2016/01/09 - 2016/01/09
845位(同エリア3212件中)
ショコラさん
去年は夏以降、公私ともに忙しく、日帰りの旅すらできませんでしたが、ようやく諸々が落ち着き、お正月明けの週末に熱海・湯河原へ1泊で旅してきました。
今回の旅はお天気に左右される旅程ではありませんでしたが、2日間とも快晴で、旅のテンションも上がりました。
旅の初日、まずは前から訪れたいと思っていた、熱海の〈起雲閣〉へ。
この起雲閣は、海運王と呼ばれた内田信也が、実母の静養の場所として1919年に建てた別荘で、岩崎別荘、住友別荘(現存していない)とならび、熱海の三大別荘と称されています。
その後、ふたりの富豪に受け継がれ、昭和22年から平成11年までは旅館として使われたとのこと。旅館時代には、山本有三や、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治など、日本の文豪たちに愛されたそうです。平成12年に熱海市の所有となり、一般に公開されるようになりました。なお、起雲閣の名称は旅館時代に名づけられたとのことです。
今回訪れてみて、起雲閣は想像していた以上に見ごたえがあり、日本の建築美と庭園の眺めを堪能しました。当時の富豪の暮らしぶりも垣間見れて、とてもおもしろかったです。
[一口メモ]
起雲閣は、NHK連続テレビ小説「花子とアン」に登場した炭鉱王、嘉納伝助の豪邸として撮影に使われたそうです(おもに庭園から見た建物外観の映像)。
このドラマは見ていたけど、あのお屋敷はここだったのか!
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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朝7時過ぎに自宅を出て、東名を通り、厚木のジャンクションから小田原厚木道路へ。
正面に富士山がくっきり♪ -
山頂の雪、少ないっ! 1月初めの富士山とは思えない。ふつうなら4〜5合目くらいまで白いはずなのに。ほんと、今年は暖冬なんだなぁ。
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真鶴付近の海岸道路。眺めよし〜♪
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起雲閣に到着! 自宅から1時間半で着いちゃいました。ふつうなら2時間くらいかかるのに。
週末なので渋滞するかもと思いましたが、ここまでスイスイでした。お正月明け最初の週末なので、お正月に遊んだ人は遠出せずにのんびり過ごす人が多かったのかも?
早く着きすぎて、開館時間の9時まで駐車場で少し待つことに。
開館時間になったので、見学者入口に向かいます。
こちらは途中にあった〈蔵〉。この蔵は起雲閣が建てられる前からあったそうで、修復されて今に至っているとのこと。
ちょっとした展示がされているようですが、外観の写真だけ撮って母屋のほうへ。
◆起雲閣
http://www.city.atami.shizuoka.jp/page.php?p_id=893起雲閣 名所・史跡
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向こうに見えるのが表門(薬医門)。
立派な門構えです。あとで正面から写真を撮ろうと思っていたのに、忘れてた〜。なので門の写真はこれだけ……。 -
こちらが見学者入口。
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玄関を上がってすぐの通路。畳敷きです。
左側の格子になった壁は、耐震補強のために最近取り付けられたものだそう。建物の雰囲気を壊さないよう、このようなデザインになったようです。 -
見学順路で最初の部屋(1階)
★和館〈麒麟(きりん)〉
片側が一面ガラス張りで、とっても日当たりのいい部屋です。
このお部屋にはガイドさんが常駐されていて、起雲閣の歴史やこの麒麟の部屋の建築様式などを説明してくださいました。
廊下は畳敷きですが、窓側のところだけ板張りです。これは湿気や結露などで畳が傷まないようにするためみたいです。 -
内田信也が実母の静養のために建てた別荘で、実母が車いすを使用していたため、当時では非常にめずらしい、廊下と部屋に段差のないバリアフリーにしたのだとか。
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部屋からお庭が見渡せます。
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大正時代のしつらえ。
群青色の壁は、旅館になってから塗り替えられたとのこと。起雲閣3人目の当主となった桜井兵五郎が石川県出身で、故郷の伝統的な「加賀の青漆喰」の技法を取り入れたといわれているそう。 -
床の間に床柱がないのは珍しい。
ガイドさんがその理由を説明してくださったけれど、忘れてしまった……。 -
この部屋の壁と壁の接合部分に隅木(だったかな?)がありません。これなしできれいに接合するのは、熟練した大工さんでないと難しいらしい。
ガイドさんによると、こういうところから、この建物を建てた大工さんがいかに優秀だったかわかるとのことでした。 -
障子の左隅に斜めに棒が渡されていますが、これは湿気などによる障子のゆがみを防止するためのものらしい。先人の知恵はすごいな。
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床の間の横に置かれていた碁盤。
この部屋で 囲碁の本因坊戦(本因坊薫和と呉清源の対局)が行われ、これはその時に使われた碁盤だそうです。 -
左手に、2代目の当主(根津嘉一郎)が増築した洋館が見えます。
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麒麟の2階にある部屋。
★和館〈大鳳(たいほう)〉 -
畳廊下の窓ガラスは、微妙なゆがみがある古いもの。
このレトロ感、美しくていいなぁ。 -
旅館当時、この大鳳の部屋に太宰治が宿泊したそうです。
太宰は起雲閣の別館に滞在中に『人間失格』を執筆したと知って、へえ〜っと思ったわたし。 -
ここの障子にも斜めの棒がありました。
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2階の窓からの眺め。
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こちらは洋館。
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2代目の当主、根津嘉一郎が1932年に増築した洋館。
★洋館〈玉姫〉のサンルーム
麒麟の部屋のガイドさんの話によると、この洋館は築80年以上経った今も、雨漏りなどはまったくないそうです。匠の技、恐るべし。 -
床には美しいタイルが敷き詰められています。
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当時の当主は、ここから庭を眺めながら、お茶や日光浴をしていたのでしょうか。優雅だ〜。
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サンルームからの眺め。右手にあるのが、先ほど見学した建物。
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高い天井にはステンドグラスがはめこまれています。
日光をたっぷり取り入れるために、屋根もガラスで葺かれているそうです。 -
★洋館〈玉姫〉
ヨーロッパ風のデザインながら、オリエンタルな雰囲気もあります。 -
ここはダイニングルームとして使われたのでしょうか?
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お隣りの部屋。
★洋館〈玉渓(ぎょっけい)〉
中世イギリスのチューダー様式を取り入れた、ヨーロッパの山荘風の造り。 -
暖炉の左にある太い円柱は、古い寺(or 神社)の柱か、江戸時代の帆船の帆柱だったのではといわれているそう。
この部屋には山本有三が宿泊したとのこと。 -
3代目の当主、桜井兵五郎が建てた棟で、ここは旅館の客室として使われていたところ。
★初霜《文豪の間》 -
庭園に面した、眺めのいいお部屋です。
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室内には、起雲閣とゆかりのある、武田泰淳、舟橋聖一、三島由紀夫、太宰治のパネルが。
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そして、志賀直哉、谷崎潤一郎、山本有三も。
1948年に志賀直哉は谷崎潤一郎とここを訪れ、滞在中の山本有三と文芸対談を行ったそうです。
日本の古典文学に疎いわたしでも知っている作家がずらり。ここはすごい宿だったんだな。 -
部屋の中に、山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎のスナップ写真がありました。文芸対談が行われたときに、起雲閣の庭園で撮影されたもののようです。
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志賀直哉ってダンディだったんだなぁ。
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《文豪の間》からの眺め。
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★春風〈尾崎紅葉の間〉
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尾崎紅葉をイメージした部屋のようで、壁も紅葉色。
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展示物がいろいろありました。もっとよく見ればよかったな。
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★松風《坪内逍遥の間》
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坪内逍遥をイメージした部屋。
宿泊するなら、赤い壁よりこちらのほうがわたしは落ち着くかも。 -
庭師さんが剪定をされていました。
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★洋館〈金剛〉
2代目の当主、根津嘉一郎が建てた棟。 -
建築当時は独立した建物で、写真右奥が玄関だったようです。
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部屋の片隅に置かれていた、アンティークな絵付け家具。ヨーロッパ製でしょうか?
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古そうなドア。
蝶番やドアノブは建築当時のものだそうです。
ヨーロッパの城塞で見たドアもこんな感じだったような。 -
★ローマ風浴室
金剛に併設された浴室。
2代目の当主、根津嘉一郎が1929年に造ったそうです。別荘にこんなすごい浴室を造っちゃうなんて、その富豪ぶりがうかがえます。 -
ステンドグラスの窓や、テラコッタ製の湯出口などは、建築当時のものだそう。当時は、畳敷きの脱衣室や化粧室もあったようです。
舟橋聖一が起雲閣で執筆し、映画化された「雪夫人絵図」のワンシーンが、この浴室で撮影されたそうです。といいつつ、わたしは舟橋氏のことも作品のことも知らないのだけれど。 -
先ほどの浴場の少し先にある、〈旧大浴場〉。
こちらは旅館時代に使われていた浴場かな。 -
湯船が大きな窓に面しているので、当時は庭を眺めながら入浴できたんでしょうね。外から丸見えかもしれないけど(^^;)
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★和館〈孔雀〉
平屋建ての離れになっています。 -
ここも畳廊下。
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1958年に、この部屋に三島由紀夫が宿泊したそうです。
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ゆがみのある古いガラスは、味わいがあっていいなぁ。
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順路の途中にあった人力車。
この人力車は、熱海芸妓「湯めまちをどり華の舞」の公演のときに、雰囲気づくりと記念撮影用に使われたものだそう。 -
館内の見学を終えて、次は庭園へ。
最初に見学した〈麒麟〉と〈大鳳〉の部屋があった母屋。前に立っているこの松、めちゃくちゃ存在感あります。 -
左手の建物が〈玉姫〉と〈玉渓〉の間があった洋館。右手が旅館の客室になっていた建物。
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この庭園は1000坪もあり、眺望と散策が楽しめるように設計されているそうです。
敷地内のどの部屋からでも美しい庭が眺められるようになっているとのこと。たしかにその通りでした。 -
庭園の中央に配された巨石〈根津の大石〉。
3分の2は土に埋まっていて、重さは20トンもあるらしい。
10人以上の庭師が2か月以上かけて運んだそうです。 -
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〈文豪の間〉があった建物。
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池にはたくさん鯉が泳いでいます。
池に近づくと寄ってきました。みんな丸々してる〜。 -
とても手入れが行き届いています。
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庭園の梅が咲き始めていました。
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春近し。
このあと、ランチにお蕎麦を食べ、熱海でお買いものとお茶をして、今日の宿がある湯河原へ向かいました。
※初日と2日目の食べ歩きの様子は、「《熱海・湯河原》のんびり湯ったり冬の旅(3)」でまとめます。両日とも、ランチは当たりでした! -
お茶したあとすぐに宿に向かいたかったのですが、チェックインの時間には30分ほど早かったので、宿の近くにある《不動滝》に立ち寄りました。
落差15mの自然の滝。
右手にあるのは出世大黒尊。不動滝 自然・景勝地
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滝の左手の階段の上には、身代わり稲荷があります。
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ネットの写真で見たときは、もっと水量があったんだけどな。今イチ迫力の欠ける滝ですが、すぐそばまで近寄って見れるのはいいですね。
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チェックインの時間までまだ20分くらいあるけれど、夫が早く宿に行こうというので、そろそろ向かいます。
「《熱海・湯河原》のんびり湯ったり冬の旅(2)」につづく。。。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ippuniさん 2016/03/09 22:37:57
- 熱海の三大別荘
- ショコラさん、こんにちは
ご無沙汰しております。
前回の旅行記の「花旅」も気になりつつ、こちらからまいりました。
初夏に超短期で日本に帰れることになったのですが、
せめて1泊だけでも温泉に行きたいと旦那が言うのでリサーチ開始…
したものの、沢山ありすぎて選べず、結局泊まった事のある温泉にしました。
まったく冒険心のない私です(苦笑)
場所は伊豆にしてしまいましたが、熱海も候補に挙がったんですよ!
それで気になってこちらの旅行記へ。
文豪が愛した三大別荘、富豪に受け継がれてからは宿泊も出来たのですね。
一般公開されてみんなが見れるようになったのは嬉しいことだけど、
宿であるこの別荘にも泊まってみたかったなぁなんて一瞬思いました。
「太宰はここ起雲閣に滞在中に『人間失格』を執筆した」
これは私もへ〜って思いました。
日本の文豪たちは温泉宿で執筆をし、欧州の文豪たちはカフェで執筆…
雰囲気はガラッと違いますが、どちらも夢のような仕事環境ですね。
良い作品も生まれるわけです。
ショコラさんが滞在された温泉宿、気になります!
ショコラさんのチョイスはいつも私のツボなので(^^)
ippuni
- ショコラさん からの返信 2016/03/10 12:53:31
- RE: 熱海の三大別荘
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ippuniさん、こんにちは。
こちらこそご無沙汰しています。
やっと時間ができて、4トラ・タイムがとれるようになりました。旅行記をアップしたのも数か月ぶりでした。
熱海の旅行記を見てくださってありがとうございます。コメントまでしてくださってうれしいです(^^)
初夏に一時帰国されるんですね♪ たとえ短期でも、日本に帰れるのはうれしいですよね。日本のご家族も今から楽しみにされているでしょう。
伊豆に1泊されるのですね。たしかに伊豆方面にはお宿がありすぎて、迷ってしまうのわかります〜。毎年、新しい宿もオープンしているし。泊まったことのある宿なら、安心感もあってのんびりできるのではないでしょうか(^^)v 以前、旅行記をアップされていた、あのお宿かな?
熱海はバブル崩壊後に寂れた時期もあったようだけど、今は活気がもどりつつあるようで、若い人たちもたくさん来ていました。都心からアクセスがいいのもあるのかな。
起雲閣の旅館時代に、わたしも泊まってみたかったなぁと思いました。文豪たちと同じ体験をしてみたかったです。
> 「太宰はここ起雲閣に滞在中に『人間失格』を執筆した」
> これは私もへ〜って思いました。
よく調べたら、太宰治はあのお部屋にも泊まったけれど、『人間失格』を執筆したのは起雲閣の別館の部屋(現在は取り壊されている)だったみたいです。あとで旅行記を修正しなくては。
> 日本の文豪たちは温泉宿で執筆をし、欧州の文豪たちはカフェで執筆…
> 雰囲気はガラッと違いますが、どちらも夢のような仕事環境ですね。
> 良い作品も生まれるわけです。
ほんとですね〜。起雲閣に泊まった文豪たちの中には長期滞在した人もいたようだけど、宿泊費はどうしたんでしょうね。料金も特別待遇だったんでしょうか?
次の旅行記、あまり間をあけないでアップしたいと思っています。
宿のチョイスがツボだといってもらって、うれしいなー。
ippuniさんの旅行記のほうにも近々お邪魔させてもらいますね。
ショコラ
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旅行記グループ 《熱海・湯河原》のんびり湯ったり冬の旅
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