2015/06/26 - 2015/06/26
346位(同エリア1981件中)
ロク69さん
2015年夏のスイス・ハイキングは6月26日(金)のモンテローザ・ヒュッテ往復から始まった。もともとの計画では「足慣らし」を済ませた後、7月1日に実施予定だったが天気があまりに良いので、思い切って初日に実行した。6月25日にツェルマットのホリデー・アパート「Haus Theodul」にチェックインし、翌日(6/26)の天気を確認してヒュッテに電話を入れて予約を変更してもらった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
8:00発のゴルナグラート行きの電車に乗り込む。出発間際に団体ツアーが大勢乗車してきてとても賑やかになる。終点手前のローテンボーデン(Rotenboden、2815m)で下車、8時35分いよいよハイキングのスタートだ。天気は快晴、マッターホルンもくっきりと青空の中に見えている。
リュックの中には簡易シュラーフ、アイゼン、防寒着、昼食、水などが入っているので少し重く感じる。 -
駅前にある行き先表示板、ヒュッテまでは3時間20分とあるがとてもその時間で行けるとは思えない。スイス政府観光局の記述では4時間30分となっている。右中央の小さな黒三角は、ロープウェイが通うクライン・マッターホルン(Klein Matterhorn、3883m)だ。
-
素晴らしい天候に誘われて近くのリッフェルゼー(Riffelsee、2757m)へ寄り道をしていく。期待通り、左のマッターホルン(Matterhorn、4478m)と右のダン・ブランシュ(Dent Blanche、4357m)を美しく眺めることができる。
-
湖面に投影するマッターホルン。定番の写真だがやはり見ごたえがある。
-
眼を転ずると、ブライトホルン連峰(Breithorn、4164m)、双子の左カストール(Castor、4223m)と右ポルックス(Pollux、4092m)も素晴らしくきれいだ。
-
リッフェルゼーを後にして本来のコースを歩き始める。後には、左からダン・ブランシュ、オーバーガーベルホルン(OberGabelhorn、4063m)、白い頭のヴェーレンクッペ(Wellenkuppe、3903m)、やや低いトリフトホルン(Trifthorn、3728m)、右端のチナールロートホルン(Zinalrothorn、4221m)と続く。
-
進む前方には、モンテローザが聳える。左の白いピークがノルドエンド(Nordend、4609m)、右が最高峰のデュフォールシュピッツェ(Dufourspitze、4634m)だ。
-
その右は「銀の鞍」と呼ばれるリスカム(Liskamm、4527m)が大きい。左横にはグレンツ氷河が横たわる(Grenzgletscher)。
-
双子(Twillinge)のカストール、ポルックスも近くに見えてくる。
-
いろいろな氷河を飲み込んでゴルナー氷河が大きくうねっている。左がモンテローザ、右がリスカムだ。左手前のルートはゆっくりと下りながら氷河への取り付き点まで続いている。
-
リッフェルゼーの横にある黒いリッフェルホルン(Riffelhorn、2928m)とマッターホルンが並んで見える地点までやって来た。マッターホルンの東壁をほぼ正面から眺めると鋭く凛凛しい姿が印象深い。
-
歩き始めて30分くらいではるか前方にモンテローザ山塊の下部の岩稜に目指すヒュッテが見えてくる。望遠で眺めると手前のモレーンの尾根の向こうにキラッと輝くように認識できる。
-
約1時間で氷河への取り付き地点ガドメン(Gadmen)に到着。思っていた以上に長く感じるコースだった。氷河へは長い梯子を伝って降りていく、4連くらいの梯子を上下や横に移動しながら降るのでかなり緊張する。今まで降りた(登った)梯子(シェーヴル峠、ベルトール小屋)よりも長くで時間が掛かるようだ。
-
幸い他の通行者がいなかったので我が家のペースで降りることができた。
-
梯子を降りてからも約25分歩いてやっと氷河の端に着く。嫌なロープ場を降ったところでアイゼンを付ける。氷河横断の最初の部分が最も難しそうだ、最初の10〜20歩で丸くなった斜面を登ってすぐに降りに入るが、アイゼンの効き目を確認しながらなので慎重さが必要だ。写真は取り付きの斜面を登って降り始めたところ。
-
氷河斜面を下っているところ、小さなクレバスがあるがさほど神経質にならずに進める。少し歩いたのでアイゼンの効果が良く分かってくる。
-
最初の氷河を渡り終えるとしばらくザラついた岩場が続くが、アイゼンはつけたままで進む。コールは3本のポールが要所に立ててあるのでそれを目指して進む。
-
出発から約2時間、最大のクレバスのある地点までやって来た。さほど大きくはないが、3人くらいは飲み込みそうな大きさだ。
-
2つ目の氷河に入りアイゼンを効かせて歩く。氷河に浮かぶ山々、真っ青な空、ダン・デラン(Dent d’Herens、4174m)、マッターホルン、ダン・ブランシュと4000m峰が氷の海に浮かぶ様は豪華極まりない。
-
ダン・デラン(左)とマッターホルン。こうして見るととてもよく似た形であることが分かる。尖ったピーク、左肩に流れる稜線などまるで双子のようだ。
-
同じく氷河に浮かぶダン・ブランシュとリッフェルホルン。こうして眺めるとダン・ブランシュはマッターホルンほどの鋭さはないが、堂々と根を張った大きな山容と雪と岩で構成された斜面は素晴らしい山岳美を持っている。
-
11時30分に氷河を渡り終えてアイゼンを脱ぐ。アイゼンでの歩行は1時間30分、あとから考えると途中の岩場はアイゼンでとても歩き辛くはずすべきであったと思った。これからはヒュッテを目指して急峻な登りが始まる。最初は鎹状の鉄のステップを踏んで太いロープに導かれて必死で競り上がる。
-
高度がどんどん上がって見えてくる山々も増える。新たにオーバーガーベルホルン、ヴェーレンクッペも視野に入ってくる。
-
アイゼンを脱いでから30分ほど登ると変わったペンキマークが現れる。「もう少しだよ」という意味と思ってがんばる。
-
続いてこんなマークも出現する。
-
ヒュッテがかなり近くに見えてくるが、なかなか近づかない。ルートはヒュッテを右に大きく回り込んだモレーンの上に付けられており、かなりの遠回りの印象を受ける。
-
モレーン上のルートを登りヒュッテとほぼ同じ高さまで行ってから、左へ切り返し少しの残雪を踏んでやっと到着する。ヒュッテ直前の眺め、ゴルナー氷河の向こうに山々が揃って聳える眺めは壮観だ。
-
右手の拡大。堂々たるダン・ブランシュ、寄り合うようなオーバーガーベルホルンとヴェーレンクッペ。手前のリッフェルホルンが低く感じられる。
-
左手の拡大。相似形のダン・デランとマッターホルンの鋭いピークが天を突くようで素晴らしい。
-
ヒュッてには12時55分に到着、出発から4時間20分掛かった。休憩とアイゼン脱着で15分程度、実際の歩行時間は4時間5分だった。早速チェックインをしてテラスでビールと赤ワインで乾杯。持参の梅おにぎりで昼食にする。素晴らしい眺めと天候、そして冷たいビール、コクのあるワインで疲れも吹っ飛ぶ。
-
モンテローザは近づきすぎたせいかあまり高度を感じない。手に取るほど近くに見えるが実際に登るのは大変だろう(ヒュッテから6時間程度かかるそうだ)。
-
目の前のグレンツ氷河、カストール、ポルックスから流れるツヴィリングス(双子)氷河(Twillings Gletscher)など岩と氷、山と氷河の競演に時間の経つのも忘れるくらいだ。
-
ヒュッテのテラスから眺める大パノラマ。大きくうねる氷河と名峰群の作り出す構図は自然の配材の妙を感じさせる瞬間だ。
-
中央やや右のピークはチナールロートホルン、そしてこのピークの真下にゴルナーグラートのホテルが見えている。またこの黒い岩稜の中腹には、歩いてきた右下がりのルートが薄く見えている。
-
さらにその右手には、3000mを超えるホーテーリグラート(Hohtaelligrad)の向こうににワイスホルン(Weisshorn、4506m)の頭が覗く。また中央にちょこんと頭を見せているのはシャリホリン(Schalihorn、3975m)だろう。
-
ひとしきり展望を楽しんだ後、今夜泊まる部屋に案内してもらう。部屋は定員8人の小さなもので他の宿泊客は別の部屋になっているそうで、幸運にも我が家だけの貸し切り状態だ。窓が2つあってそれぞれの寝床にする。
-
ベッドの窓からはマッターホルンを始めダン・ブランシュなど名峰を独り占めできる贅沢さだ。枕の位置を窓に持ってきて寝転びながらこれらの山々を眺める。
-
食堂の様子。このヒュッテは2009年に建て替えられたそうだ、内装は無垢の木をふんだんに使っていてとても快適だ。トイレや洗面も水洗で清潔感があってちょっとしたホテルと変わらない。
-
別の角度からの食堂の様子。窓が多いのでとても明るい。
-
食堂の窓からの眺めも素晴らしい。
-
ダン・デランとマッターホルンは正面の眺め。
-
右横の窓からはダン・ブランシュが美しく見える。
-
ゴルナー氷河と山々も一つの窓から眺めることができる。
-
夕食は6:は30から始まる。今夜の宿泊は、10名のグループ、4名のグループと我が家を含む2名組が3組の20名だ。各グループごとにテーブルが指定されており(名前を書いた紙が貼ってある)、それぞれが席に着く。
-
まずはスープから、パンプキンのスープと手製のクルトンだ。これまでの山小屋ではスープからサラダ、メイン料理はすべて一つの大皿と1組のスプーンとフォークで賄っていたが、このヒュッテでは料理ごとに食器が入れ替わり配膳も個別になっていてホテル風だ。赤ワイン500mlのボトルも忘れずに注文する。
-
サラダは、レタス敷きニンジン、パプリカのドレッシング和え。量は多く我が家の場合は2人で1皿で良いくらいだ。
-
メイン料理は、ラム肉のショートパスタのブロッコリー添え。とても美味しいが、量が多くてもったいないが残してしまった。
-
デザートはクリームの乗ったプリン。底には甘いキャラメルがあった。
-
約45分の夕食を終わって再び外のテラスで寛ぐ。陽はまだ高いがしっとりと夕暮れの訪れが感じられる。7:30ごろのマッターホルン、ダン・デランには雲が架かり隠れている。
-
ヒュッテのヴァリスの旗とリスカム。山頂の上方に月が出ている。
-
8:50ごろの様子。太陽はダン・ブランシュの肩あたりに沈もうとしている。
-
9:15ごろの山々の様子。空が紅く染まり山はシルエットになって来た、そろそろ日が暮れる。
-
9:18のマッターホルン。明日の好天を予感させる雰囲気がうれしい。
-
9:53本日の最後の写真。
本日の全行動時間は4時間20分、うち休憩等15分、実歩行時間は4時間5分、降り300m、登り383mだった。10時にベッドで持参の寝袋に入り就寝する。
ちなみに今夜の宿泊者20名は全員ハイキング組で早朝アタックへ出かけるグループはないようだった。10名のグループは食後も大宴会で10時過ぎまで飲み続けていたようだ。
この続き、翌日(6月27日)の記録は(その2)に掲載します。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (5)
-
- とらいもんさん 2015/07/22 09:25:16
- 感激
- 堪能させていただきました。
有難うございました。
- ロク69さん からの返信 2015/07/24 06:54:04
- RE: 感激
- とらいもんさん
こんんちは、ご連絡ありがとうございました。
今夏のスイス(ヴァリス)は好天続きで大満足のハイキングでした。
タフなコースがおおく、また休養日が取れなかったのでやや疲れましたが雄大で美しい景色を見ると元気が出てきます。
我が家は、東スイスは未体験ですが魅力的なところも多いようですね。
とらいもんさんも元気で楽しい旅をされることを祈っています。
ロク69
- とらいもんさん からの返信 2015/07/24 07:19:23
- RE: RE: 感激
おはようゴザイマス。
お返事戴き喜んでます。
海外旅行は、資金と脳細胞の欠乏で、もう行けません。
でもって、懐かしんでるだけです。
以上です。
お元気で。
-
- belleduneさん 2015/07/22 09:00:30
- モンテ・ローザヒュッテに泊まったとは羨ましい限りです!
- ロク69さん、良いですね、2009年から一般客も泊まれるというニュースを見て、行きたかったところです。エコロジーに徹していて、最新の設備を備えて、完成したヒュッテだそうですね。でも、氷河を渡るということで、ちょっと敬遠していました。いつか泊まってみたいヒュッテです。頑張って体力を付けなくてはいけませんね。続きを楽しみにしています。
- ロク69さん からの返信 2015/07/24 06:58:41
- RE: モンテ・ローザヒュッテに泊まったとは羨ましい限りです!
- こんにちは、ご無沙汰しています。
今夏のスイスは好天続きで大満足のハイキングの日々でした。
またタフなコースも多く、休養日も取れなかったのでやや疲れましたが雄大で美しい景色を見ると元気が出てきます。
belleduneさんも世界各地を楽しく旅されることを祈っています。
ありがとうございました。
ロク69
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
ツェルマット(スイス) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
5
54