2023/09/17 - 2023/09/19
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アルピニスとしさん
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メテオラも紹介しつくされた感があるが、ここの絶景の楽しみ方にはこんなのもある。
それを紹介したいと思う。
なにしろ、僕にとってのメテオラは観光目的のみならず、その後に控えている神々の山を登るための前哨戦的な修行の地でもあったのだ!
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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遥かなる天空に聳え立つ修道院。いささか漫画すぎる絵面なのだが、やはり世界遺産に登録されるほど重要な歴史的建造物群でもある。延々と続いている平地のど真ん中に突如隕石が落下して奇岩群を形成したような風景だ。
実はこれまでにやや類似した修道院を見たことがある。スペインのモンセラートだ。いや、冷静に考え直すと似て非なるものだ。モンセラートでは山の中に奇岩群が現れるというのであるし、頂上に修道院が築かれているのでもない。ただ、奇岩群という点と礫岩で構成されている壁面という点はクライマーの僕に類似性を感じさせる。だからこそ、この修道院を囲む奇岩に挑んでみたいと切に願っていたのである。メテオラ 史跡・遺跡
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直近の洪水のせいでメテオラの足がかりとなるカランバカ行きの経路は変わったようだ。ガイドブックやWeb上ではトリカラを経由してとあるが、実際にはカランバカに先に到着するためここを経由する必要はなかった。
まずはBC拠点カランバカに到着。
カランバカの街はそこそこ潤った田舎町といった風情。
観光業で充分成り立っており、これは我々が抱きがちな「困窮したギリシャ」というイメージとは程遠い。ただし、この状況は富んだというほどでもない。そして、思ったよりも物価は高く、場所によってはテサロニキと大差なかった。 -
もちろん、地元民が行くレストランへ向かえば当然相場は半額となるし、そういうところのローカルフードが美味しかったりするのだが…
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街から見たメテオラ修道院がすでに圧巻だった。麓から見上げる人に、崇高あるいは神々しい印象を与えている。修道士たちはただ厳かな生活で修練を積むためだけにその地を目指したわけではなかろう。何らかの掲示を受けたか、あるいはその場所に修道院を築くことで得られる影響力そのものも悟ったかもしれない。
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カランバカは2泊とした。
なぜなら、この後のオリンポス山の前哨戦として、簡単の山登りをこなしておく目的があった。ここでのツアーとすることでロープやハーネスなどの各種ギアやヘルメットも自分で飛行機まで持ち込む必要がなくなる。これは本当によかった。総勢2名の荷物が手荷物と10kgの小型トランクたった1個で済む。 -
翌日僕達は数キロ歩いて隣村のカストラキに入った。かなり早く到着したが、眼の前のペンションでエスプレッソを頼み、ガイドを待った。壁面に差し込む朝焼けが綺麗だ。
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ヴィアフェラータへの参加者はアクティブなフランス人カップル1組、普段は運動に縁のなさそうなアイルランド人の中年男1名、オーストラリア人の若い女性1名、それに我々とガイドだった。ヘルメットとハーネス、ヴィアフェラータのキットを出発前に受け取った。ガイドの2名はスマホ用防水ポーチや冷えた500mlのポットボトル水も配るなどなかなか気が効いている。もっとも、このツアーは一人65ユーロと3時間程度のアクティビティとしてはなかなか高額でもある。
(適度にスリリングだけど初心者でも楽しめるだろうレベル!) -
さて、ガイドの彼ら2名はロープ2本を背負ってアプローチのラインを進んでいく。老齢の者と若者だったが、若者の方はハイレベルのクライマーであるとすぐわかった。このロケーションで高みを目指して素晴らしい眺望を得る。岩の質感、感触、間近で際立つ造形。スケール感。カランバカの街中何軒かでいろいろなアクティビティを申し込めるので試してみるといいかもね。
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登ることで得られる遠景の距離感や俯瞰で実感する高度感。非日常の世界。それに加えて、修道院を望みながら中世にタイムスリップしたような感覚で過ごすひととき。
ここに来られてよかったな、と感じたあと昼食を取って午後からはカランバカの街から挑めるトレッキングコースへ向かう。 -
この天空の修道院に籠もりながら、アジア風にいうならば「仙人」のような暮らしをしてきた修道士達は自らでパンを作るなど、食を取る以外にはひたすら、書物を読みながら理解を深め、そのうえで同士たちと議論を深め、真理に近づいていったろう。
(写真内のフックは数十m昇降する、現代でいうところのエレベーター。物品だけでなく、人の運搬にも使っていた。網にくるまりと上で数名が人力で巻き上げる。何かの間違いで途中でロープを離したら…4にます。『死刑台のエレベーター』か…) -
自分に内在する創作の衝動のまま素晴らしい工芸品や芸術作品をを生み出していたようだ。これはトレッキングの後に訪れた修道院内の展示品をみてもうかがい知ることができた。
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外界のノイズを遮断し、自分と向き合いながら気づきを見出し、理解を深める。登山中やランニング中に得られるような覚醒の状態を連続させる。そんな日常だったのかもしれない。
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ここいらを歩きながら「なぜ現在のギリシャにかつてのような偉大な天才たちが現れないのか」ということについて考えを深める。
その謎に対する自分なりの答え。
欧州では中高時に日本でいう古語(や漢詩など)の代わりにラテン語かギリシャ語を選択する。この場合、ラテン語を選ぶ人が多い。ギリシャ語はラテン語のように現在のラテン系言語との関連性も薄いし、英語からも随分と遠い。かつて至極の秘宝のように扱われたギリシャ語の文献は時代を経てその重要性を失い、現代のデジタル化から遠い所に位置し、論文で引用されることも少なかろう。そのあたりも関係しているかもしれない。
それにしても次は神に問うような山行となる。
そう、伝説の神々の山、オリンポスの頂きを目指す。
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旅行記グループ オリンパスでオリンパスを撮ろう
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