2018/07/29 - 2018/07/30
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norijiroさん
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マルタの旅もいよいよ大詰め。最後を飾るのはゴゾ島である。ゴゾ島はマルタの主要島の一つで、面積は67平方キロメートルと、山手線の内側とほぼ同じくらいの大きさ。インターネットでゴゾ島の紹介文を見ると、「牧歌的」「自然豊か」「のんびり」「ゆったり」「リラックス」…などと、最後は温泉のCMのような文句が並んでいた。疲れも出てきた旅行の終盤に訪れるにはもってこいではないか、と思っていたものの…。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 4.5
- 交通
- 1.0
- 同行者
- 乳幼児連れ家族旅行
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 観光バス 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- ターキッシュ エアラインズ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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以前、マルタ島内巡りでベンツタクシーをチャーターした際、運転手のエージェント・スミスから「もしゴゾ島に行かれることがあれば、われわれのタクシーで回ることをお勧めします」と恭しく提案されていた。が、マルタ島内ならともかく、ゴゾ島は別の島である。その分、所要時間もかかるわけで、チャーター代も跳ね上がる。
そこで、今回は2階建ての観光バス「ホップオン・ホップオフバス」を利用することにした。料金は、ホテル前からゴゾ島行きフェリー乗り場までの往復+ゴゾ島内乗り放題=30ユーロ/大人1人。タクシーチャーターよりかなり安いことは明白である。観光局のホームページには、「マルタの観光名所を網羅するホップオン・ホップオフバスをご利用いただくと、観光地巡りがとても楽です。バスは年間300日の晴天率を誇るマルタにふさわしく、開放的なオープントップの2階建てバスを使用しております」とあり、かなりゴキゲンな乗り物であるとのアピールがなされていた。この後半部分があまりにも重要な意味をもっていたことが、後に判明する。 -
バスは一路、島の最北端・チェルケウア港へと向かう。マルタ島は小島の割に起伏が激しく、移動の際にはなかなか雄大な景色が楽しめる。
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チェルケウア港からフェリーで約20分、あっという間にゴゾ島の玄関口・イムジャール港へ到着(なお、マルタ島とゴゾ島間のフェリーは、帰りに往復分の料金を支払うシステムとなっている。つまり、行きは改札もなく、そのまま船に乗り込む形になる)。
フェリーターミナル前に停まっていたホップオン・ホップオフバスに乗り、まずはゴゾ島の中心都市・ビクトリア(現地名でラバト)へと向かう。多言語対応のガイド機器がバスの各席に備え付けられており、イヤホンで日本語の観光ガイドも聞くことができる。ゴゾフェリー(ゴゾチャンネル社) 船系
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途中、シェウキーヤ教会を車窓(開放的な2階なので窓はないが)から見学。巨大なドーム屋根は直径27メートル、高さ75メートルで、ヨーロッパで最大規模を誇るものだ。ゴゾ島にはほかに高い建物がほとんどないので、島のいろいろなところから見えてとても目立つ。
バスを降りて内部を見学してもよいのだが、そうすると次のバスは1時間後。なかなか難しい。 -
30分ほどでビクトリアへ到着。ゴゾ島は確かに牧歌的、自然豊か、要するにかなり田舎であり、丘と畑、雑木林が続くなかに時たま小さな集落が現れる程度だ。だが、ここビクトリアは中心都市だけあって、さすがに栄えている。
バスを降りてじっくりと見学することにする。ヴィクトリア(ゴゾ島) 散歩・街歩き
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ビクトリアの中心にそびえ立つのが「チタデル」。海賊に襲われた際の避難場所や、攻防のための要塞として巨大な城壁が築かれた。建設前の1551年には、北アフリカの海賊団がオスマン帝国軍とともに襲来し、島の住民の大半にあたる5,000人以上をリビアに連れ去っていった。頼みの騎士団はどうした?と思ったが、ゴゾ島駐在の騎士団某総督は「抗戦はむだであると考えて抵抗することなく開城、海賊たちは町を略奪した」とのこと。おいおい、騎士道の美徳はどうした?
バスの観光ガイドを聞いていると、「騎士団からの町の建設費の要求を、住民は拒否した」というような下りがあったりして、お世辞にも「皆のヒーロー」という感じはしない。むしろ、口うるさい風紀委員といった印象だ。チタデル 史跡・遺跡
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チタデルに入り、まず目につくのがゴゾ大聖堂である。この日は日曜日で、ガイドブックには定休日とあった。内部は見られないかと思っていたが、ちょうど何かの祭事?が開催されており、ラッキーなことに見物客も入場OKの模様。
1711年に完成した荘厳なバロック様式の建物で、外観はシンプルな造りだが…。ゴゾ大聖堂 寺院・教会
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内部は赤と金色できらびやかに装飾されている。
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大きな特徴が、このだまし絵。当初は天井にドームを建設する予定だったというが、どうにもこうにも金が足りず、仕方なくドーム風に見えるようなだまし絵でごまかしたという。今となっては、このだまし絵を見に観光客が集まるのだから、ケガの功名と言えなくもない。
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大聖堂からさらに奥に進むと、チタデルの城壁の上から外の景色が楽しめる。はるか向こうに、先ほどのシェウキーヤ教会が見える。
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遠くには海も。まさに島を見下ろす大要塞だ。
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チタデルを出て、お次は近くの聖ジョージ教会へ。
St. George's Basilica 寺院・教会
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内部はゴゾ島一の豪華さと評されている。天井のドームもちゃんとある。ただ、だまし絵の教会のほうがはるかに有名というのは皮肉だ。
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見学後は再びバスに乗り、次の目的地へ…と思うが、お気づきのとおりこの日も雲一つない晴天。当然のことながら屋根のないバスの2階は直射日光にさらされ、見える風景にエコーがかかるほどの暑さだ。
暑いなら1階に移動すればよいのでは?と思われるかもしれないが、不幸なことにこのタイプのバスは冷房がほとんど効かない。一応送風口はあるのだが、ぬるい風が弱々しく吹き出されるのみである。この役立たずがっ! さらに窓がほとんど開かないため、風を車内に取り込むことすらできない。熱気と湿度が密封された完全なサウナ状態であり、暑さでいえば2階と大差ないのである。ついては、直火焼きか蒸し焼きかという、きわめてつらい選択を迫られた。
私と長男は、風のあるほうがまだマシということで2階の直火焼き、妻と次男は、ジリジリと焼かれるのが苦手との理由により1階での蒸し焼きを選んだ。どちらにせよ素材の中心までじっくり火が通り、ウェルダンになることは間違いない。この時点で、「ゴゾ島+ホップオン・ホップオフバス=地獄」という定理がピタリと成り立ち、「のんびり」「ゆったり」「リラックス」とはほど遠い大我慢大会が繰り広げられることとなった。スミスのタクシーで来ればよかった…。 -
バスはせめてもの涼ということで、ドアを全開放しながら進み、やがてゴゾ島西端に到着した。かつては、アズール・ウィンドウという天然橋があったというが、2017年3月に高波と嵐の影響で崩壊。ただの岩になってしまった。見たかったなあ…。この悲劇に、マルタ共和国首相が「胸が張り裂けそうだ」とのコメントを出すに至ったという。
この付近は海水浴場としても有名らしく、かなりの乗客が下車した。が、車内が涼しくなるわけではない。アズール ウインドウ 海岸・海
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続いて訪れたのは、田園地帯のど真ん中にあるタ・ピーヌ教会。ここではバスが10分ほど停車するというので、内部を見学することにした。
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19世紀後半、近くに住む農婦(写真のおばちゃん)が聖母マリアの声を聞き、その声に従ったところ病気が治るという奇跡が起こった。それ以来、各地から多くの人々が祈りを捧げに来るようになったという。
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病気やけがが奇跡的に治るということらしいが、熱心に祈れば「バスの車内温度を5度下げる」という願いは聞き入れられるだろうか? せめて熱中症にならないことを願おう。
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島南西部のシュレンディは、島内でもっとも美しい漁港の一つといわれている。炎熱バスなんかとっとと降りて、潮風でも浴びながら冷たいビールでも飲んでくつろぎたい。
シュレンディ湾 海岸・海
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ものすごい断崖絶壁。
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バスは北へ進路を取り、ジュガンティーヤ神殿へ。時間もあるため、下車して見学することにした。何よりも、冷房の効いた展示室がうれしい。
ジュガンディーヤ神殿 城・宮殿
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お触りOKの展示品。そういうお店ではないのだから、そんなに照れることはないぞ。
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冷房によってだいぶ生気がよみがえったところで、意を決して屋外の神殿に向かう。現存するなかでは世界でもっとも古い巨石建造物であり、紀元前3600年から2500年ごろに作られたものと推測されている。
ここはテントもなく朽ちるままといった感じだが、過保護テントと野ざらしの分岐点はどこにあるのだろうかと気になった。 -
どこまでが遺跡で、どこからがただの石なのか、素人には区別できない。
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神殿近くにあるタコラの風車。かつては風力を利用した製粉が行われており、現在では内部が博物館になっているようだが、暑くて歩く気力なし。遠目に眺めるにとどめる。
タ コラ風車 建造物
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神殿の見学を終え、あとはもうバスに乗って帰るだけ。ようやく灼熱地獄からの生還である。日も多少は傾いてきたので、2階も何とか乗れるようになってきた。暑い日のホップオン・ホップオフバスは厳禁である。タ・ピーヌ教会の御利益か、熱中症にはならずにすんだ。まさに奇跡。
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マルタ島へ戻り、地獄からの生還祝いに「まどか」にてから揚げ祭り。
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帰国前日、発行枚数が少ないため貴重といわれるマルタのユーロコインをようやくコンプリート。1セントコインがなかなかもらえず苦労した。
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ついに帰国日。出発まで多少時間があったため、スピノーラ湾へ昼食を食べにでかけた。「LOVE」の文字を逆さまにしたヘンテコなモニュメント…と思っていたら、影や水面に映った時に正しく読めるようになっている。
スピノーラ湾 海岸・海
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マルタ島の街中で見かけたホップオン・ホップオフバス。二度と乗りたくない。ドアを開けているところを見ると、ここでも1階は蒸し器になっているのだろう。
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裏通りのイタリアンレストラン「イルポンテ」へ。外はサクッ、中はプリッの絶品タコ。
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スパゲッティも文句なし。この近辺ではいちばん気に入った(訪れたのが帰国寸前だったことが悔やまれる)。今回の旅では、マルタ料理よりもイタリア料理のほうが印象に残った感じである。
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マルタ国際空港へ。名残惜しいが帰国の途につく。
マルタ国際空港 (MLA) 空港
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帰りもイスタンブールでトランジット待ち4時間半…。空港から出られないのがつらかった。
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マルタの旅はこれにて終了。今回はじめて訪れたが、超オススメである。
その1 気候がいい。天気の心配、一切なし!(暑すぎることもあるが…)
その2 物価が安い(いわゆる欧米諸国のなかでは破格)
その3 みどころ多し(海リゾートも街歩きも楽しめる)
その4 食事がおいしい(本格イタリアンをお手頃価格で)
その5 治安がよい(全体的にのんびりしている)
近いうちにぜひまた帰ってきたい。
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2018年子連れマルタの旅
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