2016/03/26 - 2016/04/03
69位(同エリア154件中)
mikoyan358さん
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- 旅行記38冊
- クチコミ16件
- Q&A回答0件
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「谷一面を埋め尽くす杏やアーモンドの花」
「こここそがリアルな桃源郷」
そんな情報を耳にして10年以上来たいと思い続けていたものの、一方で「本当にそんなに凄いのか?」という気持ちも沸いていた、パキスタン北部の秘境「フンザ」。
仕事を無理やり休みにし、念願の花が見ごろの時期のツアーに参加してきましたが...
現地の色彩や澄んだ空気、人々の素朴な姿など、予想を遙かに上回る「こんな場所が地球上にあってよいのか」という旅になりました。
フンザへの旅を検討されている方、行ってみたいけど「パキスタンって大丈夫なの?」と考えている方に、現地の情報なども含めて魅力をたっぷりとお伝えしていきます。
写真多めで、各日程を2~3回に分けつつ投稿予定。
1日目 3月26日(土) 成田⇒バンコク⇒イスラマバード
2日目 3月27日(日) イスラマバード⇒タキシラ⇒アボッターバード⇒ベシャム
3日目 3月28日(月) ベシャム⇒チラス⇒フンザ(カリマバード)
4日目 3月29日(火) カリマバード⇔上部フンザ(グルミット・パスー氷河)
5日目 3月30日(水) カリマバード周辺(ナガール、アルチット村)
6日目 3月31日(木) カリマバード⇒ギルギット
7日目 4月1日(金) ギルギット⇒チラス⇒ベシャム
8日目 4月2日(土) ベシャム⇒イスラマバード⇒(機中泊)
9日目 4月3日(日) ⇒バンコク⇒成田
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 3.0
- 同行者
- 社員・団体旅行
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
PR
-
ナガールの一番奥にあるホパール氷河からは、来た道をひたすら逆送。
車の向きも変わって、ナガール川の谷がよく見えるようになりました。
高さは軽く100メートルくらいはありそうです。
狭い道をジープですっ飛ばしているので、怖さも必要以上(笑)。 -
どこまで行っても、杏・アーモンド・ポプラという組み合わせが続くこの道。
30分くらい、ずっと揺られていたでしょうか。
断崖にへばりつくようなつづら折りを粘り強く?進んでいくと、やがて午前中に通ってきた花満開のエリアへと近づきます。 -
その花満開エリアの手前で車が停まり、連れ立って中心の道路から少し外れ、こんな感じのあぜ道を進みます。
-
あぜ道の先にあったのは、大きな住宅と、そのそばの斜面を切り開かれて作られた広場。
そこにテーブルが出ていて、人数分のお皿が置いてあります。
この日のランチは、このお宅の絶景の庭で、気持ちよい風に吹かれながらナガールの伝統料理を味わう、というもの。 -
この食事を作ってくれるのは、西遊のシェフであるワジッドさん。
ナガール出身らしいので、もしかしたらここは彼の実家かもしれませんね。
日本食も修行していて、味には定評あるそうです。(実際素晴らしかった!)
食事を待っていると、彼の家族?と思われる子どもが出てきて愛想をふりまきます。
とりあえず見た目から「マルコメ君」と名付けておきました(笑)。
この構図、左はガイドのモモさん、右はツアーメンバーのSさんですが、何だか「実家に帰省した息子と孫」みたいな光景。 -
まずはウェルカムドリンクとして、アンズのジュース。
これより美味しいジュースは日本でも容易に手に入れることはできますが、既成のジュースにはない野性味にあふれています。 -
クリーミーなスープが、とても口によく合います。
まあ、日本人の味覚を知るシェフが作っているからかもしれませんが、普段の生活で出てきてもおかしくなさそうな「安心して食べられる味」です。 -
スープを飲んでいるうちに、次から次へと料理が出てきてそのたびにフォトセッションに(笑)。
-
手前に見えているのは、「バル・エ・ギヤリング」という、そば粉で作られたクレープ。
口に含んでみると確かにほのかにそば風味が漂います。
右側の丸いやつ(カットされてますが)は「チャプシュロ」というミートパイ。
イタリアのカルツォーネよりは硬質で、平たい胴体にたくさんピリ辛風味のマトンが入っているものです。
生地の思いのほかの硬さにやや苦労したものの、生地を引き立てる具のキレのある辛さが印象に残ります。
あと、左側のコロッケが絶品!
誰も取っていないのをいいことに6〜7個は食べました(笑)。 -
こちらはほうれん草のカレー。
辛さも抑えてあって、そば粉のクレープに乗せて食べるとほうれん草の甘みとクレープの苦さがちょうどいい感じでアウフヘーベンされていきます。 -
計算外だったのは、この暑さすら感じさせる日差しでしょうか。
それでも、斜面に果てしなく広がる花たちがほどよい日よけになってくれます。
なんと贅沢なお食事! -
量の多さにすっかり圧倒され、あれだけ取ったのにまだ残っているコロッケを寂しい気持ちで見送ろうとしたら、さらにデザートまで出てきました(笑)。
こちらは杏の風味が漂うクッキー。
これ以外にも、小さくちぎったチャパティを杏のオイルにつけて食べるという、ナガールの伝統的なデザートもありました。 -
食後は、もうすっかりおなじみになったチャイ。
普段はコーヒー派ですが、今回の旅行の食事ではチャイ以外飲んでないなあ。 -
こちらがこの邸宅の家長さんと、とりあえず急いで名付けた「マルコメ君2号」(笑)。
家長さんの顔の彫りの深さとしわの数に、この大地で暮らした証が読み取れます。 -
食事中も何かと愛想をふりまき、そして突然泣き出したりとすっかりマスコット化していたマルコメ君1号(遡って命名)。
この子もやはりちょっとアジアンというよりヨーロピアンな雰囲気がありますね。 -
花を見るのは大好きですが、「花を見ながら酒飲んで騒ぐ」というのに必然性が感じられず嫌いで、ほとんどそういう場にはいかない私。
お酒が入らなくても、やっぱりこうして花のフィルターを通した柔らかい空気の中でのんびり食事をする、それだけで十分に楽しい気持ちになれます。 -
片づけを待つ皿をさっきから虎視眈々と狙っているアヒルたち。
あんまり悪さしてると食われるぞ... -
と思ったら、慣れたものでさっと家の人が出てきて追い払われました。
このあと数分してもう1回同じ流れになったんですが(笑)。 -
食事の後は、ちょうど邸宅の向かい側の斜面を登ったところにかつてのミール(藩主)の邸宅があり、そこの花の眺めが素晴らしいということで腹ごなしも兼ねて散歩。
もう、誰もこの光景に驚かなくなっています。もったいない(笑)。 -
けっこうな坂道が見えたし、まあ時間があるんなら行っとくかな、という程度の気合い?しかなかった訪問でしたが、正直言ってここが今回の旅行の中で一番すさまじく花たちが咲き誇っている、ベストアルバム的な場所でした。
メンバーたちもほうぼうで感嘆の声をあげ、夢中になって花を愛でカメラにおさめています。
私もすっかり食後の眠気が吹っ飛びました(笑)。 -
いや、この写真、フンザのパンフレットに使えるわ(笑)。
さすが藩主の邸宅の敷地だけあり、見渡す限りきれいな杏の木ばかり。 -
向こう側に見える、ディランにつながる山々とのコントラストも、本当にすごい(小学生並みの感想しか出ないw)。
-
イチオシ
旅行記初日のカバー写真にしたお気に入りの一枚。
現地に滞在しているうちは、こんな光景を前にして「桃源郷」という言葉が本当に最安値を迎えていました(笑)。 -
普段なら主役の花たちを脇役に使ってしまう贅沢さ。
-
思わず私もはしゃいでしまいました。
規模感、伝わりますでしょうか。 -
添乗員のKさんも大忙し。
けっこう無理な姿勢をとってまで、ベストのアングルを探してくれます。
こういう所だからこそ記念に自分の写真を撮れば?と思って打診しましたが...
本当に職務に熱心でした(笑)。 -
普段なら馬とか喜んで見つけるところですが、かなり時間がたつまで気づかんかった(笑)。
ほんとうに、平和なひととき。 -
こんなところで寝っ転がれたら最高だなあ、という話がメンバーで出ていたのですが、いつしかどこからかこんな大きな絨毯が登場!
遠慮なく寝かせてもらいます(笑)。 -
寝っ転がったまま自分撮りw
こうしているうちに、みんなで寝っ転がって写真を撮ろう、という流れになりました。 -
広場にいたのは20分強、寝転がってこうやって空を眺めていたのはほんの5分程度。
このわずかな時間の記憶は、私がボケてしまわない限りずっと残り続けます。 -
イチオシ
こちらはツアーメンバーのOさんから頂いた写真。
ぜひ、西遊のフンザツアーのパンフに使って欲しい!
このまま日が暮れるまでここでこうしていたい気分でしたが、まあこの後もいろいろ予定があるので、写真を撮ってしばらくすると撤収の時間となりました。 -
後ろ髪をひかれつつ坂を下ろうとすると、か細いメェ〜という声が。
水を飲むのも苦労するほどヨタヨタしていたのですが、どうやら本当に今日生まれたらしいです。 -
その向こう側では、さっきから甲子園のプレイボールのサイレンの如く、谷じゅうに響き渡るような声で鳴いていた牛が。
食事中は谷の反対側にいましたが、十分聞こえていました(笑)。 -
こうして歩いている間に、学校が終わったようで子どもたちが楽しそうに声を上げながら通り過ぎていきます。
彼らが通り過ぎていくのではなく、一陣の風のような我々旅行者のほうが通り過ぎているんですけどね。 -
再びジープに乗り込み、数分も走るとミールの邸宅も対岸の花の海も姿を消しました。
谷をぐんぐん下り、一度通ってきたナガール川のすぐそばの道を遡り、フンザ川も渡って一度ホテルのすぐ近くまで戻った後、今度は今朝がた通ってきたイーグルスネストに向かう道と並行して走る道をアルチット村へと向かいます。 -
真っすぐ来れば数分で着く距離をぐるっと30分くらいまわって、すれ違うのも難しそうな狭い道でジープを降り、村長さん?の案内のもとアルチットの村へと入ります。
このアルチットの村は、1100年の歴史を持つという、フンザの谷でもガネーシュなどと並んで古い村。
実際に人が住んだ形跡はもっと古いらしく、村長さんの説明によればどうやら前漢の時代に人がやってきて集落が出来たのがその始まりなんだとか。
そうなると2000年... 「旧約聖書にも登場する村」とかも行って時間感覚を大いに狂わせた経験がありますが、この「前漢」という単語も私に全く実感を与えてくれません。 -
村長さんは、建物はマグニチュード9まで耐えられると言ってましたが、本当かなこれ(笑)。
このアルチットの村は、カリマバードなどと並んでフンザの集落の一つであり、さっき訪れた対岸のナガールとかつて熾烈な戦争を繰り広げていました。
こんな場所で戦争なんか考えるなよ、とは思うのですが(笑)、何か戦って得なければならないものがあったんでしょうね。
そんな環境のため、アルチット村は村自体がまるごと要塞化しています。
道はフェズの旧市街、とまではいきませんがくねくねと折れ曲がり、一気に攻め入ろうとすると袋のねずみになることが容易に想像できます。
ちなみに、電線がわずかしか見えないのですが、どうやら地中埋設されているらしい。
景観保護のためにそうしているそうですが、なかなか見かけによらず進んでいる村です。 -
こちらが、ナガールに面したフンザ川沿いにある、アルチット・フォート(砦)。
断崖が天然の要害となっていて、これは上から射掛けたり石落としたりといくらでも守りができそう(笑)。
アルチット・フォートは入れる時もあるそうですが、この時は改修中か何かで入場はできず。 -
視線を変えて、画面の左奥、上部フンザ方面を。
目の前を流れているフンザ川の対岸、真ん中に見えている大きな岩は昨日訪れた岩絵のあるところですね。 -
砦の説明を受けている間、こちらをガン見していた少女。
手を振っていいのか躊躇している様子がかわいいです。 -
砦から街の方に行こうとしたら、西遊のパンフレットとかにも使われているという村の娘さんが登場したので、即席フォトセッション。
表情の作り方やポーズの取り方が完全にプロっぽいですね(笑)。
後ろにいるのはお父さんらしい。
マネージャーに見張られながらの撮影でした。 -
砦を内側から見たところ。
アイベックスのモニュメントが乗っかっています。
敵の来襲だけでなく、毎日の村の出入り口の開閉などもここから呼びかけていたそうです。
村の中から見ても見上げないと見えないくらいの高いところにあるので、さぞかし声は通ったと思われます。 -
先ほどの砦を見上げていたのが、村の真ん中の広場。
お祭りの広場であり、催しがあるときには藩王が砦からその様子を見下ろしていたそうです。
建物の外壁は、カリマバードの宿と同じく、土と草を混ぜて団子状にしたものをドカドカと貼り付けていくスタイル。
とにかく風が強いこの付近では木材などでは風を防ぎきれないので、こういった作り方が一般的だそうです。 -
外には、飲料水確保、そして敵の来襲の際の防御力を高めるための堀もありました。
あと、かつてはここでは沐浴も行なわれていたようです。
体洗った堀の水を飲むのか...それが一般的な地域があることは充分理解していますが、想像はあまりしたくありませんな(笑)。
周囲には、緑色の花をつける桜の木も多くありました。
こちらに来て桜はほとんど目にしていませんでしたが(いや、多分たくさんあるんだけどまだ開花してなくて目立ってないだけだと思いますがw)。 -
小さな土産物屋のガラス窓に貼ってあったのが、1917年のルーブル札。
そう、ロシア革命の頃に発行されたお札です。
帰ってから調べてみたら、どうやら2月革命で政権を掌握し、その年の10月革命でボリシェヴィキに倒された臨時政府が発行したお札のよう。
ということはほんの数か月しか使われなかった幻の紙幣という事になりますね。
こんなのが普通に置いてあるのは、さすがグレートゲームでロシア勢力なんかも頻繁に入ってきていた地域ならではですね。
古いお札好きなので、単独行動だったら店にふらっと入って、もしかしたら札も衝動買いしていたところかもしれません(笑)。 -
見上げると、岩場のすごく高いところに建物が見えたので「あれは何?」と聞くと、どうやらモスクとのこと。
狭い斜面のわずかな空間にできたアルチット村なので、村のそばにはモスクを作る場所がなく、この崖っぷち(笑)が最善の場所だったようです。
バランス的にも危ないので、端っこのほうは重いものが置けず人もあまり入れないようにしているんだとか。 -
村のすぐそばには、憩いの場となっているポログラウンドがありました。
白熱したクリケットの試合が進行中。
本当にこちらの子どもたちはクリケット一本ですね。もっとサッカーも多いと思っていましたが結局ほとんど見かけませんでした。 -
アルチットからカリマバードまでは、岩肌の中腹に作られた狭い道を進んでいきます。
途中、大きな谷を通過。
一説には、このフンザの谷は「風の谷のナウシカ」のモチーフとなったとも。
(宮崎駿が語ったところによれば「中央アジアの草原地帯」がモデルであるという事ですが)
吹き寄せる風、見下ろすような谷の構造。
私個人としては、明確なモデル地でなかったとしても、この谷はまさに「ナウシカの谷」と呼んで何らの差支えがないような、現実離れした雰囲気をまとっています。
渋い場所ですが、フンザに来たらこの谷は絶対に見ていただきたいところです。
ここの成り立ちについてはバルチット・フォートで詳しく説明が入るので、そちらで。 -
カリマバードのバザール付近へ戻り、ジープを降りて延々と坂を昇り続けます。
こちらは動物たちのはく製を売っている店。
日本語でも説明が書いてあったのですが、フンザが「フソザ」になっているのはご愛敬(笑)。 -
このままずっと先まで行くとウルタルのベースキャンプに至るという道を進みます。
この「安全圏」から見ているとあの山々は背景でしかありませんが、こんな看板を見ると改めて「あの山々もフンザの一部」という意識が強くなります。 -
振り返ると、ナガールの谷がくっきり。
もう、だいたいフンザのエリアは行き尽くした感があります。
3泊できれば存分に巡れますね。 -
坂道を10分ほど息を切らしながら進むと、街のどこからでも見えるランドマークである「バルチット・フォート」へと至ります。
この砦が「バルチット」。
さっきの村が「アルチット」。
かねてから似ているなあと思っていましたが、ガイドのモモさんが「バルチットというのはカリマバードのかつての名前で、高いところにあるバルチットが『上』、低いところにあるアルチットが『下』という意味です」と教えてくれました。
比較的、見たまんまの名前がついていたんですね。
そう考えるとこのバルチットとアルチット、京都に来た外国人が「カミカモとシモカモって名前似てるなあ」と思うのと同じ、という事ですな(笑)。 -
バルチット・フォートの最前面から見上げたところ。
カリマバード、昔の名前をバルチットといったこの街は、800年前から栄えていたそうです。
そしてのちに「フンザ藩王国」の中心となり、藩王(ミール)はこのバルチット・フォートで生活をしていました。
この砦は15世紀に、その時代の藩王がスカルドゥ(フンザの南側にあるエリア)の女性を妃として迎えた際に作られたのですが、スカルドゥ付近がチベット文化の影響が強かったため、この砦自体もチベット様式で建設されました。
その説明を見る前から、頭によぎっていた光景が... -
こちらは、2006年にチベットを訪れた際に撮った、ラサのポタラ宮の裏側の様子。
バルチット・フォートを見た瞬間にこの光景が思い浮かび、壁の雰囲気や色彩などが頭の中で完全に一致していました。
チベット様式という説明をうけて改めて納得した次第。 -
モモさんの日本語勉強の弟子という、いったいどこでそんな綺麗な日本語を覚えたんだと改めて聞きたくなるような淀みのない日本語をしゃべる砦のガイドさんに率いられて、内部へと入ります。
19世紀末までは2階構造、1891年に3階が増設されたあと、実際には1945年まで宮殿兼邸宅として使われていました。
藩王の邸宅というイメージの割には、中は結構入り組んでいて移動するのも一苦労です。 -
こちらは建設当時から残っている土台。
1945年に藩王がここを去った後長らく放置され、1990年になってようやく(その時の藩王の末裔がこの建物を街に寄付したことで)修復の手が入り、数年をかけたのちに公開されました。
とはいえ、この地域は地震の多い場所であり、昨年の秋にも大きなのがあって一部が傾いてしまいました。
(当時、すでにフンザのこのツアーは予約済みでしたが、「フンザから撮った」という映像で斜面が崩落しているのを見たりして、えらく肝を冷やしていた覚えがあります。実際にはギルギット方面での出来事だったそうなのですが)
その地震の影響もあり、我々が訪問した当時は前面側のバルコニーは修復中で入れないとのお達しが。
そのかわりに写真撮影がタダになったので、まあよしとしよう(笑)。 -
実際に藩王が生活していた場所なので、キッチンもあり当時の調理道具などが多く展示されています。
真ん中右側の丸いやつはフライパンですね。
さすが、藩王様に出すだけあり、かなりしっかりした道具ばかりです。 -
こちらが藩王(ミール)の住居となる部屋。
これまで数多く見てきた王様の部屋の中では一番狭い部類でしたが(笑)、まあ建物の大きさを考えると仕方ないかな。
右端には見事なマルコポーロシープのはく製が見えています。
(どんな風に角がカールしているのか、これでよくわかるかな)
部屋の中には赤ん坊用の小さなゆりかごなんかもあって、生活感は十分に伝わってきました。 -
バルコニー側は地震の影響で絶賛修復中だったのですが、何か普通に入れてしまいました(笑)。
綺麗なステンドグラスを通して、フンザの谷を見渡すことができます。
よくこの構図は写真集などでも使われてますし、「草原の椅子」の中に出てきた写真集にもこれを使ったものがありました。 -
壁に飾ってあった楽器、名前を聞いてみると「ラワープ」とのこと。
10年以上前、ウイグルのカシュガルのバザールを散策していたときに英語が堪能な楽器屋の若きご主人に呼び込まれ、口八丁手八丁に乗せられて買うつもりがなかった楽器を買って帰ったのですが(笑)、それが「ラワープ」でした。
家にあるやつと形も同じです。
カラコルムの山を挟んではいますが、やはりシルクロードを通じて間違いなく同じ文化が共有されている場所ですね、ここは。
説明を聞きながらひとりカシュガルに心が飛んでいました(笑)。 -
こちらにも古銭が。
中華民国の札、かつ新疆や「民国20年」という文字が見えるので、1930年ごろの混乱のさなかにあったウイグル地方で流通した札かと思われます。
(1933年にウイグルが独立して、第2次大戦後強制的に併合されるまで中国の影響下からは離れたので、おそらく間違いないかと)
これも、こんだけあるんだから1枚欲しいわw -
屋上へと出てきました。
空が一段と近くなった気がします。
ちなみにこんな眺めのよい砦そして藩王の邸宅ですが、中には留置場もあったそうです。
王様の住む場所なのに...
軽い犯罪の人や嫌疑不十分な人はここの留置場だけで済んだそうですが、重罪と認定された人は上部フンザのさらに北の方まで追放されたんだとか。
(上部フンザのことを「ゴジャール地区」と言いますが、モモさんはそれは「Go to jail(牢屋に入れ)」の略なんだと言ってました。
本当かどうかは知りませんが(笑)、あんなところに追放されるんなら真面目に行きますわ。 -
明日のこの時間にはもう目にすることが出来なくなっている、最後かもしれないフンザの絶景を堪能。
この景色をひとりじめできる藩王が羨ましい(笑)。 -
バルコニーは地震の影響で一部区切ってあって完全にフリーで入れる状況ではなかったですが、雰囲気は味わえるかと。
これもフンザを紹介する画像ではおなじみのアングルですね。
傾いているのはカメラであって、建物が傾いているわけではありません。念のためw -
見下ろしているこの辺も藩王の敷地。
そして、画面の右上端にぎりぎり写っているのが、この砦を後にした藩王が住んだ邸宅。
(この藩王のエリアの一部が、我々のホテルのすぐ上にあるダルバールホテルです)
相変わらず、見栄えのいいところは藩王の持ち物(笑)。 -
こちらがその藩王の邸宅。
現在はこちらには住んでいないらしいですが。 -
こちらは、この日の朝にイーグルス・ネストから撮ったバルチット・フォート。
切り立った岩の上にぽつんと建物が作られ、どうしてこんな場所に、と思うかもしれません。(現に私も思っていました) -
その答えがこちら。
この谷は、ウルタルの方から流れてくる氷河が作り出したものです。
現在でこそ、氷河はここから見えない遙か遠くまで後退してしまいましたが、この砦が作られた15世紀当時には砦が立つ岩のすぐ背後まで氷河が伸びていて砦からも歩いて渡ることができ、今では想像がつかないくらいに「安全」だったそうです。
なので、前の写真にあるような孤高の存在ではなく、氷河も含めた斜面に建てられたものだったんですね。
いかに、地球が温暖化しているか、如実にわかります。 -
この氷河がかつて削り取ったのが、カリマバードとアルチット村を隔てるこの谷でした。
言われてみれば、この豪快な削られっぷりは氷河ならではかも。 -
アルチット村は最前線の砦でしたが、こちらは街の一番奥にある最後の砦。
あまり戦の雰囲気はありませんでしたが、でもこんなのもありました。
バルチット・フォートといえば、よく他の方の旅行記に「引っ張ると腕を伸ばさなければならないくらいに長い鼻ヒゲを生やした衛兵さん」の写真が載っていて、その方にもお会いしたかったのですが、姿が見当たりませんでした。
残念。 -
これでこの日の観光はひととおり終了。
砦までの狭い道を、ジープの待つバザールのエリアまで戻ります。
そういえば、ジープが登ってきてくれたバザールの一番上のエリアにも、ポログラウンドがありました。
1つの集落に必ず1つある感じですね。 -
明日は天気はあまりよくなさそうだし、これが見納めかな。
-
宿へ戻ってきて一息ついていると、徐々に日も陰ってきました。
いつも見ていたのと逆側から光が当たるディラン。ホテル フンザ エンバシー ホテル
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スパンティークも、フンザからは夕陽を浴びた方が見やすくなります。
ホテル フンザ エンバシー ホテル
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晩御飯まで2時間ほどあいたので、軽く仮眠を取ってから周囲をお散歩。
ホテルの下で勢いよくうなりをあげているのは、自家発電用のコンプレッサーです。
かなりうるさいので夜中だけは止まりますが、これがあるおかげで普通の時間帯は不安定な電力状況の中でも安心して過ごせます。
(といいつつ、前日これを動かしていない時に停電してしまったんですがね)ホテル フンザ エンバシー ホテル
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ホテルのテラスから見渡した右下のほうに原っぱが広がっています。
遠目にここかな、とあたりをつけて接近。
この平らになったところが「草原の椅子」のラストシーンで実際に椅子が置かれた場所ですね。
子どもたちが遊んでいる向こう側の石の積み方も映像と完全に一致したので、間違いないでしょう。
感慨にふけっていたら、どこからともなく男性がやってきて「観光客?」みたいなことを聞いて去っていきました。
よく考えたら、私有地立ち入りだったかも(笑)。 -
19時に夕食のため集合。
昨日注文していた「カフェ・ド・フンザ」のくるみケーキと、アプリコット石鹸が届いていました。
その後もメンバーから大量注文を受けたモモさんが手配してくれたのですが、細かい支払いの段取りとか個数の管理とかに、添乗員のKさんが巻き込まれてしまっていて大忙し。
仕事増やしてすみません...
夕食に出てきたのは、こちらのペットボトルに入った液体。
もともとミネラルウォーターのボトルですし水で疑いはなさそうなところですが、実はこれはお酒です。
イスラム教で飲酒が禁止されている国ではありますが、戒律の緩いイスマイル派のこの地域では、伝統的に桑の実を使って作る「フンザ・ウォーター」と呼ばれる密造酒が流通しています。
当然ながら「密造」ということで大っぴらにはできませんので、こうしてペットボトルなどに入れてカモフラージュし、名前もウォーターなんだそう。
「お茶け」みたいなもんですなw
モモさんによれば、これを作っていた団体がつい先日摘発されたようで、いまホテルにある在庫がなくなればしばらく入ってこないかも、とのこと(笑)。
全員で少しずつ分けて一口飲んでみます。
純粋に桑の実の甘さのみで構成されているため、最初の口当たりはかなり大人しめ(わずかな甘みだけが残る)。
でも、アルコール度数は25度以上あり、喉ごしはかなりきつい感じ。
トルコのラクみたいな感じで、少しずつワンショットで飲むか、何かで割ってとかしないと(そんなに酒が強くない)自分にはややきつめに感じます。
調子に乗っていたら悪酔いしそうだな、と思ったので、夕食時は軽めに2杯でストップ。
といいつつ、あまった分をナイトキャップとしてもらって帰ったんですけどね(笑)。ホテル フンザ エンバシー ホテル
-
イチオシ
昨日のポジショニングの反省を踏まえ(笑)、前を車が通らないホテルの前の斜面へと繰り出し、再び石を集めて土台を作り星空撮影にチャレンジ。
3回目なのでだいたい具合もつかめてきました。
今回の星空撮影の中で、これが一番かなあ。
オリオンとシリウスと冬の天の川、そして杏とラカポシ。
フンザに求められる要素がすべて入っている一枚。 -
こちらは北側を振り返ったところ。
ポプラの額縁が粋ですね?
星が多すぎてやや見にくいですが、中央にあるのが北斗七星。
フンザは北緯36度くらいで、日本だと松本や高崎あたりと同じ緯度。
なので特に高さに違和感はありませんが、何せ山が迫っているので北斗七星もだいぶ昇ってきてやっと見えてきた感じです。
いよいよ、明日はフンザを去る日。
午前中の水路ウォークで、名残りを惜しみます。
6日目午前に続く↓
https://4travel.jp/travelogue/11124238
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