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《今日は親不知・子知らず・犬戻り・駒返しなどいふ北国一の難所を越えて疲れはべれば、枕引き寄せて寝たるに、一間隔てて面のかたに、若き女の声、ふたりばかりと聞こゆ、年老いたる男の声も交じりて物語するを聞けば越後の国新潟といふ所の遊女なりし。伊勢参宮するとて、この関まで男の送りて、明日は故郷に返す文したためて、はかなき言伝などしやるなり。白波の寄する汀に身をはふらかし、海士のこの世をあさましう下りて、定めなき契り、日々の業因いかにつたなしと、物いふ聞く聞く寝入りて、朝旅立つに、われわれに向かひて、「行方知らぬ旅路の憂さ、あまりおぼつかなう悲しくはべれば、見え隠れにも御跡を慕ひはべらん。衣の上の御情けに大慈の恵みを垂れて、結縁せえさせたまへ」と涙を落とす。不便のことにはべれども「われわれは所々にてとどまるかた多し。ただ人の行くにまかせて行くべし。神明の加護、必ず恙なかるべし」と言ひ捨てて出でつつ、あはれさしばらくやまざりけらし。<br /><br />    一つ家に遊女も寝たり萩と月  芭蕉    》<br /><br />朝、直江津で琴平神社と聴信寺を訪ねた後、日本海ひすいラインで市振へ移動しました。ここも無人駅、駅前の雑貨屋さんのおばさんに荷物を預かってもらい、関所跡、桔梗屋跡、長円寺、海道の松,弘法様の井戸、を見てまわりました。ゆっくりまわって1時間でした。ひすいラインで20分、糸魚川へ行きそこから新幹線で帰京しました。

おくのほそ道 第3回 ⑤ 市振

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2016/05/24 - 2016/05/28

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Shakespearian

Shakespearianさん

《今日は親不知・子知らず・犬戻り・駒返しなどいふ北国一の難所を越えて疲れはべれば、枕引き寄せて寝たるに、一間隔てて面のかたに、若き女の声、ふたりばかりと聞こゆ、年老いたる男の声も交じりて物語するを聞けば越後の国新潟といふ所の遊女なりし。伊勢参宮するとて、この関まで男の送りて、明日は故郷に返す文したためて、はかなき言伝などしやるなり。白波の寄する汀に身をはふらかし、海士のこの世をあさましう下りて、定めなき契り、日々の業因いかにつたなしと、物いふ聞く聞く寝入りて、朝旅立つに、われわれに向かひて、「行方知らぬ旅路の憂さ、あまりおぼつかなう悲しくはべれば、見え隠れにも御跡を慕ひはべらん。衣の上の御情けに大慈の恵みを垂れて、結縁せえさせたまへ」と涙を落とす。不便のことにはべれども「われわれは所々にてとどまるかた多し。ただ人の行くにまかせて行くべし。神明の加護、必ず恙なかるべし」と言ひ捨てて出でつつ、あはれさしばらくやまざりけらし。

    一つ家に遊女も寝たり萩と月  芭蕉    》

朝、直江津で琴平神社と聴信寺を訪ねた後、日本海ひすいラインで市振へ移動しました。ここも無人駅、駅前の雑貨屋さんのおばさんに荷物を預かってもらい、関所跡、桔梗屋跡、長円寺、海道の松,弘法様の井戸、を見てまわりました。ゆっくりまわって1時間でした。ひすいラインで20分、糸魚川へ行きそこから新幹線で帰京しました。

交通手段
高速・路線バス タクシー 新幹線 JRローカル 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • <br /> 直江津で 芭蕉が訪れた聴信寺 葬式と重なって句会が開けなかった


     直江津で 芭蕉が訪れた聴信寺 葬式と重なって句会が開けなかった

  • <br /> 琴平神社<br /><br /> 芭蕉は直江津に二泊して詠んだ句<br /><br />    文月や六日も常の夜には似ず  芭蕉


     琴平神社

     芭蕉は直江津に二泊して詠んだ句

        文月や六日も常の夜には似ず  芭蕉

  • <br /> 


     

  • <br /> 安寿と厨子王供養塔 


     安寿と厨子王供養塔 

  • <br /> 関所跡


     関所跡

  • <br /> 関所跡


     関所跡

  • <br /> 市振の部落 駅前には雑貨屋さんが一軒あるだけでしたが、おばさんは「みんな部落の方へ移ってしまった」と言ってました。


     市振の部落 駅前には雑貨屋さんが一軒あるだけでしたが、おばさんは「みんな部落の方へ移ってしまった」と言ってました。

  • <br /> 市振郵便局


     市振郵便局

  • <br /> 桔梗や跡


     桔梗や跡

  • <br /> 弘法様の井戸


     弘法様の井戸

  • <br /> 海道の松


     海道の松

  • <br /> 長円寺のなかにある句碑<br /><br /> 一つ家に遊女も寝たり萩と月


     長円寺のなかにある句碑

     一つ家に遊女も寝たり萩と月

  • <br /> 桔梗屋跡<br />


     桔梗屋跡

  • <br /> 駅前の雑貨屋さん


     駅前の雑貨屋さん

  • <br /> 日本海ひすいライン 市振駅


     日本海ひすいライン 市振駅

  • <br /> 糸魚川 こおから新幹線「はくたかで」東京へ


     糸魚川 こおから新幹線「はくたかで」東京へ

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この旅行記へのコメント (2)

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  • k.sさん 2016/06/19 23:59:19
    一読者の一感想
    Shakespearianさんへ

    「奥の細道」の縁の地を訪ねる旅行記に興味を持ち、フォローをさせていただき、毎回その旅行記を拝読させていただいております。

    その俳句は、侘び・さびの一つの頂点に達した、見事なものばかりです。一方、その地の文、散文は、俳句の大家というプライドをかなぐり捨てた、若い挑戦者の息遣いを感じます。


    その「奥の細道」を使って、Shakespearianさんがどのように旅行記を書くのか、興味深々でしたが、残念ながら毎回満ち足りた気持ちにはなれません。

    何故だろうと考えていたのですが、やっと分かりました。Shakespearianさんの「奥の細道」になっていないからです。自分を曝け出すことは怖いことですが、曝け出さないと芭蕉の「奥の細道」も死んでしまいます。

    思い切って自分というものを表現してはどうでしょうか?Shakespearianさんしか書けない「奥の細道」を書いてみる。

    生意気なことを書き、ご立腹かもしれませんが、立ち止まって一度考えて下さい。

    k.sより

    Shakespearian

    Shakespearianさん からの返信 2016/06/21 12:47:47
    RE: 一読者の一感想
    K.sさん
    おくのほそ道を毎回読んで頂いてありがとうございます。それに貴重なご意見もありがたくいただきました。感想をよせてくれる人もそう多くはありません。K.sさんは俳句をなさいますか? こんごともいろいろ指摘していただければ幸甚です思います。
    Shakespearian


    > Shakespearianさんへ
    >
    > 「奥の細道」の縁の地を訪ねる旅行記に興味を持ち、フォローをさせていただき、毎回その旅行記を拝読させていただいております。
    >
    > その俳句は、侘び・さびの一つの頂点に達した、見事なものばかりです。一方、その地の文、散文は、俳句の大家というプライドをかなぐり捨てた、若い挑戦者の息遣いを感じます。
    >
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    > その「奥の細道」を使って、Shakespearianさんがどのように旅行記を書くのか、興味深々でしたが、残念ながら毎回満ち足りた気持ちにはなれません。
    >
    > 何故だろうと考えていたのですが、やっと分かりました。Shakespearianさんの「奥の細道」になっていないからです。自分を曝け出すことは怖いことですが、曝け出さないと芭蕉の「奥の細道」も死んでしまいます。
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    > 思い切って自分というものを表現してはどうでしょうか?Shakespearianさんしか書けない「奥の細道」を書いてみる。
    >
    > 生意気なことを書き、ご立腹かもしれませんが、立ち止まって一度考えて下さい。
    >
    > k.sより

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