2018/09/12 - 2018/09/12
51位(同エリア103件中)
かつどんさん
日頃、「好きな作曲家は?」と尋ねられたら、生年順にバッハ、ハイドン、モーツァルト、ブルックナー、ブラームスと答えています。
今回の旅は家人と共にウィーンに6連泊し、その中でも2人の作曲家、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンとアントン・ブルック―ゆかりの地を日帰りで訪れることが主な目的。加えてウィーンの音楽家ゆかりの場所にも多数訪れました。
【旅程】
9/08(土) 浜松~成田~ウィーン
9/09(日) ウィーン滞在
9/10(月) アンゼンシュタット
9/11(火) ショプロン、フェルトゥード
9/12(水) アンスフェルデン、ザンクト・フローリアン、リンツ
9/13(木) ウィーン滞在
9/14(金) ウィーン~
9/15(土) ~成田~浜松
この旅行記は、4日目 https://4travel.jp/travelogue/11409997に続いて、ハイドンとともに今回の旅の主役、作曲家ヨーゼフ・アントン・ブルックナー(1824年9月4日 - 1896年10月11日)ゆかりの地をウィーンからの日帰りエクスカーションで訪れた模様を記したPart1です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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9月12日 今日も晴れ。
今日はこれから列車でリンツへ向かい、そこからバスでブルックナーの生誕の地アンスフェルデンと、ブルックナーがオルガン奏者として活躍し、彼の柩が安置されているザンクト・フローリアン修道院に訪れ、その帰りにリンツの旧市街も見て帰ろう、という計画。
8:30 ウィーン中央駅発ミュンヘン行きのレイルジェットに乗車。ウィーン中央駅 駅
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9:44 リンツ中央駅着。
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10:35、リンツ中央駅に隣接するバスターミナルから611番のバスに乗ってアンスフェルデンへ。乗車時間は24分の予定。運賃は4.80ユーロ。
アンスフェルデンはブルックナー生誕の地。
元々の計画ではリンツから直接ザンクト・フローリアンへ赴く予定だったが、日本出発1週間ほど前に、WEBでオーストリア・ポストバスの時刻、ルート検索を調べてみたら、アンスフェルデンからザンクト・フローリアンまでは一度リンツ方面に戻り、1回バスを乗り換える必要はあるが、それほど手間がかかるという風でもなかったので、ウィーンを出るのを1時間繰り上げて、アンスフェルデンにも立ち寄ることにした次第。 -
道が混んでいたこともあり、リンツから30分程度かかってアンスフェルデンの中心と思われる「アンスフェルデン・シューレ(学校)」という停留所で下車。
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因みにバス停のある通りの名前は「アントン・ブルックナー通り」。
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ブルックナーの生家は教会の隣ということなので、教会の塔を目指して歩くこと5分弱、小さな広場のようなところにブルックナー像があった。
階段を上がって教会へ。 -
アンスフェルデンの教会。
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教会の入口に展示されているのはブルックナーの出生証明書。
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教会の扉は空いていて、中に入ることができた。
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祭壇。
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パイプオルガン。
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教会入口の前にお墓が・・・。
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同じくアントンという名のブルックナーの父のお墓だ。彼は学校教員であった。
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手前に映っているのが・・・
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ブルックナーの生家。
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西側の壁にレリーフが2枚。
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ブルックナーの略歴。
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「ブルックナー生家」とある。
家内部は公開されているが、金・土・日の週末のみ。 -
アンスフェルデンは静かな小村。ブルックナーの生家以外には観光資源はない。と言っても、生家をわざわざ訪れる人も数えるほどだろう。
村のレストランその1。 -
村のレストランその2。
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「ザンクト・フローリアンまで9km」の標識。
11:30発のバスに乗って、一旦「リンツ・エーベルスベルク」というバス停まで行って、そこで410番のバスに乗り換え、ザンクト・フローリアンへ向かう手はずだったが、バス停の戻って時計を見たら11:37・・・。アンスフェルデンに到着したのが遅れたにもかかわらず、あまり時間のことを気にせず、ブルックナーに夢中になってこのありさま。次のバスまで待っていたら、13:00スタートのザンクト・フローリアン修道院のガイドツアーには間に合わない(実は15:00からもツアーがあることを現地に行って知ったのだが)。
さぁ、どうしたものか・・・。
バス停の前で途方に暮れかかったところ、何やら近くの小学校の生徒を乗せるスクールバスのようなマイクロバスが・・・。ただ、このマイクロバス、車体側面にタクシー会社と思しき名前と電話番号などが書かれている。
試しに小学生が乗ってくるのを待っている運転手に「これはタクシーか?」と聞いてみたら、「タクシーだけど小学生の送り迎え専用だよ」との答え。どうやらタクシー会社が委託され、スクールバスとして稼働しているようだ。そして運転手がすぐさま「電話して1台呼んであげるよ」と言ってくれるではないか!何という親切!!すぐに会社に電話してくれて「5分で来るから」と言ってくれた。
ほどなく普通のタクシーが来て無事乗車。これでザンクト・フローリアンにダイレクトで向える。
今回の旅の最大のピンチを乗り越えられた。 -
アンスフェルデンからザンクト・フローリアンまでは、ザンクト・フローリアン修道院通りという道一本でつながっている。
タクシーの車窓。穏やかな丘陵地帯が広がる。ブルックナーもこの道を何度も往復したことだろう。
10分ちょっと走ってタクシー運賃は22.10ユーロ。 -
ザンクト・フローリアンの中心、マルクト広場でタクシー下車。
修道院のガイドツアーまでには1時間弱ほど時間があるので、ランチの代わりに広場で目に付いたピンク色の壁のケーキ屋さんで時間を潰すことに。 -
ケーキ屋さん「バンベルガーLP」でいただいたのは、私が「フロリアナー・トルテ」というご当地のケーキ(手前 3.20ユーロ)、家人が「イチゴ・ザーネ・デザート」(3.50ユーロ)。味はもちろん、スタッフの対応も親切で気持ちが良かった。
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マルクト広場から案内板に従ってトンネルを通り登って行く。
このルートだと修道院の北側に出ることになる。 -
そして、ザンクト・フローリアン修道院に到着。
ザンクト フローリアン修道院 寺院・教会
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オイゲン・ヨッフム/ドレスデン・シュターツカペレによるブルックナーの交響曲第8番のLPジャケットは、確かこんなアングルの写真だったような・・・。
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ジャケットはこの通り。
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13:30 ガイドツアーがスタート。参加者は我々二人のみのでの、ガイドの女性が英語で対応してくれた。
料金はガイドツアーと大聖堂のブルックナー・オルガンによるコンサートのコンビチケットが、大人一人12.50ユーロ。これはリーズナブルなのでは?
修道院の中庭。東側を望む。 -
中庭から西側を望む。
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ツアーのハイライトのひとつだと思われる図書室。
書棚が迫ってくるようで圧倒的。 -
図書室の天井フレスコ画。
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図書館と並びツアーのハイライト、マルモアザール(大理石のホール)。
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マルモアザールの天井フレスコ画。
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この場所は日本のブルックナー・ファンにとってはとても大切な場所。
ブルックナー演奏の権威、朝比奈隆が手兵、大阪フィルハーモニー交響楽団を引き連れて行ったヨーロッパ・ツアー中の1975年10月12日、ここで交響曲第7番を演奏。レコーディングもされ、現在、完全収録版がCDで手軽に手に入るようになっている。
このコンサートにはブルックナー作品の校訂者として有名なレオポルド・ノヴァークも列席していた。終演後、ノヴァークが朝比奈を楽屋に訪ねた折、ノヴァーク版ではなくハース版を信奉していた朝比奈は「先生の楽譜で演奏せず申し訳ない」と伝えたところ、ノヴァークは「素晴らしい演奏の前では楽譜の問題は関係ない」と述べ、絶賛したというエピソードが伝わっている。 -
修道院内の長い回廊。百数十メートルあるとのこと。
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そして、ツアーは大聖堂へ進む。
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大迫力。
この大聖堂ではブルックナーの交響曲が演奏され映像化、音源化されている。映像で有名なのはリンツ出身のオーストリアを代表する名指揮者で2014年まではウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めていたフランツ・ウェルザー=メストがクリーヴランド管弦楽団を指揮した一連の演奏会のDVD。
CDではチェリビダッケの弟子でもあったフランスの指揮者、レミー・バローが地元のオーケストラを指揮したコンサートがある。このコンサートはこの大聖堂や修道院を会場に行われる夏のブルックナー音楽祭のメイン・イベントで、毎年1曲が取り上げられ、既に第8番、3番、9番、6番、5番の順で取り上げられリリースされている。今年は第7番が取り上げられたそうなので、そう遠くない日にCDとしてお目見えするだろう。
とにかく大聖堂の残響時間は10秒以上と言われているので、そういう条件でブルックナーの壮大な交響曲を緩慢なく仕上げられるかが聴きどころだ。 -
天井フレスコ画。
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オルガン台の下にブルックナーの墓標。
ブルックナーは生前自分の亡骸をザンクト・フローリアン大聖堂のオルガン台の下(地下)に安置するよう遺言した。 -
1896年10月14日、亡くなった3日後、ウィーンのカールス教会で葬儀が行われ、葬列はウィーン市民が通りという通りにひしめく中、ウィーン西駅に進み、霊柩列車はザンクト・フローリアンへ向かった。
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聖堂地下に下りて、ブルックナーの柩と対面。
ここで約1時間のガイドツアーは終了。 -
14:30スタートのオルガン・コンサートを聴くために再び大聖堂に入場。
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修道院オルガニストのクラウス・ゾンライトナー氏によるオルガン・コンサート。
プログラムは、
●メンデルスゾーン「ソナタ第2番 作品65」
●バッハ作曲「コラール前奏曲 ”わが心の切なる願い" BWV727」
●ブルックナー作曲「フーガ ニ短調 WAB125」
●同上「前奏曲 ハ長調 WAB129」
●クープラン作曲「教区のためのミサ曲」より「キリエ:トランペットとクロモンの対話」
●ジグ―作曲「トッカータ ロ短調」
の6曲。
ウジェーヌ・ジグーは19世紀~20世紀にかけて活躍したオルガニスト兼作曲家。私は彼を知らなかったが、この「トッカータ ロ短調」は代表作のひとつで、アンコール・ピースとして有名らしい。
ヨーロッパの教会でオルガンを聴くことはこれまでも何回かあったが、その中でもこのブルックナー・オルガンは唸るような大音量で、聖堂内の空気を切り裂くような迫力があった。 -
修道院正門を出て、バス停に向かう。
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ザンクト・フローリアン・ジェンダメリー・プラッツ停留所。リンツとを結ぶ410番バスの終着点。
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16:00発のバスでリンツへ戻る。運賃は6.40ユーロ。
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15:25、リンツ中央駅に到着。
この後、リンツ旧市街に向かって街巡り。
ブルックナーはもちろん、この町はモーツァルトにとってもゆかりのあるところだ。
続きはこちら。 https://4travel.jp/travelogue/11410293
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