2010/12/03 - 2010/12/09
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peruruさん
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ドイツ博物館に展示されている世界最初の実用ジェット戦闘機であるメッサーシュミットMe262とそのパイロットの逸話に触れてみます。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 交通手段
- タクシー
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ドイツのミュンヘンの中心部から少し離れたところにドイツ博物館があります。ドイツの優れた科学技術を網羅している博物館で、その展示物には圧倒されます。
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中でも、20世紀のドイツの優れた科学技術を象徴するものとしてロケットとジェットエンジンがあると思います。残念ながら双方ともに兵器として使用されたものではありましたが、ジェットエンジンの方は、まずは戦闘機として実用化されました。ドイツ博物館にはこのジェットエンジンを搭載した機体であるメッサーシュミットMe262A-1aが展示されています。
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その形状からこの飛行機はシュワルベ(Schwalbe・ツバメ)と呼ばれていました。展示されている機体には白のペイントで3が書かれており、White3と呼ばれています。この機体がドイツ博物館にある経緯も興味深いものです。
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それは、ドイツの敗戦間近の1945年4月25日のことです。ドイツ空軍 第7戦闘航空団 第9中隊 ハンス・ギド・ミュッケ(Hans Guido Mutke)はドイツのフュルステンフェルトブルックの飛行場にあったこの機体を、米軍の戦車が50キロまで迫って来たとのことで、バート・アイブリングの飛行場に移送するように命じられます。
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この機には燃料が入っていなかったため、給油をしようとしますが、B-26マローダー爆撃機の編隊が近づいてきます。あわてて給油中のホースを抜いて、間一髪で離陸します。離陸したMe262を見てマローダー爆撃機は逃げ出します。ハンス氏はこの編隊に向かいますが、雲間に見失います。
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給油された燃料はわずかであったため、移送すべきバート・アイブリングの飛行場に行くには足りません。燃料が切れようとしている間、彼は同機からパラシュートで脱出することも考えますが、スイス領のデューベンドルフの飛行場を見つけて着陸します。
中立国であったスイスでは同機を保管して戦後にドイツに返還し、このドイツ博物館に置かれることとなったのです。 -
ハンス氏にはもう一つの逸話があります。
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当時のジェット機に立ちはだかったのは音速の壁です。映画「ライトスタッフ」に描かれていますが、音速の壁を超えたのは、アメリカのチャック・イェーガー(Yeager)が1947年10月14日にベルX-1によって成し遂げたというのが公式記録です。
ちなみに、ベルX-1はワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館に展示されています。 -
1945年4月9日にこのMe262とは別の機体に搭乗して任務遂行中のハンス氏は、敵機に攻撃されかけている味方の機を応援すべく、高度12000メートルから急降下をします。この時に彼は衝撃を感じ、速度計から音速の壁を超えたと主張します。
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結局彼の主張は否定されるのですが、このMe262の機体とジェットエンジンでは本当に音速の壁は超えられなかったのでしょうか・・・・。
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ハンス氏の話も、鉤十字が消されたこのMe262の尾翼も・・・。
事実は意図的に扱われて歴史的事実として伝えられるものなのかもしれません。
「われわれは、昔のことについてほんとうの事実を知らないので、偽りをできるだけ真実に似せることによって、それを役立つものとするのではないかね」
・・・プラトン『国家』382d・・・
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