絶滅の危機からよみがえった　アプサラダンス　＜　カンボジア・べトナム旅行 2日目その7　＞

2014/02/13 - 2014/02/13

ご訪問をありがとうございます。

かつてカンボジアの宮廷儀式で踊られていた、アプサラダンスを観に行きました。

アプサラはカンボジアの神話で、不老不死の薬と一緒に海中から出てきた天女です。
謎めいております。

現在このように平和裏にダンスを観賞できますが、内戦時にはこのアプサラダンスも絶滅の危機に瀕しました。
ポルポト政権が学者や医者などの知識人をことごとく殺害したことは有名ですが、その中にアプサラダンスの踊り子たちも含まれていたのです。
約9割の踊り子が殺害されたそうです。
内戦を生き抜いた少数の継承者により、よみがえったアプサラダンス。
生き残って下さった事への感謝と、かつての権力者への憤りが脳裏をよぎる舞台鑑賞となりました。

エリア シェムリアップ(カンボジア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 観光バス
• 航空会社: ベトナム航空
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行なし）
• 利用旅行会社: JTB

アプサラダンスを観たのは、Angkor Mondial 劇場。

ハスを描いた照明がお出迎え。

体育館のように広い店内は、

世界各国から訪れた観光客でいっぱいだった。

ステージの反対側に、食事が用意されていた。
ビュッフェ形式で、お料理もいろんな国の物が用意されていた。

概ね冷めているし、食べ慣れないものも混じっている。
飲み物は、「スペシャルフレッシュミックスジュース」を注文。
かなり期待して待っていたのだが、出てきたのは人参ジュース。
グラスのふちにレモンなどの薄い輪切りを差し込んだ飲み物があるが、これはその代わりに人参の輪切りが差し込まれていた。
その人参をボリボリかじる。
ウサギの気分。
コーラかビールにしといたらよかった・・・・。

はっきり言って、ここの食事はあまりおいしいとは思わなかった。

でも席は良かった。
この広い会場で、一番前の席に予約が入れてあった。
さすがJTB!!

旅行中いつもモタモタして、残りものばかりいただいていた私だったが、ここではチャッチャと一番いい席をゲット♪

後ろに描かれている絵は、アンコールトムの南大門。

ピン･ピアットと呼ばれる踊りの音楽は、既にチューニング中。
東南アジア気分を盛り上げる音楽を奏でている。
ゆったりとした打楽器演奏が、旅の疲れを和らげるようだ。

座ったまま何も遮るものなく、食事をしながら存分にダンスを観賞できた。

踊りの説明はなかったけれど、自分なりに勝手解釈をしながら観た。

青い服の女性はシータ姫。
ガンジス川流域のミティラー国の王が、鋤で土を掘り起こしていると、土の中から幼女が現れた。
王はこの幼女にシーターと名づけ、王女として育てる。
まるで竹取物語のようではないか！

シータ姫はコーサラ国のダシャラタ王の息子、ラーマ王子と結婚。
しかし魔王ラーヴァナによって捕えられ、ランカー島に連れ去られてしまう。

ランカー島は、セイロン島と思われる。

おサルの被り物をしているから、これは猿将軍ハヌマーン。
シータ姫救出のため、ランカー島に向かう。
その道中、黄金の人魚と恋に落ちるが、その話はまた後程。

シータ姫とハヌマーン将軍。

続いてココナッツダンス。
カンボジアの東部、スバイリエン州で生まれた踊り。

結婚式などの、お祝い時によく踊られるそうだ。

若い男女5人ずつが、ココナッツを打ち鳴らしながら軽快に踊る。
音楽に合わせて、こちらも思わず体が動き出す。

続いて、ハヌマーン猿将軍の恋話。

黄金の人魚は、ソヴァンマチャ姫。
ソヴァンマチャ姫は魔王リアップの娘で、インドとランカー島との間の海に住んでいた。
リアップの命令で、ランカー島へ渡ろうとする人たちを苦しめるのが彼女の仕事。

猿将軍ハヌマーンはシータ姫を助けるために、ランカー島へ渡ろうとする。

が、ソヴァンマチャ姫の妨害に遭う。
ソバンマチャ姫を倒すために、ハヌマーン将軍は海に潜る。

そこで黄金の人魚姫ソヴァンマチャに出会い、ハヌマーン将軍は恋に落ちてしまう。
２人は結ばれて、姫は将軍の子どもまで産むのだ。

あらら・・・。
戦いの最中だとういうのに・・・。

続いてフィッシングダンス。

東南アジア最大の湖、トンレサップ湖を舞台にしたダンス。
湖の恵みに感謝する踊りのようだ。

若い男女が、竹で作った漁の道具を持って踊る。
日本のドジョウすくいのような踊りもあった。

途中から4組の男女が退場し、この二人だけに。

つれない彼女に、彼は猛アタック。
最後に恋は成就して、メデタシメデタシ。

最後はもちろん、アプサラダンス。

古代インドの神話に出てくる天女アプサラスを、インド人がクメール人に教えたのがこのダンスの始まりだとか。
インド神話のアプサラスは、神々に使えて接待をした水の精。

一方、カンボジアの天女アプサラが出てくる神話は「乳海撹拌」。

神様と阿修羅が海を1000年かき混ぜて、不老不死の薬アムリタを作り出した。
その時アムリタと一緒に海中から出てきたのがアプサラ。

アプサラは天を舞って、王国の繁栄や豊作を祈る。

反り返る指先は、花が咲き実が落ちるまでを表現している。

指の反り返りが大きいほど、優れたダンサーなのだそうだ。

私の指は、一直線より後ろに反り返らない。
しかしダンサーたちの指は、逆くの字。
特にこの中央の白い服のダンサーと、金色の人魚姫の指は、すごく反り返っていた。

若手ダンサーは、初々しさが残っていた。

インドから来た踊りだけあって、動きがヨガっぽいと思うのは私だけだろうか。

ゆっくりした動きだが、それだけに筋力がとても要りそうだ。

時々踊り子さんが、神々しく見えたりもする。

アプサラダンスは王や神に捧げる踊りである。
それゆえ踊り子らは、その使いであるとして弾圧された。
ポルポトの考えは、理解不可能だ！

陽気なガイドのナンさんは32歳。
移動中のバスの中で、客から頼まれて内戦の話を詳しくしてくれた。
そのあと、ポツリと一言。
「内戦は嫌だ・・・」
その一言の声のトーンは、それまでとは全然違っていた。

踊り子さんたちは、後姿も美しい。

最後に全員が並んで挨拶。

内戦によってこの踊りが絶たれなくって、本当によかった。

これら内戦を知らぬ若い世代が、これからも奮闘してこの踊りを伝承していくことだろう。

生き抜いてくださってありがとう。

ありがとう・・・。

こうしてシェムリアップの世は更けていった。

この旅行記へのコメント （7）

• みかちゃんっすさん 2019/06/09 12:22:39

  いいね！ありがとうございます！

  ホーミンさん、私の拙い旅行記見ていただきありがとうございます！
  ホーミンさん、いろいろな所に行かれていていいですね～！羨ましいです！
  私は今、海外旅行にはまっています！あまり遠くて長期間の旅行は出来ないので、専ら近場で安価なアジアになってしまうのですが、半年後にもベトナムに行きたいと思案中です！
  　また、訪問させていただきますね～！

  ホーミンさん からの返信 2019/06/09 13:19:24

  RE: いいね！ありがとうございます！

  みかちゃんっすさん
  
  初めまして、こんにちは。(o^v^o)
  た〜〜〜くさんの旅行記を読んでくださってありがとうございます。
  いっぱいの投票と書き込みと、フォローまでしてくださり感謝感激です。
  (T▽T)ｳﾚｼﾅｷ〜
  
  みかちゃんっすさんは、東南アジアがお好きなのですね？
  私も好きですよ〜。v(^o^)
  近いし安いし、食べるものも日本人に合うものが多いですからね。
  
  私のプロフ写真（絵）は若いですが実際は年増で、あとどれくらい旅行を楽しめるか…って年代です。
  トラベラーとして、ラストスパートの時期に入ってます。
  先立つものと健康に、翳りが出始めておりますわ。
  (~_~;)
  
  ベトナムは人気ですね。
  物価は安いし食べ物は美味しいし、あともうちょっと涼しかったら満点なのになぁ。
  暑いのだけは苦手なんです。
  いっぱい激写してきてくださいね。
  
  

  みかちゃんっすさん からの返信 2019/06/09 16:07:26

  返信いただき、ありがとうございます！

  ホーミンさん、わざわざ返信いただき有難うございます！
  ヨーロッパやカナダ、オーストラリアと行きたい所はたくさんあるのですが、時間とお金の余裕が無いのが現状です・・・。それでも海外旅行はしたいと思ってケチケチ旅行ではあるのですが、今はアジアで満足している今日この頃です・・・。
  　韓国旅行もずっと行きたいと思っていたのですが、サーズ流行、パク・シネ大統領の政権崩壊によるデモなどと2年も色々な事件があってやっと3年越しに実現できた旅行でした。
  でも、6人もおばちゃんが集まると話がなかなかまとまらない！あそこに行きたい、あれがしたいとワガママ言い放題！斯く言う私もチマチョゴリが着たいと主張しましたが・・・。
  それも皆、初めは文句言っていたのにこの色が、形はこれがいいとノリノリで・・・。
  　当日はあいにくの雨で、服も髪もぐちゃぐちゃ、濡れた服の上からチマチョゴリを着せて貰って髪も 直しもせず、ヘアバンドは無料(料金に含む？）で貸してくれました！選べなかったけど・・・。20分で1000円なので文句は言えませんが、自撮りで仲間内でキャピキャピしながら撮影会！
  店の方も日本語上手で気遣って全員の集合写真を撮ってくださいました。
  子供用、男性用もあり、王朝貴族のカツラもあるので、カメラマンに頼めばメイクと髪セットはしてしてくれますし、ご家族でも撮影ＯＫです！５〜６千円位だったかな？
  　アシアナ航空機内食を提供する食品会社の社長が、さばき切れずに自殺！ニュースにもなっていたのですが、食品会社の社長もビックチャンスと思って受けたのでしょうが、見解が甘かったのでしょう。何も自殺しなくても・・・。
  韓国社会がマスコミが追い詰めるのかな・・・？怖い話です・・・。
  　また、訪問させていただきますね〜！
  　
  
  

• ムロろ～んさん 2014/03/07 14:02:34

  最後の写真がかわいい(笑)

  ホ〜ミンさま
  
  こんにちは、ムロろ〜んです。
  カンボジア旅行記を楽しく拝見しています。
  カンボジアもそうですが、ベトナムやラオスもない線があった歴史があるので、文化にも影響を及んだとのことを聞いた時にはショックでしたよ。
  どの国でもそうですが、このようなカンボジアらしい文化が残って良かったと思いますよ。そう、アプラサダンスが残せたのもよっぽどのことでないと残せなかったと思いますよ。
  
  仏教にも独裁政治の影響あったようで、人々の生きる柱にもなるのに、政治家自身の人生を考える上でも大切なもののはずなのにそれを排除するって、ホ〜ミンさん同様、疑問に思いましたよ。
  
  私たち以上にカンボジア人にとっても傷は癒えないことと思います。
  自然災害以上に、人に殺されるのですから・・・。
  
  と、すごい踊りだなぁと思い、この旅行記を読んでいると、最後の写真がと〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っても気になってしまったんです。
  
  かわいいと思うのは私だけでしょうか(笑)？
  
  
  ムロろ〜ん(-人-)

  ホーミンさん からの返信 2014/03/07 23:15:33

  RE: 最後の写真がかわいい(笑)

  ムロたんさま♪
  
  こんばんは。(o^v^o)
  今日も旅行記を読んで下さってありがとうございます。
  投票と書き込みもありがとうございます。
  
  カンボジア旅行、何を見てもどうしても内戦につながってしまいます。
  お酒を飲んで楽しく観るはずのアプサラダンスでさえ、内戦抜きには語れない。
  悲しい…。
  
  そして、この国にはご老人お姿がほとんどありませんでした。
  どこの国に行っても、街角でお年寄りが日向ぼっこをしていたりゲームをしていたりしますが、それが全然なかった。
  私より年上の人がいないんじゃないかと思うくらいです。
  
  アプサラダンス、残ってくれてよかったです。
  手の動き、腰の動き、足の動きの組み合わせで、何通りもの（4000種類だったかな）表現方法があるそうです。
  伝統舞踊の書物は焼かれて、踊り子さんたちも殺されたので、全てを蘇らせるまでには至ってないそうです。
  
  > 最後の写真がと〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っても気になってしまったんです。
  
  正体不明の生き物だけど、かわいいですよね。

• bettyさん 2014/03/06 15:37:29

  見応えのあるダンスでしたね♪

  ホーミンさん、こんにちは〜♪
  きょうはいつの間にか３時になっていて、もうすぐ夕方(=_=)
  
  私もだけど、みんなたくさんの旅行記をアップされていますね♪
  どなたも行動的☆
  
  アプサラダンス素敵ですね〜
  
  衣装が綺麗♪
  
  P政権はこの踊子たちもにも。。。だったのですか(=_=)
  なんと。
  
  でも、素敵によみがえって良かった♪
  
  人魚姫ソヴァンマチャ姫とハヌマーン将軍の恋の話はナンダそりゃ(^_^;)
  
  憎き相手も美しい女性だったら話しが違うのですね！
  
  あ〜私だったら一撃をあうところでした(>_<)
  
  最後のアプサラダンスの赤い巻物の女性の体型は他人ごとには
  思えない(*^。^*)
  
  自分を見ているようで・・・
  
  私の体型でもカンボジアでダンスができるかも＾＾；
  
  踊っている時に被っている帽子だけど、あれってキツイ！
  私の頭がデカカッタのか？
  あのバンコクでの撮影時。。。イタカッタ(>_<)
  
  
  
  
  betty
  
  

  ホーミンさん からの返信 2014/03/06 20:43:52

  RE: 見応えのあるダンスでしたね♪

  bettyさま♪
  
  こんばんは。(o^v^o)
  毎日訪問して下さってるよね。
  ありがとうございます。
  カキコと投票もありがとうございます。
  
  今日の仕事は忙しかった。
  でもその間に、同僚とちょっぴりお話しするのが面白い♪
  
  さっきbettyさんの掲示板に返信を見に行ったら、私のカキコがず〜〜〜っと下に追いやられていた。。
  人気者のbettyさん、カキコの返事を書くのだけでも時間かかりそうだね。
  一方私は、ここんとこbettyさんのみ。へへへ。
  リニューアルしてから、掲示板の最新１０件一覧表が出ないから、わかりにくい。
  
  > P政権はこの踊子たちもにも。。。だったのですか(=_=)
  > なんと。
  
  そうなんですよ。
  カンボジアに行って初めて知りました。
  Pは自分より賢い人が怖かったみたい。
  教育も芸術も、な〜〜んにも出来なかった時代。
  虐待と殺戮ばかりがあった時代。
  それが遠い昔の事でなく、私の生きていた時代にあったなんてショックです。
  
  > 憎き相手も美しい女性だったら話しが違うのですね！
  
  男は美人に弱いんだね〜。
  猿の父親と、魚の母親。
  子どもはどんな姿なのだろう？？？
  
  > 最後のアプサラダンスの赤い巻物の女性の体型は他人ごとには
  > 思えない(*^。^*)
  
  背中がボンレス。
  針金を巻いてるような段々。
  私の背中もあんなんだわ。
  
  平和になって女性も太れる時代になったんですね。
  良かった。