アムトラックEmpire Builderの旅2019（３：【乗り鉄】大平原を西へ西へ）

2019/09/18 - 2019/09/18

エンパイアビルダー号乗車2日目。シカゴ発車の時点から遅れるというハプニングもありつつ、ひとまず列車は順調に西へ。ルーメットは狭いながらも快適で、車両もほとんど揺れなくて「やっぱりアムトラックはいいなぁ」と思ってしまう。

今日は1日中乗りっぱなしだ。でも降りられる駅では下車してリフレッシュすることにしよう。そして気になるのは遅れだけど、少しでも挽回できるかな？

【今回の行程】
　9/17：東京⇒（航空機）シカゴ⇒（鉄道）
●9/18：⇒（鉄道）⇒
　9/19：⇒シアトル
　9/20：ボーイング工場見学
　9/21：シアトル⇒（航空機）
　9/22：⇒東京

エリア アメリカ

• 旅行の満足度: 4.5
• 交通: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 鉄道
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

02:00、寒くて目が覚めた。ミネソタ州リトルフォールズLittle Fallsあたりを走っているようだ。いったんトイレに出て、部屋に戻って窓の外をぼーっと眺めていたら突然の雨、そして雷まで！雨雲レーダーを見たら確かに荒々しい雲の陰が見える。大丈夫かな？と心配してもやることがないのでまた寝る。

5:30起床。列車はちょうどノースダコタ州ファーゴFargoにいる。本来の発車時刻は3:24なので、遅れは2時間に拡大してしまったようだ。恐らくさっきの雷雨の影響もあるだろう。

6:40、朝食タイム。初老の夫婦と同席になった。オーダーしたのはスクランブルエッグとポークソーセージ。出てきたソーセージは僕らがイメージするそれとはちょっと違って、見た目はどちらかと言えばハンバーグ。美味しかったけど、野菜が欲しい。チップ3ドルを置いてきた。

7:25、ショーンにベッドを解体してもらった。車窓には小麦畑とヒマワリ畑が広がる。学校の社会科や地理の授業でやった「春小麦と冬小麦」。このあたりは春小麦の一大産地で、シカゴはそれら穀物が集まる街として発展したのだ。

車両中央の階段脇にはコーヒースペースがあって、部屋でコーヒーをいただける。左上のスペースには水のペットボトルの予備も。

そして通路の反対側にはオレンジジュースが置かれていた。

オレンジジュースを片手に、朝の読書タイム。せっかくの大陸横断鉄道なので、アメリカの鉄道の歴史を勉強しよう。アメリカにも鉄道にも昔から興味があって、この分野に関してはちょっとだけ詳しいと思っているのだけど、やはり新たに知る内容は多い。

キレイな朝焼けに輝く大地。

たまーにそのど真ん中にでっかいサイロがあって、貨車がずらりと待機しているのが見える。収穫した小麦などの穀物を積み出す基地だ。日本では石灰などを運ぶイメージが強いホッパ車、こちらでは穀物の輸送に活躍している。

8:10、ノースダコタ州デビルズレイクDevil's Lake。ほぼ2時間遅れ。近くに同名の大きな湖がある。

こんなところにも道があって、踏切がある。

8:35、Lake Irvineに差し掛かる手前で列車が停まった。機関車をチェックするとのアナウンス。やはりまだご機嫌は直っていないらしい。意外にも（？）アナウンスがマメに入るのはありがたいところだ。

結局1時間以上停車して、9:48に運転再開。アムトラックのウェブサイトでTrain Statusを見たら、シアトルの到着予定時刻が定刻どおりになっていた。おいおいホントか？

そしてランチは12時からとのアナウンス。

ノースダコタ州チャーチズフェリーChurchs Ferryの街はずれ、恐らく使われなくなった貨車が野ざらしで放置プレイ中。

10:35、ノースダコタ州ラグビーRugbyに到着。実に3時間40分の遅れだ。駅前にはこれまたでっかい穀物のサイロが並ぶ。ここラグビーの街は北米大陸の地理的中心を主張していて街中にはモニュメントもあるんだけど、どうやら本当は中心じゃないという話もあるらしく信憑性はナゾだ。

収穫の終わった畑。丸められた草がゴロンとあちこちに。

ノースダコタ州タウナーTownerでまた足止めをくらってしまった。対向貨物列車を待つようだ。今この列車が走るこの路線は、アメリカ最大の貨物鉄道会社の1つであるBNSF鉄道が持つ2つの大陸横断本線のうちの1つ、Northern Transcon。本線とは言ってもすべてが複線化されているわけではなく、しばしば行き違い待ちが発生する。対してシカゴからロサンゼルス方面に伸びるSouthern Transconは、軌道もよく貨物列車もガンガン走っていて、まさに大動脈だ。

12時、昼食が始まったので食堂車に行ってみた。今回相席になったのはミネアポリスから乗車した男性と、ミルウォーキーからの夫婦。3人とも何度もアムトラックで旅に出ているそうでうらやましい限りだ。

今日のランチはアンガスバーガーにチーズをトッピング。チップ3ドル也。

12:25、ノースダコタ州マイノットMinot駅にゆるゆるっと到着。ついにここで機関車を増結するようだ。もちろんこんなところにアムトラックの予備の機関車が準備されているわけないので、恐らくBNSF鉄道の機関車が登板するんだろう。出発までにはしばらく時間がかかるとのこと。

いたいた！オレンジ色のBNSFの機関車が見える。残念ながら車番は分からなかったけど、車体後部の形状から察するに僕のお気に入りSD70ACe・・・ではなくES44型のようだ。

手前に写る車両が、さっきまでランチを食べていた食堂車。

アメリカ名物ダブルスタックトレイン。文字通りコンテナを重ねて運ぶのだ。これが200両も繋がった長大な貨物列車が走る姿はまさに壮観。このNorthern Transconはトンネルの制約とかで運転本数はさほど多くないけど、かつては日本との貿易でも重要な役割を果たした。

13:40、定刻より実に4時間半遅れてマイノットを発車！

来る前は殺風景だと思っていたこのあたり、実は川や湖が多い。草原というより低湿地だ。そして家畜（主に牛）の姿も見える。

ノースダコタ州西部はシェールオイルブームで一気に一大産油地になった。車窓にもオイルリグがあちこちに見える。

こんなド田舎（失礼）にも、ちゃんと警報機と遮断棹がある。

今日の夕食の予約は17時。「マウンテンタイムだから気をつけてね！」と言われた。そう、ノースダコタ州を過ぎてモンタナ州に入ると、時間が1時間戻るのだ。

BNSFの貨物列車とすれ違い。

16:20、ノースダコタ州最後の駅ウィリストンWilliston。本来ならば午前中に到着していたはずだ。

そしてこのあたりから急に起伏ある地形が姿を現し始めた。進行方向右側の景色しか見えていないけど、恐らく反対側には大河ミズーリ川が流れているだろう。

17:00、夕食タイム。それぞれ1人旅中の男性2人と相席になった。1名は退役軍人で、もう1名もどうやら軍関係で働いていた（いる？）様子。なんでも、数年前にアリゾナで発見された戦艦三笠の軍艦旗の日本への返還に携わった方らしい。

今日のディナーはチキンロースト。これまたでっかくてお腹いっぱいになること間違いなし。柔らかくて美味しかった。

デザートのチョコタルトはめっちゃ甘かった・・・

たまに車窓に見えるのがシカ。何とか写真に収めたのはこの1枚だけだった。

モンタナ州グラスゴーGlasgowを19:15に発車。遅れはついに6時間50分に達してしまった。

モンタナ州マルタMaltaに着いたのは20:32。なんと1人だけ乗車があった。7時間近くもこの列車の到着を待っていたのかと思うと気の毒になってくる。

翌日の朝食のアナウンスがあった。パシフィックタイムの5時半にサービスを始めるとのこと。それまでにパシフィックタイムゾーン（アイダホ州から西）に入っていればいいけど、たぶんまだマウンテンタイムゾーン（モンタナ州から東）なんだろうな。

もう景色も見えない時間帯になったので、パパッとシャワーを浴びていったん就寝。

12時に目が覚めてしばらくすると、モンタナ州シェルビーShelbyに到着した。ここでもこの列車の到着を長いこと待っていた乗客が数名・・・ついに遅れは7時間を突破してしまった。多少の遅れは当然あるだろうと思ってたけど、さすがにここまで遅れるとは思っていなかった。それでもまだ行程には余裕があるから焦ってはいなかったけど、気が気じゃない人もいるだろう。明日の朝はどんな状況になっているだろうか。