2018/07/20 - 2018/07/22
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norijiroさん
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時を遡ること2017年夏。われわれはロンドンにいた。ベルギーからの寄り道で滞在期間は正味わずか3日であったが、大英帝国の威光が降り注ぐ王都を存分に堪能した。が、唯一残念だったことが天気である。本格的に降られることはなかったが、まさにイギリスらしくどんよりと広がる曇り空とにわか雨に、つくづく陽光を渇望した。
陽光……よし、来年の夏は嫌というほど太陽の光に包まれよう。それも、日本の蒸し暑さとは一線を画したカラッとした晴天がほしい。帰国後にそう決意したわれわれの行く先は地中海しかない。そのなかでも、最近各種メディアに穴場的に取り上げられているマルタが目にとまった。
というわけで、2018年夏・マルタで灼熱の太陽に焼かれる旅、いよいよ開幕である。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 乳幼児連れ家族旅行
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- ターキッシュ エアラインズ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
- 利用旅行会社
- ブッキングドットコム
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日本-マルタ間に直行便はないので、どこかで乗り継がないといけない。中東経由は運賃が安いものの、ドバイなどの経由地まで12時間、そこからマルタまで8時間(直行ではなく、なぜか1か所を経由するらしい)という地獄のようなフライトプランとなる。12時間飛行機に乗った後、さらに8時間も移動する根性は持ち合わせていない。
では、もっとも一般的なヨーロッパの主要都市経由はどうか。経由地までは同様に12時間かかるが、そこから先は直行で2~3時間と近い。でも運賃がなあ…と嘆きつつ調査を進めていくと、1社だけ妙に安いものがあり、それがトルコ航空のイスタンブール経由便であった。往復ともに便利な夜便にもかかわらず、運賃は日系・欧州王手エアラインの6割といったところ。となれば迷うことなくトルコ一択である。 -
離陸を待つ搭乗機。LCCにも勝るといわれる驚きの価格破壊に少々不安になって「トルコ航空 安い 理由」などと検索してみたが、その答えは今ひとつ判然としなかった。どこでコストカットしているんだか…。
出発数日前の同便では多数のオーバーブッキングが発生したという。そのうえ乗客の振り替えや荷物の積み替えに時間を要して離陸が成田空港の門限(23時)に間に合わず、結局その日の出発はアウト。そのまま翌日16時発に大遅延するという地獄絵図が展開されたらしい。
この日はトラブルもなく、定刻の出発で一安心。 -
4人家族の敵ともいえる3-3-3の座席配列であるが、最後部にわずかに設置された2席並びのところを確保できた。トルコ航空では座席指定ができるのがなぜか「出発100日前から」のため、航空券予約と同時に座席指定というシステムよりは希望の席を取れるチャンスがある(100日前が何月何日かを忘れていなければ)。
搭乗記念として名状しがたいぬいぐるみを頂戴し、歓喜の表情をみせる長男。 -
トルコ石の色調で統一された機内はなかなかモダン。座席のモニターも最新式で悪くない。日本語対応の映画もそこそこある。妻は「イミテーションゲーム」という何やら高尚な映画を鑑賞していたらしいが、一方で私は「トゥームレイダー ファースト・ミッション」という愚にもつなかない娯楽作品を見ており、降機後にバカにされる。「伝説の卑弥呼の墓が…」などと口走り、さらにバカにされる。日本語未対応のため、中国語の字幕で見ていた努力を買ってほしい。
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トルコ料理といえば世界三大料理の一つとして名高い。エコノミー仕様の機内食に、そのあたりの事情がどの程度盛り込まれているのだろうか。メインの鶏むね肉のグリルにズッキーニのソテー、ペンネはイタリア風だが、ヨーグルトときゅうりのサラダ、揚げなすとトマトのソテーなどの小鉢には中東色が感じられた。
トルコ航空のすごいところは、ベルト着用サインが点灯中でも機内食や飲み物のサービスを続けるところである。結構な揺れでもお構いなし。なかなか肝が据わっている。 -
約11時間のフライトを経て、イスタンブールの灯りが見えてきた。現地はまだ夜も明けぬ3時半。次便マルタ行きの出発まではたっぷり5時間もある。昼間なら市内中心部で観光の一つもできそうだが、真夜中なので出かけるわけにもいかない。
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新空港建設中のため、近いうちに閉鎖になる予定のアタテュルク国際空港。世界最多の就航国数を誇るトルコ航空の本拠地だけあって、五大陸その他世界中のありとあらゆる人々でごった返している。地球人見本市といった感じでなかなか壮観だ。「旅行者が考えうるほぼすべての国と都市にイスタンブールから飛ぶことができる」との評に偽りなし。
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古式ゆかしい空港なので、シンガポールのチャンギ国際空港のような気の利いた娯楽施設などは一切ない。椅子すら不足しているため地べたに座り込む乗客も多い。売店でイスタンブール土産を買った後(空港にしか滞在していないが、せめて気分だけでも)、ようやく空いた激混みフードコートの一角に陣取る。トルコ料理を食べてみたかったが、ダメそうなピザ屋しか開いていなかった。
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時間つぶしに腹ごしらえ。作り置きのピザに、土の味がする謎スープを添えて。
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ようやく夜も明け、搭乗時刻が近づいてきた。
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さらばイスタンブール。
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マルタ騎士団の仇敵・オスマン帝国の本拠地から約2時間半、ついにマルタへ乗り込む。乾燥した土地に太陽が照りつける光景は、南の島というより砂漠の町のようだ。
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マルタの滞在先はセントジュリアンのウェスティン。今回は宿の移動もなく堂々の9連泊。こういったメジャーどころの典型的なリゾートホテルに泊まるのは久々だ。
ザ ウェスティン ドラゴナラ リゾート マルタ ホテル
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目の前は海! さっそく泳ごうかとも思ったが、みな長時間の移動(特に5時間の乗り継ぎ待ち)でダメージが蓄積しており、到着初日は部屋でゆっくり休養することにした。
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一眠りすれば時刻はすでに夕方。散歩がてらに街をぶらぶらしつつ、ホテル近くのセントジュリアンの繁華街へ。このあたりは島随一のナイトスポットとして名高い。
近年は英語の語学留学先としてマルタが脚光を浴びている(公用語の一つが英語であることに加え、ヨーロッパのなかでは物価が安く、治安もよい)。語学学校の多くはセントジュリアンにあるらしく、夜になると飲んだくれる若者(おそらく学生)が大量に出没する。特に週末の夜はイベント時の渋谷的様相を呈する。教室では学べない実践的な英語を習得するにはもってこい? -
子連れなので(もちろん子連れでなくても)艶っぽい店には目もくれず、健全に夕ご飯だけを食べようとその辺にあったスポーツバーのような店へ(疲労のため店選びが適当になる)。なぜか中華もあったが、メニューにはあの悪名高き「ワンタン・フォント」(右のCHINESE FOOD MENUの書体)が。この書体を用いている店は「100%ハズレ」という都市伝説?を何かの本で読んだ気がする。とってつけたような万里の長城の写真も怪しさ十分。さあ、この店はどうだ?
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都市伝説は正しかった…。昭和時代の冷凍炒飯といった感じで、本格中華からは程遠い。
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メニューにはイタリアンもあるが、ペスカトーレの麺は過剰に茹でられて、なぜか味もほとんどしない。その昔に小学校の給食で出されたソフト麺が思い出され、郷愁を誘う味といえなくもない。魚介の風味をなんとか探ろうと試みるが、まったくの徒労に終わった。以後、この店は「まずパスタの店」との愛称で呼ばれつづけることになる。夫婦間では「○○って店どのへん?」「まずパスタの近く」などと、一種のランドマークとして役立つことになった。
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店の名誉のために付け加えると、バーだけあってビールは最高であった。CISK(チスク)は地元産ビールで、さっぱりキレのある日本人好みの味わい。
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明けて翌日。初日のホテル朝食バイキングは、なぜか意味もなく気分が高揚する(そして食べ過ぎる)。一般的なアメリカンブレックファーストでメニューはほぼ固定化されていたが、「今日はどこに行こうか」などと考えながら食べると楽しい。
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この日は日曜日。東部の漁港・マルサシュロックで週1回の朝市が開かれるというので出かけてみた。マルタ島は面積246平方kmの小さな島とはいえ、道路は田舎道が多く移動にはそれなりの時間がかかる。バス路線が全島をカバーしているが、時間どおりに来ないことも多いらしい。前日に空港で人数分のバスカードを買い、乗る機運だけは高めたが、いざ出かける局面になると急激に面倒くさくなる。
熟慮の末にホテルでタクシーを頼むと、やってきたのは黒塗りの高級ベンツ。運転手もエージェント・スミスのような上下黒のビシッとしたスーツ+サングラスで登場し(暑いのに…)、代議士あるいは重役御用達といった感じで分不相応なこときわまりない。マルタのタクシーにはメーターがなく、固定制の料金となっている。高級車なので料金も高いのかと思いきや、そのへんを走っている普通のタクシーと変わらないようだ。このタクシーのありがたみを、帰路で思い知らされることになる。 -
渋滞に巻き込まれたが、小一時間ほどでマルサシュロックに到着。海には色鮮やかなマルタの伝統漁船ルッツが浮かんでいる。
マルサシュロック湾 海岸・海
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港を見渡す聖母教会の聖母像もオン・ザ・ルッツ。
マルサシュロック教区教会 寺院・教会
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海に沿って多数の露店が出ている。
マルサシュロックの日曜市 市場
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新鮮な魚も。
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この朝市をひやかしつつ、昼は港のレストランで新鮮な魚介類を食べて帰るのがマルサシュロック観光の王道パターンである。われわれも王道を歩むべく朝市を端まで見て回ったが、まだ昼食まで時間がある。真夏の日射しは想像以上で、炎天下をさらに歩くのは厳しい。そこで、観光用のルッツに乗り、湾内クルーズで涼を求めることにした。
最初に訪れた船着き場では、価格の高い遠方までのルートを鬼のように勧められ、恐るおそる湾内クルーズを所望すると「船がない」と一蹴された(看板には書いてあるのだが)。遠いルートだと昼に間に合わないため辞去し、少し離れた二つ目の船着き場でようやく湾内クルーズにありつけた。 -
湾外には大型輸送船なども停泊しており、マルタの主要港としても機能しているようだ。遠方から見る街並みに、中東か北アフリカの雰囲気を感じた。
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下船後、昼食を食べにきたのはシーフードの「ラ・ノストラ・パドローナ」。この店で前日のペスカトーレ feat.ソフト麺のリベンジを図ることとする。
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前菜にざる豆腐が出てきたと思ったら、ゴゾ島名物の「ゴゾチーズ」であった。羊乳が原料と聞くと何やらけものくさい感じを想像するが、実はあっさりとクセのない味で、かなり豆腐っぽい。
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地中海+漁港+シーフードという三重奏は名店の予感。ペスカトーレは海老や貝からしみ出た魚介の風味たっぷりで、まさに逸品だ。麺は日本の基準で考えるとかなりの太麺だが、マルタではこの後どこの店でも判で押したように極太麺であった。
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魚介類の盛り合わせ。内容がペスカトーレとほとんど被っていたが、こちらも大満足の一皿。
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帰りは道ばたで客待ちしていた普通のタクシーに乗ってホテルへ。日本で事前に調査したところ、マルタのタクシーは料金交渉制やらぼったくりやら、やたらと評判が悪い。やや警戒して乗車したが、運転手はミスター地中海といった感じの陽気なおじちゃん。当然服装もエージェント・スミスではなく、ポロシャツ+短パンのラフスタイルが信条だ。料金をふっかけられることもなく(往路とまったく同じ)、その点は何の問題もなかった。現地でこの後に乗ったタクシーでも実際のトラブルはもとより、その気配すらまったくなかったので、気軽に利用してよいと思われる。
が、問題はその運転であった。荒い。とにかく荒い。猛スピードで車の間をすり抜けていくというドライビングで、スミスのエレガントな運転とは大違い。「狭いマルタ そんなに急いで どこへ行く」と言いたいが、定額なので早く着いたほうが実質的に割がよいということがある気もする。「街なかのタクシーは運転がきわめて荒い」は、共通認識としてもっておいてよいだろう。 -
存分にスリルを味わいながら帰還した後は、子どもたち待望のプールへ。ウェスティンには大きなプールが2か所あり、子どもの遊び場には十分な規模だ。
ザ ウェスティン ドラゴナラ リゾート マルタ ホテル
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朝市で買った水鉄砲を試射。10m先でも狙撃できるほどに威力強し。
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インストラクターによるダンスエクササイズにちゃっかり参加する次男。プール内の生徒たちにお手本を示す。
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雲一つない晴天と強烈な日射しに、「嫌というほど太陽の光に包まれる」という旅の目的は早くも達成した。
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夕食はホテルから10分ほど歩いたスピノーラ湾近くにあるイタリアンの「ビアンコ」で。
Bianco's 地元の料理
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イタリアの隣りだけあってイタリア料理店は非常に多く、そしてレベルが高い。また、飲食店にかぎらず物価は低めで、この店もリゾット、ピザ、パスタの3品に飲み物をあわせて7000円いかない(税サ込み)というお手頃価格。ありがたい。
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スピノーラ湾夜景。多くのレストランやカフェ、バーが建ち並び、食べるのには不自由しない。
こうして現地2日目の夜はふけていった。
最後に、昨年夏の旅行記がどうしてここまで遅延したのかの言い訳を少々。旅行後のどさくさでガイドブック紛失→施設詳細などが不明なものもあり、執筆不能な状態に陥る→面倒だしそのうち、と放置→年始の大掃除でガラクタ段ボールの底からガイドブックを奇跡的に発見→執筆にふたたび意欲をみせる(いまココ)、という事情があったことを書き添えておく。スピノーラ湾 海岸・海
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2018年子連れマルタの旅
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