旧ユーゴ周遊の旅＜１＞　（セルビア：ベオグラード）

2014/11/13 - 2014/11/22

旧ユーゴは、一度行ってみたい所でした。
「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言葉、三つの宗教、二つの文字を持つ、一つの国」と言われ、欧州の火薬庫と言われたバルカン半島のモザイク国家だったユーゴスラビア社会主義連邦人民共和国が、旧ユーゴでした。
近隣の大国に翻弄されながらも、チトー大統領が率いるユーゴ共産党は、『 諸民族の友愛と団結 』　を呼びかけ、何とか一つの連邦国家として独自の社会主義路線を歩んでいましたが、チトーの死後、1991年から2000年までユーゴスラビア紛争が勃発し、旧ユーゴは解体しました。
内戦の跡は、あちらこちらで目につきますが、しかし現在は、クロアチアを中心に観光客が絶えません。

今回のツアーは、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ、スロベニアの５か国を巡る10日間の旅です。
写真を沢山撮ったため、旅行記は８編に分けました。

この写真は、NATO空爆の戦禍が今も生々しく残る、セルビア・ベオグラードのビル。

エリア ベオグラード(セルビア)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 5.0
• グルメ: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 20万円 - 25万円
• 航空会社: アエロフロート・ロシア航空
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）
• 利用旅行会社: 阪急交通社

＜１日目＞

今回の旧ユーゴを巡る旅は、マケドニアを除く５か国を周遊します。
旅に出る前までは、どの国がどうなっているのか、分かりませんでした。

往きは、モスクワ経由でセルビア・ベオグラードに入るコースです。
飛行機は、３年前にロシアに行った時のロシア航空で、余り乗りたくない飛行機でしたが、日本からヨーロッパに一番近いのはモスクワということで納得して、13時10分のアエロフロートに乗ります。

成田空港では、御殿様とお姫様が、外人観光客に写真サービスをしていました。

今回は、新しいエアバス・330-300の機体で、各シートにテレビ画面が付いています。
日本語の映画はありませんでしたが、７割ほどの搭乗率で、４人掛けを独占してゆったり睡眠をとることが出来ました。
座席の広さだけは４人分ありますから、ファーストクラス並みです。

最初の食事は、海老とライス・・・美味しく頂きました。
でも、前回と違い、お酒はビールはなく、ワインだけ。

２回目の食事は、海老とウドン・・・これも美味しかった！

現地時間の17時35分（時差は６時間）に、10時間半のフライトで、モスクワのシェレメチェボ国際空港に、無事に到着しました。
今回も、着陸と同時に、万歳と拍手がパラパラと・・・
空港内は、前回よりも賑やかになった感じ。

沢山のお店が開いています。
機内でビールが飲めなかった夫は、空港で早速ビールを買っていました。
ルーブルは持っていませんので、カードを使用。

３時間ほどの乗り継ぎ時間の後、21時05分のアエロフロートでセルビア・ベオグラードに向かます。

機内サービスで、簡単な食事が出ました。

予定より早く、３時間ほどでベオグラードのニコラ・テスラ空港に到着。
22時過ぎ（時差は８時間）なので、空港ロビーでは寝てる人がいます。

免税店も、まだ開いています。

旧ユーゴでビックリしたことのひとつが、喫煙率（特に女性）の高さです。
空港ビルを出た所には、多くの人達がスパスパ。

今日のホテルは、「イン　ホテル」・・・四つ星の快適なホテルです。

ベッドサイドには、歓迎の可愛いチョコレートが置いてありました。

＜２日目＞

朝食も、なかなかイケます。
旧ユーゴは、どの国もパンが美味しかった！
夫はクロワッサンに魅せられたみたいで、旅行中ずっとクロワッサン一筋でした。

ホテルの周りを散策してみると、高速道路の反対側には、ヘリポートもある大きなビルや・・・

ジョコビッチを生んだテニスの国に相応しい銅像や・・・

洗濯物や花を飾ったアパートなどがありました。

出発前のホテルのロビー。
今回のツアーは、27名全員が中高年で、若い人は添乗員さんだけ。

８時に、ベオグラードの観光に出発・・・サヴァ川を渡って、中心街に向かいます。
セルビア共和国の人口は720万人で、旧ユーゴでは最も多く、総面積は北海道とほぼ同じ広さです。
通貨はセルビア・ディナール(RSD)で、100円＝93ディナール。
今回の５か国のうち、ユーロはスロベニアとモンテネグロだけで、ボスニア・ヘルツェゴビナは兌換マルク（KM）、クロアチアはクーナ（KN)とややこしい。
したがって、セルビアでの両替・買い物は無し・・・ウーン（涙）

国会議事堂です。
1906年に建設が始まりましたが、第一次大戦のために1936年になって、ようやく完成しました。
入り口には、人間と自然の力比べを象徴しているといわれているセルビアの彫刻家・ロサンディッチの傑作「黒馬が戯れていた」が建てられています。

ベオグラードは、セルビアの総全人口のうち24％にあたる約180万人の人々が暮らし、セルビアの首都として文化・科学・教育・経済の中心となっています。
ヨーロッパの東西を結ぶ水路と、南部を結ぶ陸路が交わる地理的に恵まれた環境のため、ベオグラードは、約２千年に渡る歴史の中で、ローマ、ビザンツ、ハプスブルク、オスマン・トルコなど、数々の帝国に支配されてきました。
文明の十字路の都市・ベオグラードは、町並みや建築だけでなく、食文化・音楽なども中央ヨーロッパとオリエントの様々な影響を受けています。

旧宮殿と庭園。
中世のセルビア王国は13世紀初頭から14世紀の半ばごろまで続きましたが、近代のセルビア王国は1882年に設立され、1918年まで続きます。
19世紀のアカデミズム様式の旧宮殿は、1884年に当時のオブレノヴィッチ王朝の宮殿として建てられました。
現在はベオグラード市庁舎となっています。

信号待ちの車に、新聞を配る女の子。

NATO軍に空爆されたビル・・・1996年からのコソボ紛争中、1999年にNATO軍がコソボの独立を認めていないセルビアを空爆した跡が、そのまま残されています。
セルビア南部のコソボは、アルバニア人が多く、セルビアからの独立を求めて対立し、紛争に発展しました。
当時は国防省の建物だったようです。

交通整理のお巡りさん。

ブラチャル丘にそびえる、聖サヴァ教会。
セルビアの主な宗教は、セルビア正教（キリスト教）で、この教会は東方正教系の教会としては世界最大規模です。（東西92ｍ　南北82ｍ　高さ82ｍ）

1935年に建造が開始された大聖堂は、戦争等による中断を経て、現在もなお工事中です。
完成すれば　収容人数1万5000人のセルビア正教の総本山になります。
白大理石の外装は2003年に完成し、鐘と窓は入れられ、ファサードも完成しましたが、内装および装飾はまだ大半が完了していません。
イスタンブールのアヤソフィアに似た感じ。

セルビア正教会の創始者である聖サヴァは実在の人物で、1174年にセルビア王朝の三男として生まれました。
その生涯を修道士として過ごし、『啓蒙師　サヴァ』としてセルビア人から崇められ、学問の守護神としても知られます。

東方正教会はロシア・ギリシャが有名ですが、日本では神田のニコライ堂などが正教会です。

西方教会（カトリック・プロテスタントなど）と違って、東方正教会は椅子に座らないで立ったままで、お祈りします。

こんなイコン画は、珍しい。

聖サヴァ教会の前は、広い公園になっており、ワンちゃんのお散歩にうってつけ。
どのワンちゃんも、お洒落です。

このカラスのような鳩のような鳥を、沢山見かけました。

セルビアのポスト。

ベオグラード大学。

次は、ベオグラード城砦跡の見学です。
ここは、カレメグダン公園として整備されています。
現地ガイドのミロシュさんをはじめ、旧ユーゴの男性は、２ｍ近い大きな男性がとても多い。

カレメグダン公園は、サヴァ川とドナウ川が合流する丘の上にある要塞跡の公園で、レストランやカフェなどもあり、朝からお客さんが入っています。

紀元前４世紀にはすでに要塞が造られていたそうですが、現在残るのは18世紀以降に造られた物が多いそうです。
奥に見えるのは時計塔。
1740年～1789年にオスマン帝国によって建設された塔は、防戦のための高楼と同時に、イスラム教徒にお祈りの時間を告げる役割を担いました。

城壁の前には、小さな自然博物館があり・・・

恐竜の模型が沢山展示されていました。

スタンボル門から入場します。
スタンボルとは、セルビア語でイスタンブールを意味し、スタンボル門は、その名のとおり、ベオグラードからイスタンブールへと続く出発点でした。

19世紀に作られた門の扉には、第一次世界大戦の時の銃撃跡が残っています。

この城砦は、二重城壁になっており、城壁の間は空濠です。
空濠跡には、戦車や大砲が置かれていました。

サヴァ川とドナウ川に面したベオグラード城砦は、紀元１世紀から18世紀までの長きに渡り、街の防御拠点としての役割を果たします。

ここからの川の眺めは素晴らしい。
左側のサヴァ川と右側のドナウ川の合流地点が見えます。
ドナウ川は綺麗ですが、サヴァ川はかなり汚い。

城壁と物見塔。

この公園も、ワンちゃんのお散歩コースです。

公園内のこのテニスコートで、ジョコビッチも練習していたとか。

セルビア国内には、ここの他にも数カ所の要塞が残っています。

昔の衣装を身に着けた人が、観光客を待っています。

公園の木の間をチョロチョロ動くリスを見かけました。
この後、再び市街に戻ります。

セルビア正教大聖堂。
今日は宗教的な行事が行われているため、入場観光は出来ません。
サヴァ川の対岸からの写真撮影だけで我慢。

ベオグラードは、他にも見所がありますが、３時間の観光を終えて、次のボスニア・ヘルツェゴビナに向かいます。

セルビアは、他のヨーロッパ諸国と比べて経済力がまだまだで、郊外に出ると農村風景が続きます。

これは墓地。

途中のレストランで昼食。
外観は藁葺屋根の、味のある建物です。

９日間お世話になったドライバーのゴーランさんと、入り口でパチリ。

吹き抜けになった２階の席で、ゆったり気分で食事。

パンもパン皿も面白い。

セルビアで一番人気のJelen（イェレン）ビール。

メインは、カナダのアンガス牛の焼肉・・・マアマアの味でした。

お腹も一杯になった所で、次の訪問国、ボスニア・ヘルツェゴビナに出発。