2016/10/03 - 2016/10/03
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わになのかさん
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「スイス?!スイスに行くのか?」
隣のエドウィンが食いついた。食いつくと話が長いことで定評のある男である。
「俺が若い頃も、よく息子と娘を連れて行ったもんだよ」
しかも今回は回想編だ。目がいきいきしている。これはまずい、と思うが、こうなったらもう回避不可能である。
「いいか、まずはスイスのSimカードを買うことだ。そうじゃないと、いざというときの緊急通話は、自国にかかってしまうからな。そして、懐中電灯は必需品だ。防寒具も忘れるな。ロープは持ったか?いや、待て、その前に携帯食か。。」
「いやいや、そんなサバイバルが必要になるようなとこには行かないんだ、今回は。」
「何を言ってる!何が起こるかわからないんだ。お前…山をなめるなよ!」
怒られた。
「そう、あれは、まだ下の娘が6歳のころだった。。尾根を縦走していた俺たちは急に霧にまかれたんだ。あたりは何も見えなくなった。俺は子供たちに言った。『いいか、絶対動くんじゃないぞ』ってな。なんとか子どもたちの手を探して握ったときに霧が晴れた。足元を見たらな。。あと数センチであわや滑落というところだった。。」
おお、なかなかのドラマだ。ちょっと聞き入ってしまった。しかし、横からトムがヘラヘラと口をはさむ。
「いまのところ、ロープも懐中電灯も出てきてないよね」
オランダ人の若者は容赦ない。目上にも余裕でからかいに入るのだ。
「ばかやろう!ここからだ!」
怒られた。
「そこで、俺はすかさず息子に叫んだんだ。『おい、ロープだ!』。だが、そのとき。。」
そのあと、30分くらいエドウィン劇場が繰り広げられた。トムは隙をみて立ち上がり、見上げた僕にウインク一つを返して、そそくさと荷物をもって帰っていった。とっくに帰社時間だ。周囲もにやにやと僕を見ながら帰っていく。しまった。日本人特有の踏ん切りのつかなさが出た。気が付くと、話を聞いているのは僕一人だった。そしてエドウィンの話は、若い頃に受けたサバイバル訓練での「急に海に投げ出されたときの泳ぎ方」に突入していた。
無論、もうスイスは関係ない。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 乳幼児連れ家族旅行
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
明朝、天気は一転して快晴になった。今日の午前中はメンリッヒェンからクライネシャイデックまでのハイキングの予定にしていた。これだけ晴れていれば、問題はなさそうだ。
グリンデルワルトから一駅だけ電車で移動し、メンリッヒェンへ登るゴンドラ乗り場へ向かった。駅からは少し歩いた。大きな駐車場があって、混雑時期には大型観光バスがたくさん停まりそうな雰囲気だったが、季節なのか、朝一という時間なのか、車はほとんどなかった。
ここからは長いゴンドラだ。なんでもヨーロッパ最長らしい。視界は非常にクリアで、遠くの山まで見通せる。スイスだ、スイスに来たよ、これ。 -
ゴンドラはぐんぐん登り、やがて森林限界を越えた。万年雪をかぶった切り立った山々と、うっすらと白い斜面が広がりだす。
-
たっぷり30分以上かけて、メンリッヒェンに到着。標高は2225mだ。地面には霜がおり、雪が積もったようにも見える。娘がはしゃいで飛び跳ねる。
-
ゴンドラの駅舎からまっすぐ進むと展望台になっていて、息をのむ絶景が広がっていた。
こんなところにこんな軽装で来てしまっていいのだろうか、と自分の恰好を見下ろす。上は薄い防水のパーカーに、下はジーンズ、スニーカーである。しかし、周りを見ても大体そんな感じで、ハイキングガイドにもスニーカーで十分とある。まあ、ジーンズは水を吸うのでサバイバル時を考えると本当はよくない。とエドウィンが言っていた。しかし今日は晴れているので平気だろう。娘には防水の薄手のジャンパーにマッチホーゼ(ドイツの泥遊び用の子供ズボン。釣りのおじさんが履いているあれに似ている。直訳すると"泥ズボン"である。)。抱っこ紐に収まった息子も完全防備である。でも日差しがあるのでそんなに寒くはなかった。 -
ここからクライネ・シャイデックまで1時間半という標識。子供の足なら2時間強だろうと予測。クライネ・シャイデックからは昨日と同じ電車に乗って、午前中には山を下りる計画である。
今回のハイキングコースは事前にインターネットで調べて決めた。グリンデルワルト、ハイキングコース、で色々とヒットする。気にしたのはコースの長さともう一つ、高低差である。大体のコースが片道想定でどちらからでも出発できるように設定されている。なるべくフラットなコースか、下る側に進むようにコースを選んだ。あくまで子連れの散歩ハイキングなので、登山ではない、と思ってそうしたのだが、これは大人にとっても正解だった。長距離のゆるやかな登りはしんどくて景色どころじゃなかっただろう。 -
イチオシ
いざ、歩き出す。
最初のこの景色は、なかなかにダイナミックで、まさに天空へと続く道のようだった。迫力がありすぎて怖いぐらいである。これが初心者向けの気軽に歩けるコースになっているのだから凄い。
ホテルの壁にこのアングルの大きな絵画が掛けてあった。すごいなあ、どこだろう、と思っていたら、ここだった。 -
斜面を這うようにハイキングコースが延々とのびる。正面はあのアイガーの北壁である。登ってくる太陽と相まって、神々しい。でも眩しい。方向が変わらないのでずっと眩しいのが難点だった。歩くなら夕方の方が向いているのかもしれない。
-
360°どこを見ても素晴らしい景色。
「これはすごいわね」
「うん。しかし、思った以上に左側が怖いな。。」
「崖じゃなくて斜面だけど、ずっと麓まで続いてる斜面ってのは初めてみた。足を踏み外したらずっと転がっていきそうね…」
「あと、それより怖いのは落石じゃないか?ほら、落石注意の標識があるし。確かに上を見るとさ。。」
「知ってる?"落石注意"って落ちてくる石に注意っていう意味じゃないのよ」
「じゃあ、どういう意味?」
「落ちてる石に注意っていう意味。つまり…」
「…つまり?」
「落ちてくる石は注意しても無駄ってこと」
「よーし、急ごう。」 -
ようやく斜面を回りこみ、方向が変わる。ずっときつい斜面だった左手も、なだらかな丘陵へと変わった。アイガーの北壁はさらに近くなり、その詳細も見てとれるようになる。うーん、これを登ろうとするとかあり得なくない?
-
アイガー、メンヒ、ユングフラウを飽きるほど眺められる贅沢なコースだった。
娘は、あそこまで行ったらグミ一つ、あそこまで行ったらチョコ一つ、を何度も繰り返してがんばっていた。そんなお菓子のカロリーくらい、すぐに消化してしまうくらいよく歩いたね。なかなかこんな景色は見れないぞ。パパもこの歳で初めて尽くしだ。大きくなってもこの景色を覚えていてくれるといいんだけど...
いや、楽しかった記憶を頼りに、大きくなったら自分の足でまた来てくれればいいさな。自分で計画して自分でたどり着いた景色がまた格別なのだから。 -
眼下にクライネ・シャイデックの駅舎が見えた。ユングフラウ鉄道が登っていくのも見える。あともう一息。
-
クライネ・シャイデックに到着。
ここからは電車に乗って山を下りる。車窓から見える景色は昨日とは全然違う。晴れてるっていいね!メンリッヒェンの壮大な景色もよかったけど、青い牧草地とロッジ風の家々が並ぶ牧歌的な風景もまた素敵だ。 -
グリンデルワルトに帰ってきたのは、まだ昼前。午前中からよく運動した。
晴れて初めて気づいたが、駅の周りも高い山々が間近に迫る絶景だった。
スイスの旅の印象は、出会った天気にかなり左右されそうである。
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