2019/07/28 - 2019/07/28
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norijiroさん
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初日からハードスケジュールを強いられている今回の旅。アテネで数々の遺跡を見てとりあえず満足したわれわれは、郊外へ足を伸ばしてみることにした。アテネから日帰りで行ける観光地はいくつかあり、そのなかでも割と有名なのが世界遺産に登録されているメテオラである。「奇岩群とその上に建設された修道院共同体」というもので、写真で見るとキノコのように生えた岩山のうえに修道院が建てられている。これはなかなか面白そうだ。
だが、メテオラは遠い。アテネから北西へ約300kmも離れており、特急列車で4時間ほどかかる。東京~新潟間に匹敵する距離で、郊外という範疇ははるかに超えているといってよいだろう。列車はアテネを朝7時20分に出発してお昼ごろに現地へ到着、そして帰りは午後5時15分発。アテネと直通するのは1日この往復1本っきりだが、日帰りで世界遺産を見学できるダイヤにはなっている。親切といえば親切、しかし朝はつらい。朝5時半起きにて、メテオラへの列車旅がはじまった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道 タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
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今回は日本からツアーを予約してある。ツアーといっても、手配されているのは電車の切符と現地をめぐる貸し切りタクシーのみで添乗員などはいない。基本的には自力だ。まだ夜も明け切らぬなか、タクシーでアテネ中央駅へ向かうと…えっ?これ?
あまりの小ささに、間違えてホテル最寄りの適当な駅に着いたのかと思った。しかしこここそが正真正銘、首都・アテネにおける鉄道の玄関口である。ギリシャは高速バスが発達しており、鉄道の存在感はかなり薄いようだ。アテネ駅 (アテネ中央駅) 駅
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首都中央駅前の一等地であるはずが、ビルはもちろん店すらない。
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駅に併設された唯一無二の飲食店、エベレストで朝食を。2日連続エベレストで、さすがに飽きる。駅蕎麦でもあればよいのに。
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こちらが本日の列車。相変わらずデコレーションが激しい。
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一方で車内は割ときれいで席も広く、二等車とはいえかなり快適。背の部分もかなりリクライニングできる。横4列なので、新幹線の普通車よりもゆったりしている。
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列車はアテネの市街地を抜け、田園地帯へと入っていく。
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西に目を向ければ、車窓からはピンドス山脈の険しい山々が見える。
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車内の売店で購入した謎の独自ブランド・グレートコーラ。コカコーラと特に味は変わらない。数字の8はいったい何を暗示しているのか。
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意外、といっては何だが、時刻表どおりにメテオラの最寄り駅・カランバカ駅に到着。列車内には喫茶スペースなどもあり、座りっぱなしのバスや飛行機に比べれば過ごしやすかった。
カランバカ駅 駅
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駅前からはすぐに奇岩が望める。岩山とは違った妙になめらかな質感が面白い。
改札を出ると、われわれの名を記したボードを掲げるドライバーが待っていた。本日は彼のタクシーを貸し切り、いくつかの修道院をめぐっていく。 -
駅前から車で山道を15分ほど登り、まず最初に訪れたのがアギオス・ステファノス修道院。12世紀ごろから修道士が住みはじめ、14世紀には修道院が建設された。現在は女子修道院となっているとのこと。標高575メートルの岩山のうえにありながら、同じ高さに道路があるため、メテオラでただ一つの「階段を上ることなく入れる」修道院であるという。この「 」のなかの言葉がいかに重要な意味をもつか、後々思い知らされることになる。
アギオス ステファノス修道院 寺院・教会
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陸続きのように見えたが、修道院と外部の間には深い岩の切れ目があり、橋でつながっている。
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丸い塔がなかなかオシャレ。庭には小さな花々が美しく咲き、漂う女子寮感。修道院というと厳格かつ質素な印象だったが、建物は地中海風で明るい感じを受ける。修行も楽しくできそう?
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広々とした修道院の庭から下界を見下ろす。広がる平原と遠くの山並みが織りなす眺望が心地よい。ほとんど展望台である。と、そんな呑気なことを言えるのは、階段を上らずにここに来たからであろう。
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見学後は次の修道院へ移動。途中、眺めのよいところで車を停めてもらって記念撮影。はるか山頂に見えるのはアギア・トリアダ修道院。明らかな独立峰のうえに鎮座している。あんなところ、登れないよなあ…。
アギア トリアダ修道院 寺院・教会
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展望台からの眺め。風の吹き抜ける晴天の下で奇岩を眺めるのは気分がいい。アテネからかなり北上したことに加え、山の上なので暑さはかなり和らいでいる。
一帯の奇岩群は6千万年前に海底で堆積した砂岩が隆起し、浸食されたことで形成された。一方で、周囲はいたって普通の山々であり、岩が残っているのはごく限られた区域のみ。なかなか不思議な場所である。
修道士にとって、外界から隔絶された岩山は世俗との関わりを断てる理想的な環境であり、なおかつ天に近い神聖な場所とされたようで、山頂に修道院が次々と建設されたという。1988年には世界遺産に登録された。現在でも6つの修道院が活動している。 -
2か所めはヴァルラーム修道院。駐車場には移動販売車やダメな土産物店が並び、資本主義による侵食がみられた。
ヴァルラーム修道院 寺院・教会
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そんな土産物店で典型的なメテオラグッズを購入。なかなかグッとくるフォルムである。
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もちろん門を一歩入れば敬虔な信仰の世界。目指す修道院は岩の上、登攀には苦難が伴う。ルサヌー修道院を横目に眺めつつ、階段をのぼっていくが、なかなかしんどい。現在は岩肌を削って作られた階段があるが、昔の修道士は岩の穴にはめ込まれた木の足場を伝って登っていたらしい。下手に落ちたら即死…じゃなくて天に召されることは免れない。それも修行のうち?
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後で別の場所から撮ったヴァルラーム修道院の全景。すさまじい立地だ。外界との交流はほぼ不可能であり、そこまで世俗を拒否しなくても…と思う。
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物資運搬用のロープ。荷物扱いでよいから乗せてくれ。
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ようやく山頂へ到着。こちらも外観はなかなか瀟洒である。修道院感がない。
一つ目の修道院もそうだったが、実際の修道士・修道女を見ることはほとんどなかった。入り口で入場料を徴収していた人くらいか。一般開放中は、どこに隠れているのだろう。ただ、年々観光客が増えて修道士の活動に支障が出ているらしく、将来的には入場の制限を検討している修道院もあるとのこと。 -
中世の城のようなテラス。眺望はタワマンの最上階にも勝ろう。ホテルにでもしたら、結構儲かる…などと世俗にまみれた考えから抜け出せない。
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そんなテラス横から見える景色。ここも眺めは最高である。
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9連式の鐘。鳴らしてみたかった。
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前日の疲れを残すわれわれ。ヴァルラーム修道院への参拝(という表現でよいのか?)ですっかり体力を削られ、正直なところこのままお開きでもよい。が、われわれの修行はまだまだ続く。到着したのはメガロ・メテオロン修道院。メガロ=グレートの意であり、規模も最大というこの一帯のボス的存在だ。
メガロ メテオロン修道院 (メタモルフォシス修道院) 寺院・教会
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駐車場から修道院へは渓谷をいったん下り、また岩山を上るという非効率仕様。穴を掘ってすぐ埋める、というような苦行に近く、人格修養にも大いに役立ちそうだ。岩山のなかに通路が掘られている。
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エンドレスと思えるほどの階段がつらい。まさに地獄。いや、山頂の上には神様がおわすのだから、stairway to heavenというべきか。
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ここは建物のなかも結構公開されている。他の修道院に比べて質素なつくり。
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外観もチャラついた雰囲気は一切なく、質実剛健。さすがはボス。
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歴史ありげなキリストの絵。ありがたや。階段上りという苦行を経て、天国に一歩近づいた気がした。
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農作業の道具なども展示され、生活感があふれている。山頂には畑がつくれないので、農作業は岩山のふもとで行われていたらしい。修道士は朝、井戸の釣瓶のような道具で下界に降りていき、夕方にまたそれを引き上げてもらって戻ってきたようである。落ちないのが不思議、むしろ落ちたほうが自然と思われるような粗末な設備で、毎日命がけだ。
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帰路も階段の上り下りに呻吟しつつ、ようやく車へ戻った。ヴァルラーム修道院を見上げつつ、このままツアー終了かと思いきや…。
ヴァルラーム修道院 寺院・教会
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ルサヌー修道院へ到着。ここもロング&ワインディングな階段が行く手を阻む。長男はそれを見ただけでギブアップし、ドライバーと一緒に下で待機。野球部のくせして情けない。
上空からの景色はここがいちばんよかった気がする。ルサヌ修道院 寺院・教会
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最後に聖ニコラオス修道院を車窓より見学し、堂々6か所全制覇! 階段づくしのおもてなしを受けてヘロヘロにはなったが、奇岩と修道院を存分に楽しめた。
アギオス ニコラオス修道院 寺院・教会
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帰りの列車にはまだ時間に余裕がある。列車内には軽食程度のものしか売っていないので、ドライバーから、レストランかファストフード、どちらかに行くか希望を尋ねられた。レストランできちんと食べるほどの時間はないような気がしたので、ファストフードを選択。ハンバーガーか何かかと思ったが、連れられたのはこちら、「チキンタイム」。
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こちらの売りは、ギリシャ料理・ギロピタである。いわゆるケバブを細切りにし、野菜、フライドポテト、ヨーグルトソースと一緒に、ピタというナンのような平たいパンで挟んだもの。肉とポテトのクドい面々をヨーグルトがさっぱりと締め、厚手でもちもちのピタは十分な存在感がある。B級感あふれる店名からは想像もしえなかったかなりの逸品だ。
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午後5時すぎの電車に乗ってアテネへと帰還。帰りも列車は定刻通りに運行されたが、ホテルに到着したのは夜10時すぎであった。灼熱地獄、階段地獄の2日間から解放され、本当に明日こそはゆっくりしたい。が、明日の朝はこの旅いちばん早起きを強いられるのである…。
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