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アドリア海の奥まったところに位置する人口20万人余りの港町、トリエステはスロベニアと国境を接するイタリア北東端の街。第一次世界大戦までは、オーストリア=ハンガリー帝国の貿易港として繁栄してきたものの、オーストリアの敗戦でイタリア領になってからはその重要性が大きく低下したのだとか。今も街中に残る荘厳な石造りの州庁舎や市庁舎は、イタリアの街ではなくオーストリアの雰囲気です。<br /><br />首都ウイーンからトリエステの背後の丘の上にあるオピチーナ駅に達した、かつてのオーストリア南部鉄道が、高低差をかせぐために30km以上にわたって大きく迂回しながらトリエステの街まで降りる路線が開通したのが1857年。<br /><br />この区間をショートカットする目的で、1902年に一部の急勾配区間をラックレールとしたメーターゲージのトリエステ=オピチーナトラムが開業し、イタリアになってからの1928年にラックレールをケーブルカー方式に更新。<br /><br />始発はトリエステ中央駅に近い、市街地北東端のオベルダン広場。海抜3mのここから、全長5.2kmの路線で329mの丘の上にあるオピチーナまで、高低差326mを登る登山電車です。全線単線で、中間の11駅のうちケーブルカー区間の他に5個所に交換設備があるものの、使用しているのはケーブルカー区間とコンコネロの2個所だけ。

イタリア トリエステ ケーブルカーで急勾配を登るトラム

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2016/05/04 - 2016/05/04

20位(同エリア118件中)

旅行記グループ 世界にはユニークな鉄道が

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モボ101

モボ101さん

アドリア海の奥まったところに位置する人口20万人余りの港町、トリエステはスロベニアと国境を接するイタリア北東端の街。第一次世界大戦までは、オーストリア=ハンガリー帝国の貿易港として繁栄してきたものの、オーストリアの敗戦でイタリア領になってからはその重要性が大きく低下したのだとか。今も街中に残る荘厳な石造りの州庁舎や市庁舎は、イタリアの街ではなくオーストリアの雰囲気です。

首都ウイーンからトリエステの背後の丘の上にあるオピチーナ駅に達した、かつてのオーストリア南部鉄道が、高低差をかせぐために30km以上にわたって大きく迂回しながらトリエステの街まで降りる路線が開通したのが1857年。

この区間をショートカットする目的で、1902年に一部の急勾配区間をラックレールとしたメーターゲージのトリエステ=オピチーナトラムが開業し、イタリアになってからの1928年にラックレールをケーブルカー方式に更新。

始発はトリエステ中央駅に近い、市街地北東端のオベルダン広場。海抜3mのここから、全長5.2kmの路線で329mの丘の上にあるオピチーナまで、高低差326mを登る登山電車です。全線単線で、中間の11駅のうちケーブルカー区間の他に5個所に交換設備があるものの、使用しているのはケーブルカー区間とコンコネロの2個所だけ。

旅行の満足度
4.0
交通
5.0
交通手段
鉄道 徒歩
旅行の手配内容
個別手配
  • 始発はトリエステ中央駅に近い、市街地北東端のオベルダン広場。海抜3mのここから、全長5.2kmの路線で329mの丘の上にあるオピチーナまで、高低差326mを登る登山電車です。全線単線で、中間の11駅のうちケーブルカー区間の他に5個所に交換設備があるものの、使用しているのはケーブルカー区間とコンコネロの2個所だけ。<br /><br />オベルダン広場停留所の待合室には売店があり、ここで市内のバスと共通の乗車券が買えます。電車の運行時間は、朝はゆっくりで夜は早じまいの7時から20時までの20分間隔。全線の所要時間は30分。

    始発はトリエステ中央駅に近い、市街地北東端のオベルダン広場。海抜3mのここから、全長5.2kmの路線で329mの丘の上にあるオピチーナまで、高低差326mを登る登山電車です。全線単線で、中間の11駅のうちケーブルカー区間の他に5個所に交換設備があるものの、使用しているのはケーブルカー区間とコンコネロの2個所だけ。

    オベルダン広場停留所の待合室には売店があり、ここで市内のバスと共通の乗車券が買えます。電車の運行時間は、朝はゆっくりで夜は早じまいの7時から20時までの20分間隔。全線の所要時間は30分。

  • 現役車両は、1935年から1942年製。御年80歳前後の老体でも、良く整備されていて、車内は木製ニス塗りで良い感じ。<br />

    現役車両は、1935年から1942年製。御年80歳前後の老体でも、良く整備されていて、車内は木製ニス塗りで良い感じ。

  • 電車は、オベルダン広場を発車すると次のスコルコラ広場までの1区間だけ、路面の併用軌道を走ります。

    電車は、オベルダン広場を発車すると次のスコルコラ広場までの1区間だけ、路面の併用軌道を走ります。

  • スコルコラ広場では、隣の線路にケーブルカーが待っています。開通からの26年間は、ここからラックレールが敷設され、専用の機関車がトラムを押し上げていたのだとか。

    スコルコラ広場では、隣の線路にケーブルカーが待っています。開通からの26年間は、ここからラックレールが敷設され、専用の機関車がトラムを押し上げていたのだとか。

  • 2006年に新車に更新したケーブルカー。山側には台枠の前方にグリースが塗られ、ここで電車のバッファを受け止める構造で連結はしません。

    2006年に新車に更新したケーブルカー。山側には台枠の前方にグリースが塗られ、ここで電車のバッファを受け止める構造で連結はしません。

  • スコルコラ広場を発車した電車は、特殊なポイントを渡って一旦停止。ポイントが切り替わるとゆっくりとバックしてケーブルカーに接触。急な勾配を登りはじめると、運転士はケーブルカーに運行を任せて一休み。

    スコルコラ広場を発車した電車は、特殊なポイントを渡って一旦停止。ポイントが切り替わるとゆっくりとバックしてケーブルカーに接触。急な勾配を登りはじめると、運転士はケーブルカーに運行を任せて一休み。

  • ケーブルカー区間の最急勾配は、箱根登山鉄道の3倍以上の1000分の260。おもいっきり傾くので、ボックス席の山側に座っているとずり落ちそう。

    ケーブルカー区間の最急勾配は、箱根登山鉄道の3倍以上の1000分の260。おもいっきり傾くので、ボックス席の山側に座っているとずり落ちそう。

  • 特殊なポイントを渡って行き違い区間に入ると、前方からケーブルカーに支えられた電車が降りてきます。

    特殊なポイントを渡って行き違い区間に入ると、前方からケーブルカーに支えられた電車が降りてきます。

  • 複線のままで線路の間隔が狭くなり、ヴェッタ・スコルコラへ。職員が常駐しているようで、ここにあるケーブルカーの巻揚げ設備は地下に装備されていて、ワイヤロープが地中に吸い込まれていきます。

    複線のままで線路の間隔が狭くなり、ヴェッタ・スコルコラへ。職員が常駐しているようで、ここにあるケーブルカーの巻揚げ設備は地下に装備されていて、ワイヤロープが地中に吸い込まれていきます。

  • 時々正面に自転車をぶら下げた電車を見かけます。電車で登り、トリエステまで下るサイクリングは快適でしょうね。

    時々正面に自転車をぶら下げた電車を見かけます。電車で登り、トリエステまで下るサイクリングは快適でしょうね。

  • ヴェッタ・スコルコラでは、ケーブルカーを残したまま電車は発車していきます。

    ヴェッタ・スコルコラでは、ケーブルカーを残したまま電車は発車していきます。

  • ケーブルカーで登った路線長799mの高低差は160m。眼下にトリエステの市街地が広がります。

    ケーブルカーで登った路線長799mの高低差は160m。眼下にトリエステの市街地が広がります。

  • この先は、ごく一部に併用軌道があるものの、大半はオピチーナに向かう道路と並走する専用軌道を、上り勾配に吊りかけモータを唸らせながら走ります。

    この先は、ごく一部に併用軌道があるものの、大半はオピチーナに向かう道路と並走する専用軌道を、上り勾配に吊りかけモータを唸らせながら走ります。

  • トリエステの街とその向こうに広がる青いアドリア海を見下ろす、この路線一の絶景区間まで来るともうすぐ終点。

    トリエステの街とその向こうに広がる青いアドリア海を見下ろす、この路線一の絶景区間まで来るともうすぐ終点。

  • こうしてオベルダン広場から30分で、バルや売店を併設した停留所があるヴィラ・オピチーナに到着。乗客の乗降が終わると、電車はすぐに折り返していきます。

    こうしてオベルダン広場から30分で、バルや売店を併設した停留所があるヴィラ・オピチーナに到着。乗客の乗降が終わると、電車はすぐに折り返していきます。

  • ヴィラ・オピチーナの電停に隣接して車庫があり、100歳を超える開業当時の車両が動態保存されています。<br /><br />トリエステの都心からわずか30分。こんな楽しいトラムのショートトリップに出かけませんか。<br /><br />より詳しい情報や動画は、<br /><br />https://tabinoshasoukara.yu-nagi.com/<br /><br />の中の、<br /><br />https://omoidenoshasoukara.web.fc2.com/tabinoshasoukara/trieste/triestetram1.html<br /><br />にあります。

    ヴィラ・オピチーナの電停に隣接して車庫があり、100歳を超える開業当時の車両が動態保存されています。

    トリエステの都心からわずか30分。こんな楽しいトラムのショートトリップに出かけませんか。

    より詳しい情報や動画は、

    https://tabinoshasoukara.yu-nagi.com/

    の中の、

    https://omoidenoshasoukara.web.fc2.com/tabinoshasoukara/trieste/triestetram1.html

    にあります。

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