2019/06/22 - 2019/06/22
2位(同エリア492件中)
bunbunさん
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グランドサークル(The Grand Circle)中央やや西、アリゾナ州(State of Arizona)北部のナバホ砂岩地帯に位置する、アンテロープ・キャニオン(Antelope Canyon)のうちのアッパー・アンテロープ・キャニオン((Upper Antelope Slot Canyon)、コロラド川が大きく蛇行したホースシューベンド(Horseshoe Bend)、グレン・キャニオン・ダム(Glen Canyon Dam)とそのダム湖であるパウエル湖(Lake Powell)を見学して来ました。
付録に、
アンテロープ・キャニオンとホースシューベンドの地質学的歴史として、1.ナバホ砂岩、2.コロラド川、3.ホースシューベンド、4.アンテロープ・キャニオンについて記載しましたので、ご興味とお時間のある方はご覧ください。
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8:30、アリゾナ州(State of Arizona)はウィリアムズ(Williams)の宿泊ホテル:ラマダ バイ ウィンダム(Ramada by Wyndham)の朝。
この後9:00にホテルを出発、州間高速道路 I-40を東に進み、ホースシューベンド(Horseshoe Bend)をめざします。 -
途中フラグスタッフ(Flagstaff)で国道US89に入って北上した、グレイ・マウンテン(Gray Mountain)付近です。
広大な乾燥地帯が広がっています。 -
さらにUS89を北上してキャメロン(Cameron)にやって来ました。
モーテル・インディアン・アーツ&クラフツ・ダイニング・ルーム(Motel Indian Arts & Crafts Dining Room)でトイレ休憩です。
「キャメロン」というと多くの方は英国第75代首相のデイヴィッド・キャメロン(David Cameron)氏や映画監督のジェームズ・キャメロン(James Cameron)氏等を思い浮かべと思いますが、私は昔PDとして雇っていた米国人のキャメロン氏を思い出します。彼の祖先はアイルランド人で「キャメロン」の意味は「ワシ鼻(hook nose)」だと言ってました。気になったのネットで調べて見ましたら、意味の「ワシ鼻」は合ってましたが、祖先はスコットランドのようです。 -
さらにUS89を北上してウィロー・スプリングス(Willow Springs)の南10 km付近にやって来ました。
この辺の地質はナバホ砂岩です。
侵食によって異なる色の地層が綺麗に現れますね。
茶色は酸化鉄が多い層、白くなるほど還元によって酸化鉄がなくなり、酸化ケイ素(石英)が多くなっている層です。詳細は付録1.をご覧ください。 -
ビター・スプリングス(Bitter Springs)からUS89を5 kmほど北上したあたりです。
ナバホ砂岩の平地に蛇行する大きな溝が掘られてますねえ。
あの溝はコロラド川の支流の侵食でできたもので、支流は溝の下を写真の右(北)に流れ、数キロメートル先でコロラド川に合流します。 -
ホースシューベンドの手前10 km程の所に来ました。
バホ砂岩の崖です。侵食された堆積層がむき出しになっています。 -
さらに1 km程進みました。
乾燥地特有の低木が沢山生えてますねえ。 -
ホースシューベンド駐車場(Horseshoe Bend Parking Lot)に着きました。
バスを降りて遊歩道を上り、丘を越えてホースシューベンドに向かいます。 -
丘の上まで来ました。
平らな地面が大きくえぐられています。 -
えぐられた方向をズームイン。
曲がりくねった遊歩道の先に人がたくさん集まっています。
あそこがホースシューベンドの展望台ですね。 -
今度は遊歩道を下ってホースシューベンドに向かいます。
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ホースシューベンドの展望台に着きました。
コロラド川までの深さは約300 mです。
展望台には柵のある場所と無い場所があり、ここはある場所です。
カメラに全体が収まらないので、左(南)半分です。
ナバホ砂岩の河岸壁は高くてほぼ鉛直です。理由は付録3.をご覧ください。 -
場所を移動しました。
ここには柵はありません。怖いですねえ。
全体を入れようといましたが、通常のカメラの焦点距離では入りません。これが精一杯です。
広角レンズが必要ですね。
おや、河原にテントがあるし、川にはボートも走ってます。 -
テント、ズームイン。
いいねえ、あんなところでのんびりしたいものだ。 -
ボート、ズームイン。
気持ちよさそうだねえ。 -
ホースシューベンドの北側河岸壁。
下部はナバホ砂岩が侵食・風化されてできた砂の斜面ですね。 -
1つ上の写真の右側です。
来る途中にもありましたが、侵食された堆積層がむき出しになったバホ砂岩の崖です。
この写真からも分かるよう、展望台には柵のある場所と無い場所があり、無い場所に出ることは禁止されていません。
転落したら死んじゃいますね。
実際これまでに死亡事故が何件か起こっています。 -
見学を終え、遊歩道を駐車場へと引き返します。
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ホースシューベンド駐車場からバスで北東に6 km程移動して。ページ(Page)の街にあるツアー会社:アンテロープ・スロット・キャニオン・ツアーズ(Antelope Slot Canyon Tours)*) のエアコン付マイクロバスに乗り換え、約7 km走ってアッパー・アンテロープ・キャニオン((Upper Antelope Slot Canyon)入口まで来ました。
私達が乗って来たマイクロバスです。
*) アンテロープ・キャニオンにはアッパー・アンテロープ・キャニオンとローワー・アンテロープ・キャニオン(Lower Antelope Canyon)の2つがあります。観光は、認可されたいくつかのナバホ族のツアー会社によってのみ可能です。詳細は付録4.をご覧ください。 -
他のツアー会社の観光客用の車。
小型トラックにベンチと幌を付けただけです。
ここまで至る道路は砂ぼこりが多く、バンダナ等で口をふさぐ必要がありますが、エアコン付きのバスですと窓を閉めて砂ぼこりを防ぐことができるため、その必要はありません。
添乗員さんの話ですと、エアコン付きのマイクロバスを使っているのは、私達の利用したツアー会社だけ、とのことです。 -
さて、いよいよアッパー・アンテロープ・キャニオンに入ります。
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奥に入っていきます。
アッパー・アンテロープ・キャニオン。 -
アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
なんせこれだけの人ですからねえ。
地面は見えなくてガイドブックに載っているような写真はとれません。
上の方だけを写していきます。 -
アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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アッパー・アンテロープ・キャニオン。
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外に出ました。
この後同じ道を入口へ引き返します。 -
引き返す途中の一枚。
アッパー・アンテロープ・キャニオン。
中は暗いので普通のカメラで岩をとると空は殆ど白飛びします。
ここは入口近くで中が明るかったので珍しく青空が写りました。 -
入口に戻って来ました。
この後マイクロバスでツアー会社に行き、そこから北西約3 kmにあって、コロラド川が流れるホースシューベンドの上流のパウエル湖(Lake Powell)に大型バスで向かいます。 -
パウエル湖に着きました。
パウエル湖は、洪水防止を含めた治水、灌漑用、地方自治体用、工業用、およびその他の有益な目的のための水の貯蔵と配送、電力の生成、水質改善、レクリエーションの提供、魚や野生生物の環境改善を目的として、1956年~1966年にグレン・キャニオン(Glen Canyon)に造られたグレンキャニオンダム(Glen Canyon Dam)のダム湖で、人口湖としてはフーバーダム(Hoover Dam)のダム湖であるミード湖(Lake Mead)に次いで米国第2の規模です。
ここでは、ダムの西端にあるカール・ハイデン・ビジター・センター(Carl Hayden Visitor Center at Glen Canyon Dam)からの眺望と、センター内の展示物を示します。
ビジター・センターから見たパウエル湖。 -
パウエル湖、ズームイン。
遠くにボート乗り場があって、観光ボートが沢山いますが、この写真では分かりませんよね。 -
パウエル湖とグレンキャニオンダム。
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パウエル湖とグレンキャニオンダム。
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ビジター・センター内にあったダムの構造図。
このダムはアーチ式ですが、下に行くほど水圧が高くなるため、コンクリートの厚さは下部が上部の12倍になっています。 -
「タービンランナー
このステンレス製のタービンランナーは、1989年にコロラド州モントローズ(Montrose)にある開拓局のクリスタルダム発電所(Bureau of Reclamation’s Crystal Dam Powerplant)から取り外されました。重量は約8.5 tで、フランシスタイプ(Francis-type)の反応タービン(発明者ジェームズB.フランシス(James B. Francis)にちなんで命名)の回転部分であり、コロラド川の開拓局管轄区域で最も広く使用されているタイプです。このランナーはグレンキャニオンパワープラント内のランナーよりも約1/5と小さいですが、同じように動作します。
水力発電を行うために、グレンキャニオンダムは、貯水池からタービンにパイプ(水圧管)を通って水が流れる「ヘッド(head)」を設置しています。動きの速い水がタービンランナーのブレードを押し、ランナーが風の中で風車のように回転します。ランナーは、大きな垂直シャフトによって発電機の回転アセンブリに接続されています。シャフトは、落下する水から得られたタービンの機械的エネルギーを発電機に伝達して、電気エネルギーまたは電気に変換します。水がタービンを通って移動すると、水はそのままの状態で下流に流れ、他のニーズに応えます。」
―説明文の意訳―
詳細は下の図を参照してください。
新卒で会社に入ったころ、工場実習でこんなタービン作りのお手伝いをしていました。鋳型づくり、電気炉での材料の溶解、溶解材料の鋳型への流し込み、鋳型壊し、グラインダーかけ等一連の作業すべてです。ブレードに模様がありますが、人がグラインダーで磨いたあとですね。重労働でしたが今思うと懐かしい。 -
ビジター・センター内にあった水力発電の説明図。
タービンの位置を赤字で示しました。
この説明図には、タービンも含めた発電機1台当たりの発電量は11万2500 kwと書かれていますが、現在の発電量は16万5000 kW/台で、これが8台ありますから総発電量は132万kWで、これが580万の顧客に送られているそうです。ちなみに日本最大の発電量を誇る奥只見発電所は4台の発電機を有し、総発電量は56万kWです。 -
「恐竜の足跡
足跡は、重さ1 t、長さ6 mの肉食恐竜によって作られました。砂岩の板は近くの峡谷から運ばれました。
ディロフォサウルス(Dilophosaurus)が1億7千万年前にシルトを歩いていた頃、この付近は別の風景で、浅い小川が沼地を横切って蛇行しており、グレン・キャニオン全体に、カイエンタ砂岩(Kayenta sandstone)*) の赤-オレンジ色の層が現れていました。失われた世界が石に変わり、その後、川で侵食され、風化して見えてきました。」
―説明文の意訳―
*) 中生代(Mesozoic Era)のジュラ紀(Jurassic Period)初め、コロラド高原(Colorado Plateau)に堆積した岩で、ナバホ砂岩の下に位置します。 -
説明板に載っていたディロフォサウルスの想像図。
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見学を終え、US89をバスでユタ州(State of Utah)はブライス(Bryce)の今日の宿泊ホテル:ベスト ウエスタン プラス ルビーズ イン(Best Western Plus Ruby's Inn)に向かいます。
途中バスから見えたパウエル湖。 -
バスから見えたパウエル湖。
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車窓の風景。
ユタ州トーズトゥール・ホードース(Toadstool Hoodoos)を過ぎた付近。 -
車窓の風景。
ユタ州オーダービル(Orderville)手前付近。 -
車窓の風景。
ユタ州オーダービルを過ぎた付近。
これで今日の観光は終わりです。
この続きはhttps://4travel.jp/travelogue/11546130となります。
付録
アンテロープ・キャニオンとホースシューベンドの地質学的歴史
アンテロープ・キャニオン(Antelope Canyon)とホースシューベンド(Horseshoe Bend)はアリゾナ州北部のユタ州とアリゾナ州の州境近くで、かつグランドサークルおよびコロラド高原*) の中心よりやや西側にあります。この地域にはナバホ砂岩が露出しており、アンテロープ・キャニオンはアメリカ先住民であるナバホ族の準自治領:ナバホ・ネイション(Navajo Nation、ナバホ居留地(Navajo Reservation)と呼ばれることもあります。)の北西端でもあります。
1.ナバホ砂岩
ナバホ砂岩は中生代(Mesozoic Era)のジュラ紀(Jurassic Period)にコロラド高原(Colorado Plateau)を広く覆っていたナバホ砂漠の砂が固まった堆積岩で*)、その名前はナバホ族に由来し、厚さは最大で600 mにも達します。U-Pb放射線年代測定**)によると、ナバホ砂岩が作られた時期は約2億年前で、砂の成分は、現在の北米では唯一アパラチア山脈のものと一致します。アパラチア山脈は古生代(Paleozoic Era)のオルドビス紀(Ordovician Period、4.9億年前~4.4億年)に始まった造山運動で形成されましたが、成分の一致からナバホ砂岩の砂の起源はアパラチア山脈にあるものと考えられています。このナバホ砂岩の上にはその後様々な地層が堆積しましたが*) 、侵食によってナバホ砂岩が地表に現れている場所*) はユタ州南東部からアリゾナ州北東部にまたがる地域だけです。
ナバホ砂岩は様々な色を示します。これはナバホ砂岩が作られて以来今日に至るまで、長年にわたる地下水と他の地下流体による変質の長い歴史を反映したものです。異なる色は、ナバホ砂岩を構成する石英砂の中の気孔を埋めるヘマタイト(hematite)、針鉄鉱(Goethite,FeO(OH))、褐鉄鉱(limonite, FeO(OH)-nH2O)の混合物の比と量によります。これらの鉄はもともと鉄を含むケイ酸塩鉱物の侵食によって得られたもので、当初、砂が堆積した後でゆっくりと酸化鉄の被覆物として蓄積されました。
この砂岩が様々な地層で覆われて深く埋められた後、水とコロラド高原の隆起と侵食により生じた炭化水素からなる還元性流体が、かつてはナバホ砂岩を構成していた濃い赤い砂の中を流れました。還元性流体による鉄被覆の溶解は、大量のナバホ砂岩を鮮やかな白色に脱色しました。還元性流体は、それらが酸化性地下水と混合するまで溶液中の鉄を輸送しました。酸化性流体と還元性流体が混ざった場所では、鉄がナバホ砂岩内に沈殿しました。
砂岩の透磁率、間隙率、破砕などの砂岩の固有な岩石特性の局所的な違いに応じて、石英粒子間の空間内に析出したヘマタイト、針鉄鉱、および褐鉄鉱の様々な混合物。沈殿した酸化鉄の種類と割合の変動により、沈殿した酸化鉄は、ナバホ砂岩の黒、褐色、深紅色、朱色、オレンジ色、サーモン色、モモ色、ピンク色、金色、および黄色といった異なった色をもたらしました。
*) https://4travel.jp/travelogue/11546130 付録1.参照
**) https://4travel.jp/travelogue/11426175 付録1.2) 参照
2.コロラド川
8,000~5,500万年前頃に起きたララマイド造山運動(https://4travel.jp/travelogue/11446239付録1参照)はロッキー山脈を押し上げました。これによって形成されたコロラド川は、山脈の南西部を西に流れ、コロラド高原を通って、おそらく中央カリフォルニア海岸のモントレー湾付近に注いだと考えられます。その後約2000万年前には、盆地や山岳地帯の地殻拡大が始まり、現代のシェラネバダは約1000万年前に形成を開始してコロラド川の西への流路を塞ぎ、一方で1200万~500万年前に北アメリカと太平洋プレートの境界に沿った断層運動によって、カリフォルニア湾が形成されたことにより、約500万年前までにコロラド川はカリフォルニア湾に至るほぼ現在の流路を確立しました。この頃からコロラド高原の隆起は急激になり(平均約220 m / 百万年)、コロラド川はコロラド高原の岩層を深くかつ急速に切り始めました。
3.ホースシューベンド
「ホースシューベンド(Horseshoe Bend)」は日本語にすると「馬蹄形湾曲」とでもなるのでしょうが、このような川の形状は、流れる水が抵抗の最も少ない自然な経路をたどることによって形成されたもので、日本を含め世界中の至る所で見られます。「馬蹄形湾曲」で有名な景勝地のひとつにライン川のボッパルト(Boppard)がありますが、同様な風景はッコッヘム(Cochem)からトリール(Trier)に至るモーゼル川でも沢山見ることができます。ただ、ホースシューベンドの特徴は、河岸壁が鉛直に近い角度で立ち上がること、岸から川面までの河岸壁の高さが約300 mと極めて高いことです。このような特徴は、上記2.のコロラド川が堆積岩である上記1.のナハボ砂岩層を急速に侵食することによって得られたものです。堆積岩は各層が強固なため、その下部が侵食されても重力で破壊されて落下する可能性は低くなり、河岸壁が鉛直に近くなります。加えて上記2.の急速な侵食は河岸壁を高くします。
4.アンテロープ・キャニオン
アンテロープ・キャニオンは、鉄砲水と他の空中プロセスによって上記1.記載のナバホ砂岩が侵食・風化されてできたスロット・キャニオン(slot canyon)*) です。特にモンスーン気候の雨季に、雨水はスロット・キャニオン上部の広大な流域を流れ、狭い通路に突入するときに速度を増しして多くの土砂を取り込んだ鉄砲水となります。キャニオンは、砂岩の小さな割れ目として始まります。しかし、地質学的時間の経過とともに、これらの小さな割れ目は土砂を含んだ鉄砲水によって拡大します。これらの峡谷は通常、洪水の期間にのみ水路を流れ、キャニオンの侵食の原因となるのはこれらの土砂を含んだまれな多量・高速水流です。
アンテロープ・キャニオンの壁は大きな突起や窪みを有するうねり構造をしていますが、長年侵食を受けたキャニオンの壁がこのような構造を有することは不思議な気がします。突出した部分は流水のより大きな圧力を受けて容易に侵食され、壁はもっと滑らかになってもいいように思われます。ただ、砂岩の硬さが一様でなく、硬い部分が侵食されずに突出して残されたとしたら納得しやすいのですが、モデル実験では、この一般的なタイプの砂岩の場合、壁のうねりの存在と規模は、流路の岩の局所的特性によって直接決定されないことが示されています。また流体力学的解析でもこの実験結果は裏付けられています。専門的になりますので、詳細には立ち入りませんが、起伏のあるキャニオンの壁は、起伏のある流路の流れで作られた乱流から形成されます。つまり、起伏が起伏を作るということです。例えば、両側からの突出した岩で狭くなった流路を流れる水は、流れの速度を増加させ、水に含まれる土砂を壁に平行に流し、侵食を減らします。また大きな侵食は突出部の下流側で起こります。
アンテロープ・キャニオンは、アッパー・アンテロープ・キャニオン(Upper Antelope Canyon)と北西に約6 km離れたローワー・アンテロープ・キャニオン(Lower Antelope Canyon)の2つから構成されます。
アッパー・アンテロープ・キャニオンはナバホ族の言葉で’ Tsébighánílíní’と呼ばれ、これは「岩の中を水が流れる場所」を意味します。標高は約1300 mで内部は殆ど平坦、長さは約180 m、深さは36 m近く、幅は5 m未満で、キャニオンの壁のうねりによって異なります。アンテロープ・キャニオンは、上部の開口部から差し込む幻想的な太陽の光芒で有名ですが、その緯度と複雑な形状のためにアッパー・アンテロープ・キャニオンでこれが見られるのは3月20日~10月7日の昼頃です。
ローワー・アンテロープ・キャニオンはナバホ族の言葉で’ Hazdistazí’とよばれ、これは「らせん状の岩のアーチ」を意味します。標高はアッパー・アンテロープ・キャニオンより70 m程低い約1230 m、長さは約800 m、深さは20~50 mです。幅は場所によって非常に狭く、見学コースには急な上りと下りがあって、金属製の階段が設置されています。1997年8月12日、フランスから7人、英国から1人、スウェーデンから1人、米国から2人を含む11人の観光客がここで鉄砲水により死亡しました。当日、この場所ではほとんど雨が降りませんでしたが、それ以前の雷雨により、11 km上流の峡谷盆地に大量の水が流れ込み、鉄砲水となったのです。当時、洪水で流された梯子は木製の簡単なものでしたが、現在の金属製階段はボルトで岩に固定されており、気象予報や警報、救済設備も設置されて安全性は増しています。しかしながら、鉄砲水による負傷のリスクは依然として存在します。
アンテロープ・キャニオンが最初に発見された経緯については様々な説があります。よく知られている説の1つは;
大恐慌(1929~)の頃、ナバホ族の少女が現在のアリゾナ州ペイジ近くの家族の祖先の土地に家畜を放牧していました。途中、彼女は砂岩の壁の割れ目に迷い込みました。そこで外の世界は静かになり、神々しい光線が洞窟のような形の彫刻された部屋を上部の隙間から照らしました。
といったものです。
アンテロープ・キャニオンはナバホ族のルチー支部(LeChee Chapter)に属する土地にあり、ナバホ族はキャニオンを彼等の文化と生活様式にとって精神的で神聖であると考えています。ある意味、アンテロープ・キャニオンはナバホ族にとって、母なる自然の贈り物、時間の経過、そして自分達よりも大きくて偉大なものがあるという事実の象徴です。ナバホ族はその遺産の重要性から、1997年にアンテロープ・キャニオンをナバホ族公園(Navajo Tribal Park)に指定しました。以来すべての訪問は、認可されたいくつかのナバホ族のツアー会社の1つを介し、鉄砲水の危険もあるためガイド付ツアーでのみ可能です。キャニオンを単独で訪れることはできません。このため、世界的人気を博するアンテロープ・キャニオンは、ナバホ族の観光事業の重要な源にもなっています。
*) 「スロット(slot)」は「細長い溝」の意味で、スロット・キャニオンは長く、狭く、深く曲がりくねった水路です。通常は砂岩または他の堆積岩が侵食された、切り立った岩壁があります。スロット・キャニオンの長さと幅の比率は、一般に10:1を超え、100:1に近づくこともあります。この用語は、特にコロラド高原地域を含む半乾燥の米国西部で使用されます。スロット・キャニオンは鉄砲水の影響を受けやすく、通常、隣接する乾燥した高地とは異なるユニークな生態学的コミュニティが含まれています。
多くのスロット・キャニオンは砂岩と石灰岩に形成されますが、花崗岩や玄武岩などの他の種類の岩のスロット・キャニオンも可能です。砂岩や石灰岩でも、岩の特性と地域の降雨の組み合わせにより、ごく少数の小川のみがスロット・キャニオンを形成します。
スロット・キャニオンは、世界の多くの地域、主に降水量の少ない地域に見られます。最も有名なスロット・キャニオンのいくつかは、米国南西部にあります。その他の重要な地域としては、スペイン北部のグアラ山脈(Sierra de Guara)、フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈(the Pyrenees)、オーストラリアのニューサウスウェールズ州のブルーマウンテン(the Blue Mountains)があります。
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この旅行記へのコメント (7)
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- Masakatsu Yoshidaさん 2022/09/04 13:38:47
- アッパー・アンテロープ・キャニオンはシュールな世界ですね!
- bunbunさんへ:この旅行記で取り上げられているアッパー・アンテロープ・キャニオンの景観は、幻想的であり、かつ異次元の世界みたいですね!私はこれまでの人生で世界各地を旅行しましたが、この様に不思議な映像を見たことがありません。米国に出張したことはありますが、個人旅行で出かけたことはありません。しかし、このキャニオンの写真を見て、一見の価値ありと思いました。-マサカツ
- bunbunさん からの返信 2022/09/05 14:34:16
- RE: アッパー・アンテロープ・キャニオンはシュールな世界ですね!
- Masakatsu Yoshidaさん、こんにちは。
私も出張で米国には何回も行っていますが、出張先は東南西海岸の大都市ばかりで、いいと思ったのは、サンフランシスコとニューオリンズくらいです。内陸の観光地はあまりに商業地化されているようで行く気はしなかったんですが、イエローストーンのカラフルな池だけはどうしても見たいと思っていました。そんな折、前年マダカスカルツアーでお世話になったユーラシア旅行社さんから届いたツアー冊子の中に、イエローストーンを含む16日間のアメリカ西部国立公園のツアーが載っていましたので即決しました。
行ってびっくり。アンテロープ・キャニオンも含めて様々な絶景ばかりで感激しました。アンテロープ・キャニオンの複雑に浸食された堆積岩のカラフルな縞模様は、壁面と太陽光の角度の違いで美しさを増し、まさにシュールです。ただ、旅行案内なんかには、谷の真上から差し込む太陽光が光束になって、神光のように谷底を照らす写真が沢山ありますが、私達が行ったのは午後4時頃で太陽は傾いており、それに谷底は大混雑の観光客で埋め尽くされていたために、そのような光景を見ることができなかったのはちょっと残念でした。それでも一見の価値はあると思います。お勧めです。
bunbun
- Masakatsu Yoshidaさん からの返信 2022/09/05 16:55:46
- RE: RE: アッパー・アンテロープ・キャニオンはシュールな世界ですね!
- bunbunさんへ:
ご丁寧な返信ありがとうございます。
アメリカにいらっしゃったのは、イエローストーンを含む16日間のアメリカ西部国立公園のツアーだったのですね!
アメリカは、ヨーロッパ諸国と違って、鉄道網はないし、歴史的なお城や教会もないので、個人旅行先としては関心を持っていませんでした。しかし、bunbunさんの旅行記を見て、自然景観の素晴らしさに魅せられました。
将来コロナ禍が解消し、海外旅行に行けるようになったら、アメリカの国立公園ツアーも候補先の一つに加えたいと思います。
−Masakatsu
-
- Morganさん 2019/12/12 07:40:01
- 凄い❗️
- アンテロープ
凄いところですね~
勉強不足で知りませんでした。
行ってみたくなりました。
写真がとても綺麗で、幻想的。
素敵な写真ばかりで引き込まれました。
- bunbunさん からの返信 2019/12/13 11:15:04
- RE: 凄い❗?
- Morganさん、こんにちは。
ご訪問、私の拙い旅行記へいつも投票ありがとうございます。
米国にはそれほど興味はなかったのですが、イエローストーンのカラフルな池だけはどうしても見たいと思っていました。そんな折、昨年マダカスカルツアーでお世話になったユーラシア旅行社さんから届いたツアー冊子の中に、イエローストーンを含む16日間のアメリカ西部国立公園のツアーが載っていましたので即決しました。
行ってびっくり。アンテロープ・キャニオンも含めて様々な絶景ばかりで感激しました。私が行った時はハイシーズンで、アンテロープ・キャニオンも大混雑で大変でしたが、それでも一見の価値はあると思います。お勧めです。
「尼崎城」拝読しました。私はまだ愛媛城、島原城、故郷にある松本城、高島城くらいしか行ったことはありませんが、日本の伝統建築である城はいいですね。
これからもMorganさんの旅行記を楽しみしております。
bunbun
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- nikさん 2019/12/11 19:02:46
- 僕も同じところを見てきました。
- アンテロープ。
今は正確なGPSナビがあるので迷いませんが、当時はネバーロスト(笑)程度しかなく迷って探しました。
見つけたときは感動モノでしたが、その後団体様が来てえらい目にあった記憶があります。
今は金もうけでガイド必須なんでしょうね。
休みが出来たらもう一度訪れてみたいものです。
bunbunさんの旅行記を見て懐かしく思いました。
- bunbunさん からの返信 2019/12/12 18:10:20
- RE: 僕も同じところを見てきました。
- nikさん、こんばんは。
ご訪問、私の拙い旅行記にいつも投票ありがとうございます。
アンテロープに行かれたのは「GPSナビ」が無い頃、ということは、その頃は比較的すいていたんでしょうね。今は観光客が多くて峡谷内ですれ違うのも大変です。
先住民の観光事業は米国政府の罪滅ぼしですね。なんせアメリカ大陸に移住したコーカソイドは、私達と同じモンゴロイドの先住民を差別・虐待・人権無視して、仕事もない不毛の地へ強制移住させた訳ですから。
ガイドが必要なもう一つの理由は、洪水から観光客を守ることだそうです。
「吹割の滝」拝読しました。私も随分前にやはり社員旅行で行ったことがあります。ナイアガラにはとても及ばないでしょうが、豪快で素敵な滝ですね。
イワナの塩焼きは大好きで、昇仙峡に行ったときも、袋田の滝に行ったときも食べて来ました。
これからもnikさんの旅行記を楽しみにしております。
bunbun
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