2017/08/19 - 2017/08/19
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地酒大好きさん
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久々の晴天との予報で、岐阜県と長野県境の奥三界山(または奥三界岳。1811m)に登る予定を立てて午前6時に出発しました。中央道を飛ばしていけば2時間弱で登山口に着けますから、午前8時から4時間かけて登っても正午には登頂できて午後3時ごろには下山できると考えたからです(往復7~8時間ぐらいはかかります)。
中央道が昨日の豪雨のせいで土砂崩れで通行止めのニュースは聞いていましたが、通行止めの手前で下りて並行する国道19号線を走れば問題はないと軽く考えていました。ところが通行止めの手前の出口ではすでに大渋滞が起きており、一般道に下りるのさえ30分以上かかりました。19号線に入ってもほとんどノロノロ運転状態で、結局登山口がある夕森公園(紛らわしいのですが夕森天然公園とは別の場所)まで4時間ほどかかりました。夕森公園には夕森キャンプ場があります。
午前10時からでは奥三界山まで行くのは無理です。地図を見ていると「夕森天然公園」があるのに気づきました。ここへは以前に田立の滝から登ったことがあります。今日はこちら夕森公園から登ることにします。田立の滝から登るルートからすると、裏道のようなルートです。
林道入口のゲート前に駐車して登山開始です。他の車はありませんでした。ミンミンゼミの大きな蝉しぐれの嵐の中を歩きます。すぐ下には谷川がごうごうと音を立てて流れています。昨日からの大雨のせいです。路傍にフウロの仲間のような花が咲いていますが名前が分かりません。タマアジサイの花も今が盛りです。いくつかの滝を見ながら緩やかな傾斜の林道をひたすら歩きます。すると左「奥三界山」、右「天然公園」の道標がある分岐点に出ます。気持ちは左へ行きたかったのですが、今日は簡単そうに思われた右のルートを歩くことにします。しばらくすると林道の左側にチョコレート色の大型動物の胴体が見えました。頭部は木の陰に隠れて見えませんが、イノシシだと分かりました。イノシシはわたしの気配に気づいたらしく、左の林の中へと消えました。写真を撮る暇もない一瞬の出来事でした。そのうちに林道の舗装がなくなり、砂利道へと変わります。ゲートから約1時間で天然公園の入り口にあたる登山口に着きました。
ところがどうもこの登山道を登る人はいないようで、かなり荒れていました。すぐ「キケン立入禁止」のテープを巻いた木が2本あり、この先は危険なようです。躊躇しましたが、行けるところまで行ってみようとそのまま進みました。崖の上の細い登山道を注意しながら慎重に歩きます。木の根や岩は濡れていて、乗ると滑って危険です。崖から滑り落ちれば垂直に谷に落ちます。電波が通じないので、落ちたらそのまま遭難です。登山口には登山届の用紙もありませんでしたから誰にも分かりません。谷沿いの登山道をひたすらジグザグに登ります。ヒノキの植林だけの中を行くため、鳥の声も花もありません。蝉の声すら聞こえなくて、ただ谷川のごうごうの音だけです。風もなく蒸し暑いので汗が噴き出ます。展望もなく、今の自分がどの程度の高さにいるのかも分かりません。果たしてこれが天然公園まで行く道かも不明です。そんな危険な登山道を2時間も歩きました。すると消えかかった古い道標が現れて、この道が正しいと分かりほっとしたものです。
いよいよ頂上近くに来ると周囲が明るくなり、リンドウが咲いていました。この辺りのリンドウは花がてっぺんだけに付いて、花がほとんど開かない種類のオヤマリンドウだと思います。前回、田立の滝から登った時に見たリンドウもいっぱい咲いていたのに花が開いているものはほとんどありませんでしたから。登り始めて3時間でやっと頂上です。時刻は午後1時です。
登り始めてから3時間で着いた頂上は晴れたり曇ったりで山の天気そのものです。展望台に上がりました。午後1時で気温は21度で、爽やかな風が吹き抜けて、汗をかいた体には肌寒いくらいです。ホシガラスが「ガーガー」と近くで鳴いていますが、姿を見せてくれません。突然背後をゴーという音がして猛スピードで何かが通過していったのですが、ほんの1~2秒のことで姿を確認することはできませんでした。アマツバメなどの飛ぶ音よりもはるかに凄みのある衝撃波のような音でした。展望台からは中央アルプスが見えるのですが、今日は山にガスがかかっていてはっきりとは見えません。展望台の上で日向ぼっこをしながらランチです。他には登山者が来ません。田立の滝からのルートは木道続きの登山道のため、濡れて危険ですから登ってくる人がいないのでしょう。チョウやハチなどがやってきます。一匹の安全なハチがわたしのそばから離れません。人懐っこいハチでした。
ランチが済むと、天然公園内を散策しました。湿地のりっぱな木道から見下ろすと、わずかですがモウセンゴケがありました。この湿地は乾燥化が進んでいると聞いたことがありますが、モウセンゴケぐらいは生き延びてほしいものです。カンアオイの仲間も、スズカカンアオイ以外に、模様もツヤもないカンアオイが混じって存在しています。その写真も添付しました。ヒメカンアオイでしょうか、分かりません。木の板で簡単に作った遊歩道を歩いてみましたが、古くて朽ちかけている上、濡れていて滑って危険なため、引き返しました。リンドウはたくさん咲いていますが、どれも開いている花はありませんでした。すべててっぺんだけに花があるので、やはりオヤマリンドウのようです。1時間ほど頂上で過ごしてから下山開始です。またあの危険な登山道を歩くのかと思うと憂鬱になります。
気を取り直して出発しました。濡れた岩や根がある道は登りよりも下りが危険です。何度か滑りかけましたが、何とかバランスを崩さずに、谷に転落しないで延々と下って林道に着いた時には本当にほっとしました。一瞬も気を許せなかったからです。こんな道は2度と歩きたくありません。これからは来ることはないでしょう。登るなら田立の滝からです。
午前中鳴いていたミンミンゼミの声に代わって、午後からはツクツクボウシの声になりました。午後3時ごろになると今度はヒグラシの声だけになりました。蝉たちも時間により鳴き分けているのでしょうか。
2時間20分ほどでゲートにたどり着きましたが、そのちょっと手前に合体木があるのに気づきました。登り時には気づかなかったものです。杉の幹からサワラの葉が出ているという不思議な木ですので、興味がある人は見に行ってください。ゲートからすぐ近くです。
さて、帰りはまた19号線が大渋滞です。大型のトラックなどで道がふさがれてほとんど進みません。わたしは19号線から離れて、う回路の363号線に入ろうとしましたが、そこへ入る交差点がすぐ近くなのにたっぷり時間がかかりました。363号線に入ると、うそのように空いています。どんどん飛ばして帰宅しましたが、それでも4時間もかかりました。19号線だけを走っていたら夜中を過ぎてもたどり着けなかったかもしれません。山へのアクセスだけでも苦行でした。
あれだけ濡れた登山道を歩いたのですが、さいわいヤマビルにはやられませんでした。多分まだあの山域にはヤマビルがいないのでしょう。それだけでも安心しました。
いろいろな経験ができた山旅でした。歩行数は21500歩でした。
- 旅行の満足度
- 3.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
夕森公園(夕森天然公園とは別です。夕森キャンプ場で有名です)からの登山用林道入口です。ゲートが閉まっていて、一般車は進入禁止です。最近は林道には一般車の乗り入れが禁止されるところが増えています。産廃などを不法投棄する輩が多いからでしょう。
手前に10台ぐらいの駐車スペースがあります。
ここから出発です。 -
林道に入りました。
ミンミンゼミの大合唱と、昨日からの豪雨で水かさが増した谷川の音がごうごうと響いてきます。 -
湿った林道歩きが続きます。滑りやすい林道です。
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路傍に目をやると、フウロの仲間と思われる花が咲いていました。
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これも同じ花です。湿った場所に咲く花です。名前が分かりません。
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登山道からちょっと山に入った場所に、この白い「カモシカ供養塔」があります。昔、増えすぎたカモシカを駆除したときに供養するために建てられたようです。
現在、カモシカは特別天然記念物として捕獲などは禁止されています。 -
「忘鱗(ぼうりん)の滝」という難しい名前の滝です。この滝が昇竜のように見えたからでしょう。
竜が昇るときに岩にウロコがひかかって剥がれ、それがまた岩になったとの言い伝えを聞いたことがあります。 -
これも「銅穴(どうこう)の滝」という難しい名前の滝です。語源は分かりません。
連日の豪雨で水量が多く、ものすごい音を立てて流れ落ちています。 -
その滝の近くに咲くタマアジサイの花です。
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林道のガードレールから下を覗くと、かなり深い場所に谷川があります。水量が多く、ごうごうと大きな音がします。怖いくらいです。
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林道をしばらく進むと、左「奥三界山」、右「天然公園」と書いた道標があり、ここが分岐点です。
本心は左へ行きたかったのですが、時間の制約でしぶしぶ右の道を取りました。 -
林道の舗装はここまで。
この辺りでイノシシの胴体だけを発見。頭は左の林に隠れていて見えませんでした。イノシシはすぐ林の中へ逃げました。
クマでなくてよかった! -
砂利道の林道が続きます。ミンミンゼミの蝉しぐれでにぎやかです。
何となくクマが出そうな雰囲気のため、鈴をジャンジャン鳴らします。 -
マルバハギの花が咲いていました。秋ですね。
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林道を谷の急流が横切っていました。水深は5㎝ぐらいですが、登山靴には水が入ってしまいました。でもゴアテックス製の靴のため、すぐ中の水気が抜けました。
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やっと天然公園への登山口の道標が現れました。
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ここが天然公園への登山口です。
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登山道はと見ると、このように草が生い茂っており、荒れているようです。歩く人がほとんどないようです。
マダニに気を付けながら慎重に草むらを歩きます。 -
すぐ「キケン立入禁止」のテープを巻いた木がありました。荒れていて危険なのでしょうか。
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別の木にも同じテープが。進むべきかどうするか躊躇しますが、行けるところまで行ってみようと決心して進みました。
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山の急斜面をトラバース(横切ること)して造られた登山道。細くて荒れています。
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ジグザグに進みながら高度を稼ぎます。
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この部分は石垣の上に登山道が造られています。歴史を感じます。
現在は、接着剤やセメントを使わないで石垣を積む技術も職人もなくなりました。昔の石垣は何年たっても崩れません。 -
上に行くほど廃道化が進んでいます。
展望もなく、鳥や花もなく、聞こえてくるのは下の谷川の音だけ。
風も吹かないので、汗びっしょりです。持参した水がどんどんなくなります。 -
やっと「天然公園」の道標があり、正しい道だと分かりました。
文字が消えかかった古い道標です。 -
雨後のせいか、常時水がしみ出しているせいか、濡れた岩が続く登山道です。岩は滑るし、動きやすい岩のため、慎重に乗らないと転倒します。
こんなところで転倒して怪我をしたり、滑落しても、他には登山者がやってこないので遭難します。電波は当然通じません。 -
また古い道標がありました。いつ設けられたものでしょうか。
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やっとまともな道標が現れて、頂上が近いことを知らせてくれます。
1㎞といっても、街中なら10分ほどですが、ここでは30~40分かかります。 -
頂上が近づき平坦な場所に出ました。明るく開けているので、リンドウが咲いているのを発見。思わず「やったー」と歓声を上げました。
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歩き始めて3時間で着いた天然公園の頂上です。標高は1580mです。
3時間のうち、2時間も危険な道を歩いてきたので、喜びもひとしおです。 -
さっそく頂上にある展望台に上がってみました。2年ぶりの訪問です。
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展望台には、ここから見える山の名前が書いたボードがありました。右手に中央アルプスが、左手には北アルプスの一部や御嶽山などが見えるようです。
今日は曇っていて見えません。 -
展望台から下を見ると、周囲の樹木は伐採されており、周囲を見やすくしてあります。
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中央アルプス方面を望みますが、山の上に雲がかかっていてはっきりとは見えません。
ホシガラスが「ガーガー」と鳴いています。突然わたしの背後をものすごい音を立てて何者かが通過していきました。振り返って見る間もなく、いなくなりました。衝撃波のような音でした。アマツバメの飛ぶ音は何度も聞いたことはありますが、それとはまったく違います。タカ類でもそんなに速く飛べないと思うのですが、分かりません。不思議な経験です。 -
このかわいいハチがずっとまとわりついていました。逃げようとしませんし、こちらに害を与えるようなこともしませんでした。
チョウもたくさん飛んでいました。飛んでいるので写真には撮れませんでした。 -
展望台から下りて周囲を歩き回りました。見つけたのが、このカンアオイの仲間です。名古屋周辺で見るスズカカンアオイとは違って、葉の模様やツヤはありません。ヒメカンアオイかと思いますが、分かりません。
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これがスズカカンアオイです。この2種のカンアオイが混じってたくさん観察できました。
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湿地にはりっぱな木道がありました。
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これは反対側から見た木道です。
ここの湿地は乾燥化が進んでいるそうです。そうするとササなどが入り込んできて、湿地性の植物は枯れてしまいます。 -
湿地にわずかにあったモウセンゴケです。貧栄養の場所にだけ生息できる湿地性の食虫植物です。富栄養化すると他の植物が侵入してくるので、食虫植物は絶滅してしまいます。貧栄養のため、昆虫を捕えてそこから栄養を摂ります。また、湿地が乾燥してもモウセンゴケは絶滅します。
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天然公園を周回する手作りの木道です。古くなって朽ちてきています。
少し歩いてみましたが、濡れていて滑りやすく危険なので引き返しました。 -
新しく「水飲場」を示す標識が設けられました。10m先です。
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行ってみると、岩の間からちょろちょろと水が流れ出ています。ペットボトルに入れましたが、場所が岩の隙間なので汲むのが難しく少ししか汲めませんでした。飲んでみると、冷たくておいしい水でした。
頂上の水場なので、汚染はされていないと思います。 -
1時間半ほどかけてあの危険な登山道を下りました。登り時よりも下り時の方が滑りやすいのでとても危険でした。2度と歩きたくない登山道でした。
林道に出て、ゲートに近づくと、登り時には気づかなかったこんな看板がありました。
針葉樹と広葉樹が合体した珍しい現象です。
看板には「老桜の根元から杉が生え一体化しました。さらにその幹からサワラが芽生えました。これらの木々の行く末を見守りましょう。」とあります。 -
これがその木ですが、分かりますか。
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暗い森の中で見つけた古いホーロー看板です。1960年代~70年代を感じさせるものでした。
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