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 伊勢原市大山にある大山寺は真言宗大覚寺派のお寺で雨降山(あふりさん)大山寺という。大山不動の通称で知られている。天平勝宝7年(755)に良弁僧正が開山したと伝えられている。良弁僧正は東大寺を開山している。<br /> 大山は標高1,252メートルの山で、古くから山岳信仰の対象であった。山の名の由来は、山頂に大山祇神を祀ったためとされるが、大山祇神はかつては「石尊大権現」と呼ばれていた。「延喜式」神名帳には、相模国十三座の一つとして、大山の「石尊大権現」を祀る「阿夫利神社」の記載がある。<br /> 大山寺は阿夫利神社の別当寺とされる。天平宝字5年(762年)には行基菩薩の高弟である光増和尚が二世となり、大山全域を開き、山の中腹に諸堂を建立した。その後、徳一菩薩の招きにより、弘法大師が三世として入山し、数々の霊所を開いたと伝承されて来ており、大山七不思議と称される霊地信仰がある。<br /> 元慶8年(884年)には安然(慈覚大師の高弟)が五世として入山し、伽藍を再興した。この後は華厳・真言・天台の八宗兼学の道場となった。これにより、大山は相模国の中心道場として、別当八大坊を始めとする僧坊十八ヶ院末寺三、御師三百坊の霊山として栄えた。<br /> 江戸時代になると大山詣でが盛んになり、関東各地に「大山講」が組織され、大山参詣へ向かう「大山道」が整備された。<br /> しかし、明治初年の神仏分離により、阿夫利神社下社のある場所から下った現在地に、ようやく明治18年(1885年)になって明王院という寺名で再興された。大正4年(1915年)、明王院は観音寺と合併し、大山寺の旧寺号が復活した。<br /> 本堂は明治中期(明治18年((1885年)))に再建された。向拝の彫刻が不動明王であり、入母屋にも彫刻がある。木鼻は龍であり、龍は不動明王の化身とされているからであろう。また、向拝の柱にも彫刻が施されており、根巻きには亀が彫金されている。<br /> また、御開帳中だったのでご本尊の鉄造不動明王坐像と鉄造二童子立像や本堂須弥壇の前立不動明王坐像、弘法大師像、良弁僧正像などを参拝した。ご本尊の鉄造不動明王坐像は子供の顔のような温和なお顔である。京都・清水寺を始め前立観音は良くあるが、前立不動明王像があるとは知らなかった。他にも木造不動明王坐像や十一面観音立像と如意輪観音半跏思惟像なども参拝した。施料は400円とあるが、ワンコイン(500円玉)を入れた。これほど多くの鉄造の仏像を見ることも稀であろうか。なお、文永11年(1264年)に願行上人が鋳造した。鎌倉時代には鉄造(鋳造)仏が流行ったのか?鎌倉・鉄ノ井(https://4travel.jp/travelogue/10609874)から掘り出された鉄観音(くろがねかんのん)(https://4travel.jp/travelogue/10610414)もある。<br />(表紙写真は大山寺本堂)

大山寺(伊勢原市大山)(1)

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2018/11/21 - 2018/11/21

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 伊勢原市大山にある大山寺は真言宗大覚寺派のお寺で雨降山(あふりさん)大山寺という。大山不動の通称で知られている。天平勝宝7年(755)に良弁僧正が開山したと伝えられている。良弁僧正は東大寺を開山している。
 大山は標高1,252メートルの山で、古くから山岳信仰の対象であった。山の名の由来は、山頂に大山祇神を祀ったためとされるが、大山祇神はかつては「石尊大権現」と呼ばれていた。「延喜式」神名帳には、相模国十三座の一つとして、大山の「石尊大権現」を祀る「阿夫利神社」の記載がある。
 大山寺は阿夫利神社の別当寺とされる。天平宝字5年(762年)には行基菩薩の高弟である光増和尚が二世となり、大山全域を開き、山の中腹に諸堂を建立した。その後、徳一菩薩の招きにより、弘法大師が三世として入山し、数々の霊所を開いたと伝承されて来ており、大山七不思議と称される霊地信仰がある。
 元慶8年(884年)には安然(慈覚大師の高弟)が五世として入山し、伽藍を再興した。この後は華厳・真言・天台の八宗兼学の道場となった。これにより、大山は相模国の中心道場として、別当八大坊を始めとする僧坊十八ヶ院末寺三、御師三百坊の霊山として栄えた。
 江戸時代になると大山詣でが盛んになり、関東各地に「大山講」が組織され、大山参詣へ向かう「大山道」が整備された。
 しかし、明治初年の神仏分離により、阿夫利神社下社のある場所から下った現在地に、ようやく明治18年(1885年)になって明王院という寺名で再興された。大正4年(1915年)、明王院は観音寺と合併し、大山寺の旧寺号が復活した。
 本堂は明治中期(明治18年((1885年)))に再建された。向拝の彫刻が不動明王であり、入母屋にも彫刻がある。木鼻は龍であり、龍は不動明王の化身とされているからであろう。また、向拝の柱にも彫刻が施されており、根巻きには亀が彫金されている。
 また、御開帳中だったのでご本尊の鉄造不動明王坐像と鉄造二童子立像や本堂須弥壇の前立不動明王坐像、弘法大師像、良弁僧正像などを参拝した。ご本尊の鉄造不動明王坐像は子供の顔のような温和なお顔である。京都・清水寺を始め前立観音は良くあるが、前立不動明王像があるとは知らなかった。他にも木造不動明王坐像や十一面観音立像と如意輪観音半跏思惟像なども参拝した。施料は400円とあるが、ワンコイン(500円玉)を入れた。これほど多くの鉄造の仏像を見ることも稀であろうか。なお、文永11年(1264年)に願行上人が鋳造した。鎌倉時代には鉄造(鋳造)仏が流行ったのか?鎌倉・鉄ノ井(https://4travel.jp/travelogue/10609874)から掘り出された鉄観音(くろがねかんのん)(https://4travel.jp/travelogue/10610414)もある。
(表紙写真は大山寺本堂)

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  • 大山ケーブル大山駅からの参道。

    大山ケーブル大山駅からの参道。

  • 大山ケーブル大山駅からの参道。

    大山ケーブル大山駅からの参道。

  • 大山ケーブル大山駅からの参道。

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  • 「幸福の鐘 由来」。

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  • 「平和大観音」道標。

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  • 「平和大観音」への階段。

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  • 参道。

    参道。

  • 参道の紅葉。

    参道の紅葉。

  • 「百回参拝記念」碑(昭和41年(1966年)銘)。

    「百回参拝記念」碑(昭和41年(1966年)銘)。

  • 「東京空襲被災者供養塔」と「東京大空襲の悲惨」。

    「東京空襲被災者供養塔」と「東京大空襲の悲惨」。

  • 「東京大空襲の悲惨」(昭和63年(1988年)銘)。

    「東京大空襲の悲惨」(昭和63年(1988年)銘)。

  • 菊川橋。

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  • 菊川橋。

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  • 菊川橋の両側に石燈籠。

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  • 菊川橋の石燈籠。

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  • 菊川橋の石燈籠。

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  • 菊川橋の石燈籠。

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  • 菊川橋の石燈籠。

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  • 参道。

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  • 道標。

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  • 参道。

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  • 旧参道。ケーブルカーがなかった時代の参道だ。

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  • 「大山寺本堂 らくらくスロープ」。

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  • 大山寺に上るスロープ。

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  • 大師堂。

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  • 大山寺に上るスロープの紅葉。

    大山寺に上るスロープの紅葉。

  • 本堂。

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  • 本堂。

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  • 本堂前の参道石段。プロのカメラマンが何人もいる。

    本堂前の参道石段。プロのカメラマンが何人もいる。

  • 本堂前の参道石段。

    本堂前の参道石段。

  • 「第一番霊場大山寺」。

    「第一番霊場大山寺」。

  • 昭和61年(1986年)銘。

    昭和61年(1986年)銘。

  • 大山寺本堂。

    大山寺本堂。

  • 大山寺本堂向拝唐破風の鶴の懸魚。

    大山寺本堂向拝唐破風の鶴の懸魚。

  • 大山寺本堂向拝唐破風の彫刻。風神・雷神のような構図だ。

    大山寺本堂向拝唐破風の彫刻。風神・雷神のような構図だ。

  • 大山寺本堂向拝の不動明王の彫刻。一般的には龍の彫刻が多い。

    大山寺本堂向拝の不動明王の彫刻。一般的には龍の彫刻が多い。

  • 大山寺本堂向拝の龍の木鼻。

    大山寺本堂向拝の龍の木鼻。

  • 大山寺本堂向拝の龍の木鼻。

    大山寺本堂向拝の龍の木鼻。

  • 彫刻が施された柱。

    彫刻が施された柱。

  • 柱の根巻きは亀。

    柱の根巻きは亀。

  • 柱の根巻きは亀。

    柱の根巻きは亀。

  • 柱の根巻きは亀。

    柱の根巻きは亀。

  • 柱の根巻きは亀。

    柱の根巻きは亀。

  • 大山寺本堂に掛かる「大山寺」の扁額。

    大山寺本堂に掛かる「大山寺」の扁額。

  • 大山寺本堂。

    大山寺本堂。

  • 大山寺本堂の賓頭盧(びんずる)さま。

    大山寺本堂の賓頭盧(びんずる)さま。

  • 本堂の木造坐像。

    本堂の木造坐像。

  • 大山寺本堂の木鼻。

    大山寺本堂の木鼻。

  • 大山寺本堂の鳥の彫刻。

    大山寺本堂の鳥の彫刻。

  • 大山寺本堂入母屋。

    大山寺本堂入母屋。

  • 大山寺本堂入母屋に不動明王の彫刻。

    大山寺本堂入母屋に不動明王の彫刻。

  • 大山寺本堂入母屋屋根。

    大山寺本堂入母屋屋根。

  • 大山寺本堂の彫刻。

    大山寺本堂の彫刻。

  • 「大山寺」。

    「大山寺」。

  • 「御開帳日」看板と絵馬掛け。<br /><br />御開帳日<br />毎月8日、18日、28日<br />正月元旦~2月立春<br />3月28日~5月第3日曜日<br />7月27日~8月18日<br />11月3日~12月8日

    「御開帳日」看板と絵馬掛け。

    御開帳日
    毎月8日、18日、28日
    正月元旦~2月立春
    3月28日~5月第3日曜日
    7月27日~8月18日
    11月3日~12月8日

  • 「国指定重要文化財 鉄造不動明王及二童子像 県指定重要文化財 木造不動明王坐像」。

    「国指定重要文化財 鉄造不動明王及二童子像 県指定重要文化財 木造不動明王坐像」。

  • 「除夜の鐘」。

    「除夜の鐘」。

  • 大山寺本堂。

    大山寺本堂。

  • 大山寺本堂。

    大山寺本堂。

  • 大山寺本堂入母屋の彫刻。

    大山寺本堂入母屋の彫刻。

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