2019/04/30 - 2019/05/01
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norijiroさん
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成都を扱ったガイドブックは少ない。書店に行くと台湾やハワイのガイドブックは各社から多種多様なものが出版され、これでもかと平積みされているのに、成都はいくら調べても「地球の歩き方」のみである。台湾に割くエネルギーを、少しは成都にもつぎ込んでいただきたいものだ。仕方ないので現地情報は歩き方一冊に依存するしかないのだが、その書名は「成都 九寨溝 麗江」である。九寨溝にはいつか行ってみたいと思っていたが、2017年8月に発生した地震でかなりの被害があり、今回訪れることは難しそう。一方、雲南省の麗江という名ははじめて知ったものの、ガイドブックで見るかぎり、昔の街並みがとても美しい場所のようである。いいじゃない、古き良き、素朴さあふれる中国。人民のるつぼ成都から、いざ麗しき山奥の桃源郷へ。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
- 交通手段
- タクシー 徒歩 飛行機
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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麗江行きの朝は早い。成都と麗江の間には数社の定期便があるが、午前中の成都発は申し合わせたように朝6時台。ってことは3時起きか? それはあまりにもつらい。その後、航空会社より一方的に8:45発へ変更する旨のメールが来たが、これほどありがたい申し出はなかった。英断に激賞をもって応えたい。
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中国の空港のセキュリティは非常に厳しい。まず、空港に入る際に荷物のX線検査があり、入口脇では何人もの機動隊員が不審者に目を光らせている。彼らの黒ずくめの制服には「防暴」あるいは「防爆」という生々しい白文字が染め抜かれており、こちらも気が引き締まる。保安検査場では、手荷物検査はもちろん、乗客は身分証明書を提示のうえ、ご丁寧に一人ひとり顔写真を撮影される。入国審査並みの厳重さなので、とにかく出発ロビーにたどりつくまで時間がかかった。
今回は全人民の誇るフラッグキャリア・中国国際航空をはじめて利用。本当は預け入れ荷物の重量がかなりオーバーしていたが、それをいちいち外国人に指摘するのが面倒だったのか不問であった。そういうところは好ましい。 -
四川省と雲南省の間には4,000~5,000m級の山々が連なっている。山には雲がかかり、何となく「雲南」と名付けられた理由が分かった。
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1時間半ほどで麗江三義空港へ到着。山に囲まれているため実感はないが、空港の標高は2,240mに達する。かなりの高地だ。
麗江三義国際空港 (LJG) 空港
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なかなか近代的な手荷物受け取りレーン。われわれの荷物はコンテナが別だったのか、ひとタイミング後になったので、もしやロストバゲージかと気を揉んだ。
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空港にはホテルから迎えを頼んでおいた(無料サービス)。麗江の宿泊は麗江格麦爾酒店。ホテルというよりはゲストハウスに近い感じで、スタッフはカジュアルな若い兄ちゃんが多い。
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客室はメゾネットタイプで、ベッドルームが2つあり広々。これで1泊15,000円以下である。このホテルにかぎらず、全体的に麗江の宿泊費はお手頃だった。
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麗江の旧市街である麗江古城に向けて出発。麗江の標高は2,400mで、場合によっては高山病も発生する高度である。高度に馴れるようにゆっくりと行動しよう。息苦しさは特に感じないが、何となくフワフワとした感じはある。
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麗江は宋代末期の1126年、少数民族のナシ族によって建設された町で、近隣のチベットや雲南の影響を受けた独自の景観が特徴だ。古城内には水路が張り巡らされ、石畳の小道が続いている。1997年末には世界遺産として登録された。かわいらしい街並みは日本の女性にも受けると思うので、「ことりっぷ」とかが一冊にまとめてもよいと思うのだが、外国人にとってはホテルでも店でも中国語しか通じないのが難点か。
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土産物店などが並ぶ通り。近年では中国全土から多くの観光客が集まり、旧市街の範囲は周辺にどんどん拡大しているという。旧市街が新たに拡大というのも変な話ではあるが、人気にあやかって市内全域が旧市街風に作り替えられているらしい。テーマパーク化しているとの批判もあるようだが、それでも古城内をぶらぶらと歩くのは楽しい。
麗江旧市街 旧市街・古い町並み
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お腹が空いてきたので、昼食を食べるため目についたレストランへ。ナシ族風味をうりにしている店が多い。
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ナシ族と関係あるか不明だが、まずはチベットビール。それまでの中国産薄味ビールとは違い、濃厚な味わい。色の濃さと味の濃さは比例する。
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ジャスミンと卵の炒めもの。ジャスミンといえばお茶のイメージしかないが、そのつぼみらしき部分が卵と炒めてある。ジャスミン自体の味はほとんどないが、むぎゅっとした食感が卵とよく合う逸品。
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ナシ焼き肉。かたまり肉を焼いて、スライスしたものらしい。ほぼベーコンである。先日の熊猫楽園前の食堂でも食べたが、今回、中国にもベーコン文化があることが分かった。調べてみると、四川省では冬に豚肉を薫製し、ベーコンにして味わう伝統まであるらしい。
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そして松茸スープ。周囲を山に囲まれたこの一帯は、松茸をはじめとするキノコ類が特産品の一つであり、専門のレストランもよく目にした(中国ではキノコ全般を「菌」と表現する。病原菌みたいで何だかマズそうだが)。スープの底にはスライスされた松茸が大量に潜んでいる。香りを楽しむというよりは、食感重視の方針のようだ。薬膳系の味で体によさそう。
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食後は引き続き古城を散策。道は迷路のように入り組んでおり、地図なしでは遭難すること必至だ。
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古城の中心である広場・四方街へと到着。人民がダンスを踊る。元々は近隣の人々や中継貿易の商人による交易の場であったらしい。
四方街 散歩・街歩き
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どことなくチベット方面の影響を感じさせる街並み。
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古城の北までやってくると、彼方に玉龍雪山が見えた。麗江の北15kmほどに位置する13峰の総称であり、最高峰は5,596mにも達する。
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玉河広場にある大水車。
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紅太陽広場の毛沢東像を眺めつつ、さらに北へ。像のバックにあるグチャグチャした文字は、毛沢東作の有名な詩「満江紅・和郭沫若同志」の自筆。いかにも革命家らしいアドレナリン全開の筆致で、なかなか感慨深い。
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麗江市街の北部にある黒龍潭公園までやってきた。
黒龍潭 広場・公園
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この公園から見る玉山雪山は麗江でも見どころの一つ。雲の切れ間からばっちり。翌日からの天気予報があまりよくなく少々心配だったが、とりあえずもう思い残すことはない。
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夕食はホテル近くの広東料理店へ。麗江のレストランでは、食器が一組ずつラッピングされていることが多く、衛生状態はきわめて良好。が、ある日レシートをよく見ると、「食器ラッピング代」が4元/組ほど徴収されていることに気づいた。
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四川料理の魚香茄子。広東風アレンジなので辛くない。成都では激辛に打ちのめされたので、麗江ではしばらく辛さを忘れよう。
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翌朝、ホテル屋上の物干し台から望む麗江の夜明け。天気がよければ玉山雪山へ行こうと思っていたが、少々雲が多い。本日も引き続き麗江古城をめぐる。
そういえば、日本はこの日から新元号なのであった。麗江で仰ぐ令和の初日の出である。 -
ホテルで朝食を食べることもできるが、せっかくなので外へ。近くの小籠包店に入る。
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小籠包というよりは小さな肉まんで、手作り出来たての熱々。朝食にはもってこい。
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菜っ葉と豚の細切り肉が入った「青菜肉絲粥」。さくさくの青菜とプリッとした豚肉の食感がよい。
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2日目の散策を開始。古城内ではナシ族の司祭に伝わるトンパ文字をあちこちで見ることができる。象形文字の原形のような感じで、ほとんど絵。トンパ文字は世界遺産に登録されており、店舗看板や案内板にも併記されている。
麗江旧市街 旧市街・古い町並み
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濃い顔の作業員。昔のプロパガンダポスターを思わせる絵柄だ。
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本日の目的地は「木府」。この地を治めたナシ族の首領・木氏の宮殿である。
木府 建造物
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明代の旅行家・徐霞客は木府を訪れ、「宮室之麗 擬於王者」とその壮麗さを称えた。雲南の紫禁城とも呼ばれているとか。
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さまざまな会議が開催されたという議事庁。赤と青の色合いが鮮やかである。なかには木氏が議長として座した立派な椅子が置いてある。
さてここでたいへん残念なお知らせだが、徐霞客が絶讃した宮殿はその後1860年の戦火で大部分が消失し、さらに一部再建された建物も文化大革命によってとどめを刺され、完全に破壊された。というわけで、現在の建物は1997年にはじまった復元工事によって再現されたものである。いってみれば完全なテーマパー…いや、あまり考えないでおこう。 -
議事庁の奥にあるのが萬巻楼。その名のとおり、木氏の蔵書が収められていた建物である。
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仏教の経典らしきものが展示されたいた。
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萬巻楼は展望台のようになっており、最上階からは麗江の街並みが一望できる。黒い瓦屋根が並ぶ様はなかなか壮観。
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と、ここで大事件勃発。妻の携帯で窓から外の写真を撮ろうとしていた次男だが、あろうことかその携帯を外に落としてしまったのだ。窓の下にはひさし状の屋根があり、幸か不幸か携帯は写真の中ほどに引っかかっていた。近くにあった傘のようなもので手前に寄せようとしたが、屋根の傾斜がきついのと瓦の段差が障害となりうまくいかない。そのまま向こうに落として下でキャッチする手も考えたが、下にもう一層大きな屋根があり、そこに引っかかると窓もないので救出は完全に不可能となる。
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携帯を救うのにもっとよい道具がないか探すため、私だけいったん現場を出た。役に立たなそうな自撮り棒2本を購入して意気揚々と戻ってきたが、その間に奇跡の人間ドラマが!
妻の話によると、私が出た後、近くで事の顛末を見守っていた人民3人が何事か相談しはじめ、そのうちの一人が何と、窓枠を越えて屋根に飛び乗り、自らの転落の危険も顧みず携帯を取ってくれたというではないか。勇敢な行動によって携帯を救出していただいた方にはいくら感謝してもし尽くせない。英雄的人民万歳! -
奇跡のように現れた心優しき人民によって携帯は無事に救われたが、本来なら二度と携帯とまみえることもなかっただろう。叱責を受け、猛省する次男。ちょっとかわいい。
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木府の北側一帯は木氏一族の居住区のようで、住宅のような小規模の建物が軒を連ねている。議事庁などの大きな建物はバリバリの中国風だが、このあたりはほんのりとナシ族風味がただよう。
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建物の間には木製アーケードが整備されていた。
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木府の見学後はふたたび町へ。まさに今到着したような荷物を引いた旅行者を多く見かけるようになった。そう、この日5月1日はメーデー、中国では祝日である。元々は1日だけの休みだったはずが、報道によると3月末になり国が「5月1日の労働節(メーデー)を1~4日の4連休とする通知を発表した。経済が減速する中、連休効果で消費てこ入れを図る狙いがあるとみられ、訪日観光客の動向にも影響を与えそうだ」とのこと。国内旅行も当然活発化するはずで、果たして麗江にどのような影響があるか?
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店は多いが、扱う品はだいたいパターン化されている。お茶、銀細工、アクセサリーなどの工芸品が圧倒的に多い。
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夕食は「ナシ族郷土料理」との看板を下げた料理店に適当に入り、適当に注文。が、ここは「ナシ族郷土料理+雲南料理」の店であった。雲南料理について後で調べると、「雲南省の漢族の料理は四川料理に属し、唐辛子を多用するものが多い」とのこと。そう、これまではナシ族料理を中心に食べていたので辛い思いをすることはなかったが、いわゆる雲南料理は四川同様に辛いものが多いようである。そして、今回適当に注文した品のなかに雲南料理が含まれていた。
たまには魚が食べたいという気軽な気持ちで注文したこの魚料理だが、後にも先にもこの旅いちばんの超激辛。蒸した白身魚の上に、じゃがいも、ねぎ、ピーナッツ、青唐辛子などを炒めたものがのっている。所詮はただのじゃがいも、見た目はそれほど獰猛に見えないのだが、口にすると脳がしびれるほどだ。なぜかほんのりカレー系の風味もある。早々にギブアップして白身魚の部分だけを選んでつまんでいた(それでも十分に辛い)。陳麻婆豆腐店の激マズトウモロコシ飲料がほしくなった。 -
魚香肉絲。四川料理であることは知っていたが、当時の「雲南料理=辛くない」という勝手な思い込みにより、減辛アレンジがされているものと考えて注文。その思い込みがみごとな誤解であった。手加減なしの辛さもさることながら、それに負けじと酸味がすごい。
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胃が炎上しそうな食事を終え、日が落ちるとこの人混み。労働節の渦中に完全に巻き込まれたようだ。成都では外国人観光客を見かけることもあったが、この町で見かけた欧米系の外国人はわずか5人。アジア系外国人は中国人との判別がむずかしいが、少なくとも日本人らしき人はいっさい見なかった。この町は人民の人民による人民のためのテーマパーク、純度100%の人民パラダイスである。
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運河沿いの脇道は人も少なく一安心。ライトアップされた街並みはなかなか美しい。
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以前訪れたベルギーのブルージュの夜景を思い出す。東洋のブルージュと称してもよいかも。
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帰途、売店で酸素缶を購入。山で買うと1本60元くらいするらしいが、町中では20元で販売されていた。
というわけで、ついに明日は玉龍雪山踏破へ向かう。
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この旅行記へのコメント (2)
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- Mugieさん 2020/01/29 21:44:18
- はじめまして!
- 麗江の街、雰囲気があっていいですね~
トンパ文字もかわいくて好きですw
九寨溝も、麗江も以前から行ってみたいと思っていますが、地震に加え、コロナウィルスで中国への旅が遠のいてます。
現地の方が携帯を拾ってくれた話、感動ですね。
会社の同僚に中国人がけっこういますが、みんないい人なのに、中国に旅行に行くと、地下鉄の駅に閉じ込められたり、持ち物を没収されたり、タクシーを横取りされたり、ひどい目にあってばかりです。
現地での心温まる話にほっこりしました。
ムギー
- norijiroさん からの返信 2020/02/03 11:23:13
- Re: はじめまして!
- ムギー様
旅行記をご覧いただき、ありがとうございました。
中国の都市部以外に行ったのは初めてでしたが、
思った以上によかったです。
心なしか、人ものんびりしているような…。
中国のタクシー争奪戦は確かに厳しいものがありますね。
昔上海に留学したことがありますが、
最初は目前でタクシーを奪われ続け、呆然とするばかり。
それでも、ひと月もすると、台風の日に中国人20人を相手に
争奪戦に勝利するまでに成長?しました。
よいことなのかどうかは微妙でしたが。
麗江はそんなこともなく、よいところだと思います。
今はなかなか行きづらいですが、
状況が落ち着いたらぜひご検討ください。
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