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 下倉田の永勝寺の切通を見て、「そういえば、上倉田にも切通があるな。」と思い出した。かつての実方塚の南に隣接した山道である。かつては上倉田村を原と南に分断する山の尾根道で、原の谷戸と南の谷戸を結ぶ山道が峠で十字に交差していたのだろう。この尾根道は21世紀の初頭までは実方塚の参道のような道であったが、10世紀に、藤原実方(?~長徳4年12月12日(999年1月2日))の従者が戸塚で亡くなってこの山の山頂に埋葬されているのであるから、既に古代からこの尾根道はあったのであろう。以降、この時の一族はこの地に住み着いて実方塚の墓守として実方姓を名乗っている。実方一族はこの山の南の中腹に代々住んでいるが、麓や平場にはそれ以前に及川一族や小野一族などが住んでおり、実方塚に近い山の中腹しか空いてはいなかったのであろう。<br /> この尾根道が切通となったのは時代が下がって江戸時代のことであろう。この尾根道は実方本家の裏を通り、今の「大学南門入口」辺りで鎌倉道と交わったのであろうか?あるいは、今の小田急団地を突っ切った端の畑辺りから舞岡公園の尾根道にでも入ったのであろうか?<br /> また、この尾根道は峠から蔵田寺裏山を通り、正徳寺裏山から切通の山道を下り、戸塚大船線に出、盛徳寺跨線橋を渡れば、高嶋橋は近く、橋を渡って進めばほどなく八坂神社の交差点に出る。戸塚宿の辻の高札の場所で、東海道から鎌倉道の分岐点に当たる。<br /> したがって、上倉田には今も2ヶ所の切通が残っている。<br /> その後、この峠から数m上がった地点(現在は実方念仏講中が建てた「右 實方塚」の道標がある)から実方塚の北側中腹を通る高低差がない山道が付けられたようだ。弘明寺方面の鎌倉道への近道ででもないとしたら、さらに時代が下がって、小田急団地の山の中腹辺りにも民家が出来出した頃、具体的にはこの地が横浜市に編入された頃、町内の近道として新たに道が付けられたのかも知れない。<br /> 現在は峠にマンホールが設置されており、南へ下る下水管の上はコンクリート製の坂道になり、その横にはコンクリート製の階段が付けられている。また、原へはこの高低差がない山道に入ると直ぐに下って行く道が付けられ、ここにもコンクリート製の階段が付けられている。昭和30~40年代の工事であろうか?その後に道路計画が起こり、実方塚から八坂神社までが道路予定地となっている。高嶋橋の架け替え工事もこの道路整備の一環である。<br />(表紙写真は実方塚へ向かう切通)

上倉田町の切通

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2017/09/20 - 2017/09/20

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ドクターキムル

ドクターキムルさん

 下倉田の永勝寺の切通を見て、「そういえば、上倉田にも切通があるな。」と思い出した。かつての実方塚の南に隣接した山道である。かつては上倉田村を原と南に分断する山の尾根道で、原の谷戸と南の谷戸を結ぶ山道が峠で十字に交差していたのだろう。この尾根道は21世紀の初頭までは実方塚の参道のような道であったが、10世紀に、藤原実方(?~長徳4年12月12日(999年1月2日))の従者が戸塚で亡くなってこの山の山頂に埋葬されているのであるから、既に古代からこの尾根道はあったのであろう。以降、この時の一族はこの地に住み着いて実方塚の墓守として実方姓を名乗っている。実方一族はこの山の南の中腹に代々住んでいるが、麓や平場にはそれ以前に及川一族や小野一族などが住んでおり、実方塚に近い山の中腹しか空いてはいなかったのであろう。
 この尾根道が切通となったのは時代が下がって江戸時代のことであろう。この尾根道は実方本家の裏を通り、今の「大学南門入口」辺りで鎌倉道と交わったのであろうか?あるいは、今の小田急団地を突っ切った端の畑辺りから舞岡公園の尾根道にでも入ったのであろうか?
 また、この尾根道は峠から蔵田寺裏山を通り、正徳寺裏山から切通の山道を下り、戸塚大船線に出、盛徳寺跨線橋を渡れば、高嶋橋は近く、橋を渡って進めばほどなく八坂神社の交差点に出る。戸塚宿の辻の高札の場所で、東海道から鎌倉道の分岐点に当たる。
 したがって、上倉田には今も2ヶ所の切通が残っている。
 その後、この峠から数m上がった地点(現在は実方念仏講中が建てた「右 實方塚」の道標がある)から実方塚の北側中腹を通る高低差がない山道が付けられたようだ。弘明寺方面の鎌倉道への近道ででもないとしたら、さらに時代が下がって、小田急団地の山の中腹辺りにも民家が出来出した頃、具体的にはこの地が横浜市に編入された頃、町内の近道として新たに道が付けられたのかも知れない。
 現在は峠にマンホールが設置されており、南へ下る下水管の上はコンクリート製の坂道になり、その横にはコンクリート製の階段が付けられている。また、原へはこの高低差がない山道に入ると直ぐに下って行く道が付けられ、ここにもコンクリート製の階段が付けられている。昭和30~40年代の工事であろうか?その後に道路計画が起こり、実方塚から八坂神社までが道路予定地となっている。高嶋橋の架け替え工事もこの道路整備の一環である。
(表紙写真は実方塚へ向かう切通)

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  • 南から峠に向かう坂と階段。

    南から峠に向かう坂と階段。

  • 峠のマンホ-ル。

    峠のマンホ-ル。

  • 蔵田寺、正徳寺裏山に向かう尾根道。

    蔵田寺、正徳寺裏山に向かう尾根道。

  • 原に下りる道。<br /><br />古代にも、ここ鎌倉郡内の山道、尾根道でも大抵は十字路で道が交差している。

    原に下りる道。

    古代にも、ここ鎌倉郡内の山道、尾根道でも大抵は十字路で道が交差している。

  • 峠から実方塚に向かう尾根道。左に脇道。

    峠から実方塚に向かう尾根道。左に脇道。

  • 「右 實方塚」道標。

    「右 實方塚」道標。

  • 実方塚の北側中腹を通る平坦な道。

    実方塚の北側中腹を通る平坦な道。

  • 実方塚へ向かう切通。

    実方塚へ向かう切通。

  • 実方塚へ向かう切通。

    実方塚へ向かう切通。

  • 尾根道は行き止まりになり、移設された実方塚から道路に下りる道。

    尾根道は行き止まりになり、移設された実方塚から道路に下りる道。

  • かつての尾根道はこの先も切通であるが、もう竹や木々の枝で埋まっている。

    かつての尾根道はこの先も切通であるが、もう竹や木々の枝で埋まっている。

  • 実方塚の北側中腹を通る平坦な道。直ぐ左から原に下りる道が付けられている。

    実方塚の北側中腹を通る平坦な道。直ぐ左から原に下りる道が付けられている。

  • 原に下りる竹林の中の道。

    原に下りる竹林の中の道。

  • 原に下りるコンクリート製の階段。

    原に下りるコンクリート製の階段。

  • 階段を過ぎると住宅地の小路が交差。

    階段を過ぎると住宅地の小路が交差。

  • フェンスの中に杭打された柵と田圃の間が旧道。中央奥が峠。

    フェンスの中に杭打された柵と田圃の間が旧道。中央奥が峠。

  • 中央の括れた部分が峠。電柱が建っているのが旧道の名残。電柱や電線のメンテは近くに新しく建ったアパートへの道から草叢(かつては畑だったのだが、現在は耕作されずに草茫々になっている)を分け入れというのか?

    中央の括れた部分が峠。電柱が建っているのが旧道の名残。電柱や電線のメンテは近くに新しく建ったアパートへの道から草叢(かつては畑だったのだが、現在は耕作されずに草茫々になっている)を分け入れというのか?

  • 実方塚から八坂神社までが道路予定地となり、杭で仕切っていた旧道も道路予定地も横浜市の市有地となり旧道と田圃の境が地積測量図などの帳簿の上では所有者が同一人となり、境界が無くなってしまい、旧道があることが分からなくなってしまって、フェンスの終わりの位置を間違えたのであろうか?

    実方塚から八坂神社までが道路予定地となり、杭で仕切っていた旧道も道路予定地も横浜市の市有地となり旧道と田圃の境が地積測量図などの帳簿の上では所有者が同一人となり、境界が無くなってしまい、旧道があることが分からなくなってしまって、フェンスの終わりの位置を間違えたのであろうか?

  • 峠から正徳寺跨線橋へ向かうと、左折すれば尾根道を上倉田南バス停へ。

    峠から正徳寺跨線橋へ向かうと、左折すれば尾根道を上倉田南バス停へ。

  • 右折すると蔵田寺墓地入口。

    右折すると蔵田寺墓地入口。

  • 十字路。

    十字路。

  • 正徳寺裏山の尾根道。子之八幡神社へと続く。

    正徳寺裏山の尾根道。子之八幡神社へと続く。

  • 正徳寺裏の切通。

    正徳寺裏の切通。

  • 正徳寺裏の切通。

    正徳寺裏の切通。

  • 正徳寺裏の切通。

    正徳寺裏の切通。

  • 切通を下ると富士山のビュースポットだ。草地は道路予定地。

    切通を下ると富士山のビュースポットだ。草地は道路予定地。

  • 富士山のビュースポットから振り返ると正徳寺裏の切通。

    富士山のビュースポットから振り返ると正徳寺裏の切通。

  • 道路予定地。

    道路予定地。

  • 下に戸塚大船線と正徳寺跨線橋。マンションの向こうの低層ビルの辺りが八坂神社。

    下に戸塚大船線と正徳寺跨線橋。マンションの向こうの低層ビルの辺りが八坂神社。

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