ポーランドの世界遺産が見たいと息子が言うので　その3はアウシュビッツ

2019/06/02 - 2019/06/02

年に一度の息子との旅行、今年はポーランド。

その3は、ポーランド旅行一番の目的の、アウシュビッツ・ビルケナウ博物館訪問の旅行記です。
利用したのはベルトラの日本語ガイドのツアーで、料金は11720円でした。

エリア アウシュビッツ(ポーランド)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5

• 同行者: 家族旅行
• 一人あたり費用: 1万円 - 3万円
• 交通手段: 徒歩
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）

4日め。

少しずつ明るくなってきた、朝6時半にマテイキ広場に集合。
参加者は私たちを含めて5人。

ヤナ マテイキ広場 広場・公園

ドライバーと日本語案内の方が、迎えに来ました。

早朝で道が空いていて、1時間5分でアウシュビッツ博物館に到着。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

入場まで時間があるので、8時に入口に集合と言われました。
行くべきは、トイレとブックショップ。
トイレは有料で2ｚ。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ブックショップは狭く、日本語のガイドブックは2冊しかありませんでした。
隣はドリンクと軽食の売店。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

左が25ｚで、右が14ｚ。
入場までに目を通し、案内書は見学途中も見ようと思っていました。
旅行前には、「夜と霧」も読んでおきました。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

7時50分のインフォメーション。
日曜日だからか、かなり並んでいます。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ブックショップは外にもありましたが、開店前で入れず。
左の建物は、大きなかばんを預けるところ。
預けるのは有料と聞いていたので、持ち込めないものは送迎の車の中に置いておきました。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

いよいよ入場・・あれ、ガイドさんはお迎えのときに案内してくれた人。
別の専門ガイドさんが現れると思っていたのに。

8時にヘッドホンを受け取り、装着するとガイドさんの声がよく聞こえる！
でっぷり体形のガイドさんは、よく息切れして声が聞き取りにくかったから。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

せっかく日本語の解説が聞けるのに、聞き取りにくくて無駄だったということにならなくてよかった。

最初に見た写真は、収容所の音楽隊。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

抜けるような青空の下の収容所。
過去に残虐なことが行われた場所だと知らなければ、笑顔で写真が撮れるような晴れた空。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

第4棟から、収容所の中の見学が始まります。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

強制移住者を載せた列車がどこから出発したのかを表すため、最も重要な都市名を記した欧州地図。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

アウシュビッツ強制移住者の数値表。
110万人のユダヤ人、14万人のポーランド人、2万3千人のロマ・・
アウシュビッツで亡くなったのは、ユダヤ人だけだと思っていたら違っていました。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

朝早くてよかったのは、他の見学者が少なかったこと。
見学に順番待ちもありませんでした。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

アウシュビッツの存続期間は、1940年6月から1945年1月。
たった5年間に、150万人以上の人がアウシュビッツで亡くなりました。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

到着すると、「選別」が行われます。
生きる価値があるか否か(→労働ができる・人体実験に使えるなど)のナチスの判断で、生死が決まります。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

シャワーを浴びると騙されて、裸でガス室に行く人たちを隠し撮りした写真。
生々しすぎて、正面から見られません。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

死刑囚にされた者の身代わりで餓死室に入り亡くなった、ポーランド人のコルベ神父。

アウシュビッツの聖者と呼ばれた彼も人間、無慈悲に殺人を続けたナチスも人間。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ガス室に入れられた人たちの様子の模型。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ガス室で使われたチクロンBの缶。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

第5棟。

収容者のメガネ。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

名前を書いたのに、持ち主に戻らなかったかばん。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

胸がつまったのは、幼い子どもの洋服を見たとき。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ナチスは撤退する際に、これらの証拠品を破棄しようとしました。
現在見ることができるのは、破棄が間に合わず残っていたもの。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

10時から15時はツアーでないと入場できないため、この時間には個人で見学している人たちがいます。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

第6棟。
説明を聞き、写真や遺品を見て次に移動。
時間が短いので、じっくり見たり考えたりはできません。
入口で買った案内書で確認する暇もありません。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ここにある写真の人たちで、生きて収容所を出られた人はいません。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

人体実験の犠牲になった子どもたち。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

棟を出るたびに見える青空。
全く爽快感を感じられません。

収容者たちは、どんな思いで空を見ていたのでしょうか。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

11棟。
収容所の拘禁所でもあるこの棟の地下18番は、コルベ神父が亡くなった部屋。
花が供えられた部屋の前で黙祷する時間もなく、ガイドさんについて薄暗く狭い通路を歩きました。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

地下から11棟の中庭に出たとき、思わず「あっ・・」と声が出ました。

「死の壁」の前では、写真を撮ってはいけないような気持ちになりました。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

でもすぐ移動しなければいけないと、手を合わせ、写真を撮り、待っているガイドさんのところへ。

両側の建物の窓が塞がれているのには理由があります。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

棟の見学は終了。
写真はたくさん撮ったけど、見直す時間がありません。
もしまた来ることがあれば自分のペースで見学したいなあと、歩きながら思いました。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

集団絞首台。
後ろにある絞首の絵は、被収容者が書いたもの。
辛くて直視できません。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

脱走防止の高圧電流が流れる鉄条網。
自ら感電死を選ぶ人もいました・・

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

収容所の初代所長ルドルフ・ヘスが、絞首刑に処された刑場。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ガス室と焼却炉。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

ガス室の天井にあるのは、チクロンBを放り込んだ穴。
シャワーに見せかけた穴も。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

死体を焼いた焼却炉。

ガス室と焼却炉の写真を撮るときには、手が震えてしまいました。
ただ、すぐに移動しなければならないので、とにかく撮ったという・・

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

アウシュビッツの見学は、1時間45分で終了。
あっという間に終わってしまった印象です。

ビルケナウに移動するまで、15分の休憩。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

アウシュビッツの駐車場にある、セルフサービスの食堂。

オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

10時に、車でビルケナウの駐車場へ。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

駐車場からビルケナウまで、ガイドさんを先頭に徒歩で移動。
見覚えがある、線路と進入門。
門は、中央監視塔の機能もありました。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

階段を上がって、監視塔へ。

ビルケナウでは、ガイドさんの地声でのガイド。
うーん、やっぱり聞きづらい。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

窓から見るビルケナウ。
アウシュビッツよりかなり広い。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

煙突しか残っていない、破壊されたバラック。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

ビルケナウには、全く日陰がありません。
真夏に訪れるなら、暑さに注意。

ガイドさんの後ろを歩いて線路沿いを進むと・・

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

人々を運んできた、実際の貨車がぽつんとありました。
人間として扱われていないからぎゅうぎゅう詰めで、着いたときには息絶えていた人もいたとか。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

アンネもこの降車場に降り立った・・

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

国際慰霊碑は、近くに寄ることなく説明だけ聞いて通り過ぎました。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

証拠隠滅のために、爆破されたガス室。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

がれきを見ながら思い出したのは、日本の負の遺産の原爆ドーム。
広島や長崎でも、同じ気持ちになったことが忘れられません。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

重い重い気持ちのまま、ガイドさんと歩きます。

一度は訪れたかった、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所。
実際に目にすると、言葉にはできないもやもやとした気持ちになりました。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

最後に見学したのは、ほぼ完全な形で残っているバラックの中。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

人間が寝る場所とは思えない、棚のようなベッド。

ビルケナウを出るとき、「アウシュビッツに来てくれてありがとう。多くの人に見てもらって長く残していきたい」とガイドさんからの挨拶がありました。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

ビルケナウの見学は、1時間で終了。

再び歩いて、駐車場に戻ってきました。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

出発まで20分休憩と言われて、ビルケナウのブックショップへ。
アウシュビッツ入口のブックショップより広く、日本語の本も多かったです。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

ブックショップの奥の、お土産売り場。

強制収容所を離れるときの気持ちは、驚き・怒り・悲しみ・祈り・・
負の遺産の存在意義でもある、繰り返さないためにということを強く思いました。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

食堂も、ビルケナウのほうが広くて種類がありました。

11時35分に、クラクフに向けて出発。
クラクフ中心部が渋滞していて、集合場所に着いたのは13時20分でした。

ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡