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カナダ国内では3番目の都市圏人口約200万人を有するバンクーバーに行って来ました。 <br />バンクーバーが属するブリティッシュコロンビアが、1967年にイギリスから独立したカナダ自治領に加盟したのは1971年のことです。しかし、それよりも1万年以上も前に、この地にはモンゴロイドの先住民が住み着いており、バンクーバーにはトーテムポールに代表される彼らの文化が大切に保存されています。<br />本旅行記ではグランビルアイランドの生鮮食品マーケット、スタンレーパークのトーテムポール、バンクーバー冬季五輪の聖火台が残されているジャック・プール・プラザを中心にご報告します。 <br /><br />なお付録にトーテムポール関する説明を加えましたので、ご興味がある方はご覧ください。 <br />

カナダ バンクーバー

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2017/06/27 - 2017/07/05

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bunbun

bunbunさん

カナダ国内では3番目の都市圏人口約200万人を有するバンクーバーに行って来ました。
バンクーバーが属するブリティッシュコロンビアが、1967年にイギリスから独立したカナダ自治領に加盟したのは1971年のことです。しかし、それよりも1万年以上も前に、この地にはモンゴロイドの先住民が住み着いており、バンクーバーにはトーテムポールに代表される彼らの文化が大切に保存されています。
本旅行記ではグランビルアイランドの生鮮食品マーケット、スタンレーパークのトーテムポール、バンクーバー冬季五輪の聖火台が残されているジャック・プール・プラザを中心にご報告します。

なお付録にトーテムポール関する説明を加えましたので、ご興味がある方はご覧ください。

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  • ツアー初日の6月27日、バンクーバー国際空港からグランビルアイランド(Granville Island)にある生鮮食品マーケット(Public Market)にやって来ました。<br />ラズベリー、ブルーベリー、サクランボ、イチゴ等の果物の店です。<br />

    ツアー初日の6月27日、バンクーバー国際空港からグランビルアイランド(Granville Island)にある生鮮食品マーケット(Public Market)にやって来ました。
    ラズベリー、ブルーベリー、サクランボ、イチゴ等の果物の店です。

  • マンゴーやパイナップルも売ってます。

    マンゴーやパイナップルも売ってます。

  • 日本にあるような大きなリンゴも売られています。<br />昔ドイツに住んでいた頃はこんなリンゴは無かったなあ。今はドイツにもありますかねえ。<br />

    日本にあるような大きなリンゴも売られています。
    昔ドイツに住んでいた頃はこんなリンゴは無かったなあ。今はドイツにもありますかねえ。

  • タルト屋さんだ。

    タルト屋さんだ。

  • 建物の外に出ました。<br />フォールス・クリーク(False Creek)を隔てた対岸(北東方向)の街です。<br />ライトブルーに統一された綺麗な街ですねえ。<br />右端に少し見えるのはグランビル・ストリート・ブリッジ(Granville Street Bridge)です。<br />

    建物の外に出ました。
    フォールス・クリーク(False Creek)を隔てた対岸(北東方向)の街です。
    ライトブルーに統一された綺麗な街ですねえ。
    右端に少し見えるのはグランビル・ストリート・ブリッジ(Granville Street Bridge)です。

  • カメラを少し左(北)に振ります。<br />左端に少し見えるのはバラード・ストリート・ブリッジ(Burrard Street Bridge)です。<br />

    カメラを少し左(北)に振ります。
    左端に少し見えるのはバラード・ストリート・ブリッジ(Burrard Street Bridge)です。

  • カメラを右(東)に振っていきます。<br />グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークを隔てた対岸の街。 <br />

    カメラを右(東)に振っていきます。
    グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークを隔てた対岸の街。

  • グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークを隔てた対岸の街。

    グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークを隔てた対岸の街。

  • グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークと対岸の街。

    グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークと対岸の街。

  • 少し東に移動しました。<br />フォールス・クリークと対岸の街とバラード・ストリート・ブリッジ。<br />

    少し東に移動しました。
    フォールス・クリークと対岸の街とバラード・ストリート・ブリッジ。

  • また生鮮食品マーケットに戻ってきました。<br />イタリア産のソーセージ、チーズ、ピクルスの店です。<br />

    また生鮮食品マーケットに戻ってきました。
    イタリア産のソーセージ、チーズ、ピクルスの店です。

  • ケーキ屋さんですね。

    ケーキ屋さんですね。

  • また外に出ました。<br />生鮮食品マーケットの入口です。<br />

    また外に出ました。
    生鮮食品マーケットの入口です。

  • また中に入りました。<br />八百屋さんです。<br />奥は魚屋さんですね。<br />日本語で「海の幸」と書かれています。<br />

    また中に入りました。
    八百屋さんです。
    奥は魚屋さんですね。
    日本語で「海の幸」と書かれています。

  • 八百屋さん。

    八百屋さん。

  • 果物屋さん。

    果物屋さん。

  • ケーキ屋さん。

    ケーキ屋さん。

  • 肉屋さん

    肉屋さん

  • 果物屋さん。<br />何でもそろってますね。 <br />

    果物屋さん。
    何でもそろってますね。

  • また外に出てグランビル・ストリート・ブリッジの南西に来ました。<br />フォールス・クリークと対岸の街と少しだけグランビル・ストリート・ブリッジ。<br />

    また外に出てグランビル・ストリート・ブリッジの南西に来ました。
    フォールス・クリークと対岸の街と少しだけグランビル・ストリート・ブリッジ。

  • グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークを隔てた対岸の街。

    グランビル・ストリート・ブリッジとフォールス・クリークを隔てた対岸の街。

  • フォールス・クリークと対岸の街とバラード・ストリート・ブリッジ。

    フォールス・クリークと対岸の街とバラード・ストリート・ブリッジ。

  • 生鮮食品マーケットを出てキャンビー・ストリート・ブリッジ(Cambie Street Bridge)を渡り、トーテムポールのあるスタンレーパーク(Stanley Park)に向かいます。<br />キャンビー・ストリート・ブリッジから見た東側車窓の風景。<br />遠くに見える銀色の球形の建物はテラス・ワールド・オブ・サイエンス(Science World at Telus World of Science)です。<br />1986年のバンクーバー国際交通博覧会の際に建てられた建物で、現在は科学館として一般に公開されてます。<br />

    生鮮食品マーケットを出てキャンビー・ストリート・ブリッジ(Cambie Street Bridge)を渡り、トーテムポールのあるスタンレーパーク(Stanley Park)に向かいます。
    キャンビー・ストリート・ブリッジから見た東側車窓の風景。
    遠くに見える銀色の球形の建物はテラス・ワールド・オブ・サイエンス(Science World at Telus World of Science)です。
    1986年のバンクーバー国際交通博覧会の際に建てられた建物で、現在は科学館として一般に公開されてます。

  • 途中ギャスタウン(Gastown)のキャンビー・ストリートとウォーター・ストリート(Water Street)にあった蒸気時計。<br />動いているバスから撮りましたのでブレてます。すみません。<br />

    途中ギャスタウン(Gastown)のキャンビー・ストリートとウォーター・ストリート(Water Street)にあった蒸気時計。
    動いているバスから撮りましたのでブレてます。すみません。

  • 途中サロー・ストリート(Thurlow Street)から北側に見えたジャック・プール・プラザ(Jack Poole Plaza)と2010年開催バンクーバー冬季五輪のオリンピック・聖火台(Olympic Cauldron)。

    途中サロー・ストリート(Thurlow Street)から北側に見えたジャック・プール・プラザ(Jack Poole Plaza)と2010年開催バンクーバー冬季五輪のオリンピック・聖火台(Olympic Cauldron)。

  • スタンレーパークのブロックトンポイント(Brockton Point)にやって来ました。<br />この後、トーテムポールについて説明していきますが、理解に必要な基礎知識は付録で1.目的、2.種類、3.歴史、4.建立民族、5.彫刻される動物の順に記載しましたので必要に応じて参照してください。<br /><br />ここには現在9本(写真では右端に1本の一部が見えます。)の先住民(Indigenous people)のトーテムポールがあります。このうち5本はクワクワカワク(Kwakwaka?wakw、詳細は後出)族のもの、1本はハイダ(Haida)族の墓棺柱、1本はヌーチャヌルトゥッ(Nuu-chah-nulth)族のもの、1本はニシュカ(Nisga&#39;a)族のもの、最近加えられた1本は沿岸セイリッシュ(Coast Salish)族の一氏族であるスクアミッシュ(Squamish)族のものです。<br /><br />これらのトーテムポールは、ブリティッシュコロンビア州で最も人気のある観光名所です。<br />スタンレーパークのトーテムポールの収集は1920年代のランバーマンズ・アーチ(Lumbermen&#39;s Arch)に始まり、バンクーバーパークス委員会(Vancouver Parks Board)はバンクーバー島のアラートベイ(Alert Bay、後出)から4つのトーテムトーテムを購入しました。また、1936年の50周年記念祭(Golden Jubilee)を祝うために、ハイダグワイ(Haida Gwaii、2010年に「クイーンシャーロット(Queen Charlotte)諸島」から改名)とブリティッシュコロンビア州中央海岸のリバーズ・インレット(Rivers Inlet)からトーテムポールを購入しました。 1960年代半ばに、これらのトーテムポールは魅力的でアクセスが容易なブロックトンポイントに移されました。<br />チーフ・スケダンス葬儀トーテムポール(Chief Skedans Mortuary Totem Pole)は、オリジナルがハイダグワイに返されたときのレプリカです。 1980年代後半に、残りのトーテムポールは保存のために様々な美術館に送られ、委員会はその代わりとなるレプリカのトーテムポールを委託・貸出しました。<br />スクアミッシュのロバート・イェルトン(Robert Yelton)によって彫られた9番目で最新のトーテムポールは、2009年にブロックトンポイントに追加されました。<br /><br />「トーテムはブリティッシュコロンビア州のインディアンの紋章でした。トーテムポールはブリティッシュコロンビア州とアラスカ南部の北西海岸に特有なものです。これらはベイスギ(Western Red Cedar)*)から彫られました。それぞれの彫り物は事実または神話の出来事を物語ってます。それらは宗教的な偶像でも崇拝対象でもありませんでした。それぞれのポールのそれぞれの彫り物に意味があります。ワシは空の王国を表します。クジラは海の支配者です。オオカミは台地の知恵者を、そしてカエルは台地と海をつなぐ者を表します。」<br />―説明文の和訳―<br /><br />*) ヒノキ科クロベ属の常緑針葉樹で、ブリティッシュコロンビア州の州の木になっています。<br />

    スタンレーパークのブロックトンポイント(Brockton Point)にやって来ました。
    この後、トーテムポールについて説明していきますが、理解に必要な基礎知識は付録で1.目的、2.種類、3.歴史、4.建立民族、5.彫刻される動物の順に記載しましたので必要に応じて参照してください。

    ここには現在9本(写真では右端に1本の一部が見えます。)の先住民(Indigenous people)のトーテムポールがあります。このうち5本はクワクワカワク(Kwakwaka?wakw、詳細は後出)族のもの、1本はハイダ(Haida)族の墓棺柱、1本はヌーチャヌルトゥッ(Nuu-chah-nulth)族のもの、1本はニシュカ(Nisga'a)族のもの、最近加えられた1本は沿岸セイリッシュ(Coast Salish)族の一氏族であるスクアミッシュ(Squamish)族のものです。

    これらのトーテムポールは、ブリティッシュコロンビア州で最も人気のある観光名所です。
    スタンレーパークのトーテムポールの収集は1920年代のランバーマンズ・アーチ(Lumbermen's Arch)に始まり、バンクーバーパークス委員会(Vancouver Parks Board)はバンクーバー島のアラートベイ(Alert Bay、後出)から4つのトーテムトーテムを購入しました。また、1936年の50周年記念祭(Golden Jubilee)を祝うために、ハイダグワイ(Haida Gwaii、2010年に「クイーンシャーロット(Queen Charlotte)諸島」から改名)とブリティッシュコロンビア州中央海岸のリバーズ・インレット(Rivers Inlet)からトーテムポールを購入しました。 1960年代半ばに、これらのトーテムポールは魅力的でアクセスが容易なブロックトンポイントに移されました。
    チーフ・スケダンス葬儀トーテムポール(Chief Skedans Mortuary Totem Pole)は、オリジナルがハイダグワイに返されたときのレプリカです。 1980年代後半に、残りのトーテムポールは保存のために様々な美術館に送られ、委員会はその代わりとなるレプリカのトーテムポールを委託・貸出しました。
    スクアミッシュのロバート・イェルトン(Robert Yelton)によって彫られた9番目で最新のトーテムポールは、2009年にブロックトンポイントに追加されました。

    「トーテムはブリティッシュコロンビア州のインディアンの紋章でした。トーテムポールはブリティッシュコロンビア州とアラスカ南部の北西海岸に特有なものです。これらはベイスギ(Western Red Cedar)*)から彫られました。それぞれの彫り物は事実または神話の出来事を物語ってます。それらは宗教的な偶像でも崇拝対象でもありませんでした。それぞれのポールのそれぞれの彫り物に意味があります。ワシは空の王国を表します。クジラは海の支配者です。オオカミは台地の知恵者を、そしてカエルは台地と海をつなぐ者を表します。」
    ―説明文の和訳―

    *) ヒノキ科クロベ属の常緑針葉樹で、ブリティッシュコロンビア州の州の木になっています。

  • スクアミッシュのローズ・コール・イェルトン記念トーテムポール(ROSE COLE YELTON MEMORIAL POLE OF THE SQUAMISH NATION)<br /><br />このトーテムポールは、トーテムポールがあるスタンレーパーク(Stanley Park)のエリアに、駐車場のある南側から入ったとき最初に目にします。<br /><br />トーテムポールにはたくさんの彫刻がありますが、各彫刻の右側に番号をふって、以下でその説明をします。<br /><br />「<br />①サンダーバード(ロバート・イェルトンのイーグル娘レノラのために)<br />②鳥の羽の間の人の顔(家族の中の男性を表します)<br />③ワタリガラス(Raven)(ロバート・イェルトンは、1970年代後半にクイーンシャーロットで働いているとき、ハイダ族の養子になりました)<br />④オオカミ(ロバート・イェルトンの息子ピーター(Peter)のために)<br />⑤オオカミに捕まっているシャチ(彫刻家は、彼らがクジラを見たとき、彼の祖母マチルダ(Matilda)と一緒にバラード海峡(Burrard Inlet)を渡ったフェリー旅行を思い出すよう、シャチを組み入れました)<br />⑥伝統的なラハル・ボーン・ゲーム(lahal bone game)*)のための「骨」を持つ女性(ロバート・イェルトンの母親ローズ・コール・イェルトンを表します)<br /><br />2009年に提起されて、このトーテムポールはローズ・コール・イェルトン、彼女の家族、そしてスタンレーパークに住んでいたすべての人々を称えるために作成されました。このトーテムポールは、コール家族が1935年まで住んでいた住宅地の前に建てられています。2002年に亡くなるまで、ローズはブロックトン・コミュニティの最後の生存者でした。<br /><br />このトーテムポールはローズの息子で彫刻家のロバート・イェルトン(Robert Yelton)を中心とした多くの彫刻家によって作られました。」<br /><br />*) Lahal、Slahal等の名前でも知られる、太平洋北西岸の先住民が4個の骨と10本程度の木製スティックを使い、2つのチームに分かれて対戦するゲームです。<br />

    スクアミッシュのローズ・コール・イェルトン記念トーテムポール(ROSE COLE YELTON MEMORIAL POLE OF THE SQUAMISH NATION)

    このトーテムポールは、トーテムポールがあるスタンレーパーク(Stanley Park)のエリアに、駐車場のある南側から入ったとき最初に目にします。

    トーテムポールにはたくさんの彫刻がありますが、各彫刻の右側に番号をふって、以下でその説明をします。


    ①サンダーバード(ロバート・イェルトンのイーグル娘レノラのために)
    ②鳥の羽の間の人の顔(家族の中の男性を表します)
    ③ワタリガラス(Raven)(ロバート・イェルトンは、1970年代後半にクイーンシャーロットで働いているとき、ハイダ族の養子になりました)
    ④オオカミ(ロバート・イェルトンの息子ピーター(Peter)のために)
    ⑤オオカミに捕まっているシャチ(彫刻家は、彼らがクジラを見たとき、彼の祖母マチルダ(Matilda)と一緒にバラード海峡(Burrard Inlet)を渡ったフェリー旅行を思い出すよう、シャチを組み入れました)
    ⑥伝統的なラハル・ボーン・ゲーム(lahal bone game)*)のための「骨」を持つ女性(ロバート・イェルトンの母親ローズ・コール・イェルトンを表します)

    2009年に提起されて、このトーテムポールはローズ・コール・イェルトン、彼女の家族、そしてスタンレーパークに住んでいたすべての人々を称えるために作成されました。このトーテムポールは、コール家族が1935年まで住んでいた住宅地の前に建てられています。2002年に亡くなるまで、ローズはブロックトン・コミュニティの最後の生存者でした。

    このトーテムポールはローズの息子で彫刻家のロバート・イェルトン(Robert Yelton)を中心とした多くの彫刻家によって作られました。」

    *) Lahal、Slahal等の名前でも知られる、太平洋北西岸の先住民が4個の骨と10本程度の木製スティックを使い、2つのチームに分かれて対戦するゲームです。

  • 1つ上の1本を除いた、残り8本のトーテムポールの正面写真。

    1つ上の1本を除いた、残り8本のトーテムポールの正面写真。

  • チーフ・スケダンズ葬儀トーテムポール(Chief Skedans Mortuary Totem Pole)<br /><br />このトーテムポールは、スタンレーパークのユニークなトーテムポールです。それは唯一の葬儀のトーテムポールであり、チーフの遺体がトーテムポール上部の空洞内に置かれるタイプだからです。<br /><br />「<br />①月:チーフの紋章*)<br />②シロイワヤギ(Mountain Goat)<br />③グリズリー<br />④クジラ<br /><br />このトーテムポールの古いバージョンは1870年頃にスキッドゲート(Skidegate)のハイダ村(Haida village)**)で立てられました。それはチーフ・スケダンズ(Chief Skedans)を称え、チーフの伝統的な紋章を描いています。グリズリーの耳の中にいる2人の小さな人物は、トーテムポールを立ててチーフの記念のためにポトラッチ(potlatch)***)をおこなったチーフの娘とその夫です。当初のトーテムポールの上部にある長方形のボードは、チーフの遺骨を保持する空洞を覆っていました。ハイダの芸術家ビル・リード(Bill Reid、1920-1998)4*)はアシスタントのヴェルナー・トゥルー(Werner True)と一緒に、1964年にこの新しいトーテムポールを彫刻しました。また、1998年にはドン・ヨーマンズ(Don Yeomans)が上部にある月の顔を再彫刻しました。」<br />―説明文より抜粋・和訳―<br /><br />*) 丸い月の中はタカです。<br />**) 別名ハイナ(Haina)。ハイダグワイのほぼ中央のマウデ島(Maude Island)にある村。<br />***) 北米北西岸の先住民の儀礼・宴会で、主催者は招待客に豪華な贈り物をしました。トーテムポール建立時には、必ずこのポトラッチを伴いました。<br />4* スコットランド・ドイツ系父親とハイダ族の母親の間に生まれた、著名なハイダ族伝統芸術家。ハイダ族のなかでももっとも著名な伝統芸術家チャールズ・イーデンショー(Charles Edenshaw、1839-1920)の彫刻技法を受け継ついだ後、クワクワカワク族のマンゴー・マーティン(後出)の指導も受けております。<br /><br />このトーテムポールの彫像は全てチーフ・スケダンズの所有していた紋章で、特定の物語の登場者ではありません。しかし各々の紋章の背景や配列からトーテムポールが語ろうとしていることがわかります。その意味するところは:<br />このトーテムポールは気高く(月)高貴で(シロイワヤギ)、地上世界だけでなく海底世界の主も従えるほどの強大な権力を持っていた(グリズリーとチャチ)、故チーフ・スケダンズのために、かれの娘とその夫が建立した。<br />となります。<br />

    チーフ・スケダンズ葬儀トーテムポール(Chief Skedans Mortuary Totem Pole)

    このトーテムポールは、スタンレーパークのユニークなトーテムポールです。それは唯一の葬儀のトーテムポールであり、チーフの遺体がトーテムポール上部の空洞内に置かれるタイプだからです。


    ①月:チーフの紋章*)
    ②シロイワヤギ(Mountain Goat)
    ③グリズリー
    ④クジラ

    このトーテムポールの古いバージョンは1870年頃にスキッドゲート(Skidegate)のハイダ村(Haida village)**)で立てられました。それはチーフ・スケダンズ(Chief Skedans)を称え、チーフの伝統的な紋章を描いています。グリズリーの耳の中にいる2人の小さな人物は、トーテムポールを立ててチーフの記念のためにポトラッチ(potlatch)***)をおこなったチーフの娘とその夫です。当初のトーテムポールの上部にある長方形のボードは、チーフの遺骨を保持する空洞を覆っていました。ハイダの芸術家ビル・リード(Bill Reid、1920-1998)4*)はアシスタントのヴェルナー・トゥルー(Werner True)と一緒に、1964年にこの新しいトーテムポールを彫刻しました。また、1998年にはドン・ヨーマンズ(Don Yeomans)が上部にある月の顔を再彫刻しました。」
    ―説明文より抜粋・和訳―

    *) 丸い月の中はタカです。
    **) 別名ハイナ(Haina)。ハイダグワイのほぼ中央のマウデ島(Maude Island)にある村。
    ***) 北米北西岸の先住民の儀礼・宴会で、主催者は招待客に豪華な贈り物をしました。トーテムポール建立時には、必ずこのポトラッチを伴いました。
    4* スコットランド・ドイツ系父親とハイダ族の母親の間に生まれた、著名なハイダ族伝統芸術家。ハイダ族のなかでももっとも著名な伝統芸術家チャールズ・イーデンショー(Charles Edenshaw、1839-1920)の彫刻技法を受け継ついだ後、クワクワカワク族のマンゴー・マーティン(後出)の指導も受けております。

    このトーテムポールの彫像は全てチーフ・スケダンズの所有していた紋章で、特定の物語の登場者ではありません。しかし各々の紋章の背景や配列からトーテムポールが語ろうとしていることがわかります。その意味するところは:
    このトーテムポールは気高く(月)高貴で(シロイワヤギ)、地上世界だけでなく海底世界の主も従えるほどの強大な権力を持っていた(グリズリーとチャチ)、故チーフ・スケダンズのために、かれの娘とその夫が建立した。
    となります。

  • ガークスタラス・トーテムポール(Ga&#39;akstalas Totem Pole)<br /><br />このトーテムポールはスタンレーパークで最もカラフルで複雑に彫られたトーテムポールの1つです。その上には、レッド・シーダー・バーク・マン(Red Cedar-bark man)のような多くの伝説的な人々や、シャチ、カラス、グリズリー等の動物が描かれています。<br /><br />「<br />①Quolous:伝説の鳥<br />②カヌーを持ったレッド・シーダー・バーク・マン<br />③シシウトゥル(Sisiyutl):双頭蛇<br />④シウィディ(Siwidi) <br />⑤シャチ<br />⑥ワタリガラス<br />⑦男の頭の上のグリズリー<br />⑧Dzunukwa:大女<br /><br />「1991年にウエイン・アルフレッド(Wayne Alfred)とボー・ディック(Beau Dick)によって彫られたガークスタラスは、ラッセル・スミス(Russel Smith)によるデザインに基づいています。このトーテムポールはクワクワカワク(Kwakwaka&#39;wakw、クヮクヮカワク、Kwakwakiwak、クワクワキワク、クヮクヮキワク)*)文化の多くの重要な人物を描写しています。 レッド・シーダー・バーク・マンは、大洪水から生き残って人々に最初のカヌーを与えた祖先です。シャチに乗った姿のヒーロー:シウィディは、海中の海の世界のチーフの家に連れて行かれ、すべての海の王国のマスクを使う権利を持ち帰りました。大女のdzunukwaはトーテムポールの根元に座り、人々に魔法と富をもたらすという彼女の中心的役割を象徴しています。<br /><br />「私たちは、このトーテムポールが私たちの若い人々にとっての強さの指標であり、私たちの長老たちに対して敬意を示すことを望みました。これは私たちの文化に貢献したすべての私たち民族のためのものです。」<br />ボー・ディック ガークスタラス」<br />―説明文の和訳―<br /><br />*) バンクーバー島東岸北部から、その対岸の大陸側沿岸地域に居住する先住民族の1つ。<br />古い英文表記は“Kwakiutl(クワキウトル)”です。<br />

    ガークスタラス・トーテムポール(Ga'akstalas Totem Pole)

    このトーテムポールはスタンレーパークで最もカラフルで複雑に彫られたトーテムポールの1つです。その上には、レッド・シーダー・バーク・マン(Red Cedar-bark man)のような多くの伝説的な人々や、シャチ、カラス、グリズリー等の動物が描かれています。


    ①Quolous:伝説の鳥
    ②カヌーを持ったレッド・シーダー・バーク・マン
    ③シシウトゥル(Sisiyutl):双頭蛇
    ④シウィディ(Siwidi) 
    ⑤シャチ
    ⑥ワタリガラス
    ⑦男の頭の上のグリズリー
    ⑧Dzunukwa:大女

    「1991年にウエイン・アルフレッド(Wayne Alfred)とボー・ディック(Beau Dick)によって彫られたガークスタラスは、ラッセル・スミス(Russel Smith)によるデザインに基づいています。このトーテムポールはクワクワカワク(Kwakwaka'wakw、クヮクヮカワク、Kwakwakiwak、クワクワキワク、クヮクヮキワク)*)文化の多くの重要な人物を描写しています。 レッド・シーダー・バーク・マンは、大洪水から生き残って人々に最初のカヌーを与えた祖先です。シャチに乗った姿のヒーロー:シウィディは、海中の海の世界のチーフの家に連れて行かれ、すべての海の王国のマスクを使う権利を持ち帰りました。大女のdzunukwaはトーテムポールの根元に座り、人々に魔法と富をもたらすという彼女の中心的役割を象徴しています。

    「私たちは、このトーテムポールが私たちの若い人々にとっての強さの指標であり、私たちの長老たちに対して敬意を示すことを望みました。これは私たちの文化に貢献したすべての私たち民族のためのものです。」
    ボー・ディック ガークスタラス」
    ―説明文の和訳―

    *) バンクーバー島東岸北部から、その対岸の大陸側沿岸地域に居住する先住民族の1つ。
    古い英文表記は“Kwakiutl(クワキウトル)”です。

  • サンダーバード・ハウス・ポスト・トーテムポール(Thunderbird House Post Totem Pole) <br /><br />このトーテムポールは強烈な視覚的魅力を有します。開いたカラフルな翼は、スタンレーパークでもおそらく最も有名でお気に入りのトーテムポールになると思います。<br /><br />「<br />①サンダーバード<br />②人間を抱えるグリズリー<br /><br />伝統的な先住民(First Nations*))の杉の家では、巨大な屋根の梁を支えるために彫刻された支柱(House Post、ハウス・ポスト)が使われています。このトーテムポールはクワクワカワクの芸術家であるチャーリー・ジャームズ(Charlie James、1865-1961)によって1900年代初頭に彫られたハウスポストのです。 トニー・ハント(Tony Hunt、1942-2017)は1987年にこのレプリカを彫刻して、最初のレプリカと取り代えました。交換された古いレプリカは、現在バンクーバー博物館に置かれています。<br />ジェームズは、彼を継いだ息子マンゴー・マーチン(Mungo Martin、1879-1962)と孫娘エレン・ニール(Ellen Neel)を含む芸術家の世代に影響を及ぼした、大胆で新しいスタイルを創造する色と技術を試みました。 エレン・ニールによるトーテムポールがこの左側に立っています」<br />―説明文の和訳―<br /><br />*)説明文ではこの言葉が使われていますが、”First Nations”は、カナダに住んでいるイヌイットやメティ以外の先住民を意味します。<br />

    サンダーバード・ハウス・ポスト・トーテムポール(Thunderbird House Post Totem Pole)

    このトーテムポールは強烈な視覚的魅力を有します。開いたカラフルな翼は、スタンレーパークでもおそらく最も有名でお気に入りのトーテムポールになると思います。


    ①サンダーバード
    ②人間を抱えるグリズリー

    伝統的な先住民(First Nations*))の杉の家では、巨大な屋根の梁を支えるために彫刻された支柱(House Post、ハウス・ポスト)が使われています。このトーテムポールはクワクワカワクの芸術家であるチャーリー・ジャームズ(Charlie James、1865-1961)によって1900年代初頭に彫られたハウスポストのです。 トニー・ハント(Tony Hunt、1942-2017)は1987年にこのレプリカを彫刻して、最初のレプリカと取り代えました。交換された古いレプリカは、現在バンクーバー博物館に置かれています。
    ジェームズは、彼を継いだ息子マンゴー・マーチン(Mungo Martin、1879-1962)と孫娘エレン・ニール(Ellen Neel)を含む芸術家の世代に影響を及ぼした、大胆で新しいスタイルを創造する色と技術を試みました。 エレン・ニールによるトーテムポールがこの左側に立っています」
    ―説明文の和訳―

    *)説明文ではこの言葉が使われていますが、”First Nations”は、カナダに住んでいるイヌイットやメティ以外の先住民を意味します。

  • 右<br />スカイ・チーフ・トーテムポール(Sky Chief Totem Pole)<br /><br />スカイ・チーフ・トーテムポールは、カワセミ、シャチ、ヘビ、オオカミなどの多くの動物を描いたカラフルなポールです。<br /><br />このプラークは言う:<br />スカイチーフポール<br />「<br />①月を抱くスカイチーフ<br />②カワセミ(Kingfisher)*)<br />③サンダーバード<br />④クジラ<br />⑤雷蛇(Lightning-snake)**)<br />⑥オオカミ<br />⑦トパティを保持している知識の男<br /><br />私たちの芸術は精神性から生まれます。他の文化の猛攻撃の後でさえ、私たちの精神性と信念は生きています。このトーテムポールに、私たちはこの祖父母の世代の芸術と儀式を認め、芸術が今日ここにあることを示します。丁度私たちがここに生き、何もかわっていないように。<br />ティム・ポール(Tim Paul)」<br />―説明文の和訳―<br /><br />ヘスクィアット(Hesquiat)***)の芸術家ティム・ポールとディティダート(Ditidaht)4*)の芸術家アート・トンプソン(Art Thompson)は、1988年にこの柱を彫刻し、ヌーチャヌルス(Nuu-chah-nulth)5*)史上の重要な特徴を表現しました。<br /><br />*) 成功と繁栄の象徴です。<br />**) バンクーバー島西海岸の伝説に出てくる蛇です。意味がなんとなく分かるよう、このように直訳しましたが、日本語にこの言葉はありません。<br />***) バンクーバー島西海岸の村。<br />4*) バンクーバー島中南部の村。<br />5*) バンクーバー島西海岸の15の先住民属の総称。 <br /><br />左<br />チーフ・ワカス・トーテムポール(Chief Wakas Totem Pole)<br /><br />このストーテムポールは、スタンレーパークの非常にユニークな家屋柱タイプのトーテムポールです。オリジナルはチーフ・ワカスの家の入り口に置かれ、カラスの口から入るように家にカラスの体が描かれていました。これはとても壮観だったに違いありません。<br /><br />「<br />①サンダーバード<br />②チャチ<br />③オオカミ<br />④賢人<br />⑤Huxwhukw:神話の鳥<br />⑥クマ<br />⑦ワタリガラス<br /><br />クワクワカワク儀式では、トーキング・スティックと呼ばれる彫刻された棒が、チーフに代わって重要なスピーチをする人々によって握られます。このトーテムポールは、ワカスチーフに関するオウィキーノ(Owikeno)物語の中の棒と登場人物を表します。元のトーテムポールは1890年代にアラート・ベイ(Alert Bay)*)にあるワカスチーフの家の前に立てられました。ワタリガラスのくちばしは、家への儀式用入り口として開けられましたが、ワタリガラスの体は家の正面に描かれました。ワカスチーフの紋章を受け継いだニンプキッシュ( Nimpkish)**)の芸術家ダグ・クランマー(Doug Cranmer)は、1987年にこの新しいトーテムポールを彫りました。」<br />―説明文の和訳―<br /><br />*) バンクーバー島北部の小島にある街<br />**) バンクーバー島北部の地名<br />


    スカイ・チーフ・トーテムポール(Sky Chief Totem Pole)

    スカイ・チーフ・トーテムポールは、カワセミ、シャチ、ヘビ、オオカミなどの多くの動物を描いたカラフルなポールです。

    このプラークは言う:
    スカイチーフポール

    ①月を抱くスカイチーフ
    ②カワセミ(Kingfisher)*)
    ③サンダーバード
    ④クジラ
    ⑤雷蛇(Lightning-snake)**)
    ⑥オオカミ
    ⑦トパティを保持している知識の男

    私たちの芸術は精神性から生まれます。他の文化の猛攻撃の後でさえ、私たちの精神性と信念は生きています。このトーテムポールに、私たちはこの祖父母の世代の芸術と儀式を認め、芸術が今日ここにあることを示します。丁度私たちがここに生き、何もかわっていないように。
    ティム・ポール(Tim Paul)」
    ―説明文の和訳―

    ヘスクィアット(Hesquiat)***)の芸術家ティム・ポールとディティダート(Ditidaht)4*)の芸術家アート・トンプソン(Art Thompson)は、1988年にこの柱を彫刻し、ヌーチャヌルス(Nuu-chah-nulth)5*)史上の重要な特徴を表現しました。

    *) 成功と繁栄の象徴です。
    **) バンクーバー島西海岸の伝説に出てくる蛇です。意味がなんとなく分かるよう、このように直訳しましたが、日本語にこの言葉はありません。
    ***) バンクーバー島西海岸の村。
    4*) バンクーバー島中南部の村。
    5*) バンクーバー島西海岸の15の先住民属の総称。


    チーフ・ワカス・トーテムポール(Chief Wakas Totem Pole)

    このストーテムポールは、スタンレーパークの非常にユニークな家屋柱タイプのトーテムポールです。オリジナルはチーフ・ワカスの家の入り口に置かれ、カラスの口から入るように家にカラスの体が描かれていました。これはとても壮観だったに違いありません。


    ①サンダーバード
    ②チャチ
    ③オオカミ
    ④賢人
    ⑤Huxwhukw:神話の鳥
    ⑥クマ
    ⑦ワタリガラス

    クワクワカワク儀式では、トーキング・スティックと呼ばれる彫刻された棒が、チーフに代わって重要なスピーチをする人々によって握られます。このトーテムポールは、ワカスチーフに関するオウィキーノ(Owikeno)物語の中の棒と登場人物を表します。元のトーテムポールは1890年代にアラート・ベイ(Alert Bay)*)にあるワカスチーフの家の前に立てられました。ワタリガラスのくちばしは、家への儀式用入り口として開けられましたが、ワタリガラスの体は家の正面に描かれました。ワカスチーフの紋章を受け継いだニンプキッシュ( Nimpkish)**)の芸術家ダグ・クランマー(Doug Cranmer)は、1987年にこの新しいトーテムポールを彫りました。」
    ―説明文の和訳―

    *) バンクーバー島北部の小島にある街
    **) バンクーバー島北部の地名

  • カカソラス・トーテムポール(Kakaso&#39;Las Totem Pole)<br /><br />このトーテムポールはスタンレーパークの非常にユニークなトーテムポールです。それは先駆的彫刻家であったエレン・ニールによって彫られました。スタンレーパークでも最もカラフルで美しいトーテムポールの一つです。<br /><br />「<br />①サンダーバード<br />②シャチをかかえたオットセイ(もしくはホッキョクグマ)<br />③男<br />④カエル<br />⑤Bak&#39;was:「森の野蛮人」<br />⑥Dzunukwa:大女<br />⑦ワタリガラス<br /><br />クワクワカワクの彫刻家 エレン・ニールと彼女の叔父マンゴー・マーチンは、彼らのトーテムポールによって、美術館、街、美術品収集家から広く認められた、最初の芸術家の仲間です。 エレン・ニールは北西海岸の彫刻家になった最初の女性でもありました。このトーテムポールはウッドワード(Woodward)のデパートのために1955年に完成しました。<br />芸術を通して世界の聴衆にその影響を与えたエレン・ニールの先駆的な役割を記念して、ブリティッシュコロンビア大学人類学博物館はスタンレーパークにこのポールを貸し出しました。」<br />―説明文の和訳―<br />

    カカソラス・トーテムポール(Kakaso'Las Totem Pole)

    このトーテムポールはスタンレーパークの非常にユニークなトーテムポールです。それは先駆的彫刻家であったエレン・ニールによって彫られました。スタンレーパークでも最もカラフルで美しいトーテムポールの一つです。


    ①サンダーバード
    ②シャチをかかえたオットセイ(もしくはホッキョクグマ)
    ③男
    ④カエル
    ⑤Bak'was:「森の野蛮人」
    ⑥Dzunukwa:大女
    ⑦ワタリガラス

    クワクワカワクの彫刻家 エレン・ニールと彼女の叔父マンゴー・マーチンは、彼らのトーテムポールによって、美術館、街、美術品収集家から広く認められた、最初の芸術家の仲間です。 エレン・ニールは北西海岸の彫刻家になった最初の女性でもありました。このトーテムポールはウッドワード(Woodward)のデパートのために1955年に完成しました。
    芸術を通して世界の聴衆にその影響を与えたエレン・ニールの先駆的な役割を記念して、ブリティッシュコロンビア大学人類学博物館はスタンレーパークにこのポールを貸し出しました。」
    ―説明文の和訳―

  • ビーバー・クレスト・トーテムポール(Beaver Crest Totem Pole)<br /><br />このトーテムポールは、いくつかの点でスタンレーパークでは非常にユニークなトーテムポールです。まず、他のトーテムポールのように鮮やかな色で描かれていません。また、本体は、彫刻される前の丸太のような円形です。他のトーテムポールと違って、突出た翼やくちばし、他のアイテムを持っていません。彫刻は非常に複雑で、ニシュカ(Nisga&#39;a)*)の家族タイト(Tait)について物語っています。<br /><br />「1987年にニシュカ(Nisga&#39;a)*)の芸術家ノーマン・タイト(Norman Tait)が息子のアイザック(Isaac)、兄弟ロバート(Robert)、甥のロン・テレック(Ron Telek)と一緒に彫ったこのトーテムポールは、タイト家のハクトウワシ(Eagle)族がどのように彼らの紋章としてビーバーを採用したか、そしてハクトウワシとワタリガラス**)が出会い、空を分け合ったかを示しています。<br />「かつて、5人の兄弟が饗宴のためにビーバーの皮を狩りに行きました。一番下の弟は若いビーバー達が逃げるのを手伝ってから彼らのロッジに続きました。彼は、兄弟たちがビーバーマントを脱いで人間の姿を現し、彼らのチーフの死について話しているのを見ました。彼は彼らの歌と踊りを見て家に帰り、彼が見たことを報告しました。彼らは宴会でビーバー民の踊りを踊り、ビッグビーバーと呼ばれるポールを掲げました。このこととは直接関係しませんが、イーグルのチーフがワタリガラスと出会い、空を分け合ったのはこの時のことです。」」<br />―説明文の直訳―<br /><br />*) ブリティッシュコロンビア州北部のナス川(Nass River)流域に暮らす先住民。<br />**) ニシュカ族の全ての先住民はワタリガラス、ハクトウワシ、シャチ、オオカミのいずれかの氏族(Clan)に属します。ここ書かれていることはこれら氏族間のお話です。<br />

    ビーバー・クレスト・トーテムポール(Beaver Crest Totem Pole)

    このトーテムポールは、いくつかの点でスタンレーパークでは非常にユニークなトーテムポールです。まず、他のトーテムポールのように鮮やかな色で描かれていません。また、本体は、彫刻される前の丸太のような円形です。他のトーテムポールと違って、突出た翼やくちばし、他のアイテムを持っていません。彫刻は非常に複雑で、ニシュカ(Nisga'a)*)の家族タイト(Tait)について物語っています。

    「1987年にニシュカ(Nisga'a)*)の芸術家ノーマン・タイト(Norman Tait)が息子のアイザック(Isaac)、兄弟ロバート(Robert)、甥のロン・テレック(Ron Telek)と一緒に彫ったこのトーテムポールは、タイト家のハクトウワシ(Eagle)族がどのように彼らの紋章としてビーバーを採用したか、そしてハクトウワシとワタリガラス**)が出会い、空を分け合ったかを示しています。
    「かつて、5人の兄弟が饗宴のためにビーバーの皮を狩りに行きました。一番下の弟は若いビーバー達が逃げるのを手伝ってから彼らのロッジに続きました。彼は、兄弟たちがビーバーマントを脱いで人間の姿を現し、彼らのチーフの死について話しているのを見ました。彼は彼らの歌と踊りを見て家に帰り、彼が見たことを報告しました。彼らは宴会でビーバー民の踊りを踊り、ビッグビーバーと呼ばれるポールを掲げました。このこととは直接関係しませんが、イーグルのチーフがワタリガラスと出会い、空を分け合ったのはこの時のことです。」」
    ―説明文の直訳―

    *) ブリティッシュコロンビア州北部のナス川(Nass River)流域に暮らす先住民。
    **) ニシュカ族の全ての先住民はワタリガラス、ハクトウワシ、シャチ、オオカミのいずれかの氏族(Clan)に属します。ここ書かれていることはこれら氏族間のお話です。

  • オスカー・マルティピ・トーテムポール(Oscar Maltipi Totem Pole)<br /><br />このトーテムポールは神話上のサンダーバードとシャチを含む多くの動物を示す美しいカラフルなトーテムポールです。<br /><br />「<br />①サンダーバード<br />②シャチ<br /><br />先住民の初期の物語は、動物や家族が属する部族を見出した超自然的な存在について語っています。これらの物語は歌、踊り、トーテムポール彫刻で祝われています。 クワクワカワクの芸術家オスカー・マルティピは1968年にこのトーテムポールを彫刻しました。元々彼はトゥルール島(Turnour Island)*)出身で、ロイヤル・ブリティッシュコロンビア博物館において、芸術家および教師であるヘンリー・フント(Henry Hunt)から指導を受けました。」<br />―説明文の和訳―<br /><br />*) バンクーバー島北側の、島と北米大陸の間にある小島。<br />

    オスカー・マルティピ・トーテムポール(Oscar Maltipi Totem Pole)

    このトーテムポールは神話上のサンダーバードとシャチを含む多くの動物を示す美しいカラフルなトーテムポールです。


    ①サンダーバード
    ②シャチ

    先住民の初期の物語は、動物や家族が属する部族を見出した超自然的な存在について語っています。これらの物語は歌、踊り、トーテムポール彫刻で祝われています。 クワクワカワクの芸術家オスカー・マルティピは1968年にこのトーテムポールを彫刻しました。元々彼はトゥルール島(Turnour Island)*)出身で、ロイヤル・ブリティッシュコロンビア博物館において、芸術家および教師であるヘンリー・フント(Henry Hunt)から指導を受けました。」
    ―説明文の和訳―

    *) バンクーバー島北側の、島と北米大陸の間にある小島。

  • &quot;人々の中の人々&quot; 沿岸セイリッシュ・ゲートウェイ(&quot;People Amongst the People&quot; Coast Salish gateways)<br /><br />3つの美しく刻まれた、ベイスギの門はブロックトンポイント・ビジターセンターと沿岸セイリッシュ(Coast Salish)人の伝統的な土地への訪問者を歓迎します。その形は、沿岸セイリッシュ建築の伝統的な斜め屋根のスタイルを表しています。入り口には、沿岸セイリッシの人々の歴史と繁栄している現代文化が示されています。<br /><br />3年以上かけて作られ、2008年に設置されたゲートウェイは沿岸セイリッシュのアーティスト:スーザン・ポイント(Susan Point、1952-)*)が先住民の文化を保存する様々な組織と共同でによって作成しました。<br /><br />*) 1952-。<br />

    "人々の中の人々" 沿岸セイリッシュ・ゲートウェイ("People Amongst the People" Coast Salish gateways)

    3つの美しく刻まれた、ベイスギの門はブロックトンポイント・ビジターセンターと沿岸セイリッシュ(Coast Salish)人の伝統的な土地への訪問者を歓迎します。その形は、沿岸セイリッシュ建築の伝統的な斜め屋根のスタイルを表しています。入り口には、沿岸セイリッシの人々の歴史と繁栄している現代文化が示されています。

    3年以上かけて作られ、2008年に設置されたゲートウェイは沿岸セイリッシュのアーティスト:スーザン・ポイント(Susan Point、1952-)*)が先住民の文化を保存する様々な組織と共同でによって作成しました。

    *) 1952-。

  • ツアー最終日の7月5日早朝、宿泊ホテル:エンパイアランドマークホテル(The Empire Landmark Hotel)の部屋から見たバンクーバーの街とイングリッシュ湾(English Bay)。

    ツアー最終日の7月5日早朝、宿泊ホテル:エンパイアランドマークホテル(The Empire Landmark Hotel)の部屋から見たバンクーバーの街とイングリッシュ湾(English Bay)。

  • 最終日ということで、添乗員さんに紹介して頂いたOK GIFT SHOPにお土産を買いに来ました。大橋巨泉さんが開いた店ですね。日本語が通じます。

    最終日ということで、添乗員さんに紹介して頂いたOK GIFT SHOPにお土産を買いに来ました。大橋巨泉さんが開いた店ですね。日本語が通じます。

  • 時間があったので、初日にバスから見たバンクーバー冬季五輪のオリンピック・聖火台のあるジャック・プール・プラザにやって来ました。<br />バンクーバーオリンピック招致委員会委員長として2010年の冬季バンクーバーオリンピック・パラリンピックを誘致したジャック・プール(Jack Poole)の業績を称え、それまでThurlow Plaza と呼ばれていたこの場所はジャック・プール・プラザと改名されました。<br />

    時間があったので、初日にバスから見たバンクーバー冬季五輪のオリンピック・聖火台のあるジャック・プール・プラザにやって来ました。
    バンクーバーオリンピック招致委員会委員長として2010年の冬季バンクーバーオリンピック・パラリンピックを誘致したジャック・プール(Jack Poole)の業績を称え、それまでThurlow Plaza と呼ばれていたこの場所はジャック・プール・プラザと改名されました。

  • オリンピック・聖火台

    オリンピック・聖火台

  • ジャック・プール・プラザ北端にやって来ました。<br />バンクーバー港(Vancouver Harbour)と水上飛行機ターミナルですね。<br />

    ジャック・プール・プラザ北端にやって来ました。
    バンクーバー港(Vancouver Harbour)と水上飛行機ターミナルですね。

  • ヨットハーバー

    ヨットハーバー

  • そろそろホテルに戻りますか。<br />クジラ?のオブジェがある。<br />

    そろそろホテルに戻りますか。
    クジラ?のオブジェがある。

  • 宿泊ホテル:エンパイアランドマークホテルに戻りました。<br />これで10日間のカナダツアーは終わりです。<br /><br />付録<br /><br />トーテムポール<br />1.目的<br />トーテムポールは、北米北西沿岸部に住む先住民が、家に住む家族や家系、また、重要な事件や行事を象徴的に伝えるために、前者の場合は家の柱として、後者の場合は家とは独立した屋外に建立されるものです。*)この建立には彫刻やポトラッチに多大な費用が必要となります。<br /><br />2.種類<br />その形態によって以下の2種類に分けることができます。<br />・付属柱(attached pole)<br />・独立柱(detached pole)<br />付属柱は機能的に以下の2種類に分けられます。<br />・家柱(house post)<br /> 家屋内部にあって、家の構造物として屋根を支える柱です。<br />・家屋柱(house frontal pole)<br /> 家の正面の壁中央に家と一体となって立てられる大型の柱です。<br />独立柱は機能的に以下の6種類に分けられます。<br />・記念柱(memorial pole)<br />・墓標柱(grave marker)<br /> 日本の石塔に相当します。<br />・墓棺柱(mortuary post)<br /> 墓標と棺を兼ねます。<br />・はずかしめのポール(shame pole, discredit pole)<br />・領域柱(territorial marker)<br />・歓迎者像柱(welcome figure)<br /><br />3.歴史<br />多数のトーテムポールが建立された時期は2回あります。1回目は白人とのラッコ等の毛皮貿易によって先住民が裕福となり、多くの家が建てられた19世紀前半、2回目は白人が持ち込んだ伝染病で多くの先住民が亡くなった19世紀初頭から20世紀初頭です。この時期を過ぎるとトーテムポールの建立は衰退していきますが、それは乱獲によるラッコ等の減少、先住民の減少、白人によるキリスト教の普及と伝統文化への圧力等の白人同化策によります。**)<br />このような状況が変わったのは、第二次世界大戦です。この戦争は当初覇権争いとして始まりましたが、連合国側の大義は途中から人種差別等のない民主主義国家の設立に変わって行きました。ところが、アメリカにしてもカナダにしても自国内には大義とは矛盾する先住民差別が存在しており、戦後これらの差別を無くする施策がとられ、上記白人同化策は徐々に撤廃されて行き、先住民の参政権や伝統文化の復興が進められるようになりました。その結果20世紀後半には再びトーテムポールの保存、修復、新規製作が始まります。<br />また、白人の入植によって奪われた先住民の土地も、訴訟によって先住民の所有権が徐々に認められるようになりましたが、このような訴訟は21世紀になった現在もまだ続いています。<br /><br />4.建立民族<br />約20万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスが、世界に拡散する過程でモンゴロイドに分化し、最終氷期であるウィスコンシン氷期末期の1万5千年前頃、ベーリング海峡を渡って北米大陸にたどり着きました。その一部は大陸北西沿岸一帯に定住して先住民となりました。トーテムポールを建立した民族はこのうち、その北部寄りに住む米国アラスカ州のトリンキット(Tlingit)族、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のチムシャン(Tsimshian)族、ハイダ(Haida)族、ハイスラ(Haisla)族、ヘイルツック(Heiltsuik)族、オウィーキノ(Oweekeno)族、クワクワカワク(Kwakwaka?wakw)族、ヌッハルク(Nuxalk)族、ヌーチャヌルトゥッ(Nuu-chah-nulth)族、沿岸セイリッシュ(Coast Salish)族です。<br /><br />5.彫刻される動物<br />1)ワタリガラス(Raven)<br />大きな翼とまっすぐなくちばしで表されます。<br />太陽や月をこの世界にもたらしてくれた北西岸先住民の文化的英雄であり、しばしば太陽や月のもとだったという丸い玉をくちばしにくわえた姿で彫刻されます。ハイダ族の世界ではワタリガラスが人間をこの世に連れてきたとも言われています。彫像に色が塗られる場合は黒です。<br /><br />2)ワシ(Eagle)<br />くちばしは太くて先端が下向きに曲り、両足にはするどい大きな爪があります。<br />殆どの場合ハクトウワシ(bald eagle)でハイダ族の象徴の一つです。<br /><br />3)タカ<br />くちばしは先が下に曲がったあと、さらに口元にまで戻っているように表現されます。<br /><br />4)クマ<br />大きな鼻、鋭い歯、大きな手足が特徴です。<br />トーテムポールに最も多く彫刻される動物の一つで、人々の間に伝えられてきた多くの物語の中心的登場者でもあります。ギトクサン族やハイダ族の人々に伝えられている、クマにさらわれて結婚し双子を生んだ女性の話は有名です。<br /><br />5)オオカミ<br />クマとよく似ている場合がありますが、長い尾やとがった耳があればオオカミだと考えられます。<br />チムシャン族では人々を飢饉の苦しみから救ってくれてた動物として伝えられ、クワクワカワク族ではオオカミが賢いハンターであることから、知恵のシンボルと考えられています。<br /><br />6)シロイワヤギ<br />二本の大きな角が特徴です。<br /><br />7)人間<br />特定の個人や家族の神話や伝説の主人公等です。その物語やその人の持つ紋章を組み合わせて表現します。<br /><br />8)ビーバー<br />齧歯類動物特有の大きな前歯と黒いゴム板でできたような楕円形の尾が表現されています。また、木をかじって倒す習性から、彫像の多くは小さな木切れを前足でつかんでいます。<br />チムシャン族の物語では、怪物ビーバーを退治する祖先に関わる伝説があり、人々はそのことを記念してビーバーを紋章の一つにしています。ハイダ族のビーバーの紋章はこのチムシャン族からきているといわれています。<br /><br />9)カエル<br />ハイダ族のトーテムポールでは大型像の間や、一部として小さく彫り込まれていますが、ギクサン族のトーテムポールには中心像として彫刻されているものがたくさんあります。<br /><br />10)シャチ<br />シャチに代表されるクジラの類は尾びれ、背びれの形が特徴になっています。また、胴体上面にあたるところには潮吹きようの穴があります。チャチは一般に頭部を下に、尾びれを上に彫刻されています。<br />シャチは水の世界、海底世界の主として多くの神話や伝説に登場してきます。ギトクサン族の村には、ある若いチーフの花嫁をさらって海底世界に連れて行ったシャチの話のトーテムポールが立てられています。<br /><br />11)サンダーバード<br />伝説上の鳥です。ワシと殆ど同じように彫刻されているので、両者の区別は困難ですが、シャチと一緒に彫られていればほぼサンダーバードに間違いありません。クワクワカワク族ではもっとも重要な彫像の一つです。<br />ギトクサン族の間では近親相姦を犯した兄妹のなれのはてという伝説があり、クワクワカワク族の間では家の建て方をなどの生活方法を教えてくれた恩人とする話が伝わっています。<br />

    宿泊ホテル:エンパイアランドマークホテルに戻りました。
    これで10日間のカナダツアーは終わりです。

    付録

    トーテムポール
    1.目的
    トーテムポールは、北米北西沿岸部に住む先住民が、家に住む家族や家系、また、重要な事件や行事を象徴的に伝えるために、前者の場合は家の柱として、後者の場合は家とは独立した屋外に建立されるものです。*)この建立には彫刻やポトラッチに多大な費用が必要となります。

    2.種類
    その形態によって以下の2種類に分けることができます。
    ・付属柱(attached pole)
    ・独立柱(detached pole)
    付属柱は機能的に以下の2種類に分けられます。
    ・家柱(house post)
     家屋内部にあって、家の構造物として屋根を支える柱です。
    ・家屋柱(house frontal pole)
     家の正面の壁中央に家と一体となって立てられる大型の柱です。
    独立柱は機能的に以下の6種類に分けられます。
    ・記念柱(memorial pole)
    ・墓標柱(grave marker)
     日本の石塔に相当します。
    ・墓棺柱(mortuary post)
     墓標と棺を兼ねます。
    ・はずかしめのポール(shame pole, discredit pole)
    ・領域柱(territorial marker)
    ・歓迎者像柱(welcome figure)

    3.歴史
    多数のトーテムポールが建立された時期は2回あります。1回目は白人とのラッコ等の毛皮貿易によって先住民が裕福となり、多くの家が建てられた19世紀前半、2回目は白人が持ち込んだ伝染病で多くの先住民が亡くなった19世紀初頭から20世紀初頭です。この時期を過ぎるとトーテムポールの建立は衰退していきますが、それは乱獲によるラッコ等の減少、先住民の減少、白人によるキリスト教の普及と伝統文化への圧力等の白人同化策によります。**)
    このような状況が変わったのは、第二次世界大戦です。この戦争は当初覇権争いとして始まりましたが、連合国側の大義は途中から人種差別等のない民主主義国家の設立に変わって行きました。ところが、アメリカにしてもカナダにしても自国内には大義とは矛盾する先住民差別が存在しており、戦後これらの差別を無くする施策がとられ、上記白人同化策は徐々に撤廃されて行き、先住民の参政権や伝統文化の復興が進められるようになりました。その結果20世紀後半には再びトーテムポールの保存、修復、新規製作が始まります。
    また、白人の入植によって奪われた先住民の土地も、訴訟によって先住民の所有権が徐々に認められるようになりましたが、このような訴訟は21世紀になった現在もまだ続いています。

    4.建立民族
    約20万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスが、世界に拡散する過程でモンゴロイドに分化し、最終氷期であるウィスコンシン氷期末期の1万5千年前頃、ベーリング海峡を渡って北米大陸にたどり着きました。その一部は大陸北西沿岸一帯に定住して先住民となりました。トーテムポールを建立した民族はこのうち、その北部寄りに住む米国アラスカ州のトリンキット(Tlingit)族、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のチムシャン(Tsimshian)族、ハイダ(Haida)族、ハイスラ(Haisla)族、ヘイルツック(Heiltsuik)族、オウィーキノ(Oweekeno)族、クワクワカワク(Kwakwaka?wakw)族、ヌッハルク(Nuxalk)族、ヌーチャヌルトゥッ(Nuu-chah-nulth)族、沿岸セイリッシュ(Coast Salish)族です。

    5.彫刻される動物
    1)ワタリガラス(Raven)
    大きな翼とまっすぐなくちばしで表されます。
    太陽や月をこの世界にもたらしてくれた北西岸先住民の文化的英雄であり、しばしば太陽や月のもとだったという丸い玉をくちばしにくわえた姿で彫刻されます。ハイダ族の世界ではワタリガラスが人間をこの世に連れてきたとも言われています。彫像に色が塗られる場合は黒です。

    2)ワシ(Eagle)
    くちばしは太くて先端が下向きに曲り、両足にはするどい大きな爪があります。
    殆どの場合ハクトウワシ(bald eagle)でハイダ族の象徴の一つです。

    3)タカ
    くちばしは先が下に曲がったあと、さらに口元にまで戻っているように表現されます。

    4)クマ
    大きな鼻、鋭い歯、大きな手足が特徴です。
    トーテムポールに最も多く彫刻される動物の一つで、人々の間に伝えられてきた多くの物語の中心的登場者でもあります。ギトクサン族やハイダ族の人々に伝えられている、クマにさらわれて結婚し双子を生んだ女性の話は有名です。

    5)オオカミ
    クマとよく似ている場合がありますが、長い尾やとがった耳があればオオカミだと考えられます。
    チムシャン族では人々を飢饉の苦しみから救ってくれてた動物として伝えられ、クワクワカワク族ではオオカミが賢いハンターであることから、知恵のシンボルと考えられています。

    6)シロイワヤギ
    二本の大きな角が特徴です。

    7)人間
    特定の個人や家族の神話や伝説の主人公等です。その物語やその人の持つ紋章を組み合わせて表現します。

    8)ビーバー
    齧歯類動物特有の大きな前歯と黒いゴム板でできたような楕円形の尾が表現されています。また、木をかじって倒す習性から、彫像の多くは小さな木切れを前足でつかんでいます。
    チムシャン族の物語では、怪物ビーバーを退治する祖先に関わる伝説があり、人々はそのことを記念してビーバーを紋章の一つにしています。ハイダ族のビーバーの紋章はこのチムシャン族からきているといわれています。

    9)カエル
    ハイダ族のトーテムポールでは大型像の間や、一部として小さく彫り込まれていますが、ギクサン族のトーテムポールには中心像として彫刻されているものがたくさんあります。

    10)シャチ
    シャチに代表されるクジラの類は尾びれ、背びれの形が特徴になっています。また、胴体上面にあたるところには潮吹きようの穴があります。チャチは一般に頭部を下に、尾びれを上に彫刻されています。
    シャチは水の世界、海底世界の主として多くの神話や伝説に登場してきます。ギトクサン族の村には、ある若いチーフの花嫁をさらって海底世界に連れて行ったシャチの話のトーテムポールが立てられています。

    11)サンダーバード
    伝説上の鳥です。ワシと殆ど同じように彫刻されているので、両者の区別は困難ですが、シャチと一緒に彫られていればほぼサンダーバードに間違いありません。クワクワカワク族ではもっとも重要な彫像の一つです。
    ギトクサン族の間では近親相姦を犯した兄妹のなれのはてという伝説があり、クワクワカワク族の間では家の建て方をなどの生活方法を教えてくれた恩人とする話が伝わっています。

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