

　真田幸村憤死の地（安居神社 天王寺西門下）

　初戦は「樫井川」の戦いで、團右衛門はここで討ち死にする。その後、片山道明寺の戦、若江の戦、天王寺の戦、岡山口の戦等々です。片山道明寺の戦で、奮戦空しく後藤又兵衛は柏原市片山で戦死します。
　樫井川の戦跡（泉州街道沿い）

　柏原市片山の戦死跡の碑。

　柏原市片山地区で戦死したと伝わるが、近くの玉手山遊園地内に今東光和尚揮毫の碑がある。
　後藤又兵衛奮戦の碑（玉手山公園内）
この後、豊臣勢は総くずれとなり大坂城は落城し徳川の世が長く続く。

　その後日談として、後藤又兵衛の妻は二歳だった一子為勝を連れ実家のある岡山に帰る。実家である三浦家は岡山藩主池田公の家老（荒尾家）の家臣であった。その後池田公は鳥取藩に移封となり、家臣団も鳥取へと移るが、三浦家と共に後藤一族も鳥取へと来て、その後為勝の子が建てたというのが、景福寺（鳥取市新品治町１３５）に伝わる後藤一族の墓。
　景福寺山門

　正面中央が後藤又兵衛、右横が夫人そして左が為勝の墓碑。この墓碑には「＊前略＊為勝之厳父曰後藤又兵衛正延?敕華道蓮。今也尋於道蓮之元由、黒田官兵衛源政成法号如水入道實子＊以下略＊」とあり、父曰く後藤又兵衛は元々は黒田官兵衛の實の子であると刻まれていて、後藤又兵衛は黒田官兵衛の子であるという一つの伝説が築き上げられた。
　墓

　NHKの大河ドラマ「黒田官兵衛」、作中でも後藤又兵衛は出てきたが、官兵衛と血が繋がってると観ると、又ドラマもひと味違って視ることが出来ました。
　なお、関西では平成２６年４月２３日放送のＮＨＫ「歴史秘話ヒストリア　官兵衛の息子・長政」で後藤又兵衛との絡みが紹介されていました。この墓所も画面で取り上げられていました。
　説明板

九州耶馬渓谷の奥耶馬にある「後藤又兵衛」の墓。後藤又兵衛が大坂の陣では破れるも、脱出に成功して当地に隠棲するが、豊臣方の完敗を知り自刀した。これを知った地元の人々でお墓を造り祀って来たと云うことが表示板に書かれていた。
　後藤又兵衛の墓と云わる

　説明板

２０１５年１１月九州耶馬溪を訪れた筆者は、後藤又兵衛のお墓探しを大まかな図面でもって探していた所、地区婦人会の生活改善集会に紛れ込んでしまう。そこで、この一件を切り出すと、更に奥数キロの場所に確かにあると教えられた。「所で何処から来た」「大阪の河内から後藤又兵衛が奮戦空く敗れ、落ち延びた場所を探して来た」。なんと、えらい所から来られた、これをお持ちなされ。と、頂戴したのが写真のエンジンフッドに乗っている「あん餅」。なるほど九州のお人は又兵衛にも、愚僧にも親切な心優しいお方が多い。
　なお、同様の話は九州南部にもあり、英雄伝説と江戸幕府への反発が繋がったものなのでしょうか。
　寅号と土産物

おまけ①
小松山合戦まつりは２０１４年５月３日玉手山周辺で開催されました。催しの第一部は箏曲「誓いのとき～大坂の陣４００年に寄せて～」が作曲家大嶽和久一門の元に初演された。４００年を区切りに、これから先の平和を誓った曲という。
小松山合戦まつり盛会　大嶽和久とそのグループの演奏

　誓いのとき　譜面

　おまけ②
　河内の煎餅メーカーいたに萬幸堂の協力で誕生した「大阪の新名物」です。豊臣や徳川等の家紋の焼き印と、大坂の陣という文字の焼き印。包装用紙には、河内名所図会から小松山合戦周辺の風景を取り入れています。
大坂の陣４００年煎餅「大坂の陣」

　店頭にて（近影）

　おまけ③
２０１４年１０月１１日（土曜日）大坂夏の陣の主戦場柏原で、フランスから来た青い目の侍と日本の侍が、甲冑戦を再現する。大坂の陣４００年事業柏原実行委委員会（笠井和憲会長）はＮＰＯ法人国際武術文科連盟と日本甲冑戦之会の協力で、「かしわら歴史まつり」を開催しました。これは、大坂の陣の中でも最初の主戦場となった、柏原市にスポットをあてて多くの武将や市民の犠牲を弔うと共に平和に感謝しようというものでした。
　大坂夏の陣番外「大和川の戦　青い目の侍も参戦」

　２０２０年当初から我が国は「外敵」とも云えるコロナウイルスの侵入を受けて防戦一方でありました。しかし、国民が一丸となって「戦い」一定の成果を見た所であります。しかし、二次、三次と襲ってくる可能性はあります。インバウンドと云う波に乗るもの大切だが、「者共心してかかれよ！」と大阪城内の豊国神社に祀られている秀吉公は仰っているようもの見えました。