2019/06/01 - 2019/06/05
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タヌキを連れた布袋(ほてい)さん
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「筆者がアルバニア語やアルバニアに興味を持ち始めた頃の話だが,大阪のと或る古書店で『修正主義と闘うアルバニア労働党』という青表紙の単行本を見つけたことがある。それは1960年後半の対ソ断交に至る微妙な時期にエンヴェル・ホヂャが書いたものや演説を集めたものの日本語訳だった。ご丁寧にも,巻頭にホヂャの顔写真まで載っている(筆者がホヂャの顔を知ったのはおそらくこの時が初めて)。一体どこの誰がこんなモノ好きなものを……とページをあちこちめくってみると『日本共産党(左派)』,出版元は『人民の星社』とある。
その後も古書(時には新刊)でアルバニア労働党やエンヴェル・ホヂャ関連の書籍を幾つか手に入れたが,そのほとんどが『日本共産党(左派)中央委員会』によって翻訳され『人民の星社』から出版されたものだった。もちろん,代々木駅の近くにある日本共産党(実際の住所は渋谷区)のことではない。
戦後日本の共産主義運動は,大きく二度の分裂を経験している。一度目は『スターリン批判』や『ハンガリー事件』が起こった1956年以降で,革共同や共産同など日本共産党と一線を画する『反スターリン主義』の組織が生まれ,これらが後に無数の『~派』に分かれていった。二度目は1966年以降で,日本共産党が現在の『自主独立』路線を確立した時に『中国派』と言われる人々が同党を離れ,日本共産党(マルクス・レーニン主義)や日本労働党などを結成した。日本共産党(左派)はこの『中国派』の流れに属しており,1966年に共産党中央から分裂(当事者らは『反修決起』と呼んでいる)して結成された山口県委員会革命的左派が中心となっている(正式結党は1969年)。このため同党は現在も山口県を活動拠点としており,地元紙『長周新聞』とも密接な関わりがある。
日本共産党(左派)が他の親中左派と大きく違っているのは,『親中国』であると同時に『親アルバニア』でもある(あった)ということだ。機関紙『人民の星』や月刊誌『革命戦士』にはエンヴェル・ホヂャ(ホヂャ死後はラミズ・アリア)の論文や演説が頻繁に翻訳掲載されていた。同党はアルバニア労働党の第6回大会(1971年)と第7回大会(1976年)に代表団を送っている。
労働党時代のアルバニアを訪問した『日本アルバニア友好協会』も同党に近い組織だったと思われるが,当時ティラナには既に日本人が『留学』しており,案内役を務めている(現地で年配のアルバニア人から『昔,日本人が住んでいた』という目撃談を耳にすることがあるが,おそらくこういう人たちのことだろう)。」
「また,海外の『党友』(大抵『○○共産党』の後に『(ML派)』が付く)の党大会報告を翻訳紹介した記事にも,しばしばアルバニアが登場する。ソ連や中国の社会主義を『変質』『修正主義』と見なす人々にとって,アルバニアはいわば純粋な『最後の砦』だったのだろう。上に挙げたアルバニア訪問団が帰国後出版した旅行記のタイトルは『現在世界唯一の社会主義国』である。
1989年後半に旧『東欧』諸国が雪崩を打って体制変換し,1990年に入るとアルバニアからも反政府暴動の情報が漏れてくるようになった。日本共産党(左派)は現地動向について『反アルバニア攻撃が本格化』『帝国主義者とその手先による反アルバニアの反社会主義攻撃』『デマがまことしやかに執拗にながされている』とアルバニア労働党の主張そのままの内容を伝えていた。しかしラミズ・アリアが全欧安保への参加意志を表明(6月からオブザーヴァ参加)すると「プロレタリア国際主義の立場にたってアルバニアの動向に注意をはらうことが必要である」と,初めて微妙なトーンになる。『大使館駆け込み』については『社会主義転覆策動』と断定したが,一方でソ連とのアルバニアの国交回復(7月)については事実のみ伝えている。1991年の複数政党制選挙をこれまた『社会主義転覆策動』と呼んだ以外は,おおむね現地の法改定や労働党の組織改変を論評抜きで詳細に報道することが続いた(実際,この時期の記事は資料的価値が高く,日本語で書かれたものとしては貴重である)が,1991年9月を最後に,アルバニアについての詳細な情報は載らなくなった。その後はコソヴォ情勢に関する記事で時折アルバニアの名が出る程度で,1993年以降,同党がアルバニアに言及することは完全に無くなってしまう。彼らにとっての『現在世界唯一の社会主義国』は消えてしまったということなのだろう。ちなみに,日本アルバニア友好協会も1990年代に入って間もなく,自然消滅に近い形で解散したと言われている。」
井浦伊知郎著「アルバニアインターナショナル 鎖国・無神論・ネズミ講だけじゃなかった国を知るための45ヵ国」(社会評論社)より
ティラナ逍遥~その2:ブレク,スフラキ,アルバニア伝統料理&新マーケット
https://4travel.jp/travelogue/11572649
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 3.0
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 徒歩
-
ティラナに着いた当日,
-
街では何かの祭りが開かれていた。
-
コルチャビールの屋台。謳い文句は「アルバニアで最初のビール」。
グリルで焼いているのは,キョフテではなくドイツ風のソーセージだ。 -
おや,揚げドーナッツPetulla çastiの上に書いてあるのは,縁日の露店などで見る「ハリケーンポテト」ではないか。
アルバニアで売っているとは驚いた。 -
子供向け遊戯場も開設されている。
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周辺道路では交通規制が始まり,
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出し物を演じる娘たちが舞台へと急ぐ。
-
こちらの露店では,女学生が自分たちで作った菓子を販売していた。
英語でさかんに「アルバニアの伝統菓子です!」と売り込んでくるので,ひとつもらってみる。 -
シロップ漬けの焼き菓子。
値段は明朗に「70レク」と表示してある。細かいレクがなかったので「ユーロ払いでもいい?」と尋ねると,「オーケー,1エウロです」とにっこり。
本当は70ALL=0.6EURだと思うのだが,アルバニア人はなかなか油断がならない。お祭りだからいいけど。 -
さて,ティラナの有名処は,ほぼスカンデルベグ(スカンデルベイ)広場の周辺に集まっている。
-
そのため,あっという間に,
国立歴史博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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大方のものを見てしまったような気になってしまう。
時計塔 建造物
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アルバニア銀行(中央銀行)の建物。
ここは博物館にもなっていて,さしづめバンクアートならぬバンクミュージアムだ。
「Banka e Shqipërisë」(Google座標:41.327682,19.816720) -
その南側には,復活大聖堂がある。
「Resurrection of Christ Orthodox Cathedral」
(Google座標:41.326406,19.817271) -
現役のアルバニア正教の聖堂である。
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参拝に訪れる人は多い。
-
聖堂の中には,伝統的画風のイコン壁画がある。
これ↑はイエス(イイスス)が洗礼を受ける図。
正教の世界では,これにちなんだ祭礼(神現祭)が行われる。
真冬のさなか,ロシアなどスラブ系の人々が凍りつくような川やプールにざぶざぶと浸かっている姿を見たことがないだろうか。あれは寒中水泳大会などではなく,神現祭の聖水で沐浴をしているのである。 -
こちら↑は,イエスの顕栄(変容)の図。左右にエリヤとモーゼを描く構図となる。
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そして真打ちは,イエス・キリスト(イイスス・ハリストス)の復活の図。ただし,色塗りを中心にまだ完成していないようだ。
正教では,イエスが磔刑(たっけい)に処せられてから復活するまでの間に,イエスの魂が地獄へ降下して,サタンに囚われているアダムとエバ(イヴ)などの人々を救い出したとされている。
そのため,「ハリストス復活」のイコンは↑のような構図になるのが主流。
イエスが棺の中から引き上げているのが,アダムとエバである(顔がまだ描かれていないが)。
イコン画家山下りんの作品のように,イエスの復活の場面を直接的に描いたイコンもないわけではないが,そういうのは「西方教会風」ということになるようだ。 -
イコノスタシスの左側壁面や至聖所の壁画は,まだこれから。
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聖堂を出て,街を歩く。
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アルバニアは「ヨーロッパ最後の秘境」とか言われるが,
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ティラナを見る限り,ごく普通のヨーロッパの街である。
そこそこ「変な国」を期待していたので,肩すかしを喰った気分だ。 -
「おおっ,『アルバニアUFO大学』だ。やっと変なもの見つけた!」
と喜んだのも束の間,これも普通の学校のようだった。
あとで判ったところでは,UFOは「”universitas fabrefacta optime”(ラテン語『よきわざを身につける共同体』)の略」(冒頭引用の「アルバニアインターナショナル」より)という格調高い言葉だった。
学内に「UFO Book Store」という名前のカフェまで併設されているのに,惜しいな…。
(つづく)
ティラナ逍遥~その2:ブレク,スフラキ,アルバニア伝統料理&新マーケット
https://4travel.jp/travelogue/11572649
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この旅行記へのコメント (2)
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- travelさん 2020/10/05 17:37:15
- 初めまして!
- タヌキを連れた布袋(ほてい)さん、6月初旬のティラナはさほど暑くも寒くもなく散策にはもってこいの季節ではなかったでしょうか。
私は8月下旬のティラナとジロカストラでしたが気温は40℃近くあり日本と同じような暑さで汗びっしょりになりました。
タヌキを連れた布袋(ほてい)さんはレンタカ-で回られたとの事、時間を気にしないで自由に何処でも行けるのでいいですね。
オフリドの旅行記に訪問頂き有難うございます。
スコピエからハンガリ-に移動するときにウィズエア-利用しました。
LCCなのでどんな航空会社なのか不安でしたが大幅な治安も無く快適な飛行でした。
自然を巡る一人旅が好きです。
どうぞ宜しくお願い致します。
travel
- タヌキを連れた布袋(ほてい)さん からの返信 2020/10/06 05:23:33
- こちらこそ,はじめまして
- travel さま
コメントを頂きありがとうございます。布袋と申します。
8月のアルバニアは気温40℃近くとのこと。大変な厳しさです。たしかに6月初旬の気候は快適でした。今回はアルバニア南部を回ることができなかったので,次に行くときは秋を選んで行ってみたいと思っております。
travelさまは世界中かなりのところを旅されておられるようで,旅行記を拝見するのがとても楽しみです。今後ともよろしくお願い致します。
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