イタリア、フランス、スペイン勝手気ままな町歩きのたび　その16　サン・ジミニャーノ

2014/06/07 - 2014/06/07

　個人旅行は何度も経験済みですが、海外の一人旅は久々。友人からフランスのトゥールーズから1時間位の距離にあるロット川のクルーズに誘われたのをきっかけに、その前後にイタリア、スペインを旅しようと計画したのが今回のたび。どこを歩くかは余り深く考えないで、大雑把な計画と宿泊先だけを決めていざ出陣です。スーツケースをなるべく持たなくて良いよう、駅近の安いホテルにこだわりました。ガイドブックも必要な分だけコピーして、途中で捨てられるよう準備。衣類も最低限に抑えたつもりでしたが、旅行中毎日快晴に恵まれたため、結果的には無駄な衣類が随分と出ました。昼はともかく、夜一人でレストランに入る勇気がないため、簡易クッカーを購入。スーパーで購入した食料で自炊もしました。好きな場所に好きなだけいたいという希望が叶った1ヶ月のたびとなりました。

日程表
6月3日(火）　羽田→フランクフルト→ベネチア
6月4日(水）　ベネチア
6月5日(木）　ベネチア
6月6日(金）　ベネチア→フレンツェ
6月7日(土）　フィレンツェ→シエナ→サンジミニャーノ→フィレンツェ
6月8日(日）　フィレンツェ
6月9日(月）　フィレンツェ
6月10日(火）　フィレンツェ→ルッカ→ピサ→ラスペチア
6月11日(水）　ラスペチア→チンクエテッレ→ラスペチア→ポルトベーネレ→ラスペチア
6月12日(木）　ラスペチア→サンレモ
6月13日(金）　サンレモ→ベンティミッリヤ→サンレモ
6月14日(土）　サンレモ→ニース→トゥールーズ
6月15日(日）　トゥールーズ→アルビ→コルドシュルシエル→アルビ近郊
6月16日(月）　アルビ近郊→カオール→船旅開始（Le Lot）
6月17日(火）　船中泊（Le Lot）
6月18日(水）　船中泊（Le Lot）
6月19日(木）　船中泊（Le Lot）
6月20日(金）　船中泊（Le Lot）
6月21日(土）　ラロックデザルクス→フィジャック→ロカマドール
6月22日(日）　ロカマドール→フィジャック→カオール
6月23日(月）　カオール→トゥールーズ→フィゲレス
6月24日(火）　フィゲレス→カダケス→フィゲレス
6月25日(水）　フィゲレス→ファルサ→プボル→ジローナ→フィゲレス
6月26日(木）　フィゲレス→バルセロナ
6月27日(金）　バルセロナ
6月28日(土）　バルセロナ→モンセラ→バルセロナ
6月29日(日）　バルセロナ
6月30日(月）　バルセロナ→フランクフルト→
7月1日(火)　　→羽田

　15時25分発のバスでシエナを発ち、途中ポッジポンシで乗り換えて、サン･ジミニャーノにやってきました。
　昔、まだ大学生だったある日、旅行中の友人から高い塔を何本も持つ町の絵葉書が届きました。不思議と心惹かれ、本で調べてみると、建築当時は塔の用途は殆どなく、ただ自分の財力を見せつけるためにより高く、より美しく作ったのだというようなことが書かれていました。その後古くなって危険になってきたので壊そうとしたが、お金がかかる。直そうとしたが、お金がかかる・・・というような記述もあったように思います。
なんという無用の長物！
なんというお金の無駄！
しかも一時期塔が72本も林立していたというのですから、半端じゃあない。面白い！
ということで、ずっとずっと気になっていた町でした。全く有名ではなく、マニアックな人しか知らない町でしたし、世界遺産というような制度もなかったので、ガイドブックにも殆ど記載がなかったと記憶しています。
　しかし、訪れる機会がないまま時代は移り、やっと希望が叶い、やってきた町はここは江ノ島かモン・サン・ミッシェルかと見まごうような、お土産やさんだらけの町になっていました。
あららぁ　こんなはずじゃあ〜・・・

エリア サンジミニャーノ(イタリア)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

サンジミニャーノ到着です。
ポッジポンシ行きのバスは同じ場所から出ています。見にくくて申し訳ないですが、ポッジポンシ行きの時刻表は、下から4段目。かなりの本数がありますが必ずしもフィレンツェ行きとはリンクしていません。また土日は本数が少ないので、ご注意ください。

これはバス停から撮ったサン・ジミニヤーノの城壁。写真を撮っている位置の斜め後方にバス停があります。

サン・ジョヴァンニ城門Porta San Giovannni。1262年に建造されました。ここから市街地に入ります。

　町に入ったとたんにこの人混みです。こちらは、1本しかない目抜き通りのサン・ジョヴァンニ通り。左右どちらを見ても、お土産物やさんばかり。バスの切符を買おうとタバッキを探しながら歩いたのですが、なかなか見つかりませんでした。
　

あまりの人の多さに閉口して、カメラを高く構えると、こんな写真になってしまいます。町で一番高いグロッサの塔Torre Grossa(左）とクニャネージの塔Torre dei Cugnanesi (右）が遠くに見えてきました。

　更に進むと、再び城門のようなアーチがありました。ベッチのアーチL'Arco dei Becciは10世紀に作られ、かつては町の南門でしたが、町が拡大し、外壁が新たに構築されたため、1262年に開かれたままのアーチとなりました。その後、右隣に見えるベッチの塔Torre deiBecciや左のクニャネージの館と「合体」させる工事が行われたようです。
　見れば見るほど複雑な構造ですね。

　ようやく、町で一番広いチステルナ広場までやってきました。チステルナとは貯水槽という意味だそうで、なるほどとても立派な井戸が中央に鎮座していました。
　この井戸は、1237年に掘られてから、なんと！第二次大戦終了まで、生活用水として使用されていたそうです。丘の上の町ですから、水は大変貴重だったでしょうね。

　こちらは、チステルナ広場のすぐ隣にあるドゥオモ広場です。地面がカンポ広場のように緩やかに傾斜しています。左に見えるのがドゥオモ(参事会教会）、正面に見えている塔は、一つに見えますが、実は双子の塔のサルヴッチの塔Torri dei Salvucci です。
　この塔に関しては面白い言い伝えがあります。1255年には執政官宮殿Plazzo del podestaの塔（ロニョーザの塔）より高い塔を建ててはならないという法律が施行されていたにもかかわらず、サルヴッチ家はそれより高い塔を、しかも2本も建てたというのです。これは執政官の怒りを買い、サルヴッチ家は、せっかく建てた塔を、ロニョーザより低くなるまで壊すことを余儀なくされたそうです。

　ちょうど、結婚式を終えたばかりのカップルが家族や友人達と記念写真を撮っているところに遭遇しました。おめでとうございます。

　ドゥオモ（参事会教会）Duomo Collegiataの入り口まで来ましたが、チケット売り場はここではないようです。この町のチケット売り場は大変わかりにくい場所にあり、方々迷って歩いているうちに、段々入場する気が失せてくるのを感じました。まだ、シエナマジックにかかっていたようです。シエナにハートを置いてきたに違いありません。

　写真はドゥオモの入り口にあった「受胎告知」の壁画です。
　フィレンツェに帰るバスの時間まで、余り時間がなかったこともあり、結局ドゥオモへの入場をやめ、ランチを取るのを忘れていたので、まずは軽食を取り、後で塔が沢山見える場所を探して歩こうと思い立ちました。
　

　今は美術館となっているポポロ宮殿Plazzo del Popoloとグロッサの塔Torre Grossa。グロッサの塔はこの町で一番高い塔で、唯一上まで登れる塔でもあります。（高さ54m）
　今日のところは、マンジャの塔だけで十分なので、こちらもパス。トスカーナの田舎の景色を見たい気持ちはあったのですけれどね。

塔のある風景です。左からサルヴッチの塔、黄色い低い塔は名前がわかりません。ポデスタ宮殿の建物にくっついたキージの塔、ロニョーザの塔。

沢山の塔が見渡せるところというと、少し離れた小高い丘、あるいは、低地から見上げるという方法しかないかな？と考えながら、北の城門Porta San Matteoに続くサン・マッテオ通りを進みます。

表通りを一歩入ると、雰囲気がガラッと変わります。住宅街のようですが、誰も歩いていません。やはりこちらのほうが性に合うなあ。人ごみから逃れてほっとしている自分がいます。

サン・ジミニャーノは最も高いところで標高324m。町の東側はどこも、かなりのスロープになっていて、こうした坂道が多く見られました。しかし、遠くに人間の営みを発見すると、なんだかほっとしますね。

またもや、こんな楽しい建物を見つけました。3つの建物の合体！何度となく手直しされて、元の面影はないのでしょうが、左上のロッジアのある階に興味津々。階段だけでしょうから、生活するのには不便かな？

北の門であるサン・マッテオ城門は残念ながら修復中でした。サン・ジミニャーノが発展する源であったフランチェジーナ街道はこの城門を通っています。

サン・マッテオ城門の近くにあった聖アゴスティーノ教会Chiesa di S.Agostino。建造は1298年。ロマネスクとゴシックの両方の特徴を併せ持った建築様式が取り入れられています。
ここから坂を下っていきましょう。

少しずつ景色が変わっていきます。ここはVia delle Romiteという通り。家の向こうに、塔が並びました。
　もう少し、綺麗に見えるところはないのかしら？家の立っている場所より道路が低い位置にあるため、市街地の全体像が撮れません。

暫く歩いて、ようやく出会った場所がここ。これが限界のようです。方向間違えたのかもしれません。
ドゥオモ広場で撮った写真と同じ顔ぶれです。14本の塔が全部見える場所は、町を離れないと難しいですね。

同じような写真ですが、もう1枚。目の前の家が邪魔ですが(失礼！）、こちら以外には写真が取れそうな場所は見つかりませんでした。
　この辺りは住宅地。サッカーをして遊ぶ子供達の元気な姿が見られましたよ。

かなり下ってきたので、帰りはきつい。上ります。

まだまだ、ひたすら上ります。

トンネルのような通路もありました。シンプルな手すりがおしゃれです。

町の目抜き通りに戻ってきました。途端にご覧の賑わいです。途中に見えるのは、ベッチのアーチと同様、町が拡張される前は北の城門だったアーチ、カンチェッレリアのアーチです。10世紀までは、100m四方位の小さな町だったということがわかりますね。
あっ塔の上に月が出ていますね！

ドゥオモの正面にある執政官宮殿のアーチの中です。中には古いはがれかけたフレスコ画、そして、Theatre Leggieriという文字が見えます。1537年に開かれた古い劇場ですが、第二次大戦中は防空壕として使用されていたという歴史もあるそうです。現在客席は100席。こじんまりとした劇場ですが、催し物や音楽会等に使用されているそうです。

執政官宮殿のアーチから見たドゥオモ（参事会教会）とドゥオモ広場。アーチの中は涼しくて、大勢の方が休憩に使っていました。

チステルナ広場まで戻ってきました。井戸は相変わらずの人気で、常に誰かが写真のポーズをとっています。

チステルナ広場で一番有名な悪魔の塔 Torre dei Diavoloです。名前は、塔の持ち主が旅行から帰ってきたら、塔の高さが伸びていた　とか、塔が自分の足で歩いた　等の話に由来するものと言われています。ヨーロッパ人は悪魔がお好きですね。

　チステルナ広場で見かけた唯一の日本語の看板のあるジェラテリアでジェラートをゲット。アイスクリームに焦点が合っていませんが、片手でしたのでと言い訳！
　この店が世界不思議発見で放映されたとは、この時点では知りませんでしたが、日本語で大きく「アイスクリームの世界チャンピオン」と書いてあり、最初に広場に着いた時には何事かと思うほどの長蛇の列でした。
　今度は並ぶ人もなく、すんなり買えました。フレーバーは大好きなビスタチオとコーヒー。世界一とは思いませんでしたが、美味しかったです。

ようやく人通りが落ち着いてきたサン・ジョヴァンニ通りを城門へと戻ります。2時間弱の滞在でしたが、小さな町なので、歩くだけなら十分な時間でした。

城壁に沿って、バス停へと戻ります。これも失敗でした。城壁の東側に下りていけば、町の遠景が見える絶景スポットがあったようなのです。私は西へと進んで・・・

　結局思い描いていた塔の乱立する写真は撮れませんでした。町の西側、駐車場からの1枚です。これでサン・ジミニャーノはおしまい。明日とあさってはたっぷりフィレンツェをうろつく予定です。
続きは、イタリア、フランス、スペイン勝手気ままな町歩きのたび　その17　フィレンツェ(2)で。