2014/12/27 - 2015/01/04
304位(同エリア1022件中)
くろへいさん
バックパッカーという言葉が聞かれる様になったのはいつ頃からだったのか?
バンコクのカオサンStやアラブ人街で安チケットを買って、リュックサックひとつを担いで旅に出る。
今のように、インターネットの無い時代、「地球の迷い方」と揶揄されてきた重いガイドブックと、安宿で出会った旅人達との会話が僕らのゆいつの情報源だった。
特に、現地で買った安酒をチビチビと飲みながら、各地を旅してきた連中との会話は楽しかった。
中には多分に誇張された武勇伝や眉唾な話も少なくはなかった。
そんな、現実とも妄想とも吐かぬ話に花を咲かせながら、誰もが異国の空の下を歩く自らの姿を重ねていた。
その中で、よく耳にしたのが、当時鎖国状態にあったミャンマーだった。
「ミャンマーの何が良かったですか?」
そう聞くと、ミャンマー帰りの若者は言う。
「何というのか、蕩けるような感覚かな…ゆっくり時間が流れてて、人が穏やかで笑顔が素敵なんだ」
ある者は水が美味いといった。
彼曰く、ミャンマーの道端には、所々に大きな木の下に素焼きの壷とコップが置かれ、誰でも水が飲めるという。
素焼きの壷は、気化熱により中の水が冷却され、木陰に腰掛けて飲む水がひんやりとして美味いというのだ。
勿論、氷の入った水や、冷蔵庫から取り出したようなギンギンに冷えた水ではない。
炎天下、汗と埃にまみれた体を木陰に寄せ、ふと見ると水の入った素焼きの壷が置かれている。
この壷を誰が置いたのかは知らない、しかしこの道を通る人の喉を潤す気遣いがこの国にはあるという。
それが「美味い」というのだ。
当時、鎖国状態だったミャンマーの印象は、軍事政権下による圧政とアウンサンスーチー女史の軟禁。
少数民族虐待に他国からの経済制裁と、ほぼ鎖国状態の国を旅行者が物見遊山で行くのには正直抵抗が無かった訳ではない。
その一方で、ミャンマーを旅した者達が語るイメージとこれらのネガティブなイメージが自分の中ではどうしても重ならなかった。
ならば、自分の目で確かめてみたくなるのが性分だ。
そんな僅かな理由ですら、当時の自分を旅立たせるには充分だったのだ。
それから20年。
僕は2014年の冬に3度目のミャンマーへ旅をした。
その間、僕は恋をするように世界中を歩き旅を重ねてきた。
雪を抱いたキリマンジェロに恋をし、キューバの路地で聴くジャズにも恋をした。
然しながら、もし自分が老人となり自分の人生を振り返った時、これまで最も素敵な恋をした相手は誰か思い出す機会があるならば、僕は躊躇わずにミャンマーと答えるだろう。
残念ながら、その理由を言葉で伝えるほど僕はそれほど饒舌では無い。
そのせいだろうか、ファインダーに写る被写体を撮る度、僕は能動的な感覚でシャッターを押した。
それは、遠い昔に感じた"ときめき"に何処か似ている。
そんな”ときめき”が少しでも画像から感じる事ができれば、何だか無邪気に嬉しい気がする。
7日目■ パガン観光
宜しければ先行配信した、古都マンダレーと周辺&パガン1/3もご覧下さい。
【蕩けるように旅をしたい 古都マンダレーと周辺1/2】
http://4travel.jp/travelogue/10998409
【蕩けるように旅をしたい 古都マンダレーと周辺2/2】
http://4travel.jp/travelogue/11003484
【蕩けるように旅をしたい ミャンマー パガン 1/3】
http://4travel.jp/travelogue/11006577
【蕩けるように旅をしたい ミャンマー パガン 2/3】
http://4travel.jp/travelogue/11016043
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
-
この日はパガン最終日
明日はホテルのリムジンでマンダレーに向かい、そのまま帰宅します。
今日も、良い天気です。 -
イチオシ
この日は、午前中観光
午後はホテル内でゆっくりと過します。
先ずは、ホテル前で待機しているZIN-ZIN君の馬車で移動します。 -
砂埃の多いパガンでは、ホスカルは情緒はありますが、暑くて実用的ではありません。
しかし、この速度で移動する事で、車では見えない風景にも出逢えます。 -
-
此方がZIN-ZIN君お勧めの漆工房
-
此方が、親方
この漆工房の4代目代表です。
漆工芸品の加工工程を丁寧に説明してくれます。 -
自然の染料を用い、何度も色を重ねながら作り上げていきます。
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此方が漆の入った溶液
漆を塗り→乾燥→表面研磨→カービング→着色
という工程を何度も重ねて作り上げます。 -
細かい泥の粒子のはいった水を用いて、手の指で何度も表面を磨き上げます。
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塗を塗った器は、暗所で1ヶ月間も寝かして安定させます。
-
ここでは、60人ちかい職人さんが働いています。
それぞれが分業制で、親方のイメージした製品を作成していきます。 -
絶対に失敗は許されず、僅かな失敗があるとB級品として価値は大きく下がります。
-
イチオシ
作業時間は1日8時間
これ以上の労働は目を酷使するので、絶対に働かせないそうです。
一人前の作品が彫れるまで、最低3年以上の修行が必要だそうです。 -
見ている此方が緊張してしまいます。
-
親方曰く
「俺は、四代に渡って漆工芸を伝えてきた。それは、単純に技法を教わるだけではない。常に創意工夫を持ち、改善を重ねる事で継承してきたのだ」 -
「具体的には、どのような改善があったのですか?」
「同じ漆でも、パガン製の漆は輪島塗のような平滑度に優れていない。
しかし、薄く何度も重ねる事で、表面が美しくなるんだ。
その分、カービングや色付けに向いているんだ。
基板の竹に糸を巻いて強度を上げたり、面倒でも何回も磨いたり、伝統工芸も日々挑戦だよ」 -
「とにかく、この工房はパガンで最高の工房さ。つまり、ミャンマーで一番なんだ。今では、ヨーロッパからの買付けが多く、毎日仕事に追われているよ」
「日本?殆ど注文は無いね。日本人や中国人は、土産物屋でB-C級品を大量に買っていくけど、此処には滅多に来ないね」
そういうと、オヤジは後方にあるギャラリーを案内してくれました。 -
ギャラリー内は撮影禁止
アウンサンスーチーの屏風だけは撮影させて頂きました。
作品はどれも繊細で独特。
エキゾチックなセンスに伝統と融合した意匠も含まれ、ため息のでる工芸品ばかり…
恐ろしいまでに細密を施した大き目の夫婦猪口3個で200ドル
匠の署名入りの逸品です。 -
此方が店内
全てお土産用のB-C級品との事です。
空港やホテルの土産売り場に並ぶものと同等レベルの品質です。
ギャラリーの作品と比べると、同じ工芸品でも明らかに品質が異なる事が分かります。 -
漆工芸の工房は久々ですが、親方じきじきに此処まで詳しくお話を聞かせて頂いたのは初めてです。
英語も上手で非常に分かりやすく勉強になりました。
帰路、ZIN-ZIN君が素敵な場所を紹介するとの事
小さな目立たないストゥーパに寄りました。 -
仏塔の中に入ると…
規模は小さいのですが涅槃仏が -
ZIN-ZIN君曰くは、この仏塔の壁画は完全なオリジナルとの事でした。
殆どの寺院のフレスコ画は、素人同然の修復を施されてしまい、見る影もありませんが、此処だけは12世紀オリジナルの壁画が素晴しい状態で残されているとの事…
たしかに、暫くすると他の英語ガイドさんが入ってきてZIN-ZIN君と同じ内容の説明をしていました。 -
仏塔の中の階段を昇ると、パガンの大地が一望に
絶景を見下ろすテラスに腰掛、音楽を聞きながら読書にふける旅人。
カッコイイ。 -
昼過ぎにホテルに戻って来ました。
木陰で、好きな音楽を聴いて、冷えたビールを飲んで過す贅沢… -
豪華客船がイラワジ川を遡る雄姿を見ながら、更に1本追加
因みに、タイガービールは大瓶3ドル
温まらぬよう、わざわざ氷入りのバケツに入れてくれます。 -
サバンナ気候の為、この季節のプールはかなり厳しいものがありましたが、それでも西洋人は果敢にプールで遊びます。
南国在住の僕からすれば、そこまで無理してプールに入りたいモンかね?
と思いますが… -
一旦、部屋に戻り、シャワーを浴びて襟付きのシャツに着替えます。
昨夜予約していたリバーサイドのテーブルに付いて、カクテルタイム開始。 -
この景色が見たくて、このホテルを予約しました。
-
「サンセットビューを楽しんだ後にメニューをお持ちしましょうか?」
ウェイター氏の心遣いが素晴しい。
スパークリングワインでも開けたいところだが、予算の都合上モヒードを選び、陽が暮れてから、ラムをメインにしたコースでアレンジしてみました。
ワインはボルドー2009年を持ち込みました。
コルクチャージ3ドルも良心的な値段です。 -
-
すっかり夜の帳がおりて、旅の最後の夜がふけていきます。
時々、暗闇のイラワジ川の水面を船の灯りが流れていきます。
20年前、はじめてパガン遺跡を訪れた当時、まさかこんな旅ができるとは夢にも思っていませんでした。
翌朝は、ホテルの手配した車でマンダレー空港まで直行。
定刻通りのフライトで無事バンコク着
【旅のまとめ】
■所持金
米ドルが便利というか、チャット以外は米ドルしか使えない。
■両替
米ドル札に僅かでも皺があると両替できないととく聞いていたが、実際には殆ど問題なく両替できた。
但し、レートが場所により異なる。
マンダレー市内では、駅から徒歩5分(78ST&33-34ST)のダイヤモンドプラザに数軒あるが、此処が一番お得だった。
空港よりもレートが良い。
■カード
使用できる場所は非常に限定されている。
特にAMEXはどこでも使えなかった。
又、使えても3-5%のチャージをとる店が多い。
■VISA
入国前にクレジットカードでE-VISAが取得できる。
http://evisa.moip.gov.mm/
■食事
やはり衛生状態はあまり良く無い。
あまりにも安価な大衆店や屋台での食事はお勧めしない。
シャン料理は油ぽくないのでお勧め。
野菜や果物は美味しかった。
■移動
ミャンマーの国内線を予約していたが、突如のフライトキャンセル。
リファンドについて電話をしても繋がらず、不安だったが、カード会社には返金されていた。
LCCも何社かあるが本当にアテにならないらしい。
マンダレー⇔パガンであれば、車をチャーターすれば130-140ドル(3.5-4時間)で可能。
ひとりなら厳しいが、2-3人なら車が楽チン。
■言語
とにかく大抵の場所で英語が通じる。
そういう意味では、非常に便利。
但し、日本人は英語が苦手と思われて、片言英語の運転手(ホスカル)を宛がう場合もある。
ホテルでアレンジして貰う際には、英語が流暢な運転手で歴史に詳しい…等々リクエストをした方がよい。
■土産物
漆工芸品を買うなら専門の工房が幾つかあるので、そこで買う事をお勧めする。(VISAカード可)
市場や寺院で売っている漆工芸品は、剥離したりするB級品が多い。
但し、普段用の食器として使うのなら問題は無い。
我家の食器もB級だが20年使い続ける事ができた。
■治安
所感だけど日本やタイのほうが全然怖い…
人の良さでは世界屈指のような気がする!
(勿論、油断してはいけないが、大抵のミャンマー人は親切で善良な人が多い)
この町は、世界遺産には登録されていませんが、圧倒的な観光資源に溢れており、東南アジアで最も素晴しい景勝地のひとつと思います。
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