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「北斎とジャポニスム」展の衝撃(1):ギュスタフ・モロー美術館編では、国立西洋美術館で開催されたこの展覧会への疑問をご紹介しました。<br /><br />この展覧会では、直ちには納得できない展示が数多くあったように感じています。展示についてのきちんとした検証・裏付けや、国際的評価が気になります。<br /><br />今回はルーアンの一風景をもとに、「HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」に関する国立西洋美術館の「オドロキの主張」の数々をご紹介します。

「北斎とジャポニスム」展の衝撃(2):ルーアンの大時計台編

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2018/03/15 - 2018/03/22

36位(同エリア188件中)

falcon38

falcon38さん

「北斎とジャポニスム」展の衝撃(1):ギュスタフ・モロー美術館編では、国立西洋美術館で開催されたこの展覧会への疑問をご紹介しました。

この展覧会では、直ちには納得できない展示が数多くあったように感じています。展示についてのきちんとした検証・裏付けや、国際的評価が気になります。

今回はルーアンの一風景をもとに、「HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」に関する国立西洋美術館の「オドロキの主張」の数々をご紹介します。

交通手段
鉄道 徒歩
旅行の手配内容
個別手配
  • サン・ラザール駅からルーアンまでは、intercitésで70分です。

    サン・ラザール駅からルーアンまでは、intercitésで70分です。

  • ルーアンのノートルダム大聖堂。大きくて写真に収まりません。<br /><br />この反対側に、モネが連作を描いたとされる建物が残っています。

    ルーアンのノートルダム大聖堂。大きくて写真に収まりません。

    この反対側に、モネが連作を描いたとされる建物が残っています。

  • ガイドブックにはあまり載っていませんが、大聖堂内にはフランス歴史上のbig nameであるロロの墓があります。<br /><br />このロロのノルマンディ公国の首都がルーアンです。そしてロロの子孫は、その後ノルマン・コンクエストを起こしイギリスの王となるのです。

    ガイドブックにはあまり載っていませんが、大聖堂内にはフランス歴史上のbig nameであるロロの墓があります。

    このロロのノルマンディ公国の首都がルーアンです。そしてロロの子孫は、その後ノルマン・コンクエストを起こしイギリスの王となるのです。

  • ジャンヌ・ダルク終焉の地。<br /><br />「The location where Joan of Arc was burnt on May 30th 1431」と書かれていました。

    ジャンヌ・ダルク終焉の地。

    「The location where Joan of Arc was burnt on May 30th 1431」と書かれていました。

  • 遠くに見えているのがサン・マクルー教会。<br />

    遠くに見えているのがサン・マクルー教会。

  • コロンバージュの街並み。

    コロンバージュの街並み。

  • ミシュラン一つ星のL&#39;Odasでランチをいただきました。<br /><br />これはアミューズ。カブが乗っているのはタコ墨のガレット風のもので、お料理は大変満足でした。

    ミシュラン一つ星のL'Odasでランチをいただきました。

    これはアミューズ。カブが乗っているのはタコ墨のガレット風のもので、お料理は大変満足でした。

  • ルーアンをペストが襲ったときに集団墓地となったサン・マクルー中庭。

    ルーアンをペストが襲ったときに集団墓地となったサン・マクルー中庭。

  • 旧市街への入り口にある大時計台。<br /><br />表紙にもお示ししたものです。

    旧市街への入り口にある大時計台。

    表紙にもお示ししたものです。

  • 大時計台は「Gros Horloge」と呼ばれています。<br /><br />この「Horloge(=時計)」という言葉で思い出すものがあります。

    大時計台は「Gros Horloge」と呼ばれています。

    この「Horloge(=時計)」という言葉で思い出すものがあります。

  • 「北斎とジャポニスム」展に展示されていたこの絵です。<br />踊りのポスターで、作者はジュール・シェレという画家です。<br /><br />この絵の右上に「Horloge」と書かれています。実はこの絵について、国立西洋美術館は「北斎漫画(画面下)の影響」としているのです。<br /><br />展覧会の図録の説明文より引用してみましょう。<br /><br />「シェレによるアクロバティックな身体表現は、とりわけ『北斎漫画』の曲芸師の図像に結びつけられるが、出品作(cat.68)の足を高く上げて踊る人物像もまた、『北斎漫画』十一編に登場する男達の滑稽なポーズを想起させる。」(文責:HH)<br /><br />この文章からもおわかりのように、国立西洋美術館の表現は「・・に結びつけられる」「・・を想起させる」であり決して断定表現は使いません。<br /><br />けれども、図録にはこうやって明らかに並列して載せるのです。<br />この解説は信用できるのでしょうか?

    「北斎とジャポニスム」展に展示されていたこの絵です。
    踊りのポスターで、作者はジュール・シェレという画家です。

    この絵の右上に「Horloge」と書かれています。実はこの絵について、国立西洋美術館は「北斎漫画(画面下)の影響」としているのです。

    展覧会の図録の説明文より引用してみましょう。

    「シェレによるアクロバティックな身体表現は、とりわけ『北斎漫画』の曲芸師の図像に結びつけられるが、出品作(cat.68)の足を高く上げて踊る人物像もまた、『北斎漫画』十一編に登場する男達の滑稽なポーズを想起させる。」(文責:HH)

    この文章からもおわかりのように、国立西洋美術館の表現は「・・に結びつけられる」「・・を想起させる」であり決して断定表現は使いません。

    けれども、図録にはこうやって明らかに並列して載せるのです。
    この解説は信用できるのでしょうか?

  • こちらはNHKBS1放送の「世界街歩きモンマルトル編」の一コマです。<br /><br />ムーランルージュでのダンスの一場面が示されています。<br />ダンサーが高く足を上げるシーンが印象的です。<br /><br />私はLidoしか行ったことはありませんが、ダンサーの動きは実に多様で素晴らしいものでした。<br /><br />ロートレックもそうですが、ムーランルージュ等のポスターを手掛けた画家たちはこうした光景を普通に見ていたはずです。<br /><br />北斎漫画は見ていなくても・・

    こちらはNHKBS1放送の「世界街歩きモンマルトル編」の一コマです。

    ムーランルージュでのダンスの一場面が示されています。
    ダンサーが高く足を上げるシーンが印象的です。

    私はLidoしか行ったことはありませんが、ダンサーの動きは実に多様で素晴らしいものでした。

    ロートレックもそうですが、ムーランルージュ等のポスターを手掛けた画家たちはこうした光景を普通に見ていたはずです。

    北斎漫画は見ていなくても・・

  • こちらは私が宿泊したHotel Parisiana。<br />パリ北駅から徒歩8分、東駅にも近く便利でした。<br /><br />実は私はシェレのポスタ―の一番下にある文字群(「Les 〇〇〇・・」)が、辞書を引いてもわからなかったのです。<br /><br />私はこれを、ホテルのreceptionのオバちゃんに聞いてみることにしました。私の前には一人のフランス人が何かの話をしていますので、その後ろに並びました。<br /><br />フランス人の番が終わると、一人のエスパニョール野郎がまさかの割り込みをしてきました。「おいっ、この野郎!ちゃんと並べや!」とも言えず、順番を横取りされてしまいます。全く、文明国のルールを知らんのかいっ!<br /><br />このエスパニョール野郎、どこかへの行き方を聞いているのですが、話が長いのなんのって(&gt;_&lt;) オバちゃんがスペイン語で対応するのをいいことに、いつまでもシツコク聞いてきます。<br /><br />「お前スマホ持ってねえのかよっ。そんなことぐらい自分で調べろや!Google mapとかあんだろよ!」とも言えず、黙って待つしかありません。やっとエスパニョール野郎は去って行きました。<br /><br /> 私 :スゴイですね、あなたは何カ国語話せるのですか?<br /><br />オバちゃん:フランス語、英語、スペイン語、イタリア語。ときどき自分が何人だかわかんなくなっちゃうのよ。<br /><br />と、なかなかジョークもお上手なオバちゃんにちょっと癒やされました。

    こちらは私が宿泊したHotel Parisiana。
    パリ北駅から徒歩8分、東駅にも近く便利でした。

    実は私はシェレのポスタ―の一番下にある文字群(「Les 〇〇〇・・」)が、辞書を引いてもわからなかったのです。

    私はこれを、ホテルのreceptionのオバちゃんに聞いてみることにしました。私の前には一人のフランス人が何かの話をしていますので、その後ろに並びました。

    フランス人の番が終わると、一人のエスパニョール野郎がまさかの割り込みをしてきました。「おいっ、この野郎!ちゃんと並べや!」とも言えず、順番を横取りされてしまいます。全く、文明国のルールを知らんのかいっ!

    このエスパニョール野郎、どこかへの行き方を聞いているのですが、話が長いのなんのって(>_<) オバちゃんがスペイン語で対応するのをいいことに、いつまでもシツコク聞いてきます。

    「お前スマホ持ってねえのかよっ。そんなことぐらい自分で調べろや!Google mapとかあんだろよ!」とも言えず、黙って待つしかありません。やっとエスパニョール野郎は去って行きました。

     私 :スゴイですね、あなたは何カ国語話せるのですか?

    オバちゃん:フランス語、英語、スペイン語、イタリア語。ときどき自分が何人だかわかんなくなっちゃうのよ。

    と、なかなかジョークもお上手なオバちゃんにちょっと癒やされました。

  • さて、オバちゃん曰く、<br /><br />下の文字群は「Les GIRARD」と読めるそうです。<br />「GIRARD」は家族の名前。ただしフランスの名前ではないそうです。<br /><br />つまりこの人たちはGIRARD一家で、定冠詞が「Les」と複数形になっているのはこのため。<br /><br />なるほど、謎が解けました!<br />辞書にも載ってなかったわけだ。<br /><br />オバちゃん、ありがとう!<br /><br />再びこの絵をご覧ください。<br />「L&#39;Horloge」の下に「Champs Elysées」と書かれています。<br /><br />私には二人のダンサーが足をあげた一瞬を、作者が「シャンゼリゼの大時計台」というイメージで描いたように思えます。中央の女性の二本の腕は時計の長針と短針で、7時50分あたりを指しているようにも見えます。<br /><br />パリに大時計台はないかもしれませんが、ないならないなりにダンサーの姿に例えて描くのも魅力的ではありませんか?陽気で粋なタッチを好むシェレが「これぞ、パリの大時計台なり!」と洒落ているように思えてなりません。<br /><br />国立西洋美術館の図録ではこの絵の邦題は「ジラール座」ですが、私はむしろ「シャンゼリゼの大時計台」としても良いくらいだと思います。

    さて、オバちゃん曰く、

    下の文字群は「Les GIRARD」と読めるそうです。
    「GIRARD」は家族の名前。ただしフランスの名前ではないそうです。

    つまりこの人たちはGIRARD一家で、定冠詞が「Les」と複数形になっているのはこのため。

    なるほど、謎が解けました!
    辞書にも載ってなかったわけだ。

    オバちゃん、ありがとう!

    再びこの絵をご覧ください。
    「L'Horloge」の下に「Champs Elysées」と書かれています。

    私には二人のダンサーが足をあげた一瞬を、作者が「シャンゼリゼの大時計台」というイメージで描いたように思えます。中央の女性の二本の腕は時計の長針と短針で、7時50分あたりを指しているようにも見えます。

    パリに大時計台はないかもしれませんが、ないならないなりにダンサーの姿に例えて描くのも魅力的ではありませんか?陽気で粋なタッチを好むシェレが「これぞ、パリの大時計台なり!」と洒落ているように思えてなりません。

    国立西洋美術館の図録ではこの絵の邦題は「ジラール座」ですが、私はむしろ「シャンゼリゼの大時計台」としても良いくらいだと思います。

  • とても北斎漫画の「足相撲」の影響とは思えないんだけどな~(笑)<br />「北斎の影響」と主張するなら、確実な根拠を示して欲しいですね。<br /><br />「知人が北斎漫画を持っていた」とかいうんじゃなくて・・・<br />そして、上野でなくフランス人の前で。<br /><br />それにしても絵を持っていただけで「影響された」と言われるなんて!<br />ちょっと、そこのアナタ!エロ本持ってたら、スグに捨てなさい!!<br /><br />な~んちゃって( ゚Д゚)<br /><br /><br /><br />【追記】<br /><br />「北斎とジャポニスム:HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展にはこの他にも、数多くの説得力に欠く「衝撃的な」展示が出てきます。それらの殆どが独特の「推定表現」で語られ、根拠が示されているものは稀です。<br /><br />国立西洋美術館の論法に共通する「特徴」を挙げておきたいと思います。<br /><br /> (1)類似した絵を探して来ては、思わせぶりに並べる。<br /> (2)作者は北斎を知っていたはずと述べる。ここで多用される手法<br />   が、日本画を所有していた事実か日本美術に詳しい知人の存在。<br /> (3)推定するが決して断定はしない。<br /><br />それでは「HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」に出てきた「衝撃」の数々をご覧ください!<br /><br />そしてすべてが根拠も示せない「主観的な推定表現」で語られていることにもご注目ください。

    とても北斎漫画の「足相撲」の影響とは思えないんだけどな~(笑)
    「北斎の影響」と主張するなら、確実な根拠を示して欲しいですね。

    「知人が北斎漫画を持っていた」とかいうんじゃなくて・・・
    そして、上野でなくフランス人の前で。

    それにしても絵を持っていただけで「影響された」と言われるなんて!
    ちょっと、そこのアナタ!エロ本持ってたら、スグに捨てなさい!!

    な~んちゃって( ゚Д゚)



    【追記】

    「北斎とジャポニスム:HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展にはこの他にも、数多くの説得力に欠く「衝撃的な」展示が出てきます。それらの殆どが独特の「推定表現」で語られ、根拠が示されているものは稀です。

    国立西洋美術館の論法に共通する「特徴」を挙げておきたいと思います。

     (1)類似した絵を探して来ては、思わせぶりに並べる。
     (2)作者は北斎を知っていたはずと述べる。ここで多用される手法
       が、日本画を所有していた事実か日本美術に詳しい知人の存在。
     (3)推定するが決して断定はしない。

    それでは「HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」に出てきた「衝撃」の数々をご覧ください!

    そしてすべてが根拠も示せない「主観的な推定表現」で語られていることにもご注目ください。

  • この絵は、ドガの「競馬場にて」です。<br /><br />ほぼ中央に描かれた小さな人馬について、国立西洋美術館の図録では以下に示すオドロキの記載がされています。<br /><br />「まさに遠近法の消失点の位置にいる跳ねる馬が目を引く。1頭だけ異なったポーズのこの馬は、『北斎漫画』六編の右頁右端上から二段目の騎馬を切り取って貼り付けたように見える。」<br /><br />どっひぇ~(*_*)、皆さんはこの解説に同意できますか?<br /><br />人馬をこのように描いたり、鋳造したりすることは以前から普通に行われていると思います。この研究者は、ダヴィッドのアルプスを越える馬上のナポレオンの絵にも同じことを言えるのでしょうか?<br /><br />当時、日本はまだ開国していませんが・・・

    この絵は、ドガの「競馬場にて」です。

    ほぼ中央に描かれた小さな人馬について、国立西洋美術館の図録では以下に示すオドロキの記載がされています。

    「まさに遠近法の消失点の位置にいる跳ねる馬が目を引く。1頭だけ異なったポーズのこの馬は、『北斎漫画』六編の右頁右端上から二段目の騎馬を切り取って貼り付けたように見える。」

    どっひぇ~(*_*)、皆さんはこの解説に同意できますか?

    人馬をこのように描いたり、鋳造したりすることは以前から普通に行われていると思います。この研究者は、ダヴィッドのアルプスを越える馬上のナポレオンの絵にも同じことを言えるのでしょうか?

    当時、日本はまだ開国していませんが・・・

  • ゴーギャンの「三匹の子犬のいる静物」<br /><br />この三匹の犬たち。<br />はたして北斎の絵に似てますか?<br /><br />「ゴーガンの描く子犬は、輪郭にアクセントを置いた単純な形体、三方向から捉える視点、愛らしい姿という点で、北斎の『三体画譜』の子犬と比較できよう」(国立西洋美術館の図録より)

    ゴーギャンの「三匹の子犬のいる静物」

    この三匹の犬たち。
    はたして北斎の絵に似てますか?

    「ゴーガンの描く子犬は、輪郭にアクセントを置いた単純な形体、三方向から捉える視点、愛らしい姿という点で、北斎の『三体画譜』の子犬と比較できよう」(国立西洋美術館の図録より)

  • セザンヌは日本美術の影響を受けた事が証明しにくい画家の一人とされ、浮世絵等を所有していた事実も確認されていないそうです。<br /><br />しかしセザンヌのサント・ヴィクトワール山の連作も、「北斎の『富嶽三十六景』や『富嶽百景』の与えた影響だ」と国立西洋美術館の図録は記載しています。<br /><br />そればかりではなく、「北斎なくしてはセザンヌが同じ山を描き続けることもなかっただろう」としています。以下にお示しする説明文で影響を受けた根拠として挙げているのが、「日本美術に詳しい知人の存在」です。<br /><br />「一つの山の姿をさまざまな時間や角度から描く北斎の連作への意識は、日本美術に無関心を装っていたセザンヌにも、強く働きかけたと考えられる。さもなくば、量塊として認識されていた西洋の山の風景を、このような輪郭線でとらえる表現は生まれえなかったと思われるし、1882年から断続的に同じ山を、表現を変えながら最晩年まで書き続けることもなかっただろう。」<br /><br />「セザンヌは特にピサロと親しく、印象派の他の画家たちも1870年以降、ほぼ全員が日本美術に強い関心を抱いていた。そうした中で連作について語られる機会も多かったろうし・・・」(国立西洋美術館の図録より)

    セザンヌは日本美術の影響を受けた事が証明しにくい画家の一人とされ、浮世絵等を所有していた事実も確認されていないそうです。

    しかしセザンヌのサント・ヴィクトワール山の連作も、「北斎の『富嶽三十六景』や『富嶽百景』の与えた影響だ」と国立西洋美術館の図録は記載しています。

    そればかりではなく、「北斎なくしてはセザンヌが同じ山を描き続けることもなかっただろう」としています。以下にお示しする説明文で影響を受けた根拠として挙げているのが、「日本美術に詳しい知人の存在」です。

    「一つの山の姿をさまざまな時間や角度から描く北斎の連作への意識は、日本美術に無関心を装っていたセザンヌにも、強く働きかけたと考えられる。さもなくば、量塊として認識されていた西洋の山の風景を、このような輪郭線でとらえる表現は生まれえなかったと思われるし、1882年から断続的に同じ山を、表現を変えながら最晩年まで書き続けることもなかっただろう。」

    「セザンヌは特にピサロと親しく、印象派の他の画家たちも1870年以降、ほぼ全員が日本美術に強い関心を抱いていた。そうした中で連作について語られる機会も多かったろうし・・・」(国立西洋美術館の図録より)

  • ギュスターヴ・モロー美術館編でもご紹介した「ごあいさつ」の中で、国立西洋美術館は「西洋の芸術家は北斎作品のどこに惹かれたのか、北斎から何を学び新しい扉を開いたのか(中略)感じていただければ幸いです」と書いていますが、この言葉をそっくりそのままお返ししたいですね。<br /><br />しかも「2020年に向け、日本と世界との関わりが一層注目される今、・・」と述べるのであれば、自分たちの主張の国際的評価を検証する謙虚な姿勢が望まれるところです。<br /><br />そして日本国民に対して展示することは、同時に日本の国立美術館として世界に発信することにもなりますから、自分たちの中で事実を科学的に把握できていたのかを厳密に再確認していただきたいものです。<br /><br />それにしても国立西洋美術館が、このシェレの絵を「北斎の絵にインスピレーションを得て創り出された」とする根拠として「滑稽なポーズを想起させる」といった主観的な思いつきしか示せないのであれば、この展覧会自体の信憑性はどうなのだろうか?ということになってしまいます。<br /><br />さて最終回は、Jacquemart-André美術館より女流画家メアリー・カサットにまつわる話についてご報告します。

    ギュスターヴ・モロー美術館編でもご紹介した「ごあいさつ」の中で、国立西洋美術館は「西洋の芸術家は北斎作品のどこに惹かれたのか、北斎から何を学び新しい扉を開いたのか(中略)感じていただければ幸いです」と書いていますが、この言葉をそっくりそのままお返ししたいですね。

    しかも「2020年に向け、日本と世界との関わりが一層注目される今、・・」と述べるのであれば、自分たちの主張の国際的評価を検証する謙虚な姿勢が望まれるところです。

    そして日本国民に対して展示することは、同時に日本の国立美術館として世界に発信することにもなりますから、自分たちの中で事実を科学的に把握できていたのかを厳密に再確認していただきたいものです。

    それにしても国立西洋美術館が、このシェレの絵を「北斎の絵にインスピレーションを得て創り出された」とする根拠として「滑稽なポーズを想起させる」といった主観的な思いつきしか示せないのであれば、この展覧会自体の信憑性はどうなのだろうか?ということになってしまいます。

    さて最終回は、Jacquemart-André美術館より女流画家メアリー・カサットにまつわる話についてご報告します。

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この旅行記へのコメント (7)

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  • Pianoさん 2018/04/13 13:42:04
    興味深かく読ませていただきました
    この美術展の期間中に私はゴッホ展の方へ行きましたが、そちらでも浮世絵に絡めたテーマで展示されている部分がありました。正直私はこれまで浮世絵にインスパイアされた作品を鑑賞してもそれに大きな興味を持てずにいたのですが、falconさんがおっしゃているように、漠然ながらも矛盾点とか不確かな部分を感じていたのが理由だったのかな?と思いました。
    ルーアンはノルマンディーをフランス人のボーイフレンド(昔の話です・・・(笑))とノルマンディーを車で10日間くらいかけて旅した時に立ち寄った場所で、とても懐かしく思い出しました。
    割り込んでくるような図々しい人には、”ちゃんと並んで!”なんてすぐに言ってしまう気短かな私の行動にも反省(笑) falconさんのように大人な対応ができるようにしないと・・(笑)
     楽しい旅行記、続けて読ませていただきます!
  • duc teruさん 2018/04/05 21:28:56
    ご訪問ご投票ありがとうございました。
    いつもありがとうございます。貴記、大変興味深くかつ共感を持って拝見しました。

    愚作、気ままな旅を気ままに上げていますが、ご投票いただいて大変励みになります。

    自分で楽しみながらなんとか旅程の半ばに参りましたこれからも帰国まで続けてまいりますのでよろしくお付き合いいただければ嬉しいです。

    duc teru

    falcon38

    falcon38さん からの返信 2018/04/07 00:48:55
    Re: ご訪問ご投票ありがとうございました。
    duc teruさま

    こちらこそいつもお励ましのお言葉をありがとうございます。

    ジャポニスムは日仏文化交流の最も初期のものと思われますので、このような意見が、しかもこれまた日仏文化交流上貴重な建造物である国立西洋美術館のトップから発信されたことは、きわめて影響が大きくその真偽を是非知りたいものと思っております。

    公爵さまの旅行記も、毎回学ぶところが大変多く楽しみにさせていただいております。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

    falcon38
  • 夏への扉さん 2018/04/01 11:06:49
    こじつけ
    falcon38さん、おはようございます。

    私も北斎とジャポニスム展、見に行きました。数点見ているうちは良かったけれど、そのうち、これ、こじつけじゃないの?と思うような比較が目に付いたので、早々に会場を出て、常設展に向かいました。(この企画展に行ったのは、久々に常設展も見れると思ったからです。常設展は素晴らしい絵がたくさんありますね。)

    そんな疑問、falcon38さんが明確に理論整然と提示してくれたので、すっきりしました。

    私も、この企画展の目玉のドガを見直してみました。
    ドガ、《踊り子たち、ピンクと緑》1894年 パステル、紙(ボード裏打)66×47cm 吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)
    なんだ、山形美術館なら行っているので見たことあるかも・・なんですが、

    よく見てみるとお相撲さんと全然違うポーズですね。踊り子は腰骨に手を乗せています。自分で、このポーズ取ってみました。あら、背骨が伸びる! 踊り子さんだから、姿勢を直しているのかもと想像しました。かたや、お相撲さんは回しに手を乗せて、そっくり返ってる・・
    うーん、違うぞ~。ドガはちゃんと楽屋でスケッチしているはずだし・・・

    数年前よりテレビで日本の自画自賛番組が鼻についてきましたが、東京オリンピックが近づいてますます多くなってきた気がします。そのうち某国のように他国が発明したものも日本が発明したと言いださなければいいのですが、すでにこの展示の解説は、その域に達しているようです。

    ところで、去年7月にフランスに行ったとき、当初ルーアンも旅程に入れていたのを日程の関係からあきらめました。また次の機会に行ってみたいですが、転職したばかりで、いつ行けるか・・・

    次編も楽しみにしています。

    なつ

    falcon38

    falcon38さん からの返信 2018/04/01 12:31:53
    Re: こじつけ
    夏への扉さん、コメントを頂戴しありがとうございました。

    >これ、こじつけじゃないの?と思うような比較が目に付いたので
    私と同じ感想を持たれる方がいらしてホッとしました(^_^) 他にも多くの方がそう思われたかもしれませんね。この少し前に東京都美術館で開催された「ゴッホ展:巡りゆく日本の夢」展にも、これほどまでではありませんが若干同じ匂いのする展示があったんですよ~

    >私も、この企画展の目玉のドガを見直してみました。
    う~ん!なるほど、腰骨とまわし。似てはいるのですが確かに違いがあり、この意味は大きいかもしれません。これをキャッチコピーに持ってきた研究者の意気込み(←よく言えば)もスゴイです。でも、冷静な評価を知りたいですね。

    >数年前よりテレビで日本の自画自賛番組が鼻についてきましたが、
    NHKの「COOL JAPAN」やテレ東など感動的で良い仕事をされている反面、一部にちょっと鼻につくところありますね。番組作成チームの冷静な考察に期待したいです。このごろ昔と違って文化人の活動が目立って減ってきたと思われませんか?昔のテレビ番組のほうがそれなりの見識をもった評論家・学者さんが意見を闘わせ面白かったです。今は芸人ばっかり。池上さんに期待でしょうか?

    >某国のように他国が発明したものも日本が発明したと言いださなければいいのですが、すでにこの展示の解説は、その域に達しているようです。
    わ~ぁぁぁ!第3回で私が一番言おうと思ってたこと、全部お見通しですね!ビックリです(*_*)

    >当初ルーアンも旅程に入れていたのを日程の関係からあきらめました
    ルーアンに詳しい方には怒られるかもしれませんが、ルーアンの主たる部分は大聖堂内の見学も含め2~3時間でサラっと歩けました。私もパリを起点の半日コースでいろいろな都市を訪れたいです。

    >いつ行けるか・・・
    またまた、ご冗談を(^_^)(*_*)(^_^;)

    >次編も楽しみにしています
    はい、明日リリースの予定です。疑惑の展覧会に鷹の目で迫るfalconの筆がますます冴える最終回、どうぞお楽しみに!(←こるらぁ、チョーシに乗るんじゃね~ぞ~笑)



    olive kenji

    olive kenjiさん からの返信 2018/04/02 07:44:40
    Re: こじつけ日本人館長にくそエスパニヨール野郎
    ファルコンさん夏への扉さん お早うございます。

    夏への扉さんは、やはり芸術を見る目があるだけに、全くご意見に賛同します。
    よーこんなこじつけた思いつきみたいな発想で国立西洋博物館館長はこんな展示会をやるとは日本人の恥どっせ。
    よーくファルコンさんは問題点を指摘して下さいました、偉い。
    私もこういう権威のある方から言われば、そうですかと巻かれる阿保でしたが、今回のお話でお上の意見も大したことない、こじつけばっかりやと理解できました。もう騙されへんで~

    また下らん日本人と同じように、馬鹿エスパニヨールに遭遇しましたね。
    あーいう奴を時々、欧州でみかけますね。腹立つというか、こいつどんな教育受けてきたんやと思いますね。
    まーあれだけの慇懃無礼、あつかましさ、強欲でないと英国と戦争したり南米を征服できませんもんね。やはりそのDNAをお持ちなんでしょう。

    本来ならばファルコンさんの芸術紹介に感銘を受けなくてはならないのに、朝から腹立ってしょうがなかったです。書いてちょっとすっきりしました。
    まーそんな訳でファルコン、夏への扉さん同盟で芸術の本質をお守りくださいませ。
           花見の誘いが来ないolive kenji   

    falcon38

    falcon38さん からの返信 2018/04/02 14:12:13
    Re: これはヤバいことに・・・(>_<)
    olive kenji大佐殿、コメントを頂戴し恐縮であります!

    海外で見られる割り込み、ゲルマン系よりもラテン系に多いのでありましょうか?彼らのDNAは・・、ある意味ウラヤマシスであります。

    館長さんも日本のトップの専門家ですから何か深いワケはあるのでしょうが、可愛い少女の絵が腹の出たメタボなオッサンが袋みたいなものに寄りかかっている姿を参考にしたと、われわれ素人にもわかるように説明していただきたいものであります。

    フランスの美術館の方も実はコメントに窮したか、爆笑してたなんてことがなかったか気になるところであります。しかしながら、日本の第一人者がこれですと、日本人としてもちょっと困るのであります。

    それにしても八百長、賭博、暴力事件、監督の◯倫、不透明な方面への金の動きのウワサなど何でもアリの「永遠に不潔です!(>_<)」のあの球団の親分が協賛していますと、やっぱり何でもアリになってしまうのでありましょうか?

    本官は非常に危惧しておるのですが、これはフランスと戦争になるのではありませんか?相手は原爆も持っています。くわばら、くわばら。

    falcon38上等兵

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