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日本工業倶楽部会館で、「近代日本の支配層が愛した小川治兵衛の庭」という講演を聞きに行ってきました。当初予定の鈴木博之氏が体調を崩されて、入院されたそうで、ピンチヒッターとして、矢ケ崎善太郎氏がお話されました。その後、鈴木先生は逝去なさったとのこと、ご冥福をお祈り致します。矢ケ崎先生は、アナウンサーのような美声で、分かり易い説明をなさっていました。京都の無鄰庵へは行ったことがあり、なかなか興味深い内容でした。休憩を挟んで、二部を尼崎博正氏が「小川治兵衛の造園技術と意匠」を関西弁で、面白可笑しく、造園家としても活躍されている教授のお話でした。この続きは、同じ方で、5月にまたここで行なわれるとのこと、面白いお話を期待して帰りました。<br />初めて入ったこの日本工業倶楽部会館は、大正6年(1917)に当時の有力実業家によって創立された法人倶楽部でした。初代会長は、三菱合資会社頭取の豊川良平氏、理事長は、三井合名会社理事長・団琢磨氏で、日本の工業を発展させる目的でした。第二次大戦後は、経団連、日経連をはじめとする経済団体の設立と育成に協力し、それらの団体と重複する事業は行わないことになりました。現在は、財界人の交流の場として、交易法人の役割を果たしているそうです。<br />大正9年(1920)11月、地上5階、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の丸の内の旧伝奏屋敷跡に完成しました。設計は、横河民輔、ファサードは松井貴太郎、インテリアは、橘教順と鷲巣昌が担当しました。本格的なゼセッション様式で、正面玄関にはドーリア式オーダーのエントランスポーチが配され、正面階段も広くとってあります。正面屋上には、小倉右一郎作の二つの人像が置かれているそうです。戦前の日本経済の中心であった石炭(ハンマーを持った男性)と紡績(糸巻きを持つ女性)を表現しているそうです。一度見たいものです。<br />1999年登録有形文化財登録されましたが、老朽化のため、2003年、会館の南側部分を保存、再現した上で、建て替えされ、三菱信託銀行本店ビルとして竣工されました。<br />

日本工業倶楽部会館で...

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2014/01/11 - 2014/05/24

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belledune

belleduneさん

日本工業倶楽部会館で、「近代日本の支配層が愛した小川治兵衛の庭」という講演を聞きに行ってきました。当初予定の鈴木博之氏が体調を崩されて、入院されたそうで、ピンチヒッターとして、矢ケ崎善太郎氏がお話されました。その後、鈴木先生は逝去なさったとのこと、ご冥福をお祈り致します。矢ケ崎先生は、アナウンサーのような美声で、分かり易い説明をなさっていました。京都の無鄰庵へは行ったことがあり、なかなか興味深い内容でした。休憩を挟んで、二部を尼崎博正氏が「小川治兵衛の造園技術と意匠」を関西弁で、面白可笑しく、造園家としても活躍されている教授のお話でした。この続きは、同じ方で、5月にまたここで行なわれるとのこと、面白いお話を期待して帰りました。
初めて入ったこの日本工業倶楽部会館は、大正6年(1917)に当時の有力実業家によって創立された法人倶楽部でした。初代会長は、三菱合資会社頭取の豊川良平氏、理事長は、三井合名会社理事長・団琢磨氏で、日本の工業を発展させる目的でした。第二次大戦後は、経団連、日経連をはじめとする経済団体の設立と育成に協力し、それらの団体と重複する事業は行わないことになりました。現在は、財界人の交流の場として、交易法人の役割を果たしているそうです。
大正9年(1920)11月、地上5階、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の丸の内の旧伝奏屋敷跡に完成しました。設計は、横河民輔、ファサードは松井貴太郎、インテリアは、橘教順と鷲巣昌が担当しました。本格的なゼセッション様式で、正面玄関にはドーリア式オーダーのエントランスポーチが配され、正面階段も広くとってあります。正面屋上には、小倉右一郎作の二つの人像が置かれているそうです。戦前の日本経済の中心であった石炭(ハンマーを持った男性)と紡績(糸巻きを持つ女性)を表現しているそうです。一度見たいものです。
1999年登録有形文化財登録されましたが、老朽化のため、2003年、会館の南側部分を保存、再現した上で、建て替えされ、三菱信託銀行本店ビルとして竣工されました。

旅行の満足度
4.5

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  • 2階の大会堂で、講演が終わってから、撮りましたので、順序が逆になってしまいました。<br />天井と壁の漆喰とレリーフ装飾は大正9年の竣工当時のまま修復されています。完成後、3年経った大正12年の関東大震災で、相当な被害がありました。<br />

    2階の大会堂で、講演が終わってから、撮りましたので、順序が逆になってしまいました。
    天井と壁の漆喰とレリーフ装飾は大正9年の竣工当時のまま修復されています。完成後、3年経った大正12年の関東大震災で、相当な被害がありました。

  • 大会堂側面の窓側の天井と窓のある壁の装飾を見易くするため、実際は白色を落としてあります。

    大会堂側面の窓側の天井と窓のある壁の装飾を見易くするため、実際は白色を落としてあります。

  • 会員でないと、3階へは上がれませんが、3階には大広間、大食堂、談話室、貴賓室などがあります。機会があれば、見てみたいですね。

    会員でないと、3階へは上がれませんが、3階には大広間、大食堂、談話室、貴賓室などがあります。機会があれば、見てみたいですね。

  • 大会堂の柱は、大理石。

    大会堂の柱は、大理石。

  • 外壁はタイルとテラコッタで、大正期らしく、シンプルに纏められていますが、内部は国賓を迎えることもあったため、豪華に造られています。

    外壁はタイルとテラコッタで、大正期らしく、シンプルに纏められていますが、内部は国賓を迎えることもあったため、豪華に造られています。

  • このエアコンも、大正時代にはなくて、途中で導入されたものですが、ちゃんと装飾カバーを設えてあります。これは、実際に稼働していないのではないでしょうか。

    このエアコンも、大正時代にはなくて、途中で導入されたものですが、ちゃんと装飾カバーを設えてあります。これは、実際に稼働していないのではないでしょうか。

  • 正面壇の周囲も凝った装飾が見られます。次回は、少し早めに来て、もっと間近に見たいと思います。

    正面壇の周囲も凝った装飾が見られます。次回は、少し早めに来て、もっと間近に見たいと思います。

  • しつこくアップにして、レリーフを見ています。

    しつこくアップにして、レリーフを見ています。

  • 関東大震災では、この上の3階の大食堂と広間の間の床に、大きな亀裂が入ったそうです。

    関東大震災では、この上の3階の大食堂と広間の間の床に、大きな亀裂が入ったそうです。

  • 床は、完成当時のものを新しく復元したものです。

    床は、完成当時のものを新しく復元したものです。

  • 大会堂入り口の扉上部の硝子部分

    大会堂入り口の扉上部の硝子部分

  • 2階のホールから少し下がったところに2階の大会堂があるため、この階段を上って、ホールへ行き、また大階段を下りて、1階へ行くことになります。多分、1階の正面玄関を入って、大階段が正面にあるのですが、その高さを取る為に、天井高を上げたから、こうなったのではないでしょうか。

    2階のホールから少し下がったところに2階の大会堂があるため、この階段を上って、ホールへ行き、また大階段を下りて、1階へ行くことになります。多分、1階の正面玄関を入って、大階段が正面にあるのですが、その高さを取る為に、天井高を上げたから、こうなったのではないでしょうか。

  • 階段は中央が広く取ってあり、中に2本の手摺りがあります。

    階段は中央が広く取ってあり、中に2本の手摺りがあります。

  • 階段部分の天井と柱部分です。

    階段部分の天井と柱部分です。

  • 階段部分の天井中央の照明。

    階段部分の天井中央の照明。

  • 2階のホール

    2階のホール

  • 2階ホールの天井と照明ですが、実際は明るいです。漆喰のレリーフを見易くするために落としてあります。

    2階ホールの天井と照明ですが、実際は明るいです。漆喰のレリーフを見易くするために落としてあります。

  • 2階のホールから見たラウンジです。ここでは、軽食が頂けます。

    2階のホールから見たラウンジです。ここでは、軽食が頂けます。

  • ラウンジ内部ですが、天井やシャンデリアが豪華ですね。

    ラウンジ内部ですが、天井やシャンデリアが豪華ですね。

  • 2階の階段辺り

    2階の階段辺り

  • 1階と2階への階段踊り場にあるガラス窓

    1階と2階への階段踊り場にあるガラス窓

  • 階段途中から1階の天井部分の漆喰レリーフ

    階段途中から1階の天井部分の漆喰レリーフ

  • 1階ホール脇にある貴賓室、反対側にクロークがあります。<br />関東大震災では、東南角の3本のRC柱が折れ曲がりましたが、その後の補強工事で、鉄筋コンクリートを巻いて、耐震壁を増設していたそうです。竣工当時は、中庭を囲むコの字型の建物だったため、それが原因で、地震の際に被害が出たと結論がなされ、ロの字型に改修され、後ろに6階建ての別館を増築したということです。2003年の全面的な改修工事で、建物の三分の一を保存し、残りは更新、全面に免震工事を施すということになりました。基本的には、倶楽部施設の主要な内外装は変わっていないということです。保存・維持ということは、何事にも大変な努力と資金が必要ですね。

    1階ホール脇にある貴賓室、反対側にクロークがあります。
    関東大震災では、東南角の3本のRC柱が折れ曲がりましたが、その後の補強工事で、鉄筋コンクリートを巻いて、耐震壁を増設していたそうです。竣工当時は、中庭を囲むコの字型の建物だったため、それが原因で、地震の際に被害が出たと結論がなされ、ロの字型に改修され、後ろに6階建ての別館を増築したということです。2003年の全面的な改修工事で、建物の三分の一を保存し、残りは更新、全面に免震工事を施すということになりました。基本的には、倶楽部施設の主要な内外装は変わっていないということです。保存・維持ということは、何事にも大変な努力と資金が必要ですね。

  • 1階ホールの天井と照明

    1階ホールの天井と照明

  • 玄関から見た1階ホールの大階段

    玄関から見た1階ホールの大階段

  • 正面玄関です。大正の竣工当時は、通りに面したこちら側を倶楽部施設として使っていて、後ろ側は賃貸事務所にしていたそうです。

    正面玄関です。大正の竣工当時は、通りに面したこちら側を倶楽部施設として使っていて、後ろ側は賃貸事務所にしていたそうです。

  • 玄関上の外観は、平成の改修工事で、なるべくオリジナルの意匠に忠実に復元されたということです。タイル、テラコッタも、同じ色を出すのに苦労があったと思われます。関東大震災では、外壁にも皹が入り、その後修復されました。

    玄関上の外観は、平成の改修工事で、なるべくオリジナルの意匠に忠実に復元されたということです。タイル、テラコッタも、同じ色を出すのに苦労があったと思われます。関東大震災では、外壁にも皹が入り、その後修復されました。

  • 玄関横の窓枠も、一時アルミサッシが使われていたこともあったそうですが、元のスチールサッシに戻してあります。次回来る時は、全体の外観を撮ってみます。今日はこれで、東京駅へ行ってみます。

    玄関横の窓枠も、一時アルミサッシが使われていたこともあったそうですが、元のスチールサッシに戻してあります。次回来る時は、全体の外観を撮ってみます。今日はこれで、東京駅へ行ってみます。

  • 5月に再び来た時に正面玄関辺りを撮りました。

    5月に再び来た時に正面玄関辺りを撮りました。

  • 正面玄関横の出入り口

    正面玄関横の出入り口

  • その上部

    その上部

  • 1920年、竣工当時の日本工業倶楽部会館です。

    1920年、竣工当時の日本工業倶楽部会館です。

  • 上が工事前の会館外観、下が工事後の会館外観です。

    上が工事前の会館外観、下が工事後の会館外観です。

  • 上は、全体南北断面図(計画)、下は、倶楽部棟東西断面図(計画)です。

    上は、全体南北断面図(計画)、下は、倶楽部棟東西断面図(計画)です。

  • 東京駅辺りが、少し落ち着いてから来ようとおもっていましたが、ちょうど近くまで来たので、改修後の東京駅へ初めて行ってみることにしました。

    東京駅辺りが、少し落ち着いてから来ようとおもっていましたが、ちょうど近くまで来たので、改修後の東京駅へ初めて行ってみることにしました。

  • こちらが、東京郵便局ですね。中には入りません。次回にします。

    こちらが、東京郵便局ですね。中には入りません。次回にします。

  • 丸の内の駅構内は、皆さんの旅行記でさんざん見ているので、ちらっと見て、次いでに、八重洲口も覗いてみることにします。

    丸の内の駅構内は、皆さんの旅行記でさんざん見ているので、ちらっと見て、次いでに、八重洲口も覗いてみることにします。

  • 小学生のときに、旧東京ステーションホテルに泊まった記憶があります。あまり良く覚えていませんが、今は豪華なようですね。

    小学生のときに、旧東京ステーションホテルに泊まった記憶があります。あまり良く覚えていませんが、今は豪華なようですね。

  • やってきました八重洲側のグランルーフ辺りです。<br />長さ230mもあるのだそうですが、材質は何でしょう。ちょっと調べておきます。

    やってきました八重洲側のグランルーフ辺りです。
    長さ230mもあるのだそうですが、材質は何でしょう。ちょっと調べておきます。

  • 八重洲口の前面はまだ工事中なので、完成したら、また来てみますが、今日は寒いので、この辺で帰ります。

    八重洲口の前面はまだ工事中なので、完成したら、また来てみますが、今日は寒いので、この辺で帰ります。

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