2019/09/06 - 2019/09/06
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AandMさん
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南フランスのコートダジュール、コルシカ島を訪問する際のヨーロッパへの入口ハブ空港としてウイーン国際空港を利用しました。ウイーンは他のハブ空港のパリやフランクフルト国際空港に比べて混んでいませんし、ついでにウイーン観光も楽しむことができます。フランスから日本への帰路、ウイーンで1泊して博物館や美術館を見学することにしました。
フランスのニースからウイーンに到着した木曜日の夕方に美術史美術館を見学しました(https://4travel.jp/travelogue/11562472)。翌金曜日の夕方の便でウイーンから帰国便に搭乗予定でしたので午前中に自然史博物館を(https://4travel.jp/travelogue/11561948)、午後にレオポルド美術館を見学しました。美術史美術館にはハプスブルグ家収蔵品である中世ヨーロッパ絵画が展示されていますが、レオポルド美術館には伝統的画法からの脱皮を目指した「ウイーン分離派」の画家たちの作品が展示されています。
「ウイーン分離派」とは1897年4月3日にウィーンで画家グスタフ・クリムトを中心に結成された新進芸術家のグループです。クリムト作品の他、コロマン・モーザー、エゴン・シーレ、オスカー・ココシュクなどの絵を鑑賞しました。古典的な美しさが感じられる絵画が多い美術史美術館と違って、画家の特殊イメージが強調された脱伝統画風の絵が多い美術館でした。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 航空会社
- オーストリア航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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9月6日
美術史美術館のあるマリア・テレジア広場から通りを隔てた箇所にミュージアム・コーター(Museum Quarter)があります。ここに近代美術館、子供美術館等とともにレオポルド美術館(Leopold Museum)がありました。ミュージアム クォーター 散歩・街歩き
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レオポルド美術館(Leopold Museum)入り口です。レオポルド美術館は、エリザベスとルドルフ・レオポルト夫妻が50年以上に渡って収集した5,000点以上の作品をベースに2001年に開設された新しい美術館で、現在はレオポルト美術館財団が管理しています。
強烈な個性を持ち、28歳の若さで亡くなったエゴン・シーレ(Egon Schiele, 1890 - 1918)のコレクションでは世界で最大の美術館です。美術館入り口の壁面に描かれている人物はエゴン・シーレ自画像です。入場料は大人13ユーロで、美術館内は多めの入場者で結構混みあっていました。ウイーンでも人気の美術館のようです。レオポルト美術館 博物館・美術館・ギャラリー
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ハンス・キャノン(Hans Canon, 1829-1885)の「毛皮コートのビーナス、Seated Venus with Fur Coat」です。描かれたのは1880年ですので、「ウイーン分離派」発足以前の絵です。伝統的な画法で描かれています。
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1890年に描かれたセシル・ヴァン・ハーネン(Cecil van Haanen, 1844-4914)の「横たわる女性ヌード、Female Nude Lying on her Back」で、伝統的画法で描かれています。
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アントン・ロマコ(Anton Romako, 1832-1889)が1873‐1876年に描いた「ニケ、Nike」です。ロマコは肖像画を得意とする画家で、19世紀後半のオーストリア画家の中で最も技量に優れていたと評価されてます。
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ロマコによる「イザベラ・リーザーの肖像、Portrait of Isabella Reisser」で1885年に描かれています。モデル衣装は近代的ですが、画風は伝統手法が使われています。
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ロベルト・ラス(Robert Russ, 1847-1922)による「南チロルの水車、Mill in South Tyrol, 1875」です。ラスはウイーン生まれで風景画を得意とした画家です。
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クリムト達が1897年に古典的&伝統的な当時の画会からの脱皮を目指して「ウイーン分離派の設立、 The Founding of the Vienna Secession」した際の写真です。
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1880年代からポスターがイヴェントなどの宣伝媒体として積極的に活用され、「貧しい画家たちの芸術ギャラリー, Art Gallery of the Poor Man」として作品発表の場となったと、説明されていました。伝統に捕らわれない絵の発表手段として、クリムト達が積極的にポスター絵を描いています。
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「ウイーン分離派」の作品発表会で使われたポスターです。
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イヴェントの宣伝ポスターです。
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第23回目の「ウイーン分離派」の作品発表会ポスターのようです。
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「ウイーン分離派」の作品発表会ポスター
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キャバレーのオープンを知らせるポスター(Poster for the opening of the Cabaret Fledermaus)で1907年の作品です。デフォルメされた男女の表情が面白く、このポスターは人目を引いたであろうことが想像されます。
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アーンスト・ストール(Ernst Stohr, 1860-1917)の「月明りの夜、Moonlit Night, 1906」です。ストールは「ウイーン分離派」の設立メンバーの一人です。
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「ウイーン分離派」の設立メンバーの一人であるウイルヘルム・リスト(Wilhelm List, 1864-1918)の「サロメ、Salome, 1906」です。彼の画風はクリムトに近いとのことです。
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マックス・クーツウェル(Max Kurzweil, 1867-1916)の「鏡の前のヌード女性、Female Nude in Front of Mirror、1907」です。クーツウェルは1897年に結成された「ウィーン分離派」の設立メンバーですが、後で脱退しています。
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グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862-1918)が1897/98年に描いた「赤色背景でケープと帽子の女性、Lady with Cape and Hat on a Red Background」です。クリムトが「ウイーン分離派」を設立した年に描かれていますが、古典的技法が用いられています。技法の変化起点となった絵だろうと思います。
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グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862-1918)の1899年の作品「池の朝、A Morning by the Pond」は淡い色合いの繊細な絵で、1900年以降の彼の画風に繋がっているように思います。
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クリムトがウイーン大学の医学部用に描いた作品「医学、Medicine, Fuculty Painting for the University of Vienna, 1900-1907」で原画作成から完成まで7年かかっています。画中の女性ヌード像が物議を引き起こしたと伝えられています。クリムトの代表作です。
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こちらはウイーン大学の法学部用の絵で、「法学、Jurisprudence, Faculty for the University of Vienna, 1903, final version 1907」で、完了まで4年を要しています。
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クリムトが1898年の第一回の「ウィーン分離派」展示会のために書いたポスターです。右端に立つスレンダーな女性はクリムトらしい描き方だと思います。
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クリムトのスタジオ(Klimt's Studio)で、クリムトは1892年から1911年までこのスタジオを使用しています。戸棚に中国や日本風の人形が飾られ、骨格標本があります。彼の作画に影響を与えているものと思われます。
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クリムトが1915年に完成させた「生と死、Death and Life」は、1908年にドラフトを描き、1910年に油絵として仕上げています。1911年にローマで開催された国際芸術祭で金賞を授与されています。それ以降も加筆修正して1915年に完成させています。彼の代表作です。
絵の左側に死を、右側に生の三段階の状態を描いています。生は(母と子)、(年配の女性)そして(恋人カップル)で構成されています。生と死の様々な意味合いを織り込んだ大作だと思います。 -
コロマン・モーザー(Koloman Moser, 1868-1918)による家具のデザイン(Inlaid Wardrobe from the Bedroom of the Apartment Eisler von Terramare, 1903)ですが、スレンダーな女性はクリムトの画風と似ているように思います。
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コロマン・モーザー(Koloman Moser, 1868-1918)による「洞窟のヴィーナス、Venus in the Grotto, 1914」です。絵の構成がユニークで新鮮さが感じられます。
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クリムトやシーレと並び、近代オーストリアを代表する画家の一人であるオスカー・ココシュカ(Oskar Kokoschka, 1886-1980)が描いた「片手を顔にあてた自画像, Self-Portrait, One Hand Touching the Face, 1918/19」です。荒っぽいタッチで描かれ、古典的な技法とは異なっています。
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女性像も脱古典派の画法で描かれています。
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オスカー・ココシュカ(Oskar Kokoschka, 1886-1980)が1925年に描いた「アムステルダム、Amsterdam」も荒っぽいタッチで描かれています。
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オスカー・ココシュカによる「ウィーンを背景にしたヴィルヘルミーネンベルク城、 Wilhelminenberg with a view of Vienna, 1931」です。沢山の子供たちが描かれていますが、ヴィルヘルミーネンベルク城が孤児院として使われていた頃(1927-1934)の光景です。
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「併合、不思議の国のアリス、Annexation-Alice in Wonderland, 1942」でオスカー・ココシュカの作品です。絵の背景に燃え盛る建物、防毒マスクを付けた赤ん坊、ヘルメットを被った三人の男たちは目、口、耳を塞ぎ、アリスがヌードで描かれています。当時の世の中を批判した絵のように思われます。
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エゴン・シーレ(Egon Schiele, 1890-1918)が1908年に描いた「装飾的な背景の前で様式化された花、Stylized Flowers in Front of Decorative Background」です。彼の初期の作品ですが、花が抽象化されシーレらしさが感じられます。
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シーレの「自画像、Self-Portrait with Raised Bare Shoulder」で1912年の作品です。
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こちらは「ウォーリー・ヌージルの肖像、Portrait of Wally Neuzil, 1912」で、ヌージルはシーレのパートナーです。彼の自画像の組み合わせとして描いたと説明されていました。
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シーレが1918年に描いた「立っている三人の女、Three Standing Women」ですが、未完の状態で残されている作品です。シーレは1918年にスペイン風邪で亡くなっています。
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シーレが1917年に描いた「横たわる女、Reclining Woman」です。
シーレは裸婦を沢山描いています。彼の画法は慎ましやかな古典的な描き方ではなく、デフォルメも含めて直接的だったため幾多の問題を引き起こしています。この絵も1918年開催の第49回「ウイーン分離派」展示会に出品するために白布を加筆した、と説明がありました。展示会は大成功だったそうです。 -
シーレが1912年に描いた「枢機卿と修道女、Cardinal and Nun」
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人物画だけでなくシーレは風景画も結構描いています。これは1915年に描いた「家々の三日月、Crescent of Houses」です。シーレが住んでいたチェスケ・クロムノフの光景で、家の群れが三日月状に並んでいるのを描いたものです。色使いにシーレらしさが感じられます。
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シーレによる「瓦屋根の家、House with Shingle Roof, 1915」で、屋根の瓦が丁寧に描かれているのが印象的です。
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シーレが1918年開催の第49回「ウイーン分離派」展示会用に描いたポスター(Round Table, Poster for the 49th Vienna Secession Exhibition)です。L字状のテーブル周囲にあるのは展示会出品画家の席で、Felix Albrecht Harta, Oskar Kokoschka, Max Oppenheimerなどの画家が描かれ、右下手前の空いている席がシーレ用とのことです。他の空席には当初Gustav Klimtが描かれていましたが、クリムトが1918年2月に亡くなったので空席に描き替えた、と説明されていました。このポスターを描いたシーレも1918年10月に28歳で亡くなっています。
レオポルド美術館には古典的&伝統的な画風からの脱皮を目指した「ウイーン分離派」の画家たちの作品が沢山展示されており、見応えがありました。クリムト、ココシュカ、シーレの絵のアピール力は強烈だと思います。伝統からの飛躍を目指した画家達の強い意志を感じました。訪問価値の高い美術館だと思います。
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