2018/07/23 - 2018/07/24
527位(同エリア767件中)
norijiroさん
- norijiroさんTOP
- 旅行記115冊
- クチコミ2件
- Q&A回答0件
- 153,218アクセス
- フォロワー14人
わざわざ日の光を浴びるためだけに、はるばるとやってきた地中海の島国・マルタ。とはいえ、日焼けだけなら近所の公園でも十分である。この国には、絢爛豪華な中世の騎士文化が根付いており、さらに古代遺跡や、地中海に浮かぶ島ならでは雄大な景色も大きな見どころの一つ。
というわけで、3・4日目はマルタ島の各地をめぐった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- 乳幼児連れ家族旅行
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 船 タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
3日目は世界遺産にも登録されている首都・バレッタの旧市街にやってきた。やや曇っているが、マルタに滞在中、まとまった雲を見たのは後にも先にもこの日の午前中数時間のみ。いずれ曇り空のありがたみが身にしみて分かることになるのだが、この時点では特に気にもしていなかった。
街の入り口にある首相官邸「オーベルジュ・ドゥ・カスティーユ」から散策をスタート。もともとはスペイン、ポルトガル出身の騎士団のオーベルジュ(寄宿舎)として使用されていた建物で、1744年に現在のバロック様式に改築された。機動隊にがっちりガードされた日本の首相官邸と違い、警備はきわめて緩い。なんなら普通に入れそう。オーベルジュ ドゥ カスティーユ/首相官邸 建造物
-
官邸の向かいにある「勝利の聖母教会」。バレッタ最古の建造物として知られ、オスマン帝国との大激戦で知られるマルタ包囲戦の勝利を記念し1567年に建設された。天井画に描かれた天使たちの奔放な姿に「勝ったぜYeah!」という雰囲気が感じられる。
勝利の聖母教会 寺院・教会
-
マルタ騎士団の象徴・マルタ十字をあしらった門扉。十字の8つの角は「忠誠心」「敬虔さ」「率直さ」「勇敢さ」「名誉」「死を恐れないこと」「弱者の庇護」「教会への敬意」という騎士道における美徳を象徴しているという。こちとら一つたりとも持ち合わせていないと胸を張れる。
-
先述の包囲戦後、より堅固な要塞都市が必要ということで設計されたのがバレッタの街で、その名は当時の騎士団長ヴァレットにちなんでいる。三方を海に囲まれた半島状の丘の上という防御に適した立地で、有事の際には騎士たちが直ちに沿岸に駆けつけられるよう、道路は碁盤の目状に整備された。建物は地元産の石灰岩「マルタ石」で造られており、街全体が岩の色である蜂蜜色に染まっている。
-
続いてやってきたのは聖ヨハネ大聖堂。外観はシンプルな、ごく普通の教会だが…。
聖ヨハネ広場 広場・公園
-
内部はまぶしいほどの金ぴか仕様で、絢爛豪華な天井画が見上げた視線の先を埋め尽くす。ヨーロッパの中心部から見れば辺境のような島に、これほどまでに壮麗な教会があったとは…。
マルタ騎士団は宗教騎士団である特性上、こういった教会には相当に力が入っている。かなりの建設費がかかったことは想像に難くないが、その資金源はなんと寄付金。マルタ騎士団の団員の多くが有力貴族出身者であったことから、包囲戦勝利などの実績も踏まえてヨーロッパ各地から巨額の寄付が集まったそうである。街の建設とならんで、それらの多額の資金が惜しげもなくつぎこまれたわけだ。 -
騎士団の守護聖人・聖ヨハネの生涯が描かれた天井画。
-
床には大理石でつくられた騎士団員の墓碑が整然と並ぶ。ヨーロッパの教会の床には墓碑があることが多いが、これほど美しいものはなかなか見られない。刻まれた文言は、生前の活躍っぷりや信仰の篤さなどを猛アピールしているものらしい。
-
本堂の周囲には騎士の出身地の言語別に8つの礼拝堂が設けられている。こちらはドイツの礼拝堂。
-
イタリアの礼拝堂は豪華さのなかにも落ち着きが感じられ、芸術作品としても一級品であるように見える。
-
大聖堂内の一部が美術館(というか展示室)となっており、見学に行列ができていた名画「洗礼者ヨハネの斬首」。イタリア人画家・カラヴァッジョ最大の傑作ともいわれ、本人の署名がある唯一の作品である。
カラヴァッジョという画家は知らなかったが、バロック期(と書いてみたものの、それが何かは分からない)の巨匠として相当有名な方らしい。かなり短気で癇性、放埒な性格でも知られており、ローマで殺人を犯してお尋ね者となっている。そのため後半生は逃亡生活を強いられ、マルタを含めた各地を転々としていた。逃亡中に絵を描いている余裕などあったのか?とも思ったが、その画才を惜しんだ有力者たちに匿われ、絵を描くことで多額の謝礼を得ていたというから、芸は身を助くを地で行っている。聖ヨハネ大聖堂美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
続いてやってきたのがアッパー・バラッカ・ガーデン。17世紀半ばにイタリアの騎士団のためにつくられた公園で、グランドハーバーや対岸のスリーシティーズ(マルタ騎士団が最初に築いた3つの街の総称)などが望める。
アッパーバラッカガーデン 広場・公園
-
その高台からの眺めはもちろんのこと、毎日正午と午後4時に放たれる大砲の一撃も見どころ。見学は無料だが、下段への入場料を払うとかなり近くで見ることができる。
-
空砲とはいえ、轟音とともに熱波が押し寄せる迫力は十分!
-
公園から市街を望む。要塞都市としての守りは堅い。天然の石垣がそびえ立ち、難攻不落の貫禄がある。
-
そろそろ昼食時。ふたたび市内中心部へ向けて移動。
-
たどりついたのは、サンドイッチの「サブマリン」。どこにでもありそうな路面店だが、某旅行口コミサイトで、バレッタでも5本の指に入る高評価を得ている。
-
具材やパンの種類などをかなり細かく注文できるようだが、正直なところよく分からないので、適当にオススメっぽいものを注文。
見た目はごく普通のサンドイッチであるが、ただ者でないことは一口で分かる。ハムの塩気とトマトの酸味をクリーミーなモッツァレラチーズが慈母のごとく受け止め、渾然一体となった三者をサクッと焼かれたパンが包み込む。余計な味付けを一切排した素材の調和が素晴らしく、人生ナンバーワンのサンドイッチであった。 -
街のメインストリート「リパブリック通り」を進んでいくと、「騎士団長の宮殿」が見えてきた。マルタ騎士団の騎士団長の本拠地となった宮殿で、現在でも大統領府兼政府機関の建物として使用されている。
騎士団長の宮殿(ステイトルーム) 城・宮殿
-
内部は一部が公開されている。廊下に立ち並ぶ甲冑は中世につくられた正真正銘の本物。
-
見習い騎士の控えの間。奥には若い騎士を鼓舞するかのように、伝説の騎士団長・ヴァレットの肖像画が飾られている。
-
騎士団の最高評議会が開かれていたホール。上部の絵画にはマルタ包囲戦の様子が描かれている。
-
こちらが騎士団長の御席。大きさは恐れ多くもエコノミークラスと言えなくもないが、あまり華美でないところが騎士らしくてよい。
-
宮殿には武器庫が併設されており、実際に使用されていた武具など約6000点が展示されている。絶対痛そうな槍。
兵器庫 博物館・美術館・ギャラリー
-
名のある騎士の愛用品と思しき優美な甲冑。装飾が凝っている。
-
ヒラ騎士の甲冑は結構シンプルな量産型。とはいえ、鉄の塊ゆえ重量は最大50kgにもなるという。おまけに真夏のマルタであれば、表面は目玉焼きが焼けるほどに熱くなったと思うが、中の人に影響はなかったのだろうか。
-
着用するとこんな感じ。なぜかマネキンに緊張感がない。
-
宮殿の見学後はリパブリック通りをさらに進む。色とりどりの出窓が壮観。
-
いつの間にかすっかり晴れており、灼熱の太陽のもとエルモ砦のある街の先端まで到達。この気候を求めてやってきたはずで、炎天下は歓迎すべき状況ではあるのだが、「少々暑すぎるのでは?」「ここまで晴れる必要があるのか?」「ウィンザーの曇天もよかったかもしれない」との疑問が頭をもたげはじめた。
聖エルモ砦 建造物
-
抜けるような青空に地中海。景色は申し分ない。
-
最後は街の入り口から帰路へ。右の角張った建物は新国会議事堂だが、観光客が日陰で涼んでいたりして、冒頭の首相官邸と同様に警備は緩そうである。日本の国会議事堂の軒先で、中国人の団体観光客が座り込んでいる様子など想像できようか。日本でいえば銀座通りに国会やら官邸やらがある感じなので、何となく緊張感がなくなるのも致し方ないか。
-
翌日4日目。本日も晴天なり。
ザ ウェスティン ドラゴナラ リゾート マルタ ホテル
-
この日は例のベンツタクシーとエージェント・スミスを1時間30ユーロにてチャーターし、郊外を回ることにした。間接照明で紫色のラインが浮き出たりするベンツのムダにゴージャスな内装に、わが家の大衆車との格の違いを見せつけられた。
-
マルタ石の採石場。豪快な露天掘りで、大きな穴ぼこが空いている。石灰岩はマルタ唯一の鉱物資源であり、建材に多用されている。
-
最初の目的地は、島南部のブルーグロット(青の洞門)。イタリア・カプリ島のものが有名だが、こちらも広がる海原はかなりの青さだ。
-
ボートに乗り換え、洞門めぐりに出発!
-
青くない。いくつかの小さな洞門をめぐっていくのだが、率直に「青い」と評価できるような洞門は意外と少なく「金返せ」の声が出かかる。
-
終盤でようやく青い洞門を発見。絵の具の波のようでなかなか見応えがある。青い洞門は全体の半数くらいで、「半分、青い洞門」といった感じか。
-
続いては、「マルタの巨石神殿群」の一つとして世界遺産登録されているハジャーイム神殿。紀元前3600年から3200年ごろの建造と考えられている神殿の遺跡で、世界最古級の宗教施設とされている。
ハジャーイム神殿 史跡・遺跡
-
数トン~数十トンもの巨石をいくつも組み上げた遺跡はなかなかの迫力。
ここ神託の間には、何やら意味ありげな穴が空いている。神のお告げを聞いたのだろうか。 -
土器のようなデザインが施された祭壇。本物は博物館に収蔵されており、これはレプリカとのこと。
-
巨石はこのように、小さな丸い小石を敷き詰めて運んだと考えられている。ピラミッドの石材運搬では木の丸太のようなものが使われていた気がするが、この島には大きな木がないので小石で代用したのかもしれない。右の何も敷いていない状態と比較し、古代人の知恵に感服中の次男。
-
ハジャーイム神殿の先にはイムナイドラ神殿もある。美しい海を眺めつつ、のんびりと向かう。
-
ハジャーイム神殿よりも丈夫な石材が使用されていて保存状態はよいとされているが、こちらも風化を防ぐためのテントに覆われた過保護仕様。
イムナイドラ神殿 史跡・遺跡
-
確かにこちらのほうが造りがしっかりしている気がする。壁に空いた小さな穴は、カレンダーのような役割を果たしていたと考えられるようだが、なにぶん5000年も前のことなので推測の域を出ない。学者の言ったもん勝ち、という気もする。
-
見学後は来た道をハジャーイム神殿のほうまで戻らなければいけないのだが、緩い上り坂が約500メートルほど続く。前日以上の炎天下ということもあり、それなりにきつそうだ。すると、うちの2児がゴルフ場にあるような電動カートを目ざとく発見。係員に頼めば、5ユーロでハジャーイム神殿まで乗せていってもらえるらしい。「これくらい歩こう」と言う前に、ちゃっかり乗り込む子どもたち。苦労は(親の)カネでスピード解決♪と言いたげな表情に、育て方を誤ったのだろうかと反省する。
-
ふたたびタクシーに乗り換えて次の目的地へ移動中、島南西部のディングリクリフで小休止。このあたりはマルタ島の最高地点(253m)にほど近いらしく、見晴らしがよい。
Dingli cliffs 海岸・海
-
お昼過ぎに、本日の最終目的地であるイムディーナの街に到着。かつての首都であり、現在は城壁に囲まれた古い街並みが残る。城壁南側の門から市内へ。
メイン ゲート 旧市街・古い町並み
-
クロアチアの旧市街と似たような雰囲気。
-
首都がバレッタに移動したことに伴って多くの人が移住したため、イムディーナは「静寂の町」とも呼ばれている。観光客のいない路地に一歩入れば、その二つ名が実感できる。
-
街の中心に構える聖パウロ聖堂の祭壇。街じゅうが石灰岩一色なので、この色彩はかなり目を引く。
聖パウロの大聖堂 寺院・教会
-
聖堂の時計塔。時刻は合っていない。
-
そのまま市内をブラブラし、城壁北端の喫茶店「フォンタネッラ」へ。静寂の町にもかかわらず、行列のできる超有名店である。マルタでいちばんおいしいケーキというが、かなり甘い。アメリカ人の好きそうな味、といったら語弊があるだろうか。
カフェ フォンタネッラ カフェ
-
ケーキは甘すぎたが、丘の上にあるため客席からの眺めは最高である。
-
一日中歩いて限界に到達したため、食後は乙女チックに観光用の馬車で城内をめぐりつつ、最後は城外の聖パウロ教会に乗り付けた。名前がややこしいが、先述の聖堂とは別物である。
聖パウロの地下墓地 史跡・遺跡
-
教会そのものより、地下に掘られた洞窟のような空間が見所となっている。伝説によると、「西暦60年ごろ、エルサレムで捕らえられた聖パウロがローマに送られる途中に船が難破し、たどりついたマルタで3か月間、この洞窟に身を隠しながら布教活動を行った」とされている。聖パウロは現地人に怪しまれたため「火がつけられ、毒ヘビによって噛まれましたが、彼は苦しみませんでした」とのこと。烈火も猛毒も何とも思わないような超人が、「結婚は苦難を招く」と説いたことは注目に値しよう。
-
見学後はホテルに戻り、夕食のために海をはさんで向かいにあるヒルトンへ。
Hilton Malta ホテル
-
イタリアンにも飽きたので、ヒルトン内部のレストラン「ブルーエレファント」にてタイ料理を食べる。適度に辛味もきいており、なかなかの本格派。何よりも米がうれしい。
ついでに、謎の飲料「シャンディ」を注文した。メニューでビールの欄にあったが、妙に甘い。調べてみるとビールをレモネードで割ったものらしく、サイダーとビールの中間といった風味。お店で割ったものではなく、マルタではそういう商品として販売されているようだ。なかなかくせになる。自分でも簡単に作れそうだ。
明日はマルタ島を離れ、コミノ島へ向かう。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったホテル
-
Hilton Malta
3.73
この旅行で行ったスポット
もっと見る
この旅行で行ったグルメ・レストラン
ヴァレッタ(マルタ) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 2018年子連れマルタの旅
0
58