ティラナ逍遥（2019年6月アルバニア）～その２：ブレク，スフラキ，アルバニア伝統料理＆新マーケット

2019/06/01 - 2019/06/05

【2019年4月11日ＣＮＮ】アルバニアの首都ティラナの国際空港で１１日までに、離陸間近のオーストリア航空の旅客機を複数の武装強盗犯が襲い、多額の現金を奪って逃走する事件が起きた。
ロイター通信は地元警察の声明を引用し、周辺道路で強盗犯と追跡の警官の間で銃撃戦が発生し、容疑者の１人が死亡と伝えた。この強盗犯は攻撃用兵器、手りゅう弾や弾倉を保持していたとの情報もある。
ＡＦＰ通信は地元警察筋の情報として、強盗犯は９日、ティラナ近くにある国際空港の滑走路内に消防車両用の出入り口を使って侵入したと報道。オーストリアの首都ウィーンへ運ばれる現金の入れ物を奪ったと報じた。
襲撃犯の４人を逮捕し、別の４０人を聴取したとも伝えた。同航空は事件があったのはウィーン行きのＯＳ８４８便とし、乗客の搭乗直後に襲われたと明かした。
オーストリア航空の報道担当者はＣＮＮの取材に、強奪された現金などの被害額はまだ未確認と指摘。地元メディアは当初、少なくとも２５０万ユーロ（約３億１２５０万円）と伝えた。
犯行の目撃者は、一味は軍服姿でエンジンが始動していた旅客機近くにいた空港職員に近付き、地面に伏せるよう命令したと証言。この後、貨物室に積まれていた現金の入れ物を奪った。
アルバニアのエリオン・ブラチェ副首相はツイッター上で、警察の行動をたたえ、強盗犯は地元の最も危険なギャング組織の１つと明かし、その頭領が抹殺（まっさつ）されたと述べた。
ティラナ国際空港では普段から多額の現金が通過している。アルバニア中央銀行が国内で営業する外国銀行から外貨の預け入れを受けないのが理由となっている。
https://www.cnn.co.jp/world/35135626.html（2019年11月21日閲覧）


ティラナ逍遥～その１：街歩き
https://4travel.jp/travelogue/11572598

エリア ティラナ(アルバニア)

• 旅行の満足度: 3.5
• 観光: 4.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.0
• ショッピング: 4.0
• 交通: 3.0

• 同行者: その他
• 一人あたり費用: 25万円 - 30万円
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

さて，アルバニアの食べ物だ。まずは宿の近くの「ブレク」の店を物色してみる。

ブレクは，バルカン諸国で広く食べられている惣菜パイだ。サンドウィッチよりずっと安く，ふたつ食べれば満腹になるくらいのボリュームがある。

Byrek me gjizë フェタチーズ（パニール）のブレク　30
Byrek me spinaq ホウレンソウのブレク　30
Byrek me mish 肉のブレク　30

Penerli ピデ　100
Kaicone カルツォーネ　100　　（1ALL=約1円）


なるほど，ティラナの相場はこんな感じらしい。

ブレクはこんな三角のものだったり，

時には四角だったりする。

ちなみに，Penerli（ピデ）はこんな感じ。

ブレクを食べるときに，必ずと言っていいほどお供にするのは，

これである。

「Dhallë（ザーレ）」。

ヨーグルトを塩水で割った伝統飲料で，世界的には「Ayran（アイラン）」の名で知られている。

しかし，ふたつ前の写真にもあったとおり，アルバニアには「Dhallë（ザーレ）」と一緒に「Ayran（アイラン）」もある。ややこしい。

ザーレは何度も飲んだが，これは断じてアイランの味である。

では「アイラン」のほうはどうかというと，これもアイランの味なのだ。

そこでよく飲み較べてみると‥‥「アイラン」のほうが濃い。

アルバニアではアイランを「ザーレ」と呼び，濃いめのザーレ（アイラン）を「アイラン」と呼んで区別しているということだろうか。

さて，「新マーケット（Pazari i Ri）」へ行ってみる。

スカンデルベグ広場から徒歩10分とかからない。

周辺には観光客向けのレストランや，肉やソーセージをグリルして食べさせるビアバーなんかもたくさんある場所だ。

（Google座標：41.330111,19.824300）

オリーブの塩漬けは定番。

桑の実（マルベリー）。

アルバニアはドングリを食べる国のようだ。

アンズ（Kajsi）がきれいだったので買ってみた。キロ350ALLくらい。

（1ALL=約1円）

これは正体が判らなかった。

ポリ袋の中に，ごく細い麺状のものを詰めて売っている。

スカンデルベグ広場の東側に「Toptani Shopping Center」という大きなモールがあり，

大きなイタリア系のスーパーマーケットが入っている。

ここではイタリアのワインや酒を前面に出して売り込んでいるが，こちらの目当ては奥や脇のほうにあるアルバニア産のラキである。

1000ALL（約1000円）未満でラキの大瓶が買える。

マスカットのラキが多い。味はグラッパと同じ。

アルバニアでは，ムスリムが多数派を占める国だということを完全に忘れてしまうくらい，酒に対する禁忌を感じない。

ついでに言うと，豚肉に対する禁忌もゆるい（食堂のメニューに「ハラール料理」のページがあったりするので，酒ほどゆるくはないのだろうが）。

非常用のインスタント麺も物色してみたが，棚の高いところに少しだけ並べられている程度。

アルバニア，ひいてはバルカン諸国の麺食文化度はおしなべて低そうな予感。

料理らしいものも食べてみようと，食堂に入ってみる。


「FAST FOOD Albania」（Google座標：41.328027,19.816143）

食堂の屋号が「Fast Food」だけに，主力メニューはアルバニアで人気のファストフードの「スフラキSufllaqe（あるいはスフラチェ）」だ。

スフラキとは，ギリシャの「ギロピタ（ピタ・ギロス）」のことである。語源はギリシャ料理の「スブラキ」だと思うが，ギリシャのスブラキは肉や魚の串焼きのことなので，伝播の過程でずれが生じたのだろう。
ギロピタは，今や世界中で人気のスナックだ。ギリシャ風のピタ（パン）に，ドネルケバブ，ジャジキ（野菜入り水切りヨーグルト），サラダ，フレンチフライを巻いて食べる。

写真↑は「Racion Mish Pule」（鶏肉定食）というもので，スフラキを皿盛りにした豪華版である（490ALL）。（1ALL=約1円）

こちらはチョフテ（Qofte）の定食（300ALL）。比較的安い。チョフテは脇役扱いか。

プレートで食べるぶんには，ボリュームに遜色はない。

翌日は，隣の店で（たぶん同経営），

アルバニアの典型的な伝統料理に挑戦。

Tavë dheu me të brendshme qingji（羊ホルモンのヨーグルトシチュー）というものだ。

Tavë（タヴ）がキャセロールのことで，羊ホルモン以外に仔牛ホルモンのTavë Dheu（タヴゼウ）もあった。
店のおすすめは「Tavë kosi」というアルバニア東部エルバサンの料理で，これらTavë料理のルーツはエルバサンだといわれている。

いずれも一人前250ALL。（1ALL=約1円）

上記以外のTavë料理は３～４人前の大きなキャセロールになる。こちらは1200-1500ALL程度。

Tavë Dheu（タヴゼウ）は，玉ねぎ，つぶしたパプリカ，ホルモンと小麦粉を炒め，それに水，フェタ（チーズ），オリーブ油などを加えて，オーブンで煮込んだ料理である。

香辛料はほとんど使っておらず，どんなフェタを使うかによって塩味と酸味のバランスが決まるのであろう。

ごちそうさまでした。

☆秘境好みの方の興味を削いでしまうことになると申し訳ないのだが，アルバニアの首都ティラナはごく正常な，普通のヨーロッパの街である。
☆「変な国」ぶりを期待するよりは，イタリア系，ギリシャ・トルコ系，スラブ（バルカン）系のグルメが安価に楽しめるおいしい街というふうにとらえるほうがよい。
☆物価は，ユーロ圏よりはもちろん安いが，アジアと比較するとしたら「シンガポールとバンコクの混在」といったところか。バルカン諸国の中では「やや安め」という印象。
☆「ヨーロッパ最貧国」というイメージは忘れたほうがよい。バルカン諸国はどこも似たり寄ったり。
☆ティラナ２日目（日曜日）の夜は，広場で大規模な反政府デモが繰り広げられ，爆竹や催涙弾，放水機が出動していた。初めは爆竹を銃声かと思って，少し肝を冷やした。政情には一応用心を。
☆バール（カフェ）のエスプレッソはどこでもかなり高レベル。おすすめ。


ティラナ逍遥～その１：街歩き
https://4travel.jp/travelogue/11572598

バルカンドライブ2200km～その１：レンタカーを借りる＆クルヤ城
https://4travel.jp/travelogue/11572739

この旅行記へのコメント （3）

• Camelliaさん 2024/04/05 16:24:29

  アルバニアを訪れます

  お久しぶりです。
  近々、アルバニアを旅する計画を立てています。私はアドリア海沿いにモンテネグロ、クロアチアと北上していきたいと思っています。
  行きたいところはたくさんあるのですが、経路と時間、予算を踏まえて楽しく悩んでいる最中です。参考にさせていただくためにまた旅行記にお邪魔するかと思います。
  よろしくお願いします。
  
  Camellia

  タヌキを連れた布袋（ほてい）さん からの返信 2024/06/18 20:42:17

  RE: アルバニアを訪れます

  こんにちは。
  
  返信が大変遅くなり申し訳ありません。アルバニアの旅行記を興味深く拝見しました。ありがとうございます。あのティラナの同じ空間を共有させて頂いたことが，すごくうれしいです。
  
  昨年の冬に，コロナ禍のあと初めて海外（インドネシア）に出て，この夏もどこかへ行くつもりでおります。
  
  
  
  

  Camelliaさん からの返信 2024/06/18 21:48:44

  Re: アルバニアを訪れます

  こんばんは。
  
  投票とご返信ありがとうございます。ご返信の件についてはお気になさらないでください。皆さんいろいろとお忙しいので。
  
  インドネシアを旅されたのですね。たくさんの島があってとても魅力的な国ですよね。ティラナは平穏で散歩が楽しい、素敵な街でした。今回はヴェリコ・タルノヴォを再訪することもできました。
  
  蒸し暑い日々が続くようですが、どうかご自愛ください。私は近いうちに水無月をいただこうと思っています。