ミンスク旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 2000年頃ニーナと知り合った。ベラルーシの学生で、仕事と勉強を兼ねて来日していた。ベラルーシ? 首都がミンスクであること以外ほとんど知らないが、それだけの知識でも彼女には嬉しかったらしく、徐々に親しくなった。そのうち、この人の生まれ育った地を知りたくなり、2001年の夏の旅行をベラルーシに決めた。ニーナは当時まだ日本にいたが、彼女の母親を頼って出かけ、この国の人々を好きになった。2002年にニーナは帰国し、私はその年も、また翌2003年も、遠いベラルーシに向かった。その旅を3回に分けてまとめる。まずはミンスクの概要とベラルーシ社会を中心に。<br />〈写真 ダーチャにてベリーに囲まれ〉<br />

ニーナが教えてくれたベラルーシ1(ミンスクとベラルーシの社会)

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2003/07/26 - 2003/08/10

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kazim

kazimさん

 2000年頃ニーナと知り合った。ベラルーシの学生で、仕事と勉強を兼ねて来日していた。ベラルーシ? 首都がミンスクであること以外ほとんど知らないが、それだけの知識でも彼女には嬉しかったらしく、徐々に親しくなった。そのうち、この人の生まれ育った地を知りたくなり、2001年の夏の旅行をベラルーシに決めた。ニーナは当時まだ日本にいたが、彼女の母親を頼って出かけ、この国の人々を好きになった。2002年にニーナは帰国し、私はその年も、また翌2003年も、遠いベラルーシに向かった。その旅を3回に分けてまとめる。まずはミンスクの概要とベラルーシ社会を中心に。
〈写真 ダーチャにてベリーに囲まれ〉

旅行の満足度
4.5
観光
4.0
ホテル
3.0
グルメ
4.0
同行者
一人旅
交通手段
鉄道 高速・路線バス 徒歩
航空会社
オーストリア航空 ターキッシュ エアラインズ
旅行の手配内容
個別手配

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  • ミンスクまで1<br /> 旧ソ連圏のベラルーシは、ロシアと同様、入国にビザが必要だ。また、直行便はないうえ、ロスなく乗り継げる経路も見つからない。モスクワ経由が通常だろうが成田便とミンスク便の空港が異なるので、その移動がつらい。そこで、3度の訪問のうち2回はウィーンで、1回はイスタンブールで乗り継いでミンスクに入った。<br />〈ベラルーシ人が好きなベリー〉

    ミンスクまで1
     旧ソ連圏のベラルーシは、ロシアと同様、入国にビザが必要だ。また、直行便はないうえ、ロスなく乗り継げる経路も見つからない。モスクワ経由が通常だろうが成田便とミンスク便の空港が異なるので、その移動がつらい。そこで、3度の訪問のうち2回はウィーンで、1回はイスタンブールで乗り継いでミンスクに入った。
    〈ベラルーシ人が好きなベリー〉

  • ミンスクまで2<br /> イスタンブールで乗り継いだ時は、この国のナショナル・フラッグである「ベラヴィア」(ベラルーシ航空)でミンスクを目指した。ところが、手配を依頼した代理店は「乗らない方がいい」と説得する。発券オファーに対し何の返答もないとのことだ。それでも強引に予約を入れると、イスタンブールの空港で待っていたのは玩具のように小さいツボレフ機だった。さらに、CAが動かないので離陸直前に乗客が荷物入れを閉めて回り、着陸時は空席のシートが減速とともに将棋倒しに前方に倒れるという始末。すごい飛行機だった。<br />〈ニーナとお母さん、ミンスクの日本料理店で〉

    ミンスクまで2
     イスタンブールで乗り継いだ時は、この国のナショナル・フラッグである「ベラヴィア」(ベラルーシ航空)でミンスクを目指した。ところが、手配を依頼した代理店は「乗らない方がいい」と説得する。発券オファーに対し何の返答もないとのことだ。それでも強引に予約を入れると、イスタンブールの空港で待っていたのは玩具のように小さいツボレフ機だった。さらに、CAが動かないので離陸直前に乗客が荷物入れを閉めて回り、着陸時は空席のシートが減速とともに将棋倒しに前方に倒れるという始末。すごい飛行機だった。
    〈ニーナとお母さん、ミンスクの日本料理店で〉

  • ミンスクまで3<br /> 入国にもひと悶着がある。当時はカードに所持金をすべて(数字ではなく)アルファベッドで書かねばならなかったが、細かく記載する気にはならず、大まかな数字を書いた。例えば「five hundred dollar」「thirty thousand yen」という具合だ。外国人用のイミグレーションに時間がかかり、税関の列の最後尾に並ぶ私は、いやな予感がした。案の定、係官は「金をすべて出せ」と命じ、私の財布を調べて申告の金額との違いを指摘し、「お前は bad foreignerだ」と、カードをひらひらさせてニヤつく。仕方なく10ドルを握らせて、やっと入国した。「お前こそ bad Belarus」と言いたかった。<br />〈ミンスク市内スヴィスラチ河畔〉

    ミンスクまで3
     入国にもひと悶着がある。当時はカードに所持金をすべて(数字ではなく)アルファベッドで書かねばならなかったが、細かく記載する気にはならず、大まかな数字を書いた。例えば「five hundred dollar」「thirty thousand yen」という具合だ。外国人用のイミグレーションに時間がかかり、税関の列の最後尾に並ぶ私は、いやな予感がした。案の定、係官は「金をすべて出せ」と命じ、私の財布を調べて申告の金額との違いを指摘し、「お前は bad foreignerだ」と、カードをひらひらさせてニヤつく。仕方なく10ドルを握らせて、やっと入国した。「お前こそ bad Belarus」と言いたかった。
    〈ミンスク市内スヴィスラチ河畔〉

  • ミンスクまで4<br /> これに懲りた私は、翌年はしっかり所持金を調べて、1円、1セントの単位まで正確に書いて出した。すると、その年の係官は、私の顔を見るなり「あら外国人、私は英語が苦手だから」と言って、事実上フリーパスだった。こうした税関は今どうなっているのだろう。簡単になったロシアの税関と同様の変化が起こっているのだろうか。<br />〈ダーチャにて〉

    ミンスクまで4
     これに懲りた私は、翌年はしっかり所持金を調べて、1円、1セントの単位まで正確に書いて出した。すると、その年の係官は、私の顔を見るなり「あら外国人、私は英語が苦手だから」と言って、事実上フリーパスだった。こうした税関は今どうなっているのだろう。簡単になったロシアの税関と同様の変化が起こっているのだろうか。
    〈ダーチャにて〉

  • ミンスクという街1<br /> そうしてたどり着いたミンスクで最初に宿泊したのは「ホテル・ベラルーシ」だ。名前が表すように、この国を代表するホテルだが、明らかに外国人価格が設定されており、1泊100ドルを超えるのは、この国の経済事情に比して異常に高い。ビザを取るために仕方なく部屋を取ったが、2度目からはニーナやお母さんに招待状を作ってもらい、1泊2500円ほどの学生用の寮に宿泊した。<br />〈芝生の中のホテル・ベラルーシ〉<br />

    ミンスクという街1
     そうしてたどり着いたミンスクで最初に宿泊したのは「ホテル・ベラルーシ」だ。名前が表すように、この国を代表するホテルだが、明らかに外国人価格が設定されており、1泊100ドルを超えるのは、この国の経済事情に比して異常に高い。ビザを取るために仕方なく部屋を取ったが、2度目からはニーナやお母さんに招待状を作ってもらい、1泊2500円ほどの学生用の寮に宿泊した。
    〈芝生の中のホテル・ベラルーシ〉

  • ミンスクという街2<br /> しかし、ミンスクは美しい。ホテルのまわりの青々とした芝生が第一印象であり、続いて前を流れるスヴィスラチ川に心ひかれた。ベラルーシの国土はまったく平坦で、最高点でも海抜350mほどしかない。だから、川もどちらに流れているのか分からないほど、ゆったりたたずんでいる。国の顔であるホテル周辺は、川沿いが公園として整備され、ボート遊びをする人もちらほら見える。<br />〈ホテル・ベラルーシとスヴィスラチ川〉

    ミンスクという街2
     しかし、ミンスクは美しい。ホテルのまわりの青々とした芝生が第一印象であり、続いて前を流れるスヴィスラチ川に心ひかれた。ベラルーシの国土はまったく平坦で、最高点でも海抜350mほどしかない。だから、川もどちらに流れているのか分からないほど、ゆったりたたずんでいる。国の顔であるホテル周辺は、川沿いが公園として整備され、ボート遊びをする人もちらほら見える。
    〈ホテル・ベラルーシとスヴィスラチ川〉

  • ミンスクという街3<br /> スヴィスラチ川とともにあるこの街の中心は、川の西側に広がる。ホテル・ベラルーシがある東岸の見所は、古い家を残したトラエツカヤ地区と、第1回会議場博物館で、後者はロシアで最初のマルクス主義政党である社会民主労働党の創立大会が開かれた建物だ。現地の人には重要な場所らしいが、正直、私には意義を感じられず、その裏の川沿いで撮った写真しか残っていない。なお、東岸はるか先には、後に紹介する植物園がある。<br />〈第1回会議場博物館裏のスヴィスラチ川〉

    ミンスクという街3
     スヴィスラチ川とともにあるこの街の中心は、川の西側に広がる。ホテル・ベラルーシがある東岸の見所は、古い家を残したトラエツカヤ地区と、第1回会議場博物館で、後者はロシアで最初のマルクス主義政党である社会民主労働党の創立大会が開かれた建物だ。現地の人には重要な場所らしいが、正直、私には意義を感じられず、その裏の川沿いで撮った写真しか残っていない。なお、東岸はるか先には、後に紹介する植物園がある。
    〈第1回会議場博物館裏のスヴィスラチ川〉

  • ミンスクという街4<br /> ミンスクは人口180万の大都市だ。地下鉄も2路線が走っている。メイン・ストリートはミンスク駅から第1回会議場博物館を経て勝利広場に通じるスカルナ大通りである。国営デパートの「グム」や、著名なレストランも、この通り沿いにある。ベラルーシでの最初のビールは、この通りの歩道に出ていたテントで飲んだ。<br />〈スカルナ大通り〉

    ミンスクという街4
     ミンスクは人口180万の大都市だ。地下鉄も2路線が走っている。メイン・ストリートはミンスク駅から第1回会議場博物館を経て勝利広場に通じるスカルナ大通りである。国営デパートの「グム」や、著名なレストランも、この通り沿いにある。ベラルーシでの最初のビールは、この通りの歩道に出ていたテントで飲んだ。
    〈スカルナ大通り〉

  • ミンスクという街5<br /> 大都市の中心でありながら、スカルナ大通りは閑散としており、繁華街の雰囲気がない。それはひとつに、この街の道が広く、歩道もゆったりと作られているからだ。旧ソ連時代に、最もソ連らしい都市とされたミンスクは、社会主義的な計画のもとに通りや建物が配置されているのだ。巨大な建物が間隔をおいて並び、その間の通りも広々とし、至る所に芝生が植えられている。それが美しくもあり、ある意味非人間的な感じも与える。<br />〈スカルナ大通りだが、我々のほかに誰もいない、日曜の朝だったかも〉

    ミンスクという街5
     大都市の中心でありながら、スカルナ大通りは閑散としており、繁華街の雰囲気がない。それはひとつに、この街の道が広く、歩道もゆったりと作られているからだ。旧ソ連時代に、最もソ連らしい都市とされたミンスクは、社会主義的な計画のもとに通りや建物が配置されているのだ。巨大な建物が間隔をおいて並び、その間の通りも広々とし、至る所に芝生が植えられている。それが美しくもあり、ある意味非人間的な感じも与える。
    〈スカルナ大通りだが、我々のほかに誰もいない、日曜の朝だったかも〉

  • ミンスクという街6<br /> もう1本の大きな通りが、「グム」デパートの所でスカルナ大通りと直交するレーニン通りと、その先のマシェラヴァ大通りだ。この途中にある「ニャミガ」地区が、最も人出が多い所かもしれない。写真は、マシェラヴァ大通りだが、8月というのに街路樹の色が変わりはじめている。私の滞在中、25℃を超える日はなかった。紅葉ではなく、わくら葉かもしれないけれど。<br />〈マシェラヴァ大通り、日本大使館はこの近所〉

    ミンスクという街6
     もう1本の大きな通りが、「グム」デパートの所でスカルナ大通りと直交するレーニン通りと、その先のマシェラヴァ大通りだ。この途中にある「ニャミガ」地区が、最も人出が多い所かもしれない。写真は、マシェラヴァ大通りだが、8月というのに街路樹の色が変わりはじめている。私の滞在中、25℃を超える日はなかった。紅葉ではなく、わくら葉かもしれないけれど。
    〈マシェラヴァ大通り、日本大使館はこの近所〉

  • ミンスクという街7<br /> 計画的につくられた都市だけに、建ち並ぶビルは機能的なスタイルのものが多く、威圧的で、味も素っ気もない中、教会の建物には目を引くものが多い。特に、ニャミガ地区にある聖霊大聖堂は、白亜の尖塔が素晴らしく、観光的な見所になっているのもうなずける。<br />〈白亜の聖霊大聖堂〉<br />

    ミンスクという街7
     計画的につくられた都市だけに、建ち並ぶビルは機能的なスタイルのものが多く、威圧的で、味も素っ気もない中、教会の建物には目を引くものが多い。特に、ニャミガ地区にある聖霊大聖堂は、白亜の尖塔が素晴らしく、観光的な見所になっているのもうなずける。
    〈白亜の聖霊大聖堂〉

  • ミンスクという街8<br /> これと対照的なのが、ミンスク駅近くにある聖シモン聖エレーナ教会で、レンガ色が暖かい雰囲気を醸している。この教会は子を亡くした人が寄進したもので、その子の名が「シモン」と「エレーナ」だそうだ。そうした親の愛情が感じられる色合いである。<br />〈聖シモン聖エレーナ教会〉

    ミンスクという街8
     これと対照的なのが、ミンスク駅近くにある聖シモン聖エレーナ教会で、レンガ色が暖かい雰囲気を醸している。この教会は子を亡くした人が寄進したもので、その子の名が「シモン」と「エレーナ」だそうだ。そうした親の愛情が感じられる色合いである。
    〈聖シモン聖エレーナ教会〉

  • ミンスクという街9<br /> その他にも教会の写真をいくつか撮ってあるが、場所の記憶があやしくなっている。この写真の教会は、ホテル・ベラルーシの裏手のものだと思う。屋根と壁のバランスが絶妙でかわいらしい。<br />〈街の教会〉

    ミンスクという街9
     その他にも教会の写真をいくつか撮ってあるが、場所の記憶があやしくなっている。この写真の教会は、ホテル・ベラルーシの裏手のものだと思う。屋根と壁のバランスが絶妙でかわいらしい。
    〈街の教会〉

  • ミンスクという街10<br /> そして、これがその教会の入口上部のモザイク画だ。近くに行かないと見えない小さな装飾だが、こうした部分にも気配りが行き届いているのが好印象で、名前も知らない教会を写真に撮ったのだろう。<br />〈街の教会、入口〉

    イチオシ

    ミンスクという街10
     そして、これがその教会の入口上部のモザイク画だ。近くに行かないと見えない小さな装飾だが、こうした部分にも気配りが行き届いているのが好印象で、名前も知らない教会を写真に撮ったのだろう。
    〈街の教会、入口〉

  • ミンスクという街11<br /> 街には彫刻や銅像も多いが、何と言ってもこの国らしいのは、ミンスク駅近くの独立広場にあるレーニン像だ。政府関係の建物に取り囲まれ、演説をしている姿勢でレーニンは立っている。なお、ニーナのお母さんは、文部科学省に勤務しており、この近くにオフィスがある。<br />〈独立広場のレーニン像〉

    ミンスクという街11
     街には彫刻や銅像も多いが、何と言ってもこの国らしいのは、ミンスク駅近くの独立広場にあるレーニン像だ。政府関係の建物に取り囲まれ、演説をしている姿勢でレーニンは立っている。なお、ニーナのお母さんは、文部科学省に勤務しており、この近くにオフィスがある。
    〈独立広場のレーニン像〉

  • 私の好きな場所1<br /> ミンスクで私の最も気に入った場所は、正式には「チェリュスキンツェフ公園」という植物園だ。市街の北東方向に位置しており、美しい自然の中でゆっくりと過ごせる場所であり、思わず何度も深呼吸をしたくなるスポットだ。<br />〈植物園内の並木〉

    私の好きな場所1
     ミンスクで私の最も気に入った場所は、正式には「チェリュスキンツェフ公園」という植物園だ。市街の北東方向に位置しており、美しい自然の中でゆっくりと過ごせる場所であり、思わず何度も深呼吸をしたくなるスポットだ。
    〈植物園内の並木〉

  • 私の好きな場所2<br /> 植物園は、ミンスク駅から7キロほどの位置にある。スカルナ大通り(途中で独立大通りと名前が変わる)を進み、勝利広場も越えた、さらに先にあるが、大通りには当然バスも走っているし、この通りに沿う地下鉄に同名の駅も存在する。<br />〈植物園、自然のままで倒木もそのまま〉

    私の好きな場所2
     植物園は、ミンスク駅から7キロほどの位置にある。スカルナ大通り(途中で独立大通りと名前が変わる)を進み、勝利広場も越えた、さらに先にあるが、大通りには当然バスも走っているし、この通りに沿う地下鉄に同名の駅も存在する。
    〈植物園、自然のままで倒木もそのまま〉

  • 私の好きな場所3<br /> ここは2度目の訪問で、ニーナに案内されて気に入り、3度目の訪問でもここで長い時間を過ごした。せせこましい東京で過ごしたことのあるニーナとしては、私に最も勧めたい場所だったようだ。<br />〈植物園の花壇で〉

    私の好きな場所3
     ここは2度目の訪問で、ニーナに案内されて気に入り、3度目の訪問でもここで長い時間を過ごした。せせこましい東京で過ごしたことのあるニーナとしては、私に最も勧めたい場所だったようだ。
    〈植物園の花壇で〉

  • 私の好きな場所4<br /> この公園の特徴は、まず、驚くほど広いことだ。2キロ四方ほどの広大な敷地を持ち、2度訪れかなりの時間を過ごした私も全貌がつかめたわけではない。中心から少し郊外に出た位置とはいえ、人口180万の大都市の市街地の中に、これほど広い公園があること自体がすごい。<br />〈植物園の花壇で〉

    私の好きな場所4
     この公園の特徴は、まず、驚くほど広いことだ。2キロ四方ほどの広大な敷地を持ち、2度訪れかなりの時間を過ごした私も全貌がつかめたわけではない。中心から少し郊外に出た位置とはいえ、人口180万の大都市の市街地の中に、これほど広い公園があること自体がすごい。
    〈植物園の花壇で〉

  • 私の好きな場所5<br /> もう一つの特徴は、自然のままということだ。来園者用の通路こそ四方に広がるが、余計な建物など人工的なものがほとんどない。ベラルーシをはじめロシア系の人たちはこうした自然が大好きなのだ。<br />〈植物園の広さが感じられる〉

    私の好きな場所5
     もう一つの特徴は、自然のままということだ。来園者用の通路こそ四方に広がるが、余計な建物など人工的なものがほとんどない。ベラルーシをはじめロシア系の人たちはこうした自然が大好きなのだ。
    〈植物園の広さが感じられる〉

  • 私の好きな場所6<br /> 都会に住むロシア系の人の多くは、郊外に「ダーチャ」と呼ばれる別荘を持っている。ただし、日本人の金持ちが静養のために別荘を持つのとは意味が異なる。彼らはそこの庭で畑を作り花を植え、いわば趣味と実益を兼ねた第2の生活を送る。<br />〈植物園の築山〉

    私の好きな場所6
     都会に住むロシア系の人の多くは、郊外に「ダーチャ」と呼ばれる別荘を持っている。ただし、日本人の金持ちが静養のために別荘を持つのとは意味が異なる。彼らはそこの庭で畑を作り花を植え、いわば趣味と実益を兼ねた第2の生活を送る。
    〈植物園の築山〉

  • 私の好きな場所7<br /> ニーナの家族も、市内から乗り合いミニバスの「マルシルートカ」で1時間ほどの郊外にダーチャを持っている。表紙の写真がそこでのものだ。そして、このチェリュスキンツェフ公園は、ミンスク市民共有のダーチャと言えるだろう。<br />〈植物園の花壇にて〉

    私の好きな場所7
     ニーナの家族も、市内から乗り合いミニバスの「マルシルートカ」で1時間ほどの郊外にダーチャを持っている。表紙の写真がそこでのものだ。そして、このチェリュスキンツェフ公園は、ミンスク市民共有のダーチャと言えるだろう。
    〈植物園の花壇にて〉

  • 私の好きな場所8<br /> 広い園内だから、並木あり、花壇あり、湖あり、雑木林ありで、さまざまの顔を持っており、ゆっくり回ったら丸1日でも足りない。また、園内が広いから、他の客たちの姿も少なく感じる。それは、ここに載せた写真に、私たち以外の人が写り込んでいないことからも分かるだろう。<br />〈植物園で、まったく自然のままの森〉

    私の好きな場所8
     広い園内だから、並木あり、花壇あり、湖あり、雑木林ありで、さまざまの顔を持っており、ゆっくり回ったら丸1日でも足りない。また、園内が広いから、他の客たちの姿も少なく感じる。それは、ここに載せた写真に、私たち以外の人が写り込んでいないことからも分かるだろう。
    〈植物園で、まったく自然のままの森〉

  • 私の好きな場所9<br /> 植物園の中で私が最も気に入ったのが、この写真の並木道だ。どこまでも続く並木に柔らかい木漏れ日が差す。木製の素朴なベンチが置かれて、そこに座るといつまでもそのままいたくなる。<br />〈お気に入りの並木道〉

    イチオシ

    私の好きな場所9
     植物園の中で私が最も気に入ったのが、この写真の並木道だ。どこまでも続く並木に柔らかい木漏れ日が差す。木製の素朴なベンチが置かれて、そこに座るといつまでもそのままいたくなる。
    〈お気に入りの並木道〉

  • 私の好きな場所10<br /> 無粋な柵もないから、林の中に入るのも自由だ。ところどころに生えている白樺も美しい。こんな豊かな公園を持っているミンスク市民を、つくづくうらやましいと感じ、この街を再訪したなら、真っ先に向かいたい場所である。<br />〈植物園の中の森〉

    イチオシ

    私の好きな場所10
     無粋な柵もないから、林の中に入るのも自由だ。ところどころに生えている白樺も美しい。こんな豊かな公園を持っているミンスク市民を、つくづくうらやましいと感じ、この街を再訪したなら、真っ先に向かいたい場所である。
    〈植物園の中の森〉

  • 無計画な旅程1<br /> 1度目のとき、今から思えば無茶な旅程でこの国を訪問した。4日分のビザとホテル・ベラルーシの予約を持ってウィーンから入国したのものの、出国便については、何の手配もしていなかったのだ。空港で出迎えてくれたニーナの弟にそれを告げたところ、「お母さんが何とかしてくれる」と言うので、私も彼女に任せたつもりになっていた。<br />〈2度目以降に宿泊した学生寮で〉<br /> 

    無計画な旅程1
     1度目のとき、今から思えば無茶な旅程でこの国を訪問した。4日分のビザとホテル・ベラルーシの予約を持ってウィーンから入国したのものの、出国便については、何の手配もしていなかったのだ。空港で出迎えてくれたニーナの弟にそれを告げたところ、「お母さんが何とかしてくれる」と言うので、私も彼女に任せたつもりになっていた。
    〈2度目以降に宿泊した学生寮で〉
     

  • 無計画な旅程2<br /> しかし、公務で多忙なお母さんにはなかなか会えず、彼女も私の出国について息子から聞いたものの、忙しさにかまけていたようだ。そのうちに3日が経ち、翌日には出国しなければならなくなった。弟にそれを告げると「ならば日本大使館に行こう」と提案するが、それは明らかに無駄足だ。万一オーバーステイで捕まりでもしたら厄介になるのだろうが、自分で飛行機か鉄道をおさえればいいのだ。<br />〈お母さんと弟、自宅にて〉

    無計画な旅程2
     しかし、公務で多忙なお母さんにはなかなか会えず、彼女も私の出国について息子から聞いたものの、忙しさにかまけていたようだ。そのうちに3日が経ち、翌日には出国しなければならなくなった。弟にそれを告げると「ならば日本大使館に行こう」と提案するが、それは明らかに無駄足だ。万一オーバーステイで捕まりでもしたら厄介になるのだろうが、自分で飛行機か鉄道をおさえればいいのだ。
    〈お母さんと弟、自宅にて〉

  • 無計画な旅程3<br /> その夜やっとお母さんに会えた。早速、明日出国しなければならないことを告げると、彼女は「私が何とかするから、もう少しいなさい」と落ち着いている。ただし、大事な一言を加える。「今日は金曜日で、土日は役所が閉まるので、ビザの延長ができるのは月曜日になってから。その間あなたはこの国にいてはならない人だから、街に出てはいけません」。至極もっともな忠告であり、2日間の不法滞在者は、彼女たちの自宅に移り、週末を逼塞して過ごした。<br />〈植物園の花〉

    無計画な旅程3
     その夜やっとお母さんに会えた。早速、明日出国しなければならないことを告げると、彼女は「私が何とかするから、もう少しいなさい」と落ち着いている。ただし、大事な一言を加える。「今日は金曜日で、土日は役所が閉まるので、ビザの延長ができるのは月曜日になってから。その間あなたはこの国にいてはならない人だから、街に出てはいけません」。至極もっともな忠告であり、2日間の不法滞在者は、彼女たちの自宅に移り、週末を逼塞して過ごした。
    〈植物園の花〉

  • 無計画な旅程4<br /> そして月曜日、彼女に連れられて外国人の滞在を管轄する役所「オーヴィル(ОВИР)」に赴き、改めてその日から4日間のビザを得た。すなわち、私の滞在は、当初のビザの4日間+ビザのない2日間+追加の4日間となった。この空白の2日間が出国の際に問題にされることを懸念したが、何も言われなかった。係官が気づかなかったのかもしれない。<br />〈ケーキを作るお母さん〉

    無計画な旅程4
     そして月曜日、彼女に連れられて外国人の滞在を管轄する役所「オーヴィル(ОВИР)」に赴き、改めてその日から4日間のビザを得た。すなわち、私の滞在は、当初のビザの4日間+ビザのない2日間+追加の4日間となった。この空白の2日間が出国の際に問題にされることを懸念したが、何も言われなかった。係官が気づかなかったのかもしれない。
    〈ケーキを作るお母さん〉

  • 無計画な旅程5<br /> その追加の日程が3日目に入った時、お母さんが「またビザを延長する?」と尋ねたが、さすがにこれは冗談だろう。「帰ります」と答えると、ワルシャワへ抜ける列車のチケットを用意してくれた。そのおかげでビザが尽きるその日の朝ミンスクを出て、昼過ぎにブレスト市の国境を無事に通過した。この一件があったため、その後の訪問でも彼女は「ビザはいつまで? 帰りのチケットはある?」と必ず確認する。私は頭が上がらず「今度は大丈夫です」と小さくなるしかない。<br />〈市内の遊園地〉

    無計画な旅程5
     その追加の日程が3日目に入った時、お母さんが「またビザを延長する?」と尋ねたが、さすがにこれは冗談だろう。「帰ります」と答えると、ワルシャワへ抜ける列車のチケットを用意してくれた。そのおかげでビザが尽きるその日の朝ミンスクを出て、昼過ぎにブレスト市の国境を無事に通過した。この一件があったため、その後の訪問でも彼女は「ビザはいつまで? 帰りのチケットはある?」と必ず確認する。私は頭が上がらず「今度は大丈夫です」と小さくなるしかない。
    〈市内の遊園地〉

  • 無計画な旅程6<br /> 私のビザ問題が解決できたのは、お母さんが国家公務員だったからだろう。週末のうちに彼女は何件か電話をかけており、「オーヴィル」でも順番待ちの行列を横目に、直接係官のオフィスに出向いた。観光ビザの場合、ホテルが身元引受人の代行をするのだが、延長ビザの身元引受人は彼女である。2度目3度目でホテルをおさえずに安上がりな学生寮に泊まれ、それでもビザを得られたのも彼女の助けが大きい。<br />〈植物園の噴水〉

    無計画な旅程6
     私のビザ問題が解決できたのは、お母さんが国家公務員だったからだろう。週末のうちに彼女は何件か電話をかけており、「オーヴィル」でも順番待ちの行列を横目に、直接係官のオフィスに出向いた。観光ビザの場合、ホテルが身元引受人の代行をするのだが、延長ビザの身元引受人は彼女である。2度目3度目でホテルをおさえずに安上がりな学生寮に泊まれ、それでもビザを得られたのも彼女の助けが大きい。
    〈植物園の噴水〉

  • ベラルーシ社会について1<br /> 新たなビザ手に入れた帰り道、お母さんは「オーヴィル」の係官が賄賂を要求したと怒っていた。私は入国時の税関を思い出す。また、それらと似通った体験をしている。それは、ニーナに案内された箱人形劇「ペトルーシカ」の博物館でのことだ。スーツケース大の四角い箱を開くと中が舞台になっており、小さな人形を使って数人で劇をするという伝統的なものであり、素朴な味わいが素晴らしいが、それを見たあと「あなたのために特別に上演したので、いくらか渡してください」と言われた。<br />〈素朴な箱人形劇、私は現地の民族衣装を着ている〉

    ベラルーシ社会について1
     新たなビザ手に入れた帰り道、お母さんは「オーヴィル」の係官が賄賂を要求したと怒っていた。私は入国時の税関を思い出す。また、それらと似通った体験をしている。それは、ニーナに案内された箱人形劇「ペトルーシカ」の博物館でのことだ。スーツケース大の四角い箱を開くと中が舞台になっており、小さな人形を使って数人で劇をするという伝統的なものであり、素朴な味わいが素晴らしいが、それを見たあと「あなたのために特別に上演したので、いくらか渡してください」と言われた。
    〈素朴な箱人形劇、私は現地の民族衣装を着ている〉

  • ベラルーシ社会について2<br /> この時は納得してドルを渡したのだが、ある意味、賄賂と同様の性格の金だと感じる。これらを総合すると、この国の社会や人間関係のあり方が見えた気がする。気候や政治状況が厳しい中、彼らは基本的に助け合って生きている。例えば、ダーチャは知り合いが集まって作ってしまう。だから、できあがったダーチャは大工仕事に参加した人の共有物の意識があり、作物を収穫すると仲間に分配するようだ。<br />〈市内の木工場〉

    ベラルーシ社会について2
     この時は納得してドルを渡したのだが、ある意味、賄賂と同様の性格の金だと感じる。これらを総合すると、この国の社会や人間関係のあり方が見えた気がする。気候や政治状況が厳しい中、彼らは基本的に助け合って生きている。例えば、ダーチャは知り合いが集まって作ってしまう。だから、できあがったダーチャは大工仕事に参加した人の共有物の意識があり、作物を収穫すると仲間に分配するようだ。
    〈市内の木工場〉

  • ベラルーシ社会について3<br /> そうした助け合いに基づく濃い人間関係がこの国には生きている。社会主義とは本来、そういう人間関係を反映し、皆が分かち合いながら平等に生きようとした制度だろう。これが逆に、人間関係がない者を助ける場合に、賄賂的な要求をする発想につながる。市内の木工場を見学した時も、作業工程を見せたあと、できあがった木製カップを渡しながら「いくらでもいいので気持ちをお願いします」と言われた。定価はないのだ。「人間関係がなかったあなたのために私は便宜を図った。だからあなたもそれなりの誠意を示してほしい」ということだ。<br />〈木工場の「誠意」に対し5ドルを支払った木製カップ〉

    ベラルーシ社会について3
     そうした助け合いに基づく濃い人間関係がこの国には生きている。社会主義とは本来、そういう人間関係を反映し、皆が分かち合いながら平等に生きようとした制度だろう。これが逆に、人間関係がない者を助ける場合に、賄賂的な要求をする発想につながる。市内の木工場を見学した時も、作業工程を見せたあと、できあがった木製カップを渡しながら「いくらでもいいので気持ちをお願いします」と言われた。定価はないのだ。「人間関係がなかったあなたのために私は便宜を図った。だからあなたもそれなりの誠意を示してほしい」ということだ。
    〈木工場の「誠意」に対し5ドルを支払った木製カップ〉

  • ベラルーシ社会について4<br /> 役人が賄賂を要求するのも同じ論理だろう。税関の係官の思いは「悪い外国人であるあなたに対し、人間関係がない私がそれを帳消しにするのだから、それなりの誠意を」であろうし、「オーヴィル」の役人は「オーバーステイとも言えるあなたに対し、行列に並んでいる人を無視してまで迅速に対応したのだから、それなりの気持ちを」という考えなのだろう。役人は奉仕者だという発想が欠けていることは確かだが、私としては腑に落ちた感がある。<br />〈定価で買った定番土産の人形〉

    ベラルーシ社会について4
     役人が賄賂を要求するのも同じ論理だろう。税関の係官の思いは「悪い外国人であるあなたに対し、人間関係がない私がそれを帳消しにするのだから、それなりの誠意を」であろうし、「オーヴィル」の役人は「オーバーステイとも言えるあなたに対し、行列に並んでいる人を無視してまで迅速に対応したのだから、それなりの気持ちを」という考えなのだろう。役人は奉仕者だという発想が欠けていることは確かだが、私としては腑に落ちた感がある。
    〈定価で買った定番土産の人形〉

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