2019/04/04 - 2019/04/04
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かっちんさん
昭和11年(1936)津山駅西側に設置された「旧津山扇形機関車庫」は、機関車を収納する庫(くら)として17線を有していました。
「転車台」は機関車の方向転換と併せて機関車を機関庫へ収納するときに使用されました。
これらの鉄道施設は「SL(蒸気機関車)時代」を象徴するもので、平成28年(2016)より構造物の保存・展示と併せて「鉄道文化遺産」を紹介する「津山まなびの鉄道館」となりました。
日本全国を走っていたSLは昭和50年(1975)に現役から退きましたが、かっちんの学生時代に旅をした昭和40年代に、SLの佇む扇形機関車庫や無煙化に先だったDF50ディーゼル機関車などを何となく覚えています。
この旅行記では、鉄道館の紹介しながら、当時の思い出や保存車両と同じ形式に出会ったときの写真も掲載します。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・津山まなびの鉄道館パンフレット、保存車両の解説案内板
・JR西日本 NEWS RELEASE「春季臨時列車の運転について」、2019.1.18岡山支社
・ゆるキャラグランプリ実行委員会「くまなく・たびにゃん」
・北海道ファンマガジン「日本最後の石炭輸送専用鉄道が消える!釧路「太平洋石炭販売輸送 臨港線」が廃止へ」
・Wikipedia「50系客車、キハ33、キハ52、DF50、DD13、DD51、DD16」「補充券、マルス、改札鋏」「閉塞」「津山線」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「ラッセル車」のお出迎え
「津山まなびの鉄道館」は、津山駅構内の線路を挟んだ反対側にあり、JR津山駅から徒歩10分ほどの所。
線路脇の道を歩いていると、機関車庫の裏側からDD16形ディーゼル機関車に除雪装置を取り付けた「ラッセル車」が顔を出しています。 -
大谷踏切を通過する「ノスタルジー車両」
津山市大谷地区にある踏切を渡り、線路の反対側へ向かいます。
姫新線の中国勝山行きの列車は、昭和30~40年代に気動車で使用されていた懐かしいカラーリングを復刻した「ノスタルジー車両」です。 -
津山まなびの鉄道館に到着
開館時間は9:00~16:00。休館日は毎週月曜日。 -
「くまなく」くん
JR西日本岡山支社のゆるキャラです。
吉備之国の魅力を地域の皆様と共に「くまなく」探し、情報発信しています。 -
名誉館長のごあいさつ
わが国に現存する扇形機関車庫の中で2番目の規模をほこる「旧津山扇形機関車庫」や収蔵車両を中心に、価値ある鉄道遺産と鉄道の成り立ちなどを紹介します。
見学施設には、扇形機関車庫、転車台、まなびルーム、あゆみルーム、しくみルームなどがあります。
ちなみに1番目の規模の扇形機関車庫は、京都鉄道博物館の「梅小路蒸気機関車庫」です。 -
入館券
通常大人300円ですが、今の時期は「桜まつりの津山城」とのセット券480円がお得です。
津山には5日間滞在するのでセット券を購入します。 -
硬券の入館券
硬券をダッチングマシン(日付印字器)のスリットに差し込み、スライドさせて券の端に日付を印字したものが入館券。
懐かしいものを入口から見られます。 -
鉄道記念物に指定された「旧津山扇形機関車庫と転車台」
昭和11年(1936)津山駅西側に設置された「旧津山扇形機関車庫」は、機関車を収納する庫(くら)として17線を有していました。
「転車台」は機関車の方向転換と併せて機関車を機関庫へ収納するときに使用されました。
これらの鉄道施設は「SL(蒸気機関車)時代」を象徴するもので、平成28年(2016)より、構造物の保存・展示と併せて鉄道文化を紹介する「津山まなびの鉄道館」として公開・活用されており、次世代への「鉄道文化遺産」を継承する好例です。 -
蒸気機関車の動輪
これは旅客列車用蒸気機関車C57形に装備された国内で最も大きい動輪です。
直径1m75cmもあります。
C57形SLは機関車全体の美しさから「貴婦人」と呼ばれていました。 -
貴婦人のC57・・・
2005年6月18日にSLばんえつ物語号に乗車したときの写真。 -
イチオシ
転車台と扇形機関車庫
国鉄時代のSL全盛期、全国各地に扇形機関車庫と転車台が設置されていました。
昭和40年代の学生のころ、この施設がいくつもあったことを覚えています。 -
360度回転する転車台
扇形機関車庫が建設される6年前の昭和5年(1930)に転車台が造られ、、転車台を回転させる電動牽引機が設置されています。
機関車を転車台に載せ、収納する車庫の位置まで電動牽引機で回転させ、転車台と車庫の線路がつながったところで機関車を移動させて収納します。
また、SLには前後の向きがあるため、転車台は方向転換にも用いられます。
SLは前向きで車庫に入ります。出るときはバックして転車台に載り、前向きにしてから出発します。 -
イチオシ
青空の扇形機関車庫に勢揃い
かつて活躍した気動車(ディーゼルカー)、SL、ディーゼル機関車たちが並んでいます。 -
近代化産業遺産
転車台と扇形機関車庫は、平成20年度に近代化産業遺産に登録されました。 -
イチオシ
機関車庫の天井と柱
天井はSLの煙突から吐き出される煤(すす)で真っ黒。
天井を支える柱の先端部分は、朝顔の花のように末広がりの美しい形です。 -
天井に開いている穴
この穴は車庫に入ったSLの前方にある煙突の真上にあり、煙がこの穴から外へ抜けるようになっています。
実は穴に通じる屋根に煙突があったのですが、今は撤去されています。 -
機関車庫の煙突はこんな感じ・・・
2016年8月24日に訪れた小樽市総合博物館に保存されている「機関車庫3号」です。
明治18年(1885)竣工のレンガ造りの建築で、国内最古の機関車庫です。
このときの旅行記も参考にしてください。
「鉄道王国だったあの頃を振り返る小樽市総合博物館(北海道)」
https://4travel.jp/travelogue/11184452 -
キハ33形気動車
では、車庫に保存されている車両を紹介します。
昭和63年(1988)、50系客車にエンジンを積んで気動車に改造した車両です。
当時、電車・気動車化が急速に進み、客車が余剰になっていた背景があります。
前面は客車の妻面をそのまま活かし、運転台のある先頭車として設備を新設しています。 -
客車の面影の残るキハ33形
側面窓はユニット二段窓(上段下降・下段上昇)のままです。
50系客車はそれ以前の客車が老朽化していたため、昭和52年(1977)より設計・製造された外観が赤色の客車です。 -
特急・急行の気動車
一番左は特急列車用のキハ181形気動車として158両が製造。
急勾配線区に向けて500PSの大馬力機関を搭載。
晩年は播但線・山陰線を走る特急「はまかぜ」に使用されました。
中央はキハ58形気動車で、走行用エンジンを2基搭載。
同系列のキハ28、キハ56などを含めると気動車として日本で最多の1,823両が製造され、全国の線区で急行列車に使用されました。
その隣がキハ28形気動車。外観はキハ58とほぼ同じで、違いは走行用エンジン1基とサービス電源用エンジンを搭載しているところです。
やはり全国の線区で急行列車に使用されました。 -
在りし日の山陰線キハ181形・・・
2006年5月2日に山陰線余部鉄橋を訪れたときの写真。
トレッスル鉄橋を渡る特急「はまかぜ」です。 -
キハ52形気動車
急勾配のあるローカル線用の気動車として112両製造。
走行用エンジン2基搭載しており、強い馬力と両運転台の特徴を生かし山間地の線区で活躍。
晩年は大糸線(南小谷~糸魚川間)の普通列車に使用されました。 -
在りし日の大糸線キハ52・・・
2007年7月28日に大糸線平岩を訪れたときの写真。
右側の車両が現在、津山の機関車庫に保存されているキハ52 115です。 -
イチオシ
気動車の英雄たち
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イチオシ
D51形蒸気機関車
D51形は日本を代表する貨物用機関車で、機関車としては国内最多の1,115両が製造され、全国の幹線、亜幹線で活躍しました。
D51 2形は初期型で煙突、給水緩め機、砂箱が縦一列につながった姿をしていることから「なめくじ」の愛称を持ち、関西本線などを走りました。 -
かつての勇姿「気動車とSL」
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イチオシ
時代の変遷を伝える鉄道車両
電化が進む前は、SL・気動車王国でした。 -
DF50形ディーゼル機関車
日本で最初に量産された電気式ディーゼル機関車で昭和32年(1957)~昭和38年(1963)に138両製造され、北海道を除く全国の亜幹線で活躍しました。
エンジンはスイスのSULZER(スルザー)社とドイツのMAN社から技術提供を受け国内で生産されました。
電気式ディーゼル機関車は、ディーゼルエンジン直結の発電機が発電した直流電力で主電動機を駆動する方式です。 -
DF50の横顔
前面はやや傾斜のついた顔立ち。
かっちんは昭和40年~50年代に、山陰、四国、九州でDF50機関車の牽引する列車に乗ったことがあり、エンジン音が独特で愛着がありました。
DF50形はエンジン出力が低く、昭和37年(1962)に登場した液体式ディーゼル機関車DD51形に置き換えられ、昭和60年(1985)に消滅しています。 -
DD13形ディーゼル機関車
日本で初めて量産された入換・小運転用ディーゼル機関車で、国鉄では昭和33年(1958)~昭和42年(1967)に418両製造されました。
国鉄末期、貨物列車の減少と赤字増大等により、昭和54年(1979)以降急速に廃車が進み、国鉄最後の昭和62年(1987)3月31日までに全車廃車となりました。
中小規模の地方鉄道・臨海鉄道では、同系の自社発注や国鉄からの譲渡車が導入されています。
DD13で得られた経験は、のちのDD51形開発におおいに役立っています。 -
最近まで活躍していたD801ディーゼル機関車・・・
2019年3月7日に北海道の「太平洋石炭販売輸送 臨港線」を訪れたときの写真。
昭和41年(1966)雄別鉄道に導入された国鉄DD13形タイプのディーゼル機関車で、その後「太平洋石炭販売輸送 臨港線」に譲渡されました。
釧路炭鉱の石炭列車を牽引していたDD13形タイプの「D801ディーゼル機関車」ですが、残念ながら2019年3月末現在、運休しています。 -
DD51形ディーゼル機関車
幹線用蒸気機関車の置き換えによる動力近代化を目的に量産された客貨両用の大型液体式ディーゼル機関車で、昭和37年(1962)~昭和53年(1978)までの16年間に649両が製造されました。
日本全国で活躍しており、豪華寝台特急「カシオペア」も牽引しました。 -
在りし日のDD51形重連・・・
2015年9月28日に北海道の秘境駅小幌駅を訪れたときの写真。
豪華寝台特急「カシオペア」を牽引しているDD51形重連です。 -
ディーゼル機関車たち
左から、DD51形、貨車移動機、DE50形、DD16形です。
DE50形は日本最大の2000馬力の機関を搭載した液体式ディーゼル機関車で、昭和45年(1970)に1両のみ製造されました。
当時の非電化幹線の次世代主力機として開発されましたが、投入予定線区の急速な電化などにより、量産化されることはありませんでした。
DD16形はローカル線用に昭和46年(1971)~昭和50年(1975)に65両製造された小型ディーゼル機関車です。 -
ダイヤグラム(あゆみルーム)
鉄道の始まりから今に至るまでの歴史を展示した「あゆみルーム」に来ています。
ダイヤグラムは鉄道関係者の使う時刻表です。
縦軸にキロ程と駅名、横軸に時刻を表した図に、すべての列車の発着時刻を線で記載しています。
列車のダイヤはスジ屋と呼ばれる専門家が、列車の交換駅、優等列車の追い越し駅などを考慮しながらダイヤグラムを作成します。 -
線路断面図(あゆみルーム)
鉄道路線のキロ程を基準にして、線路の勾配、カーブなどを表しています。 -
昔走っていた急行の写真(あゆみルーム)
呉線を走っていた「吉備」と「にしき」、広島から芸備線・木次線を走り米子と結ぶ「ちどり」などが並んでいます。
「ちどり」は陰陽を結ぶ夜行急行列車もありました。 -
木製の出札口(しくみルーム)
鉄道の構造が理解できる「しくみルーム」に来ています。 -
出札事務室(しくみルーム)
機械式計算機、天虎工業製のダッチングマシン(日付印字器)、乗車券保管箱などがあります。 -
初期の自動改札機(しくみルーム)
国鉄時代の片町線に導入した自動改札機だと思います。 -
きっぷのいろいろ(しくみルーム)
手書きで発行する特別補充券、初期のマルス105端末機で発券された活字棒印刷の指定席券、各種硬券、補充片道乗車券、普通周遊券など。 -
きっぷのいろいろ(しくみルーム)
フルムーンパス、グリーンきっぷ。
指定券は印刷技術の進歩にあわせ、タイプライター端末のドット印字、熱転写印刷などによる発行となります。 -
改札鋏(しくみルーム)
かつて改札口の入場時では、駅員が改札鋏できっぷにパンチを入れ、入場したことを示していました。
パンチの形は駅や入場時刻によって違い、不正防止に利用していました。
ベテランの駅員が、「カチカチカチ」とリズミカルな空打ちをしながら、素早くきっぷにパンチを入れていた記憶があります。 -
愛称板と行先表示板(しくみルーム)
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いろいろな銘板(しくみルーム)
列車のヘッドマーク、SLナンバープレート、車両製造銘板、区名札など。 -
タブレットを使った閉そくシステム(しくみルーム)
A駅~B駅の閉そく区間には、タブレットを持った列車だけが通れるシステムです。 -
閉そく機(しくみルーム)
A駅とB駅の間で連絡を取り合い操作をすると、閉そく機からタブレット(金属でできた円盤)を一つだけ取り出せます。 -
タブレットの受け取りの写真(しくみルーム)
急行などが通過する駅では、運転席横に乗っている機関助士が通票授器から大きなリング形タブレットキャリアを走行中に腕に引っ掛けて受け取ります。
タブレットキャリアには小さな革製カバンが付いていて、この中にタブレットが入っています。 -
タブレットの受け渡しの写真(しくみルーム)
機関助士が通票受器にタブレットキャリアを引っ掛けて走り抜けます。
駅に停車する場合は駅員がタブレットキャリアを受け渡しします。 -
現役で使用されているタブレット
2015年7月10日に北海道の札沼線を訪れたときの写真。
石狩月形~新十津川間はタブレットを持った列車だけが通れる区間なので、石狩月形駅で駅員からタブレットを受け取ります。
この区間は2020年5月7日に廃止される予定なので、タブレット受け渡しが見られるのは残り1年です。
このときの旅行記も参考にしてください。
「石狩平野を走る札沼線車窓の旅(北海道)」も参考にしてください。
https://4travel.jp/travelogue/11033052 -
気象告知板(まなびルーム)
「まなびルーム」に来ています。
かつて、列車の乗務員などに気象情報を知らせるため、鉄道気象告知板を駅に掲げていました。
形状は円形で雨は青、風は赤、雪は緑、その他は黄色などで、色分けされています。 -
製造銘板(まなびルーム)
まなびルームに来ています。
懐かしい「日本国有鉄道」の名称があります。 -
合図灯(まなびルーム)
列車のドア閉めの合図に使われています。
左から古い年代順に並んでいて、新しいものは小型化されています。 -
D51三重連(まなびルーム)
有名な撮影場所だった伯備線布原信号場の三重連。
コメントの内容は「1度は撮影に行かれているかもしれないオールドファン」。
かっちんは高校生の頃に撮影に行った一人(オールドファン)でした(笑) -
津山線開業120周年(まなびルーム)
明治31年(1898)に中国鉄道本線として開業し、昨年(2018)120周年を迎えました。
「津山まなびの鉄道館」では、鉄道の思い出がよみがえりました。
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