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羽黒山に鎮座する出羽三山神社には、三山の開祖である蜂子皇子の墓所があり、その御霊をまつる蜂子神社が鎮座しています。<br /><br />蜂子皇子の御尊像は2種類あり、江戸時代に天宥別当によって描かれた絵画の方は、出羽三山歴史博物館で常時公開されています。<br /><br />それに対して木造の御尊像は蜂子神社の奥に静まり、決して開かれることのない御扉の向こう側で、参拝者たちの願いや祈りを聞き続けて来ました。<br /><br />明治依頼秘中の秘とされたその御扉が、甲午歳の御縁年にあたる平成26年、東日本大震災からの少しでも早い復興と数多くの被災者が安心して暮らせる日が訪れることを願って、開かれることとなりました。

羽黒山散歩 蜂子神社御開扉

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2014/05/28 - 2014/05/28

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倫清堂

倫清堂さん

羽黒山に鎮座する出羽三山神社には、三山の開祖である蜂子皇子の墓所があり、その御霊をまつる蜂子神社が鎮座しています。

蜂子皇子の御尊像は2種類あり、江戸時代に天宥別当によって描かれた絵画の方は、出羽三山歴史博物館で常時公開されています。

それに対して木造の御尊像は蜂子神社の奥に静まり、決して開かれることのない御扉の向こう側で、参拝者たちの願いや祈りを聞き続けて来ました。

明治依頼秘中の秘とされたその御扉が、甲午歳の御縁年にあたる平成26年、東日本大震災からの少しでも早い復興と数多くの被災者が安心して暮らせる日が訪れることを願って、開かれることとなりました。

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  • 本当は何日か前に予定を組んでいたのですが、その日はあいにく天気がすぐれず、延期とすることになりました。<br /><br />ちょうど予定の入っていない日が朝から快晴だったので、急遽日帰りの旅が決まった次第です。<br /><br />宿坊に泊まってみたい気持ちもあるのですが、それは別な機会のお楽しみということに。<br /><br />山形自動車道を利用して鶴岡市内に入ったのですが、以前から気になっていた神社に寄り道してみることにしました。<br /><br />黒川能を今に伝える春日神社です。

    本当は何日か前に予定を組んでいたのですが、その日はあいにく天気がすぐれず、延期とすることになりました。

    ちょうど予定の入っていない日が朝から快晴だったので、急遽日帰りの旅が決まった次第です。

    宿坊に泊まってみたい気持ちもあるのですが、それは別な機会のお楽しみということに。

    山形自動車道を利用して鶴岡市内に入ったのですが、以前から気になっていた神社に寄り道してみることにしました。

    黒川能を今に伝える春日神社です。

    春日神社王祇祭(黒川能) 祭り・イベント

  • 鳥居から石段の参道を進むと、左手に法宝院というお寺が見えます。<br /><br /><br />

    鳥居から石段の参道を進むと、左手に法宝院というお寺が見えます。


  • 更に進むと春日神社の大きな社殿。<br /><br />年に4回この社殿にて神事能が奉納され、その中でも特に有名なのが、極寒の季節に行われる王祇祭です。<br /><br />能を演じる役者も、音楽を担当する囃子方も、プロの能楽師ではなく全員が地元の氏子たち。<br /><br />しかも子供が重要な役割を果たすため、どの世代の人も参加出来るようになっているのです。<br /><br />このように独自の道を歩んできた黒川能の始まりについては、いろいろな伝承があるのですが、最も有力なのは、中世に庄内地方を治めていた武藤氏が京から役者を連れて来たのが始まりという説です。<br /><br />その後の領主である最上氏や酒井氏も黒川能の保存・伝承には積極的で、500年余の長い年月を途絶えることなく守られ続け、明治維新や対戦を経て現代まで伝わっているのです。<br /><br />道路を隔ててすぐ隣にある王祇会館では、王祇祭で用いられる衣装や面の他、記録映像を観ることが出来ます。

    更に進むと春日神社の大きな社殿。

    年に4回この社殿にて神事能が奉納され、その中でも特に有名なのが、極寒の季節に行われる王祇祭です。

    能を演じる役者も、音楽を担当する囃子方も、プロの能楽師ではなく全員が地元の氏子たち。

    しかも子供が重要な役割を果たすため、どの世代の人も参加出来るようになっているのです。

    このように独自の道を歩んできた黒川能の始まりについては、いろいろな伝承があるのですが、最も有力なのは、中世に庄内地方を治めていた武藤氏が京から役者を連れて来たのが始まりという説です。

    その後の領主である最上氏や酒井氏も黒川能の保存・伝承には積極的で、500年余の長い年月を途絶えることなく守られ続け、明治維新や対戦を経て現代まで伝わっているのです。

    道路を隔ててすぐ隣にある王祇会館では、王祇祭で用いられる衣装や面の他、記録映像を観ることが出来ます。

  • 五重塔や長い石段ではなく、有料道路を使って羽黒山山頂へ。<br /><br />料金所では蜂子神社への参拝順路が印刷された紙を渡されました。<br /><br />参拝者が多い日などはこの順路に沿って列に並ぶのでしょうが、平日を選んで赴いたため行列に並ぶ必要はありませんでした。<br /><br />順路通りに進むと蜂子皇子の御墓の前を通るようになっているのは、神社側の配慮なのでしょうか。<br /><br />手を合わせて先へと進みます。

    五重塔や長い石段ではなく、有料道路を使って羽黒山山頂へ。

    料金所では蜂子神社への参拝順路が印刷された紙を渡されました。

    参拝者が多い日などはこの順路に沿って列に並ぶのでしょうが、平日を選んで赴いたため行列に並ぶ必要はありませんでした。

    順路通りに進むと蜂子皇子の御墓の前を通るようになっているのは、神社側の配慮なのでしょうか。

    手を合わせて先へと進みます。

  • 三神合祭殿の左手に鎮座する蜂子神社の手前には、特設の御祓い場所が設けられており、拝観料500円を納めて神主さんの御祓いを受けます。<br /><br />社殿内部には解説担当の神主さんもおられます。<br /><br />御尊像の前に正座し、3分くらいのお話をお聞きしました。<br /><br />木造の蜂子皇子御尊像は長い間五重塔内部に安置されていましたが、明治政府による神仏分離令で神社としての体制が強いられると、御尊像本体も破壊される危険にさらされてしまい、地中に隠すなどしてようやく危機を乗り越えたとのことです。<br /><br />現に多くの寺院や仏像がこの時代には焼き払われてしまったのですが、根本原因は制定された法律にあるものの、実際に率先して手を下したのは地域の住民たちでした。<br /><br />そのような狂気は日本全国で巻き起こりますが、散逸した仏像を後世に残そうと尽力した人がいたことも事実で、出羽三山歴史博物館には佐藤泰太良氏が私財を投じて救った250体もの仏像が保存・展示されています。

    三神合祭殿の左手に鎮座する蜂子神社の手前には、特設の御祓い場所が設けられており、拝観料500円を納めて神主さんの御祓いを受けます。

    社殿内部には解説担当の神主さんもおられます。

    御尊像の前に正座し、3分くらいのお話をお聞きしました。

    木造の蜂子皇子御尊像は長い間五重塔内部に安置されていましたが、明治政府による神仏分離令で神社としての体制が強いられると、御尊像本体も破壊される危険にさらされてしまい、地中に隠すなどしてようやく危機を乗り越えたとのことです。

    現に多くの寺院や仏像がこの時代には焼き払われてしまったのですが、根本原因は制定された法律にあるものの、実際に率先して手を下したのは地域の住民たちでした。

    そのような狂気は日本全国で巻き起こりますが、散逸した仏像を後世に残そうと尽力した人がいたことも事実で、出羽三山歴史博物館には佐藤泰太良氏が私財を投じて救った250体もの仏像が保存・展示されています。

  • 通常公開されている絵画の蜂子皇子御尊像は、真っ黒い肌で口が裂けた醜い御顔をしています。<br /><br />一見すると烏天狗のような姿をしており、山岳信仰の聖地を開いた人というイメージが作者にこのような姿を描かせたのだと思われます。<br /><br />神社の案内では、醜い御顔は人々の苦心を一身に引き受けたことが原因であるとされています。<br /><br />今回御開扉となった木造の御尊像は、より人間らしく優しさと厳しさを併せ持つ表情に見えました。<br /><br />蜂子皇子は民の全ての苦悩を除くことから「能除太子」とも称せられているのだそうです。

    通常公開されている絵画の蜂子皇子御尊像は、真っ黒い肌で口が裂けた醜い御顔をしています。

    一見すると烏天狗のような姿をしており、山岳信仰の聖地を開いた人というイメージが作者にこのような姿を描かせたのだと思われます。

    神社の案内では、醜い御顔は人々の苦心を一身に引き受けたことが原因であるとされています。

    今回御開扉となった木造の御尊像は、より人間らしく優しさと厳しさを併せ持つ表情に見えました。

    蜂子皇子は民の全ての苦悩を除くことから「能除太子」とも称せられているのだそうです。

    出羽三山神社 (三神合祭殿) 寺・神社・教会

  • 前回参拝の折には葺き替え中だった三神合祭殿の屋根も、すっかりきれいになっていました。<br /><br />その時には見かけなかった冊子が授与所で販売されていたので、一冊購入。<br /><br />「はちこ皇子物語」というタイトルで、都からはるばる出羽へと旅をされた蜂子皇子の足跡をたどり、各地の伝承を集めた、写真入りの立派な本でした。<br /><br />おそらく今回の御開扉のために制作されたものなのでしょう。

    前回参拝の折には葺き替え中だった三神合祭殿の屋根も、すっかりきれいになっていました。

    その時には見かけなかった冊子が授与所で販売されていたので、一冊購入。

    「はちこ皇子物語」というタイトルで、都からはるばる出羽へと旅をされた蜂子皇子の足跡をたどり、各地の伝承を集めた、写真入りの立派な本でした。

    おそらく今回の御開扉のために制作されたものなのでしょう。

  • 今回は出羽三山歴史博物館も見学。<br /><br />先ほど紹介した佐藤仏像コレクションは1階に展示され、千年以上昔に作られた仏像や、指一本より小さい仏像など、様々な仏像を拝すことが出来ました。<br /><br />佐藤氏の働きがなければ、これらの仏像の大半が現在まで残ることはなかったでしょう。<br /><br />そう考えると、ものの本当の価値を知るということが如何に大事であるか、真剣に考える必要があることを思い知らされます。<br /><br />2階には出羽三山の神事で使われる祭器や、修験者が装備する道具などが展示されていました。<br /><br />目を引いたのは一つの大黒様の木像。<br /><br />なんと3つの顔と6本の腕を持っていて、まるで阿修羅像のようです。<br /><br />出羽三山の3にちなんだ表現なのか、あるいは別の意味があるのか、調べてみれば何かしら発見がありそうです。

    今回は出羽三山歴史博物館も見学。

    先ほど紹介した佐藤仏像コレクションは1階に展示され、千年以上昔に作られた仏像や、指一本より小さい仏像など、様々な仏像を拝すことが出来ました。

    佐藤氏の働きがなければ、これらの仏像の大半が現在まで残ることはなかったでしょう。

    そう考えると、ものの本当の価値を知るということが如何に大事であるか、真剣に考える必要があることを思い知らされます。

    2階には出羽三山の神事で使われる祭器や、修験者が装備する道具などが展示されていました。

    目を引いたのは一つの大黒様の木像。

    なんと3つの顔と6本の腕を持っていて、まるで阿修羅像のようです。

    出羽三山の3にちなんだ表現なのか、あるいは別の意味があるのか、調べてみれば何かしら発見がありそうです。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • QQちゃんさん 2014/07/27 12:15:23
    超!大変な階段だったで賞!
    倫清堂さん

    こんにちは
    visitならびにご投票を頂きありがとうございます。
    25日に羽黒山を散策しましたよ!
    急ぎ足でしたので、階段を通らず車で上がり神社へお参りしました。
    次の日は、階段を途中までtry(><;)して諦めました。
    五重塔のライトアップはとても綺麗でした。
    大進坊に泊まり精進料理も味わい・・・楽しい日々でした。

    倫清堂さんの旅行記を眺めながら、思い出しています。写真は素敵なショットですね!
    旅行記をアップしますので、後日、ご覧くだされば幸いです。
     QQより

    倫清堂

    倫清堂さん からの返信 2014/07/27 16:34:03
    RE: 超!大変な階段だったで賞!
    QQさま

    こんにちは。
    メッセージありがとうございました。
    羽黒山はいかがでしたでしょうか?
    蜂子皇子御神像は参拝できましたか?
    夜の五重塔はさぞや幻想的だったことでしょうね。
    この季節に石段を登られたことや宿坊へのご宿泊など、最高の思い出になったと思います。
    旅行記の公開を楽しみにしております。

    倫清堂

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