2019/02/10 - 2019/02/10
298位(同エリア709件中)
ともっそさん
相変わらず歴史には疎いのですが、それでもやっぱり遺跡が好き!
そして今回訪れたのは、松岡美術館です。
こちらの美術館、松岡地所が運営していますが、所有品の大半は創設者の松岡清次郎が購入、蒐集したものだそうです。
「人はどんなに偉くなっても、やがて忘れられる。そこへいくと、古代の第一級の美術品はずっと後世に残る。自分が集めたものを、未来の人々に鑑賞してもらう。これが私の夢ですよ」
これは、彼の言葉です。
そして彼は、一度買ったものは一点も手放したことがなかったのだそうです。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
JR目黒駅から、徒歩で約15分の距離にあります。
美術館のHPに道順が写真と共に詳しく掲載されているので、楽々たどりつけました。
おっ、見えてきた見えてきた、と早速1枚。 -
正面玄関からもう1枚。
どちらの美術館も、それぞれ素敵なたたずまいですね。
私個人的には、こういうベージュやグレーの外観はとても好きです。 -
800円でチケットを購入。
ロッカーに荷物を預け、デジカメ1つ持って、さあ早速。
おまけ情報ですが、こちらの美術館では、スマホ・携帯による写真撮影は禁止されています。
チケットの表紙にもある、吹き抜けのロビー、とでもいうのでしょうか。奥行きが出て、ゆったりとした空気を作り出しています。 -
ルディエンプタハの葬送用枕
古代エジプトの埋葬では、ミイラは棺に納められた後、頭部が枕で支えられることがあったそうです。
消えて再び現れる太陽は、再生・復活の象徴とされ、古代エジプト人は枕を地平線、頭部を太陽に見立てていたとのこと。そのため、枕は縁起が良いものとして取り扱われました。
こちらは石灰岩で作られていますが、実用のものは木製が多かったそうです。
台の方に、聖刻文字が刻まれています。聖刻文字は右からでも左からでも読むことができ、縦書きもあったそうです。
けれどこちらの枕に書かれているのはそのいずれでもなく、「尊敬の倒置」により、真ん中→右→左で、「王宮の副監督官ルディエンブタハ」と読むようです。
約5000年前、文字が発明されました。
その最古の文字に分類されるのが、古代エジプトの「聖刻文字」。
画期的で美しかったけれど形が複雑で、やがてフェニキア人により改良され、それがアルファベットの原型だそうです。 -
供物を運ぶ人々のレリーフ
私人墓の壁面の一部。高い地位についていた役人のものだろうと言われています。
■上段:鳥やワインなどの供物を運ぶ召使男性
一般的な男性は腰巻程度の軽装で過ごしました
■下段:踊り子の女性
みなさんベリーショートですが、当時は衛生面上、女性も髪を短くし、儀式や宴会の時には長い髪のカツラを被ったんだそうです。
某タイムスリップ漫画に出てきたエジプトの女性たちの髪も、実はカツラだったのね・・・!
そういえば、目元の濃い化粧は、ハエが卵を産み付けるのを避けるため、と聞いたような気もします。暑い国なので、古代から衛生面には気を使っていたのですね。
男性、女性のいずれも、それぞれの人物の名前が記されています。 -
トトメス4世のレリーフ
青冠(戦闘冠)を被った古代エジプト王トトメス4世の姿。
彼は夢の中で「地に埋まるスフィンクスを掘り起こせば王位を授ける」というお告げを受け、実行して即位しました。
実際は、王位継承権の正当性を主張するための創作の可能性が高いそうですが。
トトメス3世は、「エジプトのナポレオン」と呼ばれるほど領土拡大に徹した人でしたが、彼自身はその性格を引き継がず、平和な時代を築きました。
向って左側に書かれている文字は、
「安定、生きよ、愛されし者」
死後の安堵を保障する内容が記されています。 -
タハルカのウジェブティ
古代エジプト人の死生観では、死後の楽園イアルは老病死のない暮らしが保障されたが、労役の義務だけは避けられなかった。冥界の神オシリスに仕事を頼まれれば、身分に関係なく誰であっても作業に従事しなければならなかった。
そこで彼らは死者の労役を代行する小像ウシェブティを考案しました。
こちらのウシェブティは、現在のスーダンを本拠地としてエジプトを支配したクシュ出身の王タハルカのもの。頭巾と付け髭を身に着け、農作業用の鍬を手にし、背には籠を背負っている。
ちょっとふんぞり返っているように見えるのは・・・私の撮影技術が今一つだからです。
タハルカのウシェブティ訳の一部がこちらです;
「タハルカ王に割り当てられたウシェブティよ。あなたはタハルカ王に呼び出されたら、厄介な仕事を任される。しかし、その際はタハルカ王の代行者として「私はここにいます」と答えよ」 -
ペフチャウアウィコンスのプタハ・ソカル・オシリス像
この名前、永遠に覚えられない自信あります、私。
プタハ・ソカル・オシリスは、想像の神プタハ、葬儀の神ソカル、冥界の神オシリスが習合(属性が類似した神々が融合すること)した姿です。
プタハ・ソカル・オシリス像は、包帯を巻いたミイラ姿で表され、2枚のダチョウの羽根飾りと羊の角を頭上につける。これらは副葬品として制作され、死者と共に墓に納められた。像の台座の中には、冥府での幸福を保障する「死者の書」を記したパピルスの巻物がいれられることもあった。
ペフチャウアウィコンスという人物のためにつくられました。
昔の人にもあだ名があったのかなぁ。 -
ペフチャウアウィコンスのプタハ・ソカル・オシリス像に書かれた文字の詳しい解説。
これを見ると、表意文字なんだな・・・と改めて感じます。 -
イウエフアンクのプタハ・ソカル・オシリス像
プタハ・ソカル・オシリスは葬儀をつかさどる神様。
でもこちらの像に記された聖刻文字には間違いや存在しない文字も多く、文字に無知な当時の者が何かのテキストを見よう見まねで写したものと思われています。 -
イウエフアンクのプタハ・ソカル・オシリス像
その聖刻文字の説明。
赤の文字は、誤りだったり、通じないとされる箇所。
古代エジプトで文字を使う人は、学が高かったでしょうね。 -
イウエフアンクのプタハ・ソカル・オシリス像の前後に書かれた文字の全訳。
こちらも、赤文字は、意味が通らない部分です。 -
セクメト像
アメンヘテプ3世がカルナクのムト神殿に大量に奉納したセクメト像の1つ。
雌ライオンの頭を持つ人物の姿で表される戦闘の女神。セクメトというのは、「強き者」を意味します。
戦場では敵に炎や病の息を吐きかけ、破壊者として恐れられたのだそうです。
こちらの像には、本来セクメトが持つ生命を象徴する儀具アンクが手になく、また太陽神ラーの娘であることを象徴する太陽円盤が頭にないそうです。失われてしまったのですね。 -
セクメト像のアップ
知ってから見たせいか、確かに雌に見えます。凛々しいけれど。
顔の下部が欠けてしまい、痛々しいお姿。 -
エネヘイ像
神官プタハ・メイと妻ハトシェプストの娘エネヘイ。
垂らした帯の部分に聖刻文字が書かれてあり、「パン、ビール、ワイン、牛、鳥、香、清めの水など、厳選されたすべての聖なるものを亡くなった家の女主人エネヘイのカァに捧げる」と書かれています。
カァとは、人間の生命力です。
この像と対をなすものが、アメリカのウォルターズ美術館にあるそうです。
そろった姿は壮観でしょうね。 -
エネヘイ像
手に何か持ってます。
その柄(?)の部分には顔が。
髪型はレゲエというのでしょうか? 細かい三つ編みですよね、多分。
きっと美しいカツラだったのでしょう。 -
エネヘイ像
頭部を横からアップで撮影。
髪飾り?髪帯?が3本ありますが、その1番上のものをよ~く見ると・・・
こ、これはまさかの、ハート!?
この時代にハートはなかったと思うけれど、偶然でしょうか、それとも古代からハート柄はあったのでしょうか。気になる。 -
彩色木棺
プレトマイオス朝時代初期の木棺。
中部エジプトのアクミムを中心に信仰された豊穣神ミンの神官バシェリエンイルアァの棺。
人型棺は、寄木造に石膏下地を施した後、内外面に極彩色で宗教的図像を描いた。
たくさんある図像の中のどの部分かわかりませんが、人頭バァ(魂)がミイラに戻ることで再生を果たすシーンが描かれているそうです。 -
彩色木棺
足元から撮影。
こんなところまで彩色が。
底裏には、冥界の王オシリスを暗示するジェド柱が描かれているそうです。 -
彩色木棺
の底。
女性の顔が大きく描かれています。
この木棺に聖刻文字で、被葬者パシェリエンイルアァの家系や、彼の死後の安堵と保護と願う内容が記されています。 -
彩色木棺
ケースに照明が反射してしまいましたが、底の部分を横から撮影。
この女性の頭部にあるのは、太陽円盤のように見えませんか? -
彩色木棺
再生を象徴する有翼の女神ヌトの姿も描かれているそうです。
でも、これはすべて鳥に見えるから違うんだろうなぁ。
色彩が豊かな美しい図像で彩られた木棺です。 -
彩色木棺
向き合う山犬(ジャッカル)の姿をした神アヌビス神も描かれています。
それは死者の守護神で、片目だけを描いたウジャト(ホルスの眼)は再生のシンボルとされている。
・・・見つけられませんでした。
ウォーリー並みに見つからない。 -
彩色木棺
足元には、剣のようなものを持った人物像が連なっています。人間でしょうか、それとも神様でしょうか。
赤と緑に彩られたそれらが交互に描かれています。
棺を守ってくれているのでしょうか。心強いですね。 -
古代エジプトの展示室を、出る前に振り返ったところです。
展示室の中では、最小の部屋だったと思います。
でも、説明が丁寧で、この部屋だけでもじっくり見ていると結構な時間がたちます。何より、想像の余地があります。
どれも興味深い展示品ばかりです。 -
ヘンリ・ムーア作「馬」
現代彫刻の間です。
この部屋には、展示品が8点。
古代エジプトの展示品を求めて訪れた私は、少々足早に過ぎてしまいました。
その中でも、これはちょっとかわいいなと思い。
ヘンリー・ムーアは、アイルランド系出身の彫刻家です。日本で開催された展覧会もあるそうですが、本人の来日はなかったそうです。 -
現代彫刻の展示室
出る前に全体をカメラに収めました。
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この旅行記へのコメント (3)
-
- ねこいしさん 2019/03/05 12:39:20
- はじめまして
- 面白く拝見しました!
説明も書いてくださり、自分も博物館へ行った気分で楽しめました。
わたしも歴史に弱いけれど遺跡がだいすき。
ともっそさんのユーモアセンスも好きですよ。
続きも拝見させていただきますね。
ねこいし
- ともっそさん からの返信 2019/03/05 23:34:25
- RE: はじめまして
- ねこいしさま
初めまして。
コメントをありがとうございます。
美術館、博物館は大好きで、ひたすら眺めたり空想したりと時間を過ごしています。
ちょっと本気で、「どうしてこの時代にタイムマシンがまだ発明されていないのだ!?」と地団太を踏みたい気持ちでいます。
今は、歴史的建造物のひっそりとした廃墟(?)を探しているところですが、つまるところ、人混みが苦手なだけかもしれないという・・・。
ですので、ねこいしさまの旅行記は特に楽しく、そして興味深く拝見しました。
あ、そちらは改めてお邪魔させていただきますね。
ありがとうございました。
ともっそ
- ねこいしさん からの返信 2019/03/06 12:27:25
- RE: RE: はじめまして
- ともっそさん
旅行記拝見して、この方は楽しみを発掘する能力に長けている!と思い、嬉しかったんです。
博物館が楽しくて仕方ない人種の血を感じました、笑。
ぜひ美術館・博物館の旅行記もまた出してください。
「歴史的建造物の廃墟」も、見つけたら是非!
楽しみにしていますね〜。
自分の旅行記なんて、誰も楽しんでくれていないんじゃないかと思っていたので、嬉しかったです。
ありがとうございます!
ねこいし
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