2019/12/05 - 2019/12/05
9位(同エリア211件中)
旅猫さん
12月は、仕事の関係で土日も休めず、2週間近く連続出勤が決定。
そこで、その前に振替休暇を取ることにした。
ちょうど安い切符が利用できる時期なので、みちのくへの温泉旅を考える。
宿を探してみると、宮城の鎌先と山形の肘折に良さそうな宿が空いていたので、迷わずそこに決めた。
季節柄、山形では雪景色も見られるかもしれない。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- ホテル
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 新幹線 JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
今回は、大宮駅11:02発の『やまびこ47号』で出発。
久しぶりに遅い出発だったが、それでも列車は混み合っていた。 -
福島駅で降り、12:40発の快速『仙台シティラビット5号』に乗り換え、鎌先温泉の最寄り駅である白石駅へと向かう。
新幹線の後に在来線の列車に乗ると、ホッとする。 -
白石駅には、13:11に到着。
駅前に降り立つと、いつしか小雨が降っていた。
雨を避けながらバス停で待っていると、13:35発の白石市民バスがやってきた。 -
『きゃっするくん』と言うの名の小さなバスは、市街地を抜け、山間へと入り、20分ほどで鎌先温泉バス停に着いた。
-
とりあえず、宿に入る前に一風呂浴びることにする。
まず足を向けたのは、高台にあった木村屋旅館。 -
厳寒を入ると、真っ白な猫さんがお出迎え。
立ち寄り湯をお願いし、浴室へと向かった。
にごり湯の宿とあったので楽しみだ。 -
そして、初めて入る鎌先温泉はやや褐色の湯だった。
温泉らしい香りが漂い、これは良い。にごり湯の宿 湯守 木村屋 宿・ホテル
-
露天風呂もあり、空気に触れる分、さらに濁っていた。
湯はやや熱めだったが、外は寒いのでちょうど良い感じだ。 -
大浴場は最上階にあるので、眺めが良い。
すぐ下に、今宵お世話になる一條旅館の本館が見えた。 -
鎌先温泉は、狭い谷沿いにあり、旅館や民家が肩を寄せ合うように建ち並んでいる。
こじんまりとした温泉街で、とても良い雰囲気だ。鎌先温泉 温泉
-
良い湯だったので、もう一軒立ち寄ってみる。
次にお邪魔したのは、趣のある外観が特徴的な最上屋旅館。鎌先温泉 最上屋旅館 宿・ホテル
-
中に入ると、木の温もりが溢れていた。
いかにも旅館と言った感じで、とても好印象である。 -
浴室に入ると湯気がもうもうと立ち込めていた。
それでも、浸かってみるとちょうどよい湯加減だった。
湯は、木村屋旅館よりも濁っている。
今回、一條と最上屋旅館とどちらに泊まるか悩んだのだが、後で、宿の選択の間違いに気付くことになるとは、この時は想像もしていなかった。 -
鎌先温泉の湯の良さを堪能し、いよいよ今宵の宿へと向かう。
その宿は、温泉街の一番奥に建っていた。
坂を登って行くと、先ほど露天風呂から見下ろした木造4階建ての建物が見えてくる。
これが本館だ。時音の宿 湯主一條 宿・ホテル
-
宿の玄関は、近代的な別館にあった。
宿の方が外まで出迎えに来ていて、そのままロビーまで案内していただく。
座って待っていると、お茶とずんだ餅が出てきた。
宿泊の手続きもここで済ませ、部屋へと案内された。 -
通されたのは10畳の和室。
内装を新しくしたようだが、衣桁があったりと古風な造りで、全体的に古さが感じられる。
窓からは、温泉街が見渡せた。 -
座卓の上には、タブレット端末が置かれていた。
よくある冊子ではなく、宿の案内はこの端末が代わりのようだ。 -
とりあえず、荷物を置いて温泉をいただくことにする。
まずは、開湯以来、590年余り湧き続けるという薬湯へ。
特徴的な湯舟に近付くと、なんと、濁り湯ではない。
立ち寄り湯で入った二軒の宿とも濁り湯だったので、鎌先温泉は褐色の濁り湯だと思っていたのでがっかり。
それでも、柔らかい湯の泉質は悪くはなかった。 -
気を取り直して、別の源泉が注がれているという大浴場へと向かう。
しかし、こちらも無色透明な湯だった。
湯自体も温泉らしさは感じられず、さらにがっかり。
宿の選択を間違ってしまったようだ。 -
露天風呂もあったが、寒々しい感じだったので、入らなかった。
眺めが良ければ、我慢して入っただろうが。 -
部屋で休んでいると、食事の支度が出来たので、部屋まで迎えに来るという。
いろいろな宿に泊まってきたが、食事の迎えがあったのは二回目である。
しかも、今年二回目だ。
案内されたのは、かの木造の本館だった。
黒光りした廊下と、障子から漏れる仄かな明かりが美しい。 -
通された部屋は個室だった。
これほど落ち着いた雰囲気の食事処は滅多に無い。 -
床の間には、掛け軸が一幅。
そこには、『一葉落知天下秋』の文字。
読みは、『一葉落ちて天下の秋を知る』。
一葉は青桐の葉で、いち早く葉を落とすことから、青桐の葉が一枚落ちるのを見て、秋の訪れを知ると言うこと。
要は、わずかな前兆から、この後に起こる事象を察すると言うことわざだ。 -
しばらくすると、障子を開けて料理が運ばれてきた。
まずは、苺の食前酒と前菜。
海老芋柚子味噌焼などがあり、普通に美味しかった。 -
お造りの代わりに出てきたのは、牛すじのパイ包み。
苦手な食材については、事前に宿に伝えていて、当日は変えてもらうことが多い。
その内容は宿によって大きく異なり、下は刺し身こんにゃくから、上はビーフシチューや鮑のステーキまでと、いろいろとある。
今回は、中の上と言ったところでなかなか良かった。
お酒は、とりあえずエビスを。 -
次の蓋物は、めぬけのかぶら蒸しなるもの。
銀杏と百合根などに、旨出し餡なるものがかかっていた。 -
和食となったので、日本酒をいただく。
頼んだのは、蔵王酒造の『昇り龍 純米大吟醸』。
切れのある味わいで、料理にも良く合う。 -
焼き物は、三種類の中から一つ選べるというので、甘鯛献珍焼をお願いした。
出てきたそれは、思ったよりも上品なものだった。 -
お酒の追加は、金の井酒造の『綿屋 純米大吟醸』を選んだ。
こちらは旨味も強く、絶妙に均整の取れた味わいだった。 -
そして、鍋物も二品から選ぶものだったので、蔵王『フランス鴨』の鍋を選択。
ところが、これが思ったよりも色気のないものでがっかり。 -
楽しみにしていた食事だったが、結局、印象に残る料理はなかった。
全体的に味もいまひとつで、ご飯も汁物も普通。 -
最後の水菓子は、季節柄か、クリスマスケーキが出てきた。
林檎のグラタンもあったが、あまりにも甘くて一口で止めてしまった。
宿泊料金にしては料理が残念だった。 -
食後、館内を散策。
玄関の辺りは趣のある造りだが、奥は増改築により複雑で中途半端な印象を受けた。 -
翌朝、起きて窓の外を見ると、屋根に薄っすらと雪が積もっている。
明け方に、雪が降ったようだ。 -
朝風呂の後、夕食と同じ場所で朝食をいただく。
前の晩と同様に、迎えが来たのには驚いた。 -
箸を取ろうとすると、箸置きに目が留まった。
よく見ると、小さな鉄瓶らしきものだった。 -
料理には、宮城らしく笹蒲鉾があり、少し炙ってから食べるので、温かくて美味しかった。
ふと、職場近くの居酒屋で、炭火で炙りながら食べるのを思い出した。 -
鮭と塩鯖、そして玉子焼きも温めるようになっていたのは嬉しい。
魚はどちらも美味しかった。 -
そして、朝食で一番気に入ったのが白石名物の温麺だった。
冷え込んだ朝に、この温かい温麺は最高だ。 -
最後に出てきた自家製ヨーグルトも美味しかった。
そのヨーグルトには、蜂蜜の小瓶が付いていた。
訊けば、地元の小さな養蜂家が作った蜂蜜だそうで、ヨーグルトにかけて食べてみてほしいと言われた。
口に入れると、上品な甘さが口の中に広がった。 -
夕食よりも満足した食事の後、本館の中を見学。
国の登録文化財である木造の建物は、旅籠の風情と旅館の佇まいが混在としている。 -
格子の入った窓からは、静かな温泉街が望めた。
奥には、名残りの紅葉も。 -
下の階に降りると、長い廊下に沿って障子が並んでいた。
最近まで宿として使っていたそうだが、今は利用されていない。
趣はあるが、冬は寒そうだ。 -
1階の一部では、部屋の中を見ることもできた。
4畳ほどの小さな部屋で、今は明かりも暖房も無いが、どこか温もりを感じる。
木の温もりだけではない、長い年月、多くの人たちが泊り、いろいろな思い出を作ってきた場所の温かみだと感じた。 -
本館を見学した後、外へ出てみることにした。
宿の方に、玄関を出て右手に歩いて行くとご神木があると教えていただいたので、そちらの方へ行ってみる。
すると、説明版のある扉があった。
そこは、大正時代、仕事をくれとふらりと現れた男が、たった一人で手掘りした洞窟なのだそうだ。
そこから、大浴場で利用されている冷鉱泉が自然に湧き出ているらしい。 -
その先に、木造の建物が道の両側に建つ場所があった。
右手に建っているのが茶葉を作る施設で、左手のものは湯の花を取る建物だったそうだ。 -
茶葉を作っていたという建物の中には、当時の設備がまだ残されていた。
この宿では、昭和の初期まで、今は駐車場となっている場所で茶を栽培し、自家製の茶を宿泊客に出していたそうだ。 -
奥にあった杉の大木を観た後、今は使われていない本館の玄関を見学。
脇には、古い看板がいくつも掲げられていた。
9時半過ぎに、宿の車で白石蔵王駅まで送ってもらう。
今回お世話になった宿は、宿の方の応対が非常に良く、居心地はとても良かったのだが、温泉と料理は残念だった。 -
白石蔵王駅には10時10分頃に到着。
列車までは20分余りあったので、駅構内の一角にある展示室を見に行く。
以前は、白石温麺の資料室となっていたのだが、別の展示に変わっていた。白石蔵王駅 駅
-
白石蔵王駅を10:56に出る『やまびこ136号』に乗り、福島駅へ。
この後、この日の宿がある肘折温泉へと向かう。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (8)
-
- アランジェさん 2020/05/19 20:16:02
- 鎌先温泉
- 旅猫様、
いつも楽しませて頂いております。
今回も素敵なにゃんこ様で。
鎌先温泉は行ってみたいけど、
宿の選択に迷っていたので…
まさに!知りたかった事で!!
本当に参考になりました~
泉質もですが、湯処の雰囲気が。
思わず感謝コメントでした。
- 旅猫さん からの返信 2020/05/20 19:56:01
- RE: 鎌先温泉
- アランジェ様
書き込みありがとうございます。
鎌先温泉は、こじんまりとしていてなかなか風情のある温泉場でした。
狭いところに肩を寄せ合うようで、気に入りました。
今回は、3軒の宿で湯を使いましたが、最上屋旅館が一番良かったです。
アランジェさんの参考になり、嬉しいです。
今の状況では難しいですが、いつか、鎌先の湯を体験してください!
旅猫
-
- hot chocolateさん 2020/02/09 15:03:02
- 歴史ある温泉!
- 旅猫さま
こんにちは。
北風吹く寒い日に、寒そうな東北の鎌先温泉の旅行記を拝見しています。
鎌先温泉というのは初めて聞きました。
一條旅館にしても、最上屋旅館にしてもなかなか趣のある旅館ですね。
一條旅館の開湯以来、590年余り湧き続けるという薬湯、すごい歴史ある温泉なのですね。
でも、期待した程でもなかった・・・
お食事は、写真で見る限りとても美味しそうな気がするのですが、少し残念だったのですね。
hot choco
- 旅猫さん からの返信 2020/02/09 17:45:17
- Re: 歴史ある温泉!
- hot chocoさん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
今日は北風が強くて寒かったですね!
鎌先温泉は、歴史のある温泉場ですが、とても小さくてお店などはありません。
狭い谷間に、肩を寄せ合うように宿と民家が建ち並んでいます。
立ち寄り湯は素晴らしかったのですが、泊った一條旅館は温泉がちょっと残念でした。
もちろん、お湯も料理も悪くはないのですけどね。
老舗旅館と言うことで、力が入りすぎているような気がしました。
旅猫
-
- こあひるさん 2020/02/05 10:41:59
- いい雰囲気ですね
- 旅猫さん、こんにちは。
鎌先温泉は、近場だし気になっていながら、まだ訪れる機会がなくて・・・。
鎌先温泉といえば、やはり一條旅館の本館を思い浮かべますが・・・本館は、食事のみで宿泊施設としては今は使われていないのですね。食事や温泉が期待通りでなく残念でしたが・・・本館見学料ということでしょうか。他の宿に泊まって、外観だけでもいいのかもしれませんけれど・・・。
寂れてしっとり静かな・・・こじんまりとした温泉街の雰囲気がいいですねぇ。これで雪でもあればもっとステキなのに・・・。宮城はなかなか雪は積もらないから・・・。
肘折温泉は、例年に比べるとひどく積雪が少ないと思いますが(今年はどこもそうですね)、それでも雪景色を楽しめたでしょうね~。わたしは昨年に肘折、今年は酸ヶ湯に行ってきましたよ~。続きを楽しみにしています。
こあひる
- 旅猫さん からの返信 2020/02/06 22:09:51
- RE: いい雰囲気ですね
- こあひるさん、こんにちは。
書き込みありがとうございます。
鎌先温泉は、こじんまりとしていてなかなか良かったですよ。
一條旅館の本館は一見価値がありますね。
宿的には、本館に泊まれないとあまり意味がないかもしれません。
温泉重視なら、やはり最上屋旅館がおすすめです。
今年は雪不足なので、宮城側の鎌先では、まったく雪はありませんでしたね。
その代わり、肘折ではたっぷりの雪に出会えました。
酸ケ湯は豪雪地帯なので、雪は最高だったのでは。
あそこは、温泉も素晴らしいですしね。
旅猫
-
- 墨水さん 2020/02/04 23:38:42
- 非酸化。
- 旅猫さん、今晩は。
温泉は、酸化すると「濁」ります。
無色透明の温泉は、酸化する前の貴重な湯なんですが・・・・。
お嫌いですか?。(笑)
それとも、ただの「湯」だったから?。
墨水。
- 旅猫さん からの返信 2020/02/06 22:04:17
- RE: 非酸化。
- 墨水さん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
もちろん、酸化して濁るのは知っています。
足元湧出の湯でも酸化するので、酸化する成分があれば、多少は濁ります。
酸化する前の湯に入れるところは、まずは無いでしょうね。
地表に出た途端に酸化しますので。
たまに、清掃直後で入れ替えたばかりだと、かなり澄んだ湯にありつけるときもありますが。
鎌先の湯は、泉質がそれぞれ微妙に違うようで、泊った宿は濁らない湯でした。
600年前から湧く湯のほうは単純泉ではないので、温泉成分はそこそこあります。
湯の花が少しだけ舞っていました。
旅猫
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったホテル
-
にごり湯の宿 湯守 木村屋
3.22
白石(宮城) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
8
50